著者
及川,昌典
出版者
日本教育心理学協会
雑誌
教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, 2005-12-30

近年の目標研究によって, 意識的な目標追求と非意識的な目標追求は, 同じような特徴や効果を持つことが明らかになっている。しかし, これら2つの目標追求が, どのような状況で, どのように異なるのかは明らかではない。本研究は, 抑制のパラダイムを用いて, 教示による意識的抑制と, 平等主義関連語をプライミングすることによる非意識的抑制との相違点を明らかにするために行われた。実験1では, 非意識的に行われる抑制においては, 意識的に行われる抑制に伴う弊害である抑制の逆説的効果が生じないことが示された。教示により外国人ステレオタイプの記述を避けた群は, 後続の課題で, かえってステレオタイプに即した印象形成を行うのに対し, 非意識的に抑制を行った群では, そのような印象形成は見られなかった。実験2では, 非意識的な抑制は, 意識的な抑制よりも効率的との想定を基に, 相対的に抑制に制御資源が消費されないだろうと予測された。抑制後に行われた自己評定においては, 意識的抑制群においてのみ, 強い疲弊感が報告されていたが, 後続のアナグラム課題においては, 意識的抑制群も非意識的抑制群も同様に課題遂行が阻害されており, 両群において消費される資源量には違いがないことが示された。抑制意図と行動, それに伴う意識の関係について論じる。
著者
〓 剣萍 長田 義仁
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.711-716, 2003-09-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
13
被引用文献数
1
著者
田中 正美
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.547-551, 2018 (Released:2018-04-05)
参考文献数
22

視神経脊髄炎関連疾患(NMOsd)は抗アクアポリン4抗体と補体による細胞傷害を主体とする自己免疫疾患である.再発予防には抗体産生抑制や補体活性化抑制,中枢神経への侵入抑制が中心で,prednisoloneで治療を始める.ステロイドを減量するために,筆者らが提唱しているtacrolimus1日1回夕食前(16時)投与およびトラフ値を用いたモニタリングの重要性を概説した.
著者
菊 幸一
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.8_1, 2018

<p> 学校運動部活動が揺れている。少なくとも、この伝統的な活動を支えてきた人的資源である中高校教員によるボランティアパワーは、「働き方改革」という労働「問題」から、そのあり方が鋭く批判されている。他方、この問題は地域の中の学校という地域スポーツの観点から、これまで国が進めてきた総合型地域スポーツクラブ政策とリンクする形で、その主体を学校外の地域に移す考え方によって解決をめざす方向性が模索され、そのガイドラインが平成30年3月にスポーツ庁から公表されたところでもある。</p><p> このような昨今の動向において、これまで大きく運動部活動によって支えられてきたと思われる「体育界」や「スポーツ界」からの意見はあまり聞かれない。そこで、すでに遅きに失した感もあるとはいえ、この問題に対する科学的研究の立場(今回は主に人文・社会科学分野)から、その過去と現在を議論し未来を展望することは、今後の学校運動部活動のよりよい方向性を考えていく上で重要だと思われる。また、この議論からみえてくるガイドラインの向こう側に予測される課題を明らかにしておくことは、今後の学会による諮問形成においても重要なことと考えられる。</p>