- 著者
-
吉村 貴子
前島 伸一郎
大沢 愛子
苧阪 満里子
- 出版者
- 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
- 雑誌
- 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.4, pp.484-491, 2016-12-31 (Released:2018-01-05)
- 参考文献数
- 30
- 被引用文献数
-
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言語流暢性課題 (Word Fluency Test: WFT) には, 意味流暢性課題 (Category Fluency Test: CFT) と文字流暢性課題 (Letter Fluency Test: LFT) があり, 臨床における認知症の評価にも有用と考えられている。 今回われわれは, 認知症のWFT の成績とワーキングメモリ (working memory: WM) の関連について検討することで, 認知症の WFT に現れた WM の特徴を明らかにすることを目的とした。さらに, 認知症における WFT の結果によって, WM をどのように推定できるかについて考察した。 結果, 認知症においても WFT は WM と関与する可能性があり, 特に LFT の成績には WM がより関わりが強いことが示唆された。さらに, アルツハイマー病と前頭側頭型認知症によって, WFT の遂行に関与する WM の特徴が異なる可能性も示された。 これらより, 認知症タイプによって WFT の遂行に必要な WM の側面が異なる可能性について考察した。