著者
小泉 雄大 田城 文人
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.20-021, (Released:2020-09-10)
参考文献数
17

A single large specimen [197.8 mm standard length (SL)] of the genus Chaunax Lowe, 1846 (Lophiiformes: Chaunacidae), captured during a commercial bottom trawl at a depth of 150–250 m off Cape Daio-zaki, Shima, Mie Prefecture, Japan on November 2016. Lacked markings on the body surface, thereby differing clearly from the three Japanese congeners (Chaunax fimbriatus Hilgendorf, 1879, Chaunax penicillatus McCulloch, 1915 and Chaunax abei Le Danois, 1978) known to date. Subsequently identified as Chaunax apus Lloyd, 1909, the specimen was characterized as follows: body without marking, reddish dorsally and paler ventrally (fresh condition), becoming uniformly whitish (preserved) ; tips of cirri on esca partially dark; dorsal surface of head lacking cirri; head length 39.3% SL; and 3 neuromasts in upper preopercular series, 3 in lower preopercular series, and 15 in pectoral series. The specimen represents both the northernmost and easternmost records of the species in the Pacific Ocean, in addition to being the first from Japanese waters. Intraspecific variation was noted in the count of spinules bridging the lateral-line complex (4–5 pairs in the present specimen vs. usually 3 pairs in previous reports of the species). The need for reconsideration of two of the three species groups recognized in the genus Chaunax [C. abei (including C. apus) and C. fimbriatus species groups] was discussed from the viewpoint of new morphological data obtained from the above specimen. The new standard Japanese name “Akafusen” is proposed for C. apus, in referring to its characteristic body shape and color.
著者
近藤 佳大
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.344-354, 2013-09-01 (Released:2013-09-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

第183回国会において成立した「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の検討経緯および概要を解説するとともに,行政機関の間で個人番号を用いて情報交換を行うに際しての行政統制のあり方と3種類の個人識別子(見える番号,連携符号,認証識別子)の利用に伴うプライバシーインパクトについて国際比較を試みた。具体的には,分野によらず共通の番号を用いるフラットモデルの代表国として米国,分野毎に異なる番号を用いながら分野間での連携を可能とするセクトラルモデルの代表国としてオーストリアとの比較を試みた。
著者
森 岳人
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.170-183, 2018 (Released:2018-05-31)
参考文献数
114

本稿は地理学のアウトリーチについて,出版や書店という側面から検討したものである.主に書店の販売データを用いて,一般向け地理学関連書籍が書店や読者にどのように受け入れられているかを調査した.その結果,地理関連書籍は,歴史分野などと比べると発行点数も売上も少なく,読者も中高年の男性に偏っていることがわかった.また,意識的に地理コーナーを設置している書店も少なく,適切に販売する条件が整っていないことが明らかとなった.本稿によって,地理学が世間でどの程度関心をもたれているのか,またどれだけ世間に浸透しているかについて,推測することができる.
著者
山下 仁 丹野 恭夫 一幡 良利 西條 一止 高橋 昌巳
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.599-608, 1998-03-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

灸が末梢血の白血球動態に与える影響を明らかにするため, ウサギに4点各10壮, ヒトに8点各10壮の米粒大透熱灸を行い, 白血球数, 白血球分画の経時的変化を観察した。ヒトにおいてはフローサイトメトリーによるリンパ球サブポピュレーションの解析も行った。ウサギの平均白血球数は施灸群・対照群とも施灸後一過性に増加したが, 施灸群の方が平均増加量は大きかった。ヒト施灸群の白血球数と分画は変化しなかったが, 施灸後24時間の平均T細胞百分率が減少した。また施灸群のCD4/CD8比の平均は施灸後2時間で増加し24時間後に減少し, その変化は有意であった。一方, 対照群のCD4/CD8比に有意な変化は認められなかった。4週間連続施灸は白血球数, 分画, リンパ球サブポピュレーションに影響を与えなかった。このことから灸により生体の免疫機構は少なくとも一過性に影響を受けることが示唆された。
著者
戸田 盛和
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.185-188, 1996-03-05
参考文献数
33
著者
大垣 昌夫 大竹 文雄
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.75-86, 2019 (Released:2019-04-10)
参考文献数
43

日本を筆頭に世界の国々で少子高齢化が進むなかで,各国の人口の大きい割合を占める高齢者の認知能力が低下することになる.また,女性の社会参画のために,保育サービスの重要性が増す.認知能力が大きく低下した高齢者や子供が市場メカニズムを一人では有効に使えないことを考えると,市場メカニズムと共同体メカニズムをどのように混合させていくことが社会にとって望ましいかという問題が重要である.行動経済学がこの問題に取り組むための研究の枠組みをすでに完成させたとは言えないが,内生的選好モデルに徳倫理という倫理観を導入する理論研究など,すでにこのような問題に取り組むために役立つさまざまな研究が行われている.本稿ではこのような視点から,規範行動経済学と共同体について概観する.
著者
山本 純子 大澤 留次郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.819-827, 2016-02-01 (Released:2016-02-01)
参考文献数
3

現代に生きるほとんどの日本人は「くずし字」で書かれた古典籍を読めず,大量に現存する古典籍の内容がわからなくなりつつある。そこで,負荷の高い翻刻の省力化を目的に,新方式OCRを開発した。くずし字を含む古典籍を対象とした原理検証実験の結果,一定の条件下で,精度80%以上の自動テキストデータ化が可能であることを実証した。新方式OCRでは,文字画像を位置情報とともに切り出した字形データベースを構築。この字形データベースから類似字形検索により翻刻対象古典籍の文字の文字コードを特定する。また,完全自動化ではなく,人手と自動処理を組み合わせた作業工程設計により翻刻の総合的な負荷軽減を目指す。新方式OCRの仕組みと,これを用いた翻刻の現況を報告する。
著者
山本 好和
出版者
一般社団法人 植物化学調節学会
雑誌
植物の化学調節 (ISSN:03889130)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.169-179, 2000-12-25 (Released:2018-03-15)
参考文献数
42
被引用文献数
1
著者
西山 克 Masaru Nishiyama
出版者
関西学院大学人文学会
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.18-38, 2010-02
著者
荒木 のりこ 江上 敏哲 坪内 奈保子 西川 真樹子 渡邊 伸彦
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.2042, 2019-08-31 (Released:2019-09-11)

2018年,国際日本文化研究センターはOCLC WorldCat に蔵書の目録情報を登録し,OCLC WorldShare ILL による海外からの本格的なILL 受付サービスを開始した。目録は30万タイトルを一括登録し,またILLは1 年間で236件の受付を実施した。実施までには紀伊國屋書店,OCLC,海外の日本研究司書コミュニティとの連携・協力があった。実施後は多方面に広報を実施した。これらにより海外の日本研究への寄与や,日文研自体の存在感向上が期待できる。課題として,謝絶の多さ,参加料・労働力等のコスト,国内他大学の参加を増やすこと等がある。