著者
小林 奈穂 村山 伸子 石田 裕美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.41-50, 2015 (Released:2015-07-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【目的】料理別と主食副食別の2種類の目測による摂取量把握を行い,これら2つの目測方法の妥当性の比較および料理区分別の目測値の特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】サンプル献立として3日間の料理を作り,架空の喫食者モデル10名分の喫食状況を基に研究協力者が残菜トレーを作成した。管理栄養士養成課程4年生が判定者となり,判定者10名全員が全ての残菜を目測した。目測は料理別と主食副食別の2種類を実施し,実測として秤量を行った。目測方法は,提供前の料理と食事後の残菜を比較し,残菜量から摂取量を推定し10段階で評価した。【結果】目測値と実測値の相関は,ほとんどの料理区分で高い相関を示す判定者が多かったが,副食では他の料理区分と比べ低い相関結果となる判定者が多かった。目測値と実測値の差の検定では,主食や半固形状の主菜では目測値が有意に高い判定者が多く,乳製品や間食では目測値が有意に低い判定者が多かった。副食については,誤差の平均値は小さいものの,判定者によって誤差の有無や高低が違い,評価結果にばらつきがあった。また多くの料理区分で,食べ方が半分くらいあるいは少しの場合に目測誤差が大きかった。【結論】2つの目測方法の妥当性の比較結果およびその特徴が示された。主食副食別目測は,料理別目測と比べて実測との相関が小さく,判定者によって評価が異なることから,料理別目測よりも妥当性が低いことが示された。
著者
清水 政明 Lê Thị Liên 桃木 至朗
出版者
京都大学東南アジア地域研究研究所
雑誌
東南アジア研究 (ISSN:05638682)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.149-177, 1998-09-30 (Released:2018-01-31)

This paper aims to introduce one piece of chữ nôm material, which Henri Maspéro mentioned in his article of 1912 as one of the oldest chữ nôm materials, and the existence of which remained for a long time unconfirmed. This paper also aims to analyze the chữ nôm characters contained in it from the historical phonological point of view. This material was rediscovered and introduced by Lê Thị Liên in her 1989 B. A. thesis. It is an inscription erected in 1343 on the Hộ Thành mountain (núi Non Nủớc) in the present Ninh Bình province, Vietnam. It concerns donations made by local inhabitants for the construction of a temple on the mountain. Before analyzing the chữ nôm characters in the inscription, we first review the traditional method of analyzing chữ nôm characters as proposed by Henri Maspéro in 1912, for the purpose of demonstrating the limitations of his method in the analysis of our material. We then refer to recent Viet-Muong phonological studies based on the newly discovered and described groups of the Viet-Muong branch such as Arem, Chứt, Mã Liềng, Aheu, and Pọng, most of which were not known when Maspéro wrote his paper. One of the main phonological features that differentiate them from the Mủờng dialects described by Maspéro is the existence of the disyllabic structure: (C0)vC1V(C2)/T. We also utilize newly discovered chữ nôm materials such as the Sino-Vietnamese text of Phật thuyết đại báo phụ mẫu ân trọng kinh, compiled in the 15th century, which also throws light on our analysis. The material contains 11 common words and 18 person or place names written in chữ nôm characters. The latter 18 proper nouns are the object of discussion. Their common characteristics are the use of two characters for the transcription of one proper noun and occurrence of the vowel /a/ as the first element. We claim for these examples to show (1) certain patterns of the initial consonantal cluster, and (2) the trace of the disyllabic morphemes still preserved in the 14th century Vietnamese. Concerning the former point, we can reconstruct such patterns as /*bl-/, /*ml-/, and /*k‘r-/ from our material. The latter point is of special importance. Nguyễn Tài Cẩn (1995) reconstructed the major members of the minor syllable ((C0)v) in the disyllabic structure of Proto Viet-Muong as /*pə/, /*tə/, /*cə/, /*kə/, /*sə/, /*a/, and we can recognize four of them in our matelial: /*pə/, /*tə/, /*kə/, /*a/. The chữ nôm characters contained in the Sino-Vietnamese text of Phật thuyết đại báo phụ mẫu ân trọng kinh mentioned above, in turn, show all six of them, and the characters transcribing each of these minor syllables coincide with each other between these two materials, a fact that may reinforce the credibility of our analysis. In conclusion, the insertion of a non-distinctive schwa vowel /ə/ between each of the initial consonantal clusters seems to have been common in Vietnamese during the 14th-15th centuries, but not in all cases. And the disyllabic strucure of Vietnamese, or at least the trace of it, is recognized to have existed until as late as 15th century.
著者
平井 洋子
出版者
首都大学東京
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

H21年度は,H19年度とH20年度に行った授業の記録および授業時の学生の会話記録に基づき,教員の説明のしかたで改善すべき点をあらためて検討した。とくに測定の妥当性という概念とその重要性を半年間の講義と実習で会得してもらうということを最優先に据えてこれまでの授業内容を見直した。その結果,具体的な心理尺度を研究例から紹介すること,仕様書の事例を初めに見せること,を授業の初めの方で行うことにした。具体的には,その研究例では測定したい内容をどう定義して,どのような特徴や使用用途を備えさせようとしているのかを研究論文から抜粋し,仕様書を作って与えた。またその心理尺度の項目は仕様書に定義された内容をちゃんと測っているかを学生に検討させ,更にワーディング上の問題点や改善点なども考えてもらった。この準備を行ったことで,項目を集めれば心理尺度ができるわけではないことが,講義で解説するよりも理解できたようだった。また,後に自分たちでオリジナルの尺度を作るときの予行練習ができた。逆に,評定尺度法の説明や注意点,ワーディングや選択肢の並び順による回答の誘導など,調査法としては興味深い知識でも,心理尺度の作成に直接関わらない内容は儒禦プログラムから削除した。H21年度の授業では,チェックリストタイプや,異なる構成概念を包含する総合指標タイプを目指すグループが現れたため,ひとつの構成概念を測定するための尺度との違いを妥当性に絡めて説明する良い機会に恵まれた。この点はこれまで非公式なアドバイスとして行うのみであった。今後の考えられる授業プログラムとしは,授業の初期に研究例を紹介し,その仕様書を示し,「抽象的な構成概念を反映する道具」としての心理尺度という位置づけを行ったのちに,チェックリストタイプや総合指標タイプの例も示して対比させることが考えられる。
出版者
巻号頁・発行日
vol.[21] 両国橋并三橋御修復書留十二 御扶持御手当向会所入用品々請取之類 弘化四未年,
著者
近藤 忠義
出版者
法政大学
巻号頁・発行日
1960

博士論文
著者
城下 貴司
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0270, 2007 (Released:2007-05-09)

【はじめに】アキレス腱炎およびアキレス腱周囲炎とは若年スポーツに限らず中高年層にも発症し、原因はランニング、ジャンプ、登山等での蹴り出し時に腱やその周囲に繰り返し伸張刺激が加わり、結合組織の炎症や腱実質に微細損傷および変性を引き起すという報告が複数ある。臨床現場でも推進期等の伸張位での痛みを訴える症例が多い。代表的な治療の一つにアキレス腱のストレッチがある。ところが伸張刺激が原因にもかからず伸張刺激で治療する矛盾があり、安易なストレッチには疑問を持っていた。本研究では、本疾患の理学療法についてもう一度再考するきっかけ作りとしたい。【対象および方法】対象は当クリニックでアキレス腱炎およびアキレス腱周囲炎と診断された15足(15名,男9名 女6名)年齢35.4±19.1歳とした。まずステッピング等でアキレス腱にストレスのかかる疼痛誘発テストで評価し、次に母趾から5趾を使用しての底屈エクササイズ、2趾から5趾での底屈エクササイズ、そして3趾から5趾での底屈エクササイズを施行し各々でエクササイズ前後の疼痛の変化を比較した。疼痛変化はVAS(100mm幅)を使用した。【結果】母趾から5趾底屈で改善した被験者は4名,26.7%、非改善は3名20%、変化が認めなかったものは8名53.3%であった。2趾から5趾底屈では、改善したもの12名80%、非改善1名6.7%、変化が認めなかったもの2名13.3%であった。3趾から5趾底屈では改善したものは14名93.3%、非改善0名0%、変化が認めなかったものは1名6.7%であった。 2趾から5趾底屈の「30%以上改善率」は13.3%、「40%以上改善率」は0%、3趾から5趾底屈の「30%以上改善率」は46.7%、「40%以上改善率」は33.3%であった。【考察】母趾から5趾底屈では、ほとんどの被験者で改善は認めず、中には悪化する被験者も認めた。一方2趾から5趾の底屈では約8割の被験者に改善を認め、3趾から5趾の底屈では15名中14名の9割以上の被験者に改善を認めた。さらに改善率から比較しても3趾から5趾の底屈の方が良好な結果を得た。また本研究の結果では母趾を使用したエクササイズよりも母趾を使用ないエクササイズが有効的であった。すなわち、本疾患に対しては母趾を使用させるにはリスクがあり、母趾以外の足趾に着目すべきと考える。以上から、ストレッチを施行せずとも、臨床的な評価に基づいたエクササイズを選択することで本疾患は有効的な理学療法を展開できると考えている。