著者
米倉 正直
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.64-68, 1979-08-25
被引用文献数
3

カブトエビの自然発生数と水田雑草の除草効果との関係を究明するため,1m^2のコンクリート枠で,前年に自然発生した土壌を添加して試験を行い,次の結果を得た。1)発生雑草はキガシグサ,ミゾハコベなどの広葉雑草が主体で,そのほかノビエ,カヤツリグサ科雑草などが混生し,合計発生本数4,000本/m^2以上の,きわめて雑草発生量の多い条件であった。2)カブトエビは雑草の出芽時期(代掻き4〜8日後)とほぼ同一時期に発生した。アシアカブトエビとアメリカカブトエビの二種が発生したが,アシアカブトエビが主体であった。3)代掻き後16日におけるカブトエビ発生数は,5〜266匹/m^2であった。カブトエビを背甲長によって分級し,中個体(背甲長10〜13mm)に換算して換算個体数を求めた。代掻き後16日におけるカブトエビの換算個体数(x)と残存雑草本数対無放飼区比率(y%)との間にはr=-0.793という,かなり高い負の相関が認められた。草種別にみると,カヤツリグサ科雑草,キカシグサなどとの間で相関が高かったのに対し,ノビエ,コナギでは相関が小さく,効果に変動がみられた。4)前述したxとyとの間には,y=1/1.046x1.0518^xの回帰式が適合した。この回帰曲線から推定して,雑草発生本数を無放飼区の10%以下の発生数(実用的除草効果)に抑制するには,代掻き後約2週間の時点でm^2当たり50匹程度(背甲長1cm程度の個体)のカブトエビの発生が必要と結論された。
著者
鷹野 浩之 板橋 豊
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.437-442, 2002-06-05
被引用文献数
3 14

抗肥満作用を有する 1,3-ジアシルグリセロール (1,3-DG) の分子種を正確に求める方法を確立した.食用油(エコナクッキングオイル)中の 1,3-DG を 3,5-ジニトロフェニルウレタン (DNPU) 誘導体に変換した後,高速液体クロマトグラフィー (HPLC) と質量分析法 (MS) を用いて分析した.その結果,C30 カラム (25 cm×4.6 mm i.d.) を装備した逆相 HPLC により 1,3-DG を構成する種々の分子種が 60 分以内に明りょうに分離された.また,HPLC/エレクトロスプレーイオン化 (ESI)-MS 分析では,分離された各成分について顕著な [M-H]^-イオンが得られた.このイオンを利用して,各分子種を同定した.本法は,種々の食用油に存在する 1,3-DG の分子種分析に適用できる.
著者
[記載無し]
出版者
一般社団法人中国研究所
雑誌
アジア經濟旬報
巻号頁・発行日
no.218, pp.25-26, 1954-06-10
著者
佃 和明 村上 充幸 森中 秀夫 続木 建治 一前 宣王 近内 誠登 竹松 哲夫
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.175-181, 1993-10-22
被引用文献数
2

新規水田用除草剤ピリブチガルブの主要水田雑草に対する殺草特性および稚苗イネに対する作用について検討した結果、以下のことが明らかになった。 1) ピリブチガルブは発芽期湛水土壌処理において、タイヌビエ、コナギ、タマガヤツリなどの水田一年生雑草に対して優れた殺草効果を示した。 2) タイヌビエに対しては、発芽期〜2葉期処理において高い殺草効果を示した。イヌホタルイに対しては、発芽直後においてのみ殺草効果を示した。 3)土壌表面から0〜2 cmの、いずれの発生深度のタイヌビエに対しても高い殺草効果を示した。イヌホタルイには土壌の表面から発芽する個体にのみ殺草効果を示した。 4)稚苗イネの植え付け深度を変えて薬害を検討した結果、置き苗の様な極端な状態では薬害を生じたが、深度1 cmの浅植え状態でも薬害を示さなかった。通常の移植条件の稚苗イネには、薬害を生じる可能性が低いと考えられた。 5) ピリブチガルブの土壌中の移動性は極めて小さく、土壌表層に吸着して強固な薬剤処理層を形成しているものと考えられた。
著者
横塚 知典 五十嵐 剛 大橋 新悟 大黒 英和 塩見 慎吾
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.46-48, 2005-04-15
被引用文献数
2

企業内にITが浸透し, ITの無いビジネスは考えられなくなっている.それに伴い, システム開発プロジェクトの数も急激に増大しており, 多くのプロジェクトマネジャーが, 日々, リスクやコミュニケーション等に関する苦労を重ねながらプロジェクトを進めている.今回, 我々は多くの先人たちのプロジェクトマネジメント経験からプロジェクト遂行上の実践的ノウハウを集約しPMBOKの体系に合わせ整理統合を試みた.本稿では, 当該ノウハウ集を構築し, Webサイトに公開し現場のプロジェクトマネジャーの座右の銘としたプロジェクトマネジメント強化の取り組みについて紹介する.
著者
古田 東朔
出版者
国語学会
雑誌
国語学 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
no.19, pp.82-92, 1954-12
著者
宇式 かん
出版者
フレーベル會
雑誌
婦人と子ども
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.38-38, 1911-02
著者
野原千鶴
雑誌
ほすぴたるらいぶらりあん
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.59-62, 1994
被引用文献数
2
著者
鈴木 慎二郎 沢村 浩
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.324-331, 1981-10-30

輪換放牧における牛の行動の日周性を,移牧との関係において明らかにする目的で,体重の日内変動の面から検討した。試験1では10時と13時に,試験2では10時と16時に,試験牛(200〜240kg)を次の牧区へ移牧し,移牧当日とその翌日にわたって,3時間ごとに体重を測定した。試験1では行動調査もあわせて行なった。1.牛は,移牧直後の3時間において,10kg以上の急激な体重の増加を示しており,この間に大量の採食をしていることが推測された。行動調査の結果もあわせてみると,なかでも牛が採食に集中しているのは,移牧後2時間までであった。牛の体重は,その後も若干ずつ増加するが,日没後からは減少に転じ,19時から翌日4時までに8〜10kg低下した。夜間にも,ある程度の採食行動がみられたが,体重の変動からみれば,量的にはわずかな採食にすぎないものと思われた。ただし,16時移牧の牛では,日没後にも体重が増加しており,牛は採食量が不十分だと,採食行動を夜間にまで延長することが認められた。2.10時と13時の移牧では,行動形のうえからは,移牧直後のほかに,日没前にも採食行動のピークがみられた。しかし,体重増加の点では,両者には大きな差があり,日没前のピークでは,移牧直後のピークにくらべると,牛の採食量はかなり少ないものと思われた。3.移牧翌日の体重は前日のように大きく増加することはなく,前日の最高体重に達することも殆んどなかった。すなわち移牧の翌日における採食行動は,移牧当日にくらべると不活発であり,採食量も少ないものと考えられた。以上のように,輪換放牧における牛の行動は,移牧の影響を強く受けており,移牧当日においては,採食・休息反すうの繰返えしという定形的なパターンとはならなかった。また,移牧当日とその翌日とでは,行動の日周性は大きく異なった。
著者
伊藤 大介 小林 徹郎 山崎 美和恵 南 繁夫
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.520-529, 1956-08

最近,CosmotronやBevatronのような高エネルギー加速器によるπ-N相互作用に関する実験の結果,π-N衝突の全断面積σ_<t0t>(-σ_<elastic>+σ_<inelastic>)に第二、第三の極大が存在することが略々確かになった。周知の通り、O.2 Bev前後に於ける第一の極大は、I=J=3/2 stateの共鳴散乱として解釈されているものであるが、第二、第三の極大も果して"物理的核子"の特別な状態の共鳴現象によるものであるか、或は他の機構によるものであるか、先ず明らかにされなければならぬ問題である。この問題に関して、先ずC.N.Yangは 0.8 Bev附近に於ける第二の極大が"物理的核子"の特定の状態の共鳴による散乱であると解し得るためには、共鳴状態のJが相当大きなものでなければならぬことを示している。第二極大の発生機構を考察する場合、第一極大の場合と著しく事情が異るのは、後者の場合にはなかった非弾性衝突(即ち中間子の多重発生等)の存在である。第二極大の起る0.8 Bev附近ではσ_<elastic>&ap;σ_<inelastic>である。このような大きな非弾性散乱の存在は当然弾性散乱にも大きな影響を及ぼすはずである。武田氏は、入射中間子が、核子の固有場の中間子と衝突し、これを共鳴的にたヽき出すと考えて、第二極大の存在を説明しておられる。またSternheimerが分散公式を用いて、前方散乱の振巾をを計算し、高エネルギーに於ては、Dispersive Partに比し、Absorptive Partが非常に大きく、第二極大附近で特にAbsorptive Partが大きくなつていることを明らかにした。これ等の分析の結果から、第二極大の発生機構は、第一極大の場合と異り、非弾性衝突が非常に大きな役割を演じていることが判明して来た。非弾性衝突の存在によつて、弾性散乱の受ける影響は、Shadow Effectとして知られている。我々は以前に1.4 Bevに於けるπ-N衝突は、影散乱のみとして、説明出来ることを示した。即ち1.4 Bev程度の高エネルギーでは、非弾性衝突の断面σ_<inel>を正しく与えええる理論さえあれば、弾性散乱の断面σ_<el>はその影散乱として求まり、全断面σ_<t0t>=σ<el>+σ<inel>も実験と一致するのである。換言すればこのような高エネルギーでは、非弾性衝突が近似的にπ-N衝突の全体を支配しているので、その理論的考察は非弾性衝突の解明に集約されることになる。若し高エネルギー領域で成立ったこのような近似が第二極大の起る0.8 Bevまで成立つならば、第二極大解明の鍵は非弾性衝突にあることになる。この可能性を吟味することが本論文の目的である。結果を要約すれば、π-P衝突で、実測された非弾性散乱の断面積σ^<exp>_<inel>を用い、これから影散乱のみという近似で計算したσ_<elastic>及びσ_<t0t>は、第1図に模式的に示すように、1.0 Bev以上では実験と一致する。しかし1.0 Bev以下では実験と合わなくなる。弾性散乱の角分布も1.0 Bev以上では影散乱のみとして実験とよく合うが1.0 Bev以下では合わなくなるかもしれない(現在比較できる正確な実験は1.0 Bev > E_π > E_<th>間に存在しない)1.0 Bev以下ではσ_<inel>が減少しはじめるのと、低エネルギーの場合と同じ機構による散乱が生き残っているので影散乱のみという近似は成立たなくなるのであろう。しかし第1図に示すように、1.0 Bevに於ける影散乱として計算したσ_<el>,σ_<t0t>は既にthresholdに於けるσ_<t0t>より大きい。而も1.0 Bevに於けるσ_<t0t>もσ_<el>も低エネルギーまで延長すれば結局thresholdに於けるσ_<t0t>に接続しなければならぬのであるから、σ_<t0t>にもσ_<el>にも1.0 BevとE_<threshold>の間に少くも一回極大が存在するはずである。このようなわけで、第二極大の存在の説明には非弾性衝突、即ち、多重発生過程が重大な役割を演じていることを知ることが出来る。実際1.0 Bev以上で多重発生の正しい理論を構成することだけで、第二極大の存在を間接的に示すことが出来ることになる。しかし、第二極大の直接の分析のためには、E_<th>&harr;1.0 Bev間のπ-N相互作用を分析しなければならない。この領域の分析は非常に困難であろうが、逆に、核子の構造に対して多くの情報は期待出来ると予想される領域でもある。これについては追々分析をすすめる予定である。
著者
川田 亜矢子 狩野 均 西原 清一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.347-348, 1994-03-07

近年、2値画像から図形の幾何情報を抽出する技術が様々な分野で望まれている。例として、紙上図面からのCADデータ生成などがある。幾何情報を得るための前処理として2値画像から線画を抽出する細線化が多く利用されている。これにはHilditchによるものなどいくつかの技法が開発されている。しかし、通常の技法では画素間の連結性を保つのみで図形の形状が考慮されていないため、認識上重要である分岐・屈折などの特徴点付近で歪んでしまうという問題がある。つまり、細線化結果が、元の図形とは異なる幾何情報を与えてしまうのである。これを解決するものに張らの研究があるが、45度の倍数方向のマスクパターンを用いた技法であるため、一般の図面に利用するには不十分といえる。本稿では図形の直線形状に注目し、歪みを除去する細線化の新しい技法を提案する。これは、歪みのない直線部分を特徴点まで延長し、その線上の画素は削除しないというものである。本稿では以下、次節で延長のために必要な直線の表現方法である勾配数列と、直線延長による細線化技法を提案する。3節で細線化アルゴリズム、4節で実験結果を示し、最後に今後の課題を述べる。