著者
山本恵子 宮川健治 野々佳子 原口輝美 松永あけみ
出版者
九州看護福祉大学
雑誌
九州看護福祉大学紀要 (ISSN:13447505)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.103-111, 2006-03

日本の高齢者施設は、高齢化・重度化・認知症の増加が問題視されている。そのような状況で、施設利用者の安全を確保するのには、職員の協働は不可欠であるといえる。また多くの文献で職員数や知識の不足が、転倒要因として列挙されている。しかし、その実態や対策について研究したものは少ない。そこで本研究では、自身で危険回避が困難な方が多い高齢者施設における転倒予防策のうち、多職種の協働による転倒予防の必要性を先行研究より明らかにすることを目的とした。 文献検索の結果、連携の実態と転倒予防効果については、国内外問わず数は少なく、実態調査が殆どであった。それによると多職種が情報共有・アセスメント・評価の過程で協働することは、転倒予防に効果的であると報告している。海外文献では、情報共有の有効性や、リスクマネジメントの視点で協働の重要性をあげ、医療事故のエラーの原因として高齢者自身の問題以外に環境要因をあげ、その中に職員の知識・技術の差や、情報伝達の不備なども指摘されていた。 職種間協働の不備は、業務の問題点でありかつ、高齢者の転倒要因であることは言われているが、望ましい協働の方法やその効果について具体的に研究されたものは殆どなかった。職種間協働は、転倒予防の視点で重要であり、今後、増加する認知症高齢者の安全を守る上でも職種間協働の研究は不可欠であるといえる。高齢者施設での転倒予防では、協働の方法やその効果の検証は急務であり、重要な研究テーマとなることが示唆された。The purpose of this research is making the necessity for the fall prevention by collaboration of many occupational descriptions clear from precedence research. Because, by dementia, many of users are difficult to avert a risk by themselves. Most researches which did not ask domestic outside but were concretely verified about the method of desirable collaboration or its effect suited. As for the research verified concretely, about the method of desirable collaboration, or its effect, in and outside the country was very slight. lt being able to say at present is that the defect of communication of information causes an accident. Moreover, there were also two or more reports that it was effective for fall prevention that many occupational descriptions collaborate in the process of an information share, assessment, and evaluation. It was suggested from these things that maintenance of collaboration between occupational descriptions is pressing need
著者
影山 惇彦
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.165-174, 1966-03-01

水は生体の主要構成成分の一つであり, 全ての生体反応の普遍的媒体として極めて重要な存在である. 特に新生児期においては, その動きが哺育面に及ぼす影響は極めて大きい. 吾が教室では, つとにこの点に注目し水出納の面から研究をすすめている. さてその内で重要な比率を占める不感蒸泄量を測定するため, 恒温恒湿室をつくり, その中に精密な直視式自動人体天秤を設置した. この装置によつて, 新生児の水出納が各種ホルモンによつて如何に影響されるかを検討した. 使用薬剤は4-Chlorotestosterone acetate (Macrobin), 17 β-Valerylonyandrostane 3〜one (Apeton Depo), 1-Methyl'Δ Androstenolone acetate (Primobalan), Norandrostenolone phenylpropionate (Durabolin), 17 α-ethyl-19-nortestosterone (nilevar)なる5種の蛋白同化ホルモンである. 投与法は1回限りの筋肉内注射とし, 使用量は前3者は10mg/kg, 他はそれぞれ5mg/kg, 1.5mg/kgとした. 尚測定条件は上記の恒温恒湿装置により25℃, 湿度70%の環境をつくり, 児を安静に保つため, 毎時10gr哺乳をしながら, 直視式自動人体天秤(秤量100kg, 感量500mg)により逐時的に体重測定を行い, 同時に毎時の尿量をも測定した. 実験の結果は次の通りである. (1)生後48〜60時間の成熟女児の安静時における不感蒸泄量は毎時約0.73±0.12gr/kgであり, 尿量は毎時1.44±0.46gr/kgである. (2)蛋白同化ホルモン投与後の不感蒸泄量の推移には2型がある. 第1型は投与直後より減少しはじめ, 4〜8時間で元の値に復元する. 第2型では概括的にみて直後一過性に稍々増加するが, その後次第に減少傾向を辿り, 12〜20時間で元の値にもどる. 尿量はいづれも投与後次第に減少するが一定時より復元傾向を示す. (3), (2)に於ける水排出量と, その間の哺乳量とを比較すると, 新生児の水出納は蛋白同化ホルモン投与により一過性ではあるが陽性平衡を示している. (4) 血清蛋白量, ヘモグロビン値はこの実験時間内では, 著しい変化をみとめられない. かくて, 新生児に対する, ホルモン哺育の意義に関しては, その蛋白同化面を全く否定するわけではないがそれによる体重増加が主として, 水貯溜に基くものであることが, 我教室の菊池等の実験と相俟つて確認された. (5)しかもこの際の水貯溜機序に於て, 不感蒸泄量と利尿量との間に対蹠共軛的な動きがみとめられ, 生体全体としてHomeostaticに水分量を一定量に保たんとしながら, 増減することが認められた.
著者
浜口 清 笹岡 秀一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.445-453, 1995-06-25
被引用文献数
8

ディジタル陸上移動通信における,周波数利用効率の向上と高品質伝送を目指した伝送方式である直交SFH/16QAM方式について特性を明らかにした.本方式は,高能率伝送の観点からパイロットシンボル挿入形フェージングひずみ補償による16QAMで伝送する.但し,16QAMは耐干渉性に乏しいため,セルラシステムに適用する場合は何らかの方策を必要とする.そこで,誤り訂正手法の改良による新しい耐干渉復号を提案する.直交SFHでは,セル間移動局は互いに異なるホッピングパターンをとるため,他セルからの干渉波は希望波に対してランダム化される.この性質を利用してスロットに周期的に挿入した間げきより希望波に重畳した干渉波レベルを検出・推定し,重み付けユークリッド距離最小復号して16QAMの耐干渉性を向上する.周波数選択性下における計算機シミュレーションでは本方式は遠近問題に強く,セルラシステムの上り回線への適用が特に有効であることがわかった.下り回線についてはボイスアクチベーション制御の導入が有効である.またSFHによる周波数ダイバーシチ効果から,緩慢なフェージングに対しても特性の劣化が少ないという結果を得た.
著者
田中 耕二 道本 隆裕 荒井 敏夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-03-11

窒化ほう素(BN)は結晶構造や種々の特性において常に炭素(C)と比較される興味ある物質である.六方晶BN(hBN)はCにおけるグラファイトと類似の結晶構造で、固体潤滑材や絶縁材として、立方晶BN(cBN)はダイヤモンドと類似の結晶構造で、電子材料や切削材料などへの応用が期待されている.特にcBNはダイヤモンドに比べて高温まで安定なことや、鉄系材料の切削に対して安定であることは良く知られている.ここでは、サドルフィールド形のイオン源による窒素イオンの照射と、電子銃によるBの蒸発を同時に行う方法により、硬質BN膜を得た.そこで、Si(111)基板上に堆積させた硬質BN薄膜の硬さ(Hd)を、室温(RT)から800℃の範囲で測定した結果について報告する.
著者
田中 耕二 道本 隆裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.2, 1997-03-06

炭窒化ほう素(BCN)は炭素(C)と窒化ホウ素(BN)との複合化合物であり, CとBNの優れた特性を併せ持つ新物質として期待されている。しかし, BCNは未だその単結晶が合成されていないことや, 構成元素が共に軽元素であること, CおよびBNと類似の構造を有すると考えられることなどから, BCNの薄膜合成および同定は極めて困難である。ここでは, サドルフィールド型のイオン源に窒素(N_2)とメタン(CH_4)の混合ガスを導入し, 発生したイオンの照射と, 電子銃によるBの蒸発を同時に行う方法により, B-C-N膜を作製した。そこで, 作製した膜の各種分光法による同定と, Si(111)基板上に堆積させたB-C-N薄膜の硬さ(Hd)を室温(RT)から800℃の範囲で測定した結果について報告する。
著者
金田 隆志 星 宣次 毛 厚平 高橋 とし子 鈴木 謙一 佐藤 信 折笠 精一
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.33-42, 1998-01-20
被引用文献数
2 1

(目的)健常者の抹消血液中にはケラチン19は存在せず、もし血液中から検出されれば上皮性癌細胞が存在しているものと考えられる。そこでnested RT-PCR法を用いて、種々の尿路性器悪性腫瘍患者の抹消血液からケラチン19 mRNAの発現の有無を検討し、転移との関連を検討した。(方法)ヒト尿路性器癌培養細胞12種類、泌尿生殖器担癌患者39例、健常者9例を対象とし、患者および健常者の抹消静脈から血液6mlを採血し、Ficillを用いてnested RT-PCRを行い、サザンブロッティングで確認した。(結果)用いた培養細胞は全て陽性で、検出率は健常者リンパ球1×10個に対して腎癌細胞TOS-1は1個の混入でもケラチン19 mRNAが検出され、膀胱癌細胞KK47では1×10^6個の混入ではじめてケラチン19 mRNAが検出された。健常者9例の抹消血は前例陰性であった。尿路性器悪性腫瘍患者の抹消血では転移のみられない症例よりも、転移を有する症例のほうがnested RT-PCRの陽性率が高く、またリンパ節のみの転移よりも他の遠隔転移を有する症例のほうが陽性率が高かった。また、短期間の観察であるが、転移の有する場合でもnested RT-PCR陽性のほうが予後不良であった。疾患例では、精巣腫瘍は検出されにくく陰茎癌は検出されやすい印象であった。(結論)RT-PCR法を用いたケラチン19 mRNAの抹消血よりの検出法は尿路性器腫瘍にも利用できる。
著者
小此木 慎哉 畑田 敏雄 中川 匡弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.574, pp.39-44, 2007-02-27

本研究では「安静」,「メタ認知」,「メタメタ認知」の3種類の思考状態に対する脳活動を定量的に計測・識別することを目的とする.脳波のフラクタル次元解析を行うことで,脳波信号の特徴量を抽出し,思考状態の計測・識別を行う.その結果,意図した思考状態に対応する出力の割合が大きいことから,どの思考状態にあるかを識別しうることを見出した.さらに,ストループ試験を実施し,思考状態が学習効果に与える影響についてフラクタル理論を用いて検討を行った.その結果,メタ認知が学習効果に影響を与えることを確認した.本研究の結果,メタ認知,あるいは,メタメタ認知の修得度を評価する"学習効果計測装置"としての応用の可能性が示唆された.
著者
高橋 秀俊 藤村 靖
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.326-331, 1954-10-25
著者
付 希亮
出版者
広島大学
雑誌
Hiroshima interdisciplinary studies in the humanities (ISSN:13475592)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.85-90, 2004-03-20

天干命名制度是商代一〓很有特色的命名制度,〓史学家〓〓于〓一命名制度的意〓存在着〓多不同的看法。本文〓〓〓承源先生提出的以行成年礼之日来命名的〓点比〓合理。本文列挙了商周金文中的大量材料〓一歩〓明了下が一〓点:商代人天千名号是生号而不是死号,是商人行成年礼〓所起的名字,与周人行成年礼〓所起的"字"相似。〓〓命名制度,是商部族在夏朝末年形成的一〓〓俗〓
著者
鶴 久
出版者
福岡女子大学
雑誌
香椎潟 (ISSN:02874113)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-9, 1976-10-30
著者
Michel Wolfgang
出版者
日本医史学会
雑誌
日本医史学雑誌 (ISSN:05493323)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.p201-210, 1990-07
被引用文献数
2

西洋医学の日本への導入史上、最初の紅毛流派として有名な「カスパル流外科」の元祖カスパルについては、数十年間にわたる先行的な研究にもかかわらず、その人物の名字、生涯等などについて何も明らかになっていなかった。17世紀のドイ
著者
礪波 朋子 三好 史 麻生 武
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.158-167, 2002-08

本研究の目的は,幼児同士の共同意思決定場面で子ども達が実際に行った相互作用を詳細に分析し,そこで生じる対話の構造を検討することであった。幼稚園年中児28名(平均年齢5歳3カ月),年長児58名(平均年齢6歳0カ月)が同性2人組でロケット模型の中に入り,退出するという共同意思決定をするか,15分経過し実験者が迎えに来る時まで乗り続けた。ロケットから降りるか乗り続けるかを巡る子ども達の発話及び行動を分析した。その結果,両者の意見が一致しても必ずしも最終的な共同意思になるとは限らないことが明らかになった。実際の退出を巡るやりとりの中で,約60%の子ども達が1回以上意見変容していた。どちらも3回以上意見変容するペアも全体で16%存在した。また,自己の直前の意見を変えたり他者を裏切るような変容が全意見変容の24%を占めていた。以上の結果より,幼児の意思は変わり易く,他者とのやりとりの「場」の中で揺らぎながら生成されていくことが明らかになった。本研究では,幼児期の顕著な意思の揺らぎを,精神内機能がまだ十分に発達していないときに意思決定を精神間交渉に委ねていることを示すものとして捉えた。最後に,この時期に自己と他者の異なる意見を折裏したダブルボイス発話が少し見られたことは内的対話が可能になり精神内機能が発達してきた萌芽と考えられることを指摘した。
著者
岡利一郎
雑誌
滋賀医科大学雑誌
巻号頁・発行日
vol.8, pp.165-178, 1993
被引用文献数
8
著者
黒澤 岳博
出版者
城西大学
雑誌
城西大学経営紀要 (ISSN:18801536)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.61-79, 2007-03-30

本稿は, ボーイスカウトにおける諸原理のうち, 班制度がコミュニケーションの諸原理に起因していることを確認する。ボーイスカウトにおいては, その所属する小学校6 年生から中学生は「ボーイスカウト隊」に配属され, 異年齢による6〜8 人で「班」を構成する。この班というグループにおいて, 青少年達がどのような意図から指導を受け, 青少年同士のコミュニケーションを成立させていくのか, また, 青少年を集団運営に参画させるためにどのような手法を取っているのかを制度上から読み解く。これらを確認していく中で, 班というグループによりコミュニケーションを促進していくことが, ボーイスカウトなどの青少年育成にどのような意味を持つのかを検討する。
著者
小林 正明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MR, 磁気記録 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.555, pp.35-39, 2004-01-09

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