著者
新藤 慶
出版者
新見公立大学
雑誌
新見公立大学紀要 = The bulletin of Niimi College (ISSN:21858489)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.103-115, 2010

本研究は,地域社会研究会の発足時に興隆しはじめた住民運動論の展開を振り返ることで,その方法的な見直しが迫られている地域社会学の課題と克服の方途について考察することを目的とする。その第一報として,ここでは1970年代後半~1990年代の住民運動論の検討を中心とする。ここで指摘したことは,以下の諸点である。 第1に,住民運動論を振り返るうえでは,問題設定の変遷と,研究から切り出した住民運動の様相の変遷を明らかにすることが重要である。第2に,この時期の住民運動論では,住民運動に肯定的な姿勢が主流であるが,否定的な姿勢を持つものも見られた。第3に,住民運動の発生に関わる生成過程の分析は豊富だが,運動生成後の展開過程の分析は不十分であった。第4に,さまざまな地域の多様な住民運動を扱いながら,基本的な方法論は共通していた。 I tried to clarify the trends and the problems in sociology of region by analyzing of studies of residential movements. As a result, the following points became clear. First, it is important to notice the transitions of problem and the aspects of movements for analyzing of studies of residential movements. Second, there are two types of study ── positive movement studies and negative movement studies. Third, analyses of formation are sufficient, but analyses of change are insufficient. Fourth, these studies have common method.

3 0 0 0 OA 医心方

著者
丹波康頼
巻号頁・発行日
vol.巻1,30, 1859

3 0 0 0 OA 医心方

著者
丹波康頼
巻号頁・発行日
vol.巻30, 1859
著者
會澤 綾子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0201009a, (Released:2020-11-17)
参考文献数
14

Ashforth and Gibbs (1990) は、組織が正統性を獲得しようと過度に主張することが、かえって構成員からの正統性を失ってしまうという悪循環を述べており、これを「諸刃の剣 (double-edge)」と定義した。そして、組織が正統性を求めるプロセスを「実質的管理法」「象徴的管理法」に分けたうえで、当該プロセスが実行される局面および当該プロセスを実行するアクターの態度から、諸刃の剣になりやすい条件を提示している。Ashforth and Gibbs (1990) によれば、正統性を「拡充」「防御」する局面では、象徴的管理法になりやすく、アクターが「不器用」「神経質」「大げさ」な過度な主張を行うことで、かえって正統性の低下を生みやすくなる。つまり、手法の選択だけが問題なのではなく、正統性が求められる局面や、アクターの態度によって構成員による正統性の認知は変わりうるということである。構成員による正統性の認知低下は、必ずしも正統性の欠如ではなく、悪循環の結果なのである。
著者
丸山 恭司
出版者
日本監査研究学会
雑誌
現代監査 (ISSN:18832377)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.30, pp.115-126, 2020-03-31 (Released:2021-02-27)
参考文献数
19

地方自治法が改正され,地方自治体の監査委員監査において監査基準を設定することが明文化された。しかし,従来の監査委員監査では,各自治体において策定した監査基準で監査が行われており,改正後においても,監査委員自身が,自らの行為規範である監査基準を設定するとされている。これまでの監査基準と地方自治法改正で総務省が示している監査基準には大きな相違点がある。監査基準の運用状況や地方自治法改正前に市が準拠する都市監査基準の策定経緯を踏まえると,改正法により策定される監査基準では,監査人の懐疑心や独立性が強調されるべきである。また,専門性が十分でない小規模自治体の監査組織などを前提としたとき,例えば,行政監査の実施基準などについて,さらなる具体化を行う必要がある。町村などの小規模自治体であっても,公金の説明責任は,自治体の規模とは関係なく必要とされる。監査の品質確保は,すべての自治体において共通の課題である。監査品質の最低限について共通認識の醸成が今後の課題となる。

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1935年05月20日, 1935-05-20
著者
川原 佳代
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.279-285, 2021 (Released:2021-10-19)
参考文献数
24

目的:近年,アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の取組みが注目されているが,慢性疾患患者に対するACPの統一した見解はない.そこで,慢性疾患患者に対するACPの定義を明確にすることを目的に概念分析を行った.方法:14文献を対象に,Walker & Avantの概念分析方法を用いた.結果:ACPの属性は【自己決定を行うための理解】【情緒的ゆらぎ】【ACPにたずさわる人々の関係性】【自己決定】【多職種支援へつなげる記録・書面化】【ACPのプロセスの継続と見直し】が抽出された.結論:慢性疾患患者のACPを「患者の適切な時期に,自己決定を行うための理解を通して情緒的ゆらぎを経験しながら,治療やケアのゴールが導き出され自己決定が行われる過程であり,それは患者・家族とヘルスケア提供者のコミュニケーションにより繰り返し行われる」と定義した.
著者
安田 康晴 佐々木 広一 坂口 英児 山本 弘二 吉川 孝次 友安 陽子 上杉 香鈴 二宮 伸治
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.806-815, 2022-10-31 (Released:2022-10-31)
参考文献数
20

背景:救急現場で使用されている眼球保護具の形状はさまざまであり,それら形状別の飛沫防御効果を検証する必要がある。目的:救急活動時に使用されている眼球保護具の形状による飛沫防御効果を検証し,適切な眼球感染防御対策について検討すること。対象:ゴーグルなど着用なし,眼鏡,全周カバー付きゴーグル,スポーツタイプゴーグル,シールドグラス,フェイスシールド,シールド付きヘルメット。方法:模擬飛沫発生装置により,救急活動での傷病者と救急隊員の距離・水平角・方位角別の眼球部の模擬飛沫付着を比較・検討した。結果:模擬飛沫の付着は本研究で用いたフェイスシールドでは認められなかったが,他の眼球保護具では認められ,眼鏡やスポーツタイプのゴーグル単体より,シールドグラスなどを併用することにより飛沫防御効果が高まった。まとめ:顔面全体を覆うフェイスシールドの着用や眼鏡やゴーグルにシールドグラスなどを併用することにより眼球への飛沫曝露リスクを軽減させることが示唆された。
著者
石井 和孝
出版者
千葉大学大学院人文公共学府
雑誌
千葉大学人文公共学研究論集 = Journal of studies on humanities and public affairs of Chiba University (ISSN:24332291)
巻号頁・発行日
no.39, pp.33-54, 2019-09

[要旨]国会において本案である法律案に附帯しておこなわれる附帯決議について、その長期的な効果を障害者総合支援法の実例を用いて検証する。なお、検証にあたっては、①法改正のたびに繰り返し同じ分野について行われる附帯決議の内容の変化についての分析、②附帯決議自体の内容が、その後法改正等により実現したケースについての分析の二つの手法を用いることとする。この検証によって、附帯決議に決議時点の状況を記録し、次の議論開始時の共通認識を提供することによって、施策の進展の足がかりになる効果があるのか、また、そのことによって施策を一定の方向に誘導する効果があるのかを明らかにしたい。

3 0 0 0 OA 石山寺縁起

出版者
巻号頁・発行日
vol.[2],
著者
河合 利方 福田 理 中野 崇 磯貝 美佳 中田 和彦 中村 洋 土屋 友幸
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.684-691, 1998-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
34

外傷により脱落した歯を再植し,その予後を良好なものとするためには,その歯根膜の活性の維持が重要な要因の一つであると考えられている。本研究では,歯根膜の活性の維持をするための保存液としてソフトコンタクトレンズ保存液に注目し,その溶液の歯根膜細胞への影響をヒト歯根膜由来線維芽細胞を用い,それまで脱落歯の保存液として有効性が報告されている牛乳と生理食塩水を比較対照とし,短時間低温保存条件下で細胞数,細胞形態の観察から検討を加え,次の結果を得た。1.細胞数の測定3種類のソフトコンタクトレンズ保存液ともに,牛乳のような高い細胞数は示さず,溶液間にも差が認められた。しかし,経日的に細胞数の増加が認められ,作用7日後には牛乳の作用直後より高い細胞数を示した。2.細胞形態の観察牛乳においては,まったく異常所見は認められなかった。3種類のソフトコンタクトレンズ保存液では,生理食塩水と同様な所見を示した。すなわち,作用直後に原形質突起の縮小・球状化・剥離が認めらるものの,作用7日後には回復傾向を示し異常な所見は認められなくなっていた。以上のことからソフトコンタクトレンズ保存液は,脱落歯保存液の第一選択とされている牛乳よりも劣るものの,緊急時の一時保存溶液として短時間低温条件下での有用性を示唆したものと考える。