著者
鈴木 貞美
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ
巻号頁・発行日
vol.56, pp.173-210, 2017-10-20

スティーヴン・ドッド『青春のことども――梶井基次郎の時代の生と死』(ハワイ大学プレス、2014)は、国際的な展望に立ち、梶井基次郎の世界を高く評価する論考と、ほとんどの作品の翻訳を収めた英語による初めての書物である。その論考部分は、欧米の諸分野の理論を援用し、国際的学際的な視野に立ち、日本のモダニズムをめぐる重大な課題を提起し、鋭い指摘に満ちている。創造的であろうとするあまり、理論の適用限界や文芸文化史の見渡しに問題が見受けられるが、それは決してドッド一人が抱える問題ではない。とくに1980年代までの日本の文芸批評の歴史的限界がはたらいている。本稿は、ドッドの広い視野に立つ挑戦を真に意義あるものにするために、文芸批評の方法を検討し、日本モダニズム研究に新しいステージを拓く試みである。
著者
金田康正
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.849-850, 2005-07-15
著者
結城 忠
巻号頁・発行日
2006-03

この「教育に関する法律の改正沿革資料」はこの「戦後教育法制」プロジェクトの調査研究活動の一環として作成されたものです。本資料に関連する法令関係の資料は数多く刊行あるいは公開されています。「法令全書」は毎月改正された法令を掲載しているものですが、特定の法令の改正を時系列に追跡するためには、すべての年度を閲覧する必要があります。いっぽう、各法令の改正の沿革を調べるためには「現行法規総覧」などの法令集が刊行されています。近年は法令情報の電子化も進み、ネット上での検索・閲覧もできるようになっています。たとえば、「日本法令索引」(http://hourei.ndl.go.jp/SearchSys/)は国立国会図書館のサイト内のデータベースですが、現行法令だけでなく、廃止法令なども検索できますし、各法令の改正沿革も調べられます。現行法令については、「法令データ提供システム」(総務省行政管理局:http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi)でも情報を入手できます。しかしながら、特定の法令の改正沿革とそれぞれの改正部分の文言を一覧形式にしてまとめた情報源は現在のところ十分には整備されている状況ではありません。そこで、本研究所の使命に鑑み「戦後教育法制」プロジェクトでは本資料を作成し、公開することとしました。
著者
鈴木 親彦 Suzuki Chikahiko
出版者
人文学オープンデータ共同利用センター

国文学研究資料館蔵「羅生門物語」(DOI 10.20730/200003096)の顔貌キュレーション
著者
稲垣 智 井村 誠孝 池田 聖 眞鍋 佳嗣 千原 國宏
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2010-CG-138, no.14, pp.1-6, 2010-02-04

映画やゲームにおいては,炎を写実的かつリアルタイムにレンダリングする手法が求められている.炎の CG はエンタテインメントのみならず,防災のための火災シミュレータなどにおいても有用である.本論文では,炎を粒子ベース流体シミュレーションに基づき,写実的かつリアルタイムにレンダリングする手法を提案する.炎を写実的にレンダリングするには,三つの条件を満たすことが重要である.一つ目の条件は,炎が風のような力の影響を受けて変形することである.二つ目の条件は炎の明るさと色が正確であることである.三つ目の条件は,炎の周辺に陽炎が発生することである.提案手法はこれら三つの条件を満たすように粒子ベース流体シミュレーションすることで,炎を写実的かつリアルタイムにレンダリングする.提案手法を実験し,写実的かつリアルタイムにレンダリングできることを確認した.
著者
安部 清哉 Seiya Abe 学習院大学
出版者
フェリス女学院大学国文学会
雑誌
玉藻 (ISSN:02887266)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.A1-A14, 2013-02

日本語の方言分布の特徴的パタンの1つ「南北方言分布境界線」について解説する。同様の言語・方言の境界線は、中国語、朝鮮語、さらには、ヨーロッパのインド・ヨーロッパ語の二大語派であるCentun-Satemの分布境界線にも認めることができる(安部2013.3)本稿では、東アジアの言語史研究として、また、インド・ヨーロッパ語との比較研究においても、重要性の高い南北方言分布境界線の研究の一環として、南北方言境界線をもつ語彙・音韻・文法の諸現象を列挙して概説するものである。
出版者
National Institute of Polar Research
雑誌
Polar Data Journal (ISSN:24326771)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-16, 2017-10

Kinematic GPS measurements provide in-situ data crucial for measuring the surface elevation change of glaciers. Owing to their accuracy, which is generally better than half meter, surface elevations derived from kinematic GPS surveys are useful and essential for generating precise digital elevation models (DEMs) and evaluating geometry changes of glaciers. We present a surface elevation data set derived from kinematic GPS measurements covering the lower 5 km of Qaanaaq and Bowdoin Glaciers in northwestern Greenland. The data includes elevations over ice-free terrain nearby the glaciers, important for calibrating remote sensing data. More than 600,000 GPS survey data points were processed to produce a 1-m resolution mesh grid of elevation data in a CSV file format. Based on our error analysis, the accuracies of the elevation data are better than 0.2 and 0.3 m in horizontal and vertical directions, respectively. This dataset can be utilized to investigate glacier surface elevation changes by making comparison with DEMs obtained in the past, and from future remote sensing and in-situ observations.
著者
神村 朋佳 Tomoka KAMIMURA
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.7, pp.51-62, 2017-01-31

アイルランドの昔話「ノックグラフトンの伝説(The Legend of Nockgrafton)」におけるアイルランド語の歌について、日本語訳に初歩的な誤りが見られたこと、二種の日本語訳書で歌詞に揺れが見られたことから、石井桃子訳、井村君江訳と、二訳書の原書とみなされるJacobs、Yeats、Croker の英語原書三種を比較検討した。その結果、アイルランド語に関する語釈の誤りは、英語圏に最初にこの話を紹介したと目されるCroker 版の本文および注記に起因しており、それが後続の編著者、翻訳者によって、修正されることなく踏襲されてきた可能性が高いと推測できた。また、このことから、アイルランドの昔話の英語、日本語への翻訳、紹介、その受容の諸相における様々な問題点が浮かび上がってきた。そこで文献資料のみならず、音声資料も含めた資料の収集と比較検討を進め、子どもに語るにふさわしい、正確でよりよい翻訳、再話の可能性を追求したい。