著者
須賀 敦浩 今井 賢 田中 篤志 早川 文彦 多湖真一郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, 2006-01-15

我々は,これまでコンピュータアーキテクチャで議論されている並列性の粒度を超える大きな並列処理を実行することに適したスレッドレベルのアーキテクチャを導入したFR1000プロセッサを開発した.FR1000プロセッサは,8並列同時実行可能なVLIWプロセッサコアを4個搭載したチップマルチプロセッサである.このようなマルチコアプロセッサを実行するために使用するOSとしては,従来のμITRONをコア間通信のサービスコールに拡張したOSを開発した.
著者
麻生 迪子
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要 (ISSN:18833497)
巻号頁・発行日
no.70, pp.57-70, 2022-03-25

本研究は,上級中国人日本語学習者を対象に未知の和語多義語語義の意味推測について検討を行ったものである。23 語を対象語とし,42 の語義から実験文42 文を作成した。調査協力者に対象語義の意味を推測させる「意味推測課題」と意味推測のしやすさを問う「意味推測難易度課題」の2 つを実施した。その結果,中国人日本語学習者にとって意味推測が容易な語義として,12 語義が挙げられた。12 語義が推測容易語義となったのは,調査協力者にとって「既知語義」であったり,「文の手がかりのみで推測が可能」であったためである。一方,推測困難語義として24 語義が抽出された。24 語義が推測困難であったのは,「語義をあやまって理解していたこと」や「ひらがなの音から異なる漢字をあてはめ,誤った意味推測」をしてしまったことが原因であったと考えられる。なお,6 語義は推測の容易さについて明確な特徴がみられなかった。本調査の結果は日本語教育に対して,二つの示唆を与える。一つは,中国人日本語学習者は,ひらがなで表記された未知の語義に出会うと,既知の漢字知識を用いて意味推測を行う。そのため,同音異字語,同音異義語については,学習者が注意を払えるように十分に指導する必要があることである。今一つは,未知語及び未知の語義の意味推測ストラテジーの指導の重要性である。文レベルの手がかりを用いた意味推測は失敗に終わる可能性もあるので,推測した意味を固定せずに,未知語が使用された前後の意味を踏まえながら意味推測を行うという指導をする必要があることである。
著者
早岡 英介
出版者
羽衣国際大学現代社会学
雑誌
羽衣国際大学現代社会学部研究紀要 (ISSN:21885493)
巻号頁・発行日
no.12, pp.1-16, 2023-03

映像を、モニタやスクリーンに表示するだけでなく、建造物等の立体造形物に投影するプロジェクションマッピングが様々な公共空間で使われるようになってきた。専門性の高い技術という印象が強いが、通常のモーショングラフィックスソフトでもシンプルな内容であれば制作できる。 本取り組みでは、大学や専門学校の映像教育で一般的に使われるAdobeのソフトでプロジェクションマッピングを作り、展示映像空間の表現様式を拡張することに挑んだ。 編集方法にはこれまでにない工夫が必要となったが、Premiere ProのタイムラインにAfterEffectsで作ったプロジェクションマッピングのパートを同期させて作る方法を考案した。あわせて対象物にCGをマッピングする初心者向けの教育プログラムも開発した。
著者
細谷 泰夫 森崎 修司 松本 健一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第71回, no.ソフトウェア科学・工学, pp.227-228, 2009-03-10
著者
斉藤 博
雑誌
埼玉医科大学医学基礎部門紀要
巻号頁・発行日
vol.11, pp.11-30, 2006-03-31

ヒポクラテスの箴言「人生は短く 術の道は長い」は,ゲーテの『ファウスト初稿』では,ワーグナーの台詞として,「ああ,術の道は長く/人生は短い!」と,ヒポクラテスの「箴言」に,感嘆詞「ああ」,接続詞「と」を追加し,「術と人生」の順序は逆で,行末に感嘆符がつけられて引用された.『ファウスト』のメフィストフェレスの台詞では,「時は短く,術のみちは長い」と,ヒポクラテスの箴言とは全く同じ言葉ではないが,同じ語順で,感嘆詞と感嘆符はつけられていない.『ファウスト』(Faust)と『ファウスト初稿』(Urfaust)とで,感嘆詞と感嘆符(!)の数,単数,または,複数使用,位置について,計量言語学(quantitative linguistics)検索を行った.感嘆詞は 190 / 12,237 行(2%)中,悲劇Ⅰは 130 / 4,735(3%),悲劇Ⅱは 60 / 7,490(1%),感嘆符は 1,764(14%)で,悲劇Ⅰは 925(20%),悲劇Ⅱは 839(11%),感嘆符の複数使用は 205(2%)中,悲劇Ⅰは 114(3%),悲劇Ⅱは 91(1%)で,いずれも悲劇Ⅰが悲劇Ⅱより高頻度であった(Χ2 検定,p < 0.01).ゲーテは多くの感嘆詞と感嘆符を単数,または,複数使用,あるいは,台詞の始め,あるいは終わりなど,いろいろな語法で使用していた.ゲーテは『ファウスト初稿』を『ファウスト』に書きかえたときに,多くの感嘆符を行の前に挿入し,行末の感嘆符を削除する傾向にあった.箴言では,術を人生より強調するために,ゲーテは人生と術の順序を変え,台詞の最後に感嘆符を付けたと,筆者は推測した.ゲーテは『ファウスト初稿』を『ファウスト』に書きかえた時に,"ああ!"に感嘆符を挿入したが,おそらく,複数使用を避けるために行末の感嘆符を削除したと考えられる.結果的には,台詞の行末から初めの方への,感嘆符の転移が起きた.かくして,『ファウスト』では,「ああ!術のみちは長く/人生は短い」と引用された.
著者
寺島 凌 阿部 由吾
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2022-MUS-134, no.44, pp.1-8, 2022-06-10

深層学習技術の発展により,機械によって自動生成される音楽の品質は日々向上している.特にシンボリック音楽生成の領域では,Transformer を活用することで長期の依存関係を考慮したメロディの生成が可能になっている.一方で,これらの音楽生成モデルを現実の用途や創作に活用するためには,生成される音楽の操作可能性と多様性が両立される必要がある.本研究では,指定されたコード進行に沿ったメロディを生成できる深層学習モデルを提案する.具体的には,Transformer を利用したメロディの自己回帰タスクにおいて,コード進行の情報を条件づけるような定式化を行う.加えて,生成結果の多様性を向上させるために VAE を導入し,潜在空間での操作を行う.実験では,指定されたコード進行と生成されたメロディの親和度を評価する.