著者
金井 啓子
出版者
近畿大学総合社会学部
雑誌
近畿大学総合社会学部紀要:総社る = Applied Sociology Research Review KINDAI UNIVERSITY : Social (ISSN:21866260)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.45-53, 2016-09-30

[Abstract] I, as a university associate professor and an ex-journalist, have appeared on several TV news and information programs as a commentator. Why are commentators necessary for such programs? There are two different types of commentators: experts such as university professors and non-experts like TV celebrities. What different roles do they play? This article centers on my experience as a commentator and analyzes roles of university professors who act as commentators by interviewing TV producers and reporters who have been in charge of producing those programs. Separately, the article also tries to find out how university professors affect their universities when they appear on the programs.
著者
天野 巧巳 安藤 佳祐 内種 岳詞 岩田 員典 伊藤 暢浩
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:2188885X)
巻号頁・発行日
vol.2023-ICS-210, no.8, pp.1-6, 2023-03-03

近年サッカーの試合分析では,試合状況と選手の行動から将来得点または失点する可能性を示す期待ポゼッション値 (EPV) が提案されている.本研究では,EPV を用いて RoboCupSoccer Simulation 2D の試合状況と選手の行動を分析し,その有効性を検討する.そのため試合のログファイルから特徴量を抽出し,ニューラルネットワークを用いて EPV の推定モデルを学習,獲得する.得られた推定モデルからパスなどの試合状況分析を通して有効性を確認した.
著者
岸本 大輝 杉浦 巧 山田 悠司 栗原 聡
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:2188885X)
巻号頁・発行日
vol.2023-ICS-210, no.11, pp.1-7, 2023-03-03

コミュニケーションがオンライン中心となるリモートワーク環境では,意思疎通を通じたストレスの把握が行いにくい.そのため,業務を継続しながら実施できるリモートワーカーのストレス検知が重要となる.今回,この問題へのアプローチとして PC 操作ログ分析と表情分析に着目した.本研究では,リモートワークにおける PC 操作特徴量・表情分析による感情推定値とストレスの関係を明らかにすることを目的としている.まず,心拍センサ・PC 操作ログ取得プログラム・Web カメラからデータを取得して加工・統合の処理を行う環境を構築した.PC 操作ログに関しては,キーボード,マウス,ウインドウの操作ログを取得する.PC 上で行うタスクを設定した上で,疑似的にオフィスワーク及びリモートワークを実施し,データの取得を行った.実験で得られたデータの分析結果として,左クリックの回数や嫌気,悲しみの感情推定値がストレスの変化に関係していることが示唆されたが,どれも弱い相関であった.しかし,業務に慣れるまではリモートワークではなくオフィスワークを実施することでストレスが軽減するという,リモートワークを実施する上で重要となりうる知見が示唆された.
著者
石坂 一久 大野 善之 Sourav Saha 大道 修 小寺 雅司 荒木 拓也
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2022-HPC-187, no.9, pp.1-6, 2022-11-24

データフレームコンパイラを搭載し利便性と高速性の両方を実現するデータフレーム用 Python ライブラリ Ducks を紹介する.データフレームは,github で 35K star を誇る Pandas に代表されるように,データ分析や前処理に広く用いられているが,データ量の増大や分析の複雑化により高速化が求められている.Ducks は HPC で培われてきた実行時コンパイル技術を用いることで,ライブラリ呼び出しを直接実行するのではなく,データフーム用の中間言語(IR)を生成して遅延実行を行う方式を採用している.これにより API とその実行を分離し,Pandas 互換の API を提供しながら,IR 上でのドメイン特化の最適化,ターゲットプラットフォームに最適化されたバックエンドによる IR 実行により高速性も実現する.ベンチマーク集である TPCx-BB,TPC-H に含まれる 45 種類のデータ前処理・分析処理を用いた CPU 上での評価では,ライブラリを選択する impor t文の変更のみで,Pandas に対して最大 17 倍,平均 5.8 倍の性能向上を得ることができ,本方式の有効性を確認した.
著者
荻野 良太 福山 将英 川島 英之
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2023-OS-158, no.20, pp.1-6, 2023-02-14

本研究では高性能ハッシュ索引である Optimistic Cuckoo Hashing(OCH)をセキュアに実行するために Intel SGX 内部で動作する OCH を提案する.提案手法を設計,実装し,SGX で評価した.その結果,提案手法は 1 スレッド時に 80 万 ops,4 スレッド時に 220 万 ops の性能を示した.しかし,256 スレッド時にはその性能が 40 万opsに低下した.比較のために Enclave を使用しない Optimistic Cuckoo Hashing を評価したところ,1 スレッド時には 50 万 ops,4 スレッド時で 170 万 ops,256 スレッド時で 3300 万 ops だった.この性能劣化の原因を追究すべく mutex,memory access 速度,Enclave へのデータ受け渡し速度等を調査し,Enclave 内での並列メモリアロケーションがボトルネックであることを突き止めた.
著者
斎藤 文弥 高野 祐輝 宮地 充子
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21888655)
巻号頁・発行日
vol.2023-CSEC-100, no.60, pp.1-8, 2023-02-27

Trusted Execution Environment (TEE) はファームウェアや OS といった基盤システム内の機微情報を保護することを目的とした隔離環境技術である.先行研究では,TEE アーキテクチャの一つである Arm TrustZone をベースとしてメモリ安全性と効果系という概念を主軸に設計した Baremetalisp TEE,およびその TEE の API 定義用言語である BLisp を構築した.さらに作成した BLisp のコードを Coq にトランスパイルし形式的検証も可能な手法を提案した.TEE は他の隔離環境技術である Trusted Platform Module (TPM) 等とは異なりユーザーが自由にセキュリティ仕様を構築できることが特徴として挙げられるが,Baremetalisp では独自の言語 BLisp を用いているため拡張できる機能に制限が存在していた.そこで本研究では Baremetalisp を構成している Rust から関数を BLisp へ組み込み可能にすることによって,柔軟な機能の拡張性を実現した.組み込み関数にも効果系が適用することができ,メモリ安全性と形式的な正しさを保証しつつ安全な機能アップデートが可能な TEE Shell を実現した.
著者
小森 工 本田 晋也
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2023-OS-158, no.16, pp.1-9, 2023-02-14

組込みソフトウェアの大規模化・複雑化に伴い,高い信頼性を保ちつつ豊富な機能を実装する手法が必要とされている.プロセッサごとに機能を分割して実装する方法はコストや面積,電力等の観点から不利であるため,仮想化技術を利用して同一のプロセッサ上で複数のソフトウェアを動作させる試みが幅広く研究されている.特に ARM 社の TrustZone 拡張は仮想化との相性が良く,アプリケーションプロセッサにおいて仮想化に応用した例は多いものの,マイクロコントローラに対して適用した例は少ない.本研究では TrustZone 機能を実装した ARMv8-M アーキテクチャ上で動作する仮想化環境である SafeG-M を提案する.提案手法は既存のリアルタイム OS に小規模な変更を加えることで実現され,評価実験においてわずかなオーバヘッドで動作することが示された.
著者
竹内 真澄 Masumi TAKEUCHI
雑誌
桃山学院大学総合研究所紀要 = ST.ANDREW'S UNIVERSITY BULLETIN OF THE RESEARCH INSTITUTE (ISSN:1346048X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.141-151, 2001-03-15

The U. S. A has been considered a developed country which advocates liberalism. But, as Noam Chomsky points out, in fact the manipulation of public opinion by the media has been carried out under the pretense of freedom of speech. The task of this paper is to explain how the media of the U. S. has successfully managed to reconcile the manipulation of public opinion with the condition of freedom of speech. I approach the question by considering New York Times reportage on Okinawa from 1995 to 2000. In this period, following the well-known 1995 rape of Japanese schoolgirl by U. S. Marines, the tension between human rights and U. S. world strategy reached crisis level in Okinawa. Correspondingly, the New York Times sought to adopt a position between two. In the first part of this paper, I will analyze reportage on the rape incident, examining the ways in which the New York Times was able to balance out the numerous factors involved so as to come down on the side of existing U. S. polocy.
著者
井澤 克彦 市川 信一郎 Izawa Katsuhiko Ichikawa Shinichiro
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 = JAXA Research and Development Report (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RR-07-025, 2008-02-29

フライホイールは衛星の姿勢制御に欠くことのできない機器であり、姿勢の喪失は電力、ミッションの喪失に直結することから、フライホイールには非常に高い信頼性が要求される。しかしながらフライホイールに関する重大な不具合がいくつかの衛星プロジェクトの開発段階と軌道上運用段階で発生しているのが現状であり、確実に動作するフライホイールが期待されている。一方、観測衛星をはじめとして、衛星の姿勢・指向制御要求が高精度化し、さらに高速でかつ大きな姿勢変更が求められるなど、フライホイールに対する要求(高出力トルク、振動擾乱の低減など)が近年高度化しつつある。これら高度化要求と前述の高信頼度要求を同時に満足することが求められている。上述背景のもと、宇宙航空研究開発機構では、2001年度より、当時、宇宙3機関(宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所、宇宙開発事業団)連携協力事業の一環として、高性能かつ高信頼性の次世代高性能フライホイールに関する研究(次世代玉軸受ホイールの研究、磁気軸受ホイールの研究)をスタートさせ(現在は宇宙航空研究開発機構総合技術研究本部にて研究を継承している)、現在までに中・大型サイズのタイプM/Lの開発を完了している。本資料は宇宙用フライホイールの原理・設計を概説するとともに、高速回転ホイール開発研究で得た技術知見を整理したものである。
著者
三輪 英夫
雑誌
美術研究 = The bijutsu kenkyu : the journal of art studies
巻号頁・発行日
no.342, pp.16-24, 1988-03-31

The datable works by Kaneyuki HYAKUTAKE (1842-1884) all belong to the short period from 1975 to 1882, during which he mostly resided in Europe. He studied first under Thomas Miles RICHARDSON Jr. (1813-1890) in London, then under Léon BONNAT (1833-1922) in Paris and finally under Cesare MACCARI (1840-1911) in Rome. Accordingly, he gradually changed his style reflecting the styles of the teachers. However, the change was of positive nature as is seen in “Bonchurch, Isle of Wight” from 1879 and “Pietro Micca” from 1882. The former is a landscape with impressionistic colouring, brushwork and composition, much freer and moderner than those with RICHARDSON's influence. On the other hand, the latter is a history painting whose subject is an Italian hero in the War of the Spanish Succession and its composition is close to “Hercules Overcoming the Nemean Lion” by Peter Paul RUBENS, whose copy by HYAKUTAKE remains. These two works illustrate his shift from impressionistic landscape to the traditional European theme of history painting, which might be taken as a stylistic shift toward the past. The intrinsic reason for it existed in his ideal concerning the assimilation of Western painting. He considered that the assimilation of firm academicism, not of Impressionism, was the first necessity, and “Pietro Micca” was painted uner this conviction. Such an attitude of HYAKUTAKE as a student abroad represents one of the typical views conceived by the Western-method painters in the early Meiji Era.