著者
加藤 彰彦
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要 (ISSN:18833497)
巻号頁・発行日
no.67, pp.203-233, 2019-03-25

アンドレ・ブルトンの『ナジャ』において、ナジャの物語の最後でナジャの不在を意味するブルトンの発言がある。ナジャの不在とはいいながらも、ナジャが実在した人物であることは明らかになっているが、それでは何故ナジャの不在が語られるのか。それについて考察したのが本論考である。第一部において、ジェラール・ジュネットの物語論に依拠しながら、語り手と聴き手の位置関係に注目し、当初は語り手であったブルトンが、本来聴き手であったナジャに取って代わって最終的には聴き手も兼ねるという一人二役を演じている構造を明らかにし、ナジャの不在をテキスト上から論証した。次に、第二部において、ラカンの理論を援用しながら、ナジャはブルトンの自己同一性のための鏡像であること、更にヒッチコックの『サイコ』を例にとりながら、主体が対象と同一化し、対象が消滅しても、超自我的な声によって支配される点を明らかにし、ブルトンはナジャの消滅後もナジャの声によって支配され、それによって主体として維持されるという風に結論付けた。
著者
丸山 武
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, 1970-01-15
著者
大貫 智洋
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2012-SE-175, no.10, pp.1-8, 2012-03-08

制御ソフトウェアの開発手法として,モデルベース開発の普及が進んでいる.モデルベース開発では実装コードを機械的に生成することが可能であるため,実装に誤りが混入する危険性は低い.その一方で,要求仕様や制御仕様の記述は人手により行っているため,誤りが混入しやすい.このような課題を解決するため,本論分では上流工程で仕様を正確に記述する手法について,調査・分析した.要求分析を正確に記述する手法,制御仕様を検証する手法についてまとめたのち,今後の課題を分析する.

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著者
工藤 達朗
出版者
中央ロー・ジャーナル編集委員会
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.105-111, 2016-06-30
著者
佐藤 隆彦 三浦 啓太 藤倉 俊幸 安積 卓也
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2020-EMB-53, no.46, pp.1-9, 2020-02-20

自動車の運転手不足や高齢者による運転操作ミスが社会問題になっている.そのため,自動運転システムの開発が急がれており,自動車業界ではモデルベース開発が盛んに行われている.自動車機能安全規格ISO 26262 では,モデルベース開発において,Back-to-Back テストを行うことが要求されている.そのため,製品の動作環境に組込む際に,制御仕様と動作が一致しているかの検証をする必要がある.本研究では,自動運転ソフトウェア向けの Back-to-Back テストフレームワークを提案する.既に正しく動作しているモジュールと,その機能を移植したモジュールの入出力結果を保存・比較する.本論文では,MATLAB/Simulink で作成したモデルが正しく動いているかを,自動運転ソフトウェアである Autoware のモジュールを用いて Back-to-Back テストで評価する.
著者
杉本 早奈美 Sanami Sugimoto
出版者
金城学院大学大学院人間科学研究科
雑誌
金城学院大学大学院人間生活学研究科論集 = Annual report of Graduate School of Human Ecology Kinjo Gakuin University (ISSN:1346597X)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.21-30, 2022-03-17

The purpose of this study was to examine how obsessive-compulsive tendencies, social skills, and difficulties in controlling emotion impact the process of private speech expression in adults. A questionnaire survey was conducted in 182 university students. To examine private speech in a broader sense, items regarding thinking process and unpleasant emotions were added to the speech tendency scale. Correlation analysis and multiple regression analysis of the results found that self-control, which is a subfactor of social skills, has negative impacts on all factors in private speech tendency. Private speech appeared to be the outcome of interactions among obsessive-compulsive tendencies, social skills, and difficulty controlling emotion. These results suggest that private speech is influenced by one’s emotional awareness and degree of control. Private speech tends to occur when one is unable to control oneself while thinking about something or does not have sufficient skills to do so. Therefore, private speech in adults is not only related to thinking but also has emotional and intellectual aspects. This suggests that there are various types and functions of private speech depending on the behavioral and emotional aspects.
著者
椎名 美穂子 藤井 克哉
出版者
畿央大学
雑誌
畿央大学紀要 = Bulletin of Kio University (ISSN:13495534)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.33-44, 2022-06-30

本研究の目的は,教員養成系大学の数学教育において,既有の統計知識の活用を促進するための具体的な方策を検討することである.まず,日本学術会議の提言や先行研究から,社会的要請と学生の実態との乖離を把握し,その上で,教員養成系大学において統計を体験的に学ぶ必要性を示した.そして,事前調査を基に教材を選び,個別最適な学びを目指して「達成度自由型(ゴールフリー)の活動を」を設定した.その結果,解析に必要な問いやアイディアの出現,代表値の積極的な活用傾向が見えた.また,抽出学生からは授業外での探求,批判的な考察,教育的価値の実感の様子が見えた.その一方で,解析に必要な変数の吟味,個々の統計知識の偏り,正規分布や検定の活用を促すことへの課題が見えた.
著者
嶋津 佑亮 船場 清三 小原 理恵子 松田 真紀子
出版者
東都大学
雑誌
東都大学紀要 = Tohto University bulletin (ISSN:24358878)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.103-108, 2021-06

COVID-19感染拡大対策により、本学3年生の領域別看護学実習は臨地実習がすべて中止となり、学内実習・オンライン実習へ変更となった。そこで限られた条件で「できること」と「できないこと」を実習目標に照らし合わせ、実習内容の検討・修正を行った。学生が実習目標を達成し看護師と必要な対象理解を深めるため、学内実習におけるリフレクションを用いた演習及び臨床判断能力を養う工夫を講じた臨床判断能力を養う工夫を講じたロールプレイを実施した。学生の反応を提出された実習記録より抽出し、ロールプレイングとディスカッションとシミュレーションとディブリーフィングは、学生の変化を示す反応が得られた。臨地実習再開後においても、臨地での学びとこれらを組み合わせることでより高い教育効果が期待できるのではないだろうかと考える。(著者抄録)
著者
関口 洋平
出版者
畿央大学
雑誌
畿央大学紀要 = Bulletin of Kio University (ISSN:13495534)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.45-58, 2022-06-30

本報告は、畿央大学教育学部における初年次教育の実践について、その政策的背景を整理したうえで、2021年度前期の初年次教育の具体的な内容と展開について検討し、畿央大学教育学部において初年次教育がもつ意義と課題について明らかにすることを目的とする。初年次学生を対象とするアンケート調査の検討を通じて、初年次学生はベーシックセミナーにおいて論理的な文章に関する知識やスキルについて課題を通じて実践的に学ぶとともに、キャリア形成セミナーでは将来的な進路を考えるうえで視野を広げ、職業観について一定程度の知識や多様な見方を獲得した学生が多く存在することが示された。