雑誌
史苑
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, 1932-04
著者
卜部 吉文 杉澤 秀博
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101615-48101615, 2013

【はじめに】 2000年の介護保険制度の導入を契機に,在宅を基盤とした訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)の充実が図られるようになった.しかし,少なくない利用者が訪問リハを長期に継続して利用するという実態がみられる.そのことは,利用者が固定化し新規利用者の受け入れが困難となることや,介護保険給付費の増加に繋がるなどの問題を生じさせかねない.この長期継続利用の要因についてはほとんど実証的な研究が行なわれていない.本研究の目的は,質的研究法を用いて,利用者の認識に基づき訪問リハの長期継続利用に至るプロセスを明らかにすることにある.【方法】 対象者は介護保険による訪問リハを1年以上継続利用しており,神経筋疾患などの進行性疾患や認知症患者以外の要支援または要介護1の高齢者9人を調査対象とした.調査は半構造的インタビューとし,インタビュー項目は,1.訪問リハを受けた目的,きっかけ,2.訪問リハを利用する前後における自分自身の変化,家族との関係の変化,3.現時点における訪問リハの利用意向であった.分析方法は,分析する現象のプロセスを質的にとらえることに優れている木下による修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ法(以下:M-GTA)とした.今回M-GTAを採用したのは,①訪問リハの長期継続利用には利用者とその家族,訪問リハ担当者の間の相互作用が影響していること,②訪問リハというヒューマンサービス領域に関連した研究領域であること,③訪問リハ利用者は多様な問題を抱えており,家族や訪問リハ担当者等との関わりは複雑でプロセス的な性格を持っていること,などの理由からである.【倫理的配慮】 研究対象の自由意思で調査への協力の承諾を書面にて得た.インタビューの中に含まれる個人情報は匿名化し,公表に際しては対象が特定できないようにした.本研究に伴う倫理的な事項は,桜美林大学倫理委員会の審査を受け承認された.【結果】 分析の結果(「 」は概念,〔 〕はサブカテゴリー,【 】はカテゴリー),以下の関係からなる3つのカテゴリーが生成された.訪問リハ開始前では,訪問リハに対する異なる2つの【取り組む姿勢】がみられた(「以前の身体に戻りたい想い」という積極的態度と「身体の回復の諦め」という消極的態度).利用に際しては,積極的な態度は〔訪問リハの特性を考え自分で利用を決定〕,消極的な態度は〔他者が訪問リハを希望し利用を決定〕という2つの異なる【訪問リハの選択理由】から利用に至っていた.〔他者が訪問リハを希望し利用を決定〕においては,「家族からの強い希望」「医療・福祉の専門家からの誘い」という2つの概念,〔訪問リハの特性を考え自分で利用を決定〕においては「自宅まで決まった時間に訪問してもらえる」「一対一のリハビリがしてもらえる」「長い時間リハビリを受けられる」「人目を気にしないで受けられる」「人との関わりを避けれる」という5つの概念が生成された.訪問リハ利用後においては,いずれの場合も【訪問リハへの評価と利用希望】(〔満足感からくる利用希望〕と〔不満足感からくる利用希望〕で構成)につながり,それが継続利用の動機となっていた.〔満足感からくる利用希望〕においては,「リハ専門家との個人的つながりの形成」「リハのきめ細かさの自覚」「現状維持・回復の喜び」の3つの概念,〔不満足感からくる利用希望〕においては「後退への不安」「自分の動作に自信が持てない」の2つの概念から生成された.【考察】 1)達成目標を明確していないことが長期利用の要因とされているが,本研究においては,機能回復以外の理由で利用者は訪問リハを選択し,利用を継続している場合も少なくないことが明らかにされた.すなわち,機能回復という点のみでの目標を明確にしたとしても,長期利用を中止する可能性が低いことが示唆された.2)利用者や家族が利用の中止を了承しないことも要因として指摘されているが,それは一般的な指摘にとどまっている.本研究では,中止を了承しないのは,個人の希望にあったサービスを受けられる,自宅で受けることができるため人目を気にしたり,他の利用者のことを気にしたりする必要がない,またリハ専門家との個人的つながりが形成され,リハのきめ細かさを自覚している,といった要因が働いていることが示唆された.3)他サービス機関との連携不足も,長期利用の要因として指摘されている.しかし,上記で言及した長期利用の要因を考えたならば,連携を強めることで対応できる部分が少ないことが示唆されている.【理学療法学研究としての意義】 訪問リハを提供される利用者側の認知に着目し,長期継続利用のプロセスや背景を明確にすることは,限られた資源である訪問リハを効率的に活用するための介入策を考える際の一助となる.
著者
小田切 康彦 Yasuhiko Kotagiri
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
pp.45-57, 2016-02

本稿では、地方議会において市民との協働という潮流がどのように捉えられてきたのか、議会会議録を手掛かりにその言説を分析した。テキストマイニング等の手法を用いて、第1に、協働言説のトレンドを分析した。結果、協働関連語句の頻出傾向は、新聞記事等における頻出傾向と類似していることが明らかになった。第2に、協働関連語句の共起ネットワーク分析を行った結果、協働の理念・実践は議会において肯定的に捉えられる傾向にあることがわかった。20周年記念特集号
著者
奈田 哲也 堀 憲一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.353-363, 2014

教員に求められる資質能力である学び続ける力を教員の多くは獲得できてないことから,学び続ける力の礎と考えられる質問力と相対主義的認識論的信念を学生時点で獲得させることを目標に,大学の半期の講義を通して介入を行った.その際,講義内容は同じだが,講義内容を自身の経験と重ね合わせながら聞くことを推奨する講義(重ね合わせ条件)と特に推奨しない講義(統制条件)を行った.その結果,重ね合わせ条件の方が質問を多く生成していたが,半期の講義を通した認識論的信念の程度は,両条件とも変化していなかった.また,講義で感じる楽しさの内容は条件間で異なっていた.これらのことから,講義内容と経験を重ね合わせることで,様々な気づきが生まれやすくなり,この新たな気づきに楽しさを感じるとともに,疑問が生じやすくなり,質問を生成しやすくなるが,そういった気づきも,認識論的信念を変化させるまでには至らないことが明らかになった.
著者
稲田 利徳
出版者
岡山大学教育学部
雑誌
岡山大学教育学部研究集録 (ISSN:04714008)
巻号頁・発行日
no.61, pp.p11-26, 1982-10

慶運は為世門の和歌四天王と称され、頓阿・浄弁・兼好などとともに、南北朝に活躍した歌僧である。二条良基はその著「近来風體」の中で「其比は頓慶兼三人何も〱も上手とはいはれし也。(中略)慶運はたけを好、物さびてちと古體にかゝりてすがた心はたらきて、みゝにたつ様に侍し也。爲定大納言は殊の外に慶運をほめられき。」(歌学大系本)と評しており、無視できない歌人である。
著者
吉見 義明
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
機械學會誌
巻号頁・発行日
vol.29, no.115, pp.400-401, 1926-11
著者
安江 信一 平井 実 中村 敏雄 大竹 博孝
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会冬季大会講演予稿集 (ISSN:13434357)
巻号頁・発行日
no.2007, pp."3-15-1", 2007-11-27

We have developed a Digital FPU integrated RF part (HEAD) and encode/modulation part (CONT). This FPU can transmit with the same parameter of conventional Digital FPU (TVL-D500), which had HEAD and CONT unit separately. In addition, it had improved power consumption approximately 40% less at maximum high power transmission comparing to TVL-D500.
出版者
日経BP社
雑誌
D&M日経メカニカル
巻号頁・発行日
no.579, pp.41-46, 2002-12

幕が開いた。ステージに立つのは瞳を輝かせた沢山の開発者たち。彼らは苦心惨憺の末に生み出した1台のクルマを取り囲むようにして立っている。三菱自動車工業が軽自動車「eKワゴン」以来1年1カ月ぶりに発売した新型車「コルト」だ(図1)。新車と同時に開発者たちを報道陣にお披露目するという演出である。

1 0 0 0 IR 昇華の動因論

著者
堀川 聡司
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
no.59, pp.527-539, 2013

This article aims to elaborate the psychoanalytic concept of sublimation. Sublimation is a vague concept, especially in relation to its meta-psychological development and value. This paper considers the psychological mechanisms that allow for sublimation. Concepts derived from ego psychology are used to explore this topic, but the understanding they provide is limited. The works of Sigmund Freud, Juan-David Nasio, Melanie Klein, Jean Laplanche, and Françoise Dolto are then considered. From this research, four theses on the development of sublimation are presented: 1) the Ego is the agent that sublimates drives, 2) the Ego Ideal is the starting point of sublimation and gives its direction, 3) reparation becomes a model of sublimation, 4) sublimation is driven by the castration under the law of prohibitions. In addition to these four theses, it is proposed that sublimation is a secondary process phenomenon. This formulation should be useful both for a theory of the value of sublimation and for clinical techniques that aim to promote clients' use of secondary process thinking. It is suggested that further research is needed on sublimation to arrive at better clinical practice.
著者
新倉 勇 渡辺 健一 畑 一夫
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.923-924, 1959

芳香族ニトリルの水素化におよぼす置換基の影響の一つとして, p-メトキシベンゾニトリルの水素化反応を行ない,その結果を前に報告したオルト化合物の場合と比較検討した。p-メトキシベンゾニトリルは 240°~300℃ で水素化すると主として p-クレシルメチルエーテルを生成し,このほかつねに少量のトレエン,アミン,フェノール類などが得られる。反応温度が高くなると副反応が多くなり,アニソールの生成がいちじるしくなる。これらの反応結果はオルト化合物の場合と似ていて,メトキシル基自身が水素化されて変化するためにニトリル基の水素化能率は幾分低下することを示している。
著者
武尾 実 三上 直也
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.p541-569, 1990-12
被引用文献数
4

Detailed rupture processes of six intraplate earthquakes in Japan, the 1961 Kitamino earthquake, the 1969 GifuKen-Chubu earthquake, the 1974 Izu-Hanto-Oki earthquake, the 1975 OitaKen-Chubu earthquake, the 1980 Izu-Hanto-Toho-Oki earthquake, and the 1984 NaganoKen-Seibu earthquake, are compiled and compared to each other to make clear common features of an earthquake rupture process. The rupture processes are obtained by waveform inversion using strong motion seismograms in previous studies. Five of these rupture processes are also compared with distributions of precisely determined aftershocks. Earthquakes with relatively smooth rupture propagation, such as the 1974 Izu-Hanto-Oki earthquake and the 1961 Kitamino earthquake, represent smoother slip distribution than earthquakes with relatively irregular rupture propagation, such as the 1969 GifuKen-Chubu earthquake and the 1980 Izu-Hanto-Toho-Oki earthquake. It is also recognized that aftershocks of magnitude greater than 4 do not occur in the large slip area. Most large aftershocks take place near the edge of the large slip region and in the small slip region. Aftershocks also tend to cluster near the edge of the large slip region. These results are very consistent with numerical experiments of dynamic rupture, so it is suggested that the relation between aftershocks and coseismic slip pattern obtained in this paper hold generally for earthquake rupture processes. A clear delay of rupture propagation occurs in the large slip area during the 1969 GifuKen-Chubu earthquake: on the other hand, the small slip area in the 1980 Izu-Hanto-Toho-Oki earthquake is characterized by a deceleration of rupture propagation. The large slip area in the former case is interpreted as a barrier which resisted fracturing at first and was broken with a high stress drop. In the latter case, mechanical weakness due to volcanic structure located around the source region, seems to have affected the rupture process. A similar geological condition may have affected the rupture process of the 1978 Izu-Oshima-Kinkai earthquake which occurred about 10 km south of the 1980 Izu-Hanto-Toho-Oki earthquake.日本内陸で発生した6つの地震について,詳細な破壊過程を取りまとめ,それらの相互の特徴及び余震分布との対応等を調べた.取り上げた地震は1961年北美濃地震・1969年岐阜県中部地震・1974年伊豆半島沖地震・1975年大分県中部地震・1980年伊豆半島東方沖地震及び1984年長野県西部地震である.これらの地震については,震源近くで記録された強震計記録の波形インバージョンにより,詳細な破壊過程が解明されている.