著者
島田 英昭
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.296-306, 2016
被引用文献数
3

本研究は, 従来の教材研究が精読を前提とした内容理解を目指していることに対し, 読解初期の動機づけ効果に着目した。典型的な教材の構成要素であるタイトル・サブタイトルの有無, 挿絵・写真の有無, および, 挿絵・写真のモノクロ・カラーを操作した防災教材を作成した。教材の2秒間の一瞥の後, 動機づけと主観的わかりやすさについて, 5段階評定を求めた。その結果, 上記の構成要素は, いずれも動機づけ, 主観的わかりやすさの向上に寄与していた。また, 挿絵・写真・カラーの効果が, タイトル・サブタイトルに比較して大きかった。動機づけ効果のプロセスについて共分散構造分析により分析した結果, 挿絵・写真・カラーについては主観的わかりやすさを介さない感性的要因による動機づけの向上が大きかったが, サブタイトルについては主観的わかりやすさを介する認知的要因による動機づけの向上が大きく, タイトルについてはほぼ同等であった。
著者
Yasuhiro HARADA Shogo MURAMATSU Hitoshi KIYA
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E81-A, no.8, pp.1607-1615, 1998-08-25

The checkerboard effect is caused by the periodic time-variant property of multirate filters which consist of up-samplers and digital filters. Although the conditions for some one-dimensional (1D) multirate systems to avoid the checkerboard effect have been shown, the conditions for Multidimensional (MD) multirate systems have not been considered. In this paper, some theorems about the conditions for MD multirate filters without checkerboard effect are derived. In addition, we also consider MD multirate filter banks without checkerboard effect. Simulation examples show that the checkerboard effect can be avoided by using the proposed conditions.
著者
檜山 敦 土山 裕介 宮下 真理子 江渕 栄貫 関 正純 廣瀬 通孝
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.643-652, 2011-12-31 (Released:2017-02-01)
参考文献数
22
被引用文献数
2

In recent years, most of traditional craftsmanship is declining because of aging skilled craftspeople and fewer successors. Therefore, methods for digital archiving of such traditional craftsmanship are needed. We have constructed a wearable skill handing down system focused on first-person visual and audio information and biological information of a craftsman. We used instrumental information associated with the usage of the tools for evaluating the effect of proposed wearable display system of intangible cultural heritage. In this paper, we show the result of archiving and training on the skills of Kamisuki, Japanese traditional papermaking.
著者
中 尚義 橋本 巨
出版者
公益社団法人 日本設計工学会
雑誌
設計工学 (ISSN:09192948)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.788-801, 2016 (Released:2016-11-05)
参考文献数
24

Dragonflies have high flight performance in spite of small size. Therefore, the research of clarifying the flight mechanisms of dragonflies, and then applying it to Micro Air Vehicles (MAVs) is proceeding. Dragonfly's flight mainly consist of a flapping motion and a feathering motion. To control the MAV like dragonflies, clarifying the effect of the flapping motion and the feathering motion on generating aerodynamic force is necessary. In this study, lift and thrust force generated by flapping were measured using flap simulator adjusted the flapping and feathering angle. As a result, lift and thrust force were increased with increase in the flapping angle. Thrust force was particularly increased with increase from 30° to 40° in the flapping angle. When the feathering angle is 45°, downforce was very small, and a lift fluctuation was small. Therefore, the feathering angle of 45° are suitable for the straight flight. When the feathering angle is 60°, momentary lift force was very high. Therefore, the feathering angle of 60° are suitable for a climbing flight such as the take-off. In fact, it was confirmed by the motion analysis that the feathering angle of a dragonfly in the take-off is 60° or more.
著者
松田 浩則
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

1.1920年代後半から第二次世界大戦にいたるまで、ヨーロッパを代表する知性として、とくに国際速盟の知的協力委員会を舞台に、ヨーロッパ諸国間の対話と協力の政策を推し進めたボール・ヴァレリー(1871-1945)であるが、彼はその青年期の知的形成期において、かなり愛国主義的、さらには帝国主義的な思想傾向の持ち主であった。19世紀末に続発した労働運動にたいして冷淡な眼差しを投げ、ドレフュス事件において反ドレフュス的な立場を取るヴァレリーはまた、ヨーロッパ列強がアフリカ大陸で推し進める帝国主義的政策を非難するどころか、それにおおいに熱狂する。こうした態度がなにに由来するのかを考える上で、いちばんポイントになるのは、彼自身の精神的な不安である。いわゆる「ジェノヴァの危機」へといたる情動的、知的な危機が、彼に強力な精神を渇望させたと考えるべきである。つまり、彼は、ヨーロッパ列強のなかにあって、徐々にその優位的な立場を失いつつあるフランスの運命と、きわめて個人的な運命とを平行的に考えながら、当時の社会問題に関与しようとしていたのである。2.ヴァレリーがこうした情動的な危機をきっかけに書き出した日記帳『カイエ』が雄弁に示しているように、彼はまず、書く行為を通して、みずからの精神の立て直しを図る。「体系」をめぐる考察が頻繁に現れるのはそこに由来する。しかし、こうした中から、彼はみずからのエロチシズムを知的コントロールのもとで表現する独特の方法を編み出していく。実に、知性とエロスの混交から、彼は『若きパルク』のような傑作を生み出していくのだが、こうした方法は、最晩年の未公刊の作品『コロナ』や『コロニラ』にまで続いている。
著者
子安信成 編
出版者
片山武兵衛
巻号頁・発行日
vol.天, 1880
著者
赤間 恵都子
雑誌
十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.277-285, 2018-03-24

受験勉強として古典文学を扱い、古語文法に悩まされてきた学生たちは、大学の授業でも古典文学は難しいという固定観念を持っている。しかし、授業で実施した古典文学に対する意識調査の結果、古典を作品として学びその内容を知った学生たちの大方が面白いと感じて興味を持つことが分かった。筆者は学生たちの関心を古典文学に引き寄せる方法として、漫画やアニメーションを教材に使用しているが、さらに近年はアクティブラーニング的な授業方法も試みている。本稿は後者の授業について報告するものである。一つは、『源氏物語』がテーマのゼミ形式の授業で実施した「源氏双六」「宇治十帖双六」制作ワークである。2015年度には光源氏の一生をたどる双六盤を、2016年度には宇治十帖の薫の動向をたどる双六盤を作成した。楽しい作業の中に、物語全体の流れと出来事の意味を復習するという重要な課題が含まれており、意義あるワークとなった。もう一つは、『古今和歌集』を扱った授業の最終課題で、和歌に詠われた世界観を学生たちが読み取り、PC画像として表現するワークである。出来上がったパワーポイント画面には、学生たちのオリジナリティーあふれる世界が表現された。意識調査で古典が好きと答えた学生も、あまり好きでないと答えた学生も、将来的に古典の授業は必要だと思い、その意義について様々な回答を記述してくれた。古典文学を未来につなげるために、現段階では、まずは学生たちに興味を持ってもらえる授業展開方法を今後も工夫し続けていきたい。
著者
和田 干藏
出版者
同文館
雑誌
教育畫報
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.121-124, 1925-03-01
出版者
東洋経済新報社
巻号頁・発行日
1935
著者
Masae Otake Kenichi Sakurai Masahiro Watanabe Chisato Mori
出版者
Japan Epidemiological Association
雑誌
Journal of Epidemiology (ISSN:09175040)
巻号頁・発行日
pp.JE20170019, (Released:2018-04-28)
参考文献数
49
被引用文献数
8

Background: Several studies have reported the adverse effects of caffeine intake during pregnancy on fetal health. However, the effects of caffeine intake from green and oolong teas has not been investigated, despite the considerable consumption of these teas in Japan and the potential inhibitory effects of catechins—chemicals present at relatively high levels in green and oolong teas—on folic acid absorption. The potential associations of serum folate levels with caffeinated beverage consumption and catechin levels remain largely unstudied. The present study aimed to determine these associations in pregnant Japanese women.Methods: Pregnant women (n = 2,701) not receiving folate supplementation were enrolled at the Chiba Unit Center, a regional site of the Japan Environment and Children’s Study (JECS). Serum folate levels were measured using an Access folate assay kit, and nutrient and caffeine intakes were assessed using a self-administered food frequency questionnaire that was previously evaluated in Japanese populations.Results: The low and normal serum folate groups reported caffeine intakes of 42.3 mg/1,000 kcal and 34.4 mg/1,000 kcal, respectively, and tannin intakes of 40.8 mg/1,000 kcal and 36.3 mg/1,000 kcal, respectively. Multiple regression analyses revealed negative associations of serum folate levels with caffeine and tannin intakes and a positive association between serum folate levels and dietary folate intake.Conclusions: Considering the negative associations of caffeine and tannin levels with serum folate levels, pregnant women should consume caffeinated beverages, such as coffee and green/oolong teas, with caution.

2 0 0 0 OA 吉田松陰全集

著者
山口県教育会 編
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
vol.第2巻, 1940
著者
栗原 由紀子
雑誌
IERCU Discussion Paper
巻号頁・発行日
vol.257, 2015-09

本研究は,法人企業景気予測調査(財務省・内閣府)および法人企業統計調査(財務省)の調査票情報を用いて,外生的ショック発生時とその後の収束過程における企業予想の非対称性および個別企業の異質性を階層ベイズ・パネル順序ロジスティック回帰モデルにより明らかにした。 その結果として,国内需要に関して企業規模と予想の非対称性の関係は,リーマン・ショックと東日本大震災とで結果が真逆となることが示された。また,売上高経常利益率によってバイアスの傾向が異なっていたことから,収益性の高低差が,不安定な経済状況下における将来見通し(または,それに付随する事業計画設定等)の特性に影響する可能生が示唆された。さらに,アベノミクス前後に関する販売価格予想の分析結果からは,企業規模が大きい企業ほど,販売価格を過小に予想した結果が示されており,政権交代による経済効果に控えめな反応を示していた形跡が捉えられた。

2 0 0 0 OA 敦煌等經文

出版者
[製作者不明]
巻号頁・発行日
vol.[47],
著者
井村 隆介
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

住民への聞き取り調査によって,奄美大島における1960年チリ地震津波波高を明らかにした.奄美大島では情報の得られたすべての地域で1m以上の津波があったことがわかった.奄美大島本島の南西部や西部の沿岸においても奄美大島本島北部地域同様に3m-4mの津波があったこと,奄美大島南部の加計呂麻島俵で最大波高を記録していたこと,が新たに明らかになった.
著者
吉田 光司 金澤 弓子 鈴木 貢次郎 根本 正之
出版者
日本雑草防除研究会
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.63-70, 2009 (Released:2011-03-05)

ナガミヒナゲシが国内で急速に帰化している原因を、実験によって求めた種子発芽特性から考察した。野外の播種実験の結果、6月の種子散布後、散布当年の秋季と翌春に多くの出芽をみた。次に室内で、異なる温度と水分条件に貯蔵した種子を定期的に取り出す発芽試験を行った。その結果、(1)種子を湿潤・暖温条件に2〜3ヶ月間貯蔵してから5℃で発芽させた場合、(2)湿潤・暖温条件に3ヶ月間貯蔵した後に湿潤・冷温条件に半月〜1ヶ月間貯蔵してから10〜20℃で発芽させた場合、(3)30℃/10℃の変温条件で発芽させた場合に高い発芽率を示した。これらの野外と室内の発芽実験の結果から、自然環境条件では夏季の暖温湿潤条件を経て地温が低くなる秋季と、冬季の冷温を経て地温が上昇する春季に多く発芽することが確かめられた。また、高温や室温の乾燥条件に約3年間貯蔵した種子や、暗条件ではほとんど発芽しなかったことから、土中では埋土種子となって長期間残ることが予測された。試験から得られたナガミヒナゲシの発芽条件から国内の分布を説明できた。また、同種が多く分布している国内外の地域の年平均気温と年間降水量は一致した。
著者
吉田 光司 金澤 弓子 鈴木 貢次郎 根本 正之
出版者
日本雑草防除研究会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.63-70, 2009

ナガミヒナゲシが国内で急速に帰化している原因を,実験によって求めた種子発芽特性から考察した。野外の播種実験の結果,6月の種子散布後,散布当年の秋季と翌春に多くの出芽をみた。次に室内で,異なる温度と水分条件に貯蔵した種子を定期的に取り出す発芽試験を行った。その結果,(1)種子を湿潤・暖温条件に2∼3ヶ月間貯蔵してから5°Cで発芽させた場合,(2)湿潤・暖温条件に3ヶ月間貯蔵した後に湿潤・冷温条件に半月∼1ヶ月間貯蔵してから10∼20°Cで発芽させた場合,(3)30°C/10°Cの変温条件で発芽させた場合に高い発芽率を示した。これらの野外と室内の発芽実験の結果から,自然環境条件では夏季の暖温湿潤条件を経て地温が低くなる秋季と,冬季の冷温を経て地温が上昇する春季に多く発芽することが確かめられた。また,高温や室温の乾燥条件に約3年間貯蔵した種子や,暗条件ではほとんど発芽しなかったことから,土中では埋土種子となって長期間残ることが予測された。試験から得られたナガミヒナゲシの発芽条件から国内の分布を説明できた。また,同種が多く分布している国内外の地域の年平均気温と年間降水量は一致した。