- 著者
-
牧野 カツコ
山根 真理
- 出版者
- 日本家族社会学会
- 雑誌
- 家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, no.2, pp.7-12, 2003
届出に象徴される社会的制度としての結婚が日本では一般的なものとなっているが, しかし, 晩婚化や婚姻外の性関係の広がり, 子どもをもたないカップルの増加, 中高年の離婚の増加などは, われわれに結婚とはなにかを問うている。われわれは, 性別分業にささえられた近代家族型の結婚の揺らぎを体感しつつも, その次にくる脱近代家族のイメージを確立することができずにいる。シンポジウムでは, この領域で活躍されている4人の論者を迎え, 近代社会における婚姻制度とそれを支える理論に対する立場を軸として, 討論が展開された。 (1) 近代結婚理論と脱近代的家族論との対峙が本格的になされたこと, (2) 同性間パートナーシップに関する議論が, 家族社会学会のなかで初めて本格的になされたこと, (3) 2者パートナー関係に特権的な位置を与えない未来社会の可能性が示されたこと, の3点において, 意義のある成果がみられた。<BR>今後, 脱近代社会における子どもの位置や親密関係について, 議論が深まることが期待される。