著者
渋谷 勝己 Shibuya Katsumi シブヤ カツミ
出版者
大阪大学文学部日本語学講座
雑誌
阪大日本語研究 (ISSN:09162135)
巻号頁・発行日
no.12, pp.33-47, 2000-03

本稿は、従来の、文法を対象とした方言地理学の問題点を整理し、検討を加えることによって、以下のことを指摘するものである。(a)これまでの方言(地理学的な)研究には、文法を対象とするとしながらも、形式面にたいする配慮しかなされていない場合が多い。(b)またこれまでは、方言研究者、共通語文法研究者のいずれもが方言文法体系の記述を避けてきた。(c)したがって方言文法研究者に課された作業には、次のようなものがあることになる。(c-1)各々の方言の文法記述を個別的に進めること(c-2)方言間比較対照を行うための分析枠を設定すること(c-3)その枠を構成する意味項目ごとに各地方言の形式を地図上にプロットし、重ね合わせ法によって方言の動態を見出すこと このうち(c-1)が、もっとも急がれる課題である。
著者
桂川 光正 カツラガワ ミツマサ Mitsumasa KATSURAGAWA
雑誌
大阪産業大学人間環境論集
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-22, 2010-03

The establishment of a Japanese government ordinance on opium administration in Guandong Leased Territory, the aim of which was to implement opium administration in accordance with the Hague Opium Treaty, resulted, in fact, in virtual permission of open opium-smoking in the region. Japan had been accused of being the major agent responsible for the abuse of opium-smoking in China during the early 1920s, and the establishment of a new opium ordinance to deal properly with the issue in the region could otherwise be a good chance to soothe the accusation, and lead easily to raise Japan's prestige as "One of the Five Powers". Therefore, the result means that the Japanese government failed to take responsibility as a Great Power to make an active contribution in laying the foundation for an international co-operative system to control and extirpate the evil of opium-smoking. This proves to have been a diplomatic blunder. One of the factors in the government's failure is the weight of opium revenue. It was very obvious that the Japanese would have run into financial difficulties, if there would not be opium revenue at all, or not a sufficient amount of it. The Japanese government gave the stability of ruling Guandong precedence over taking its responsibility in the international arena at the time.
著者
畠山 里沙 杉田 克生 大上 順一 杉田 克生 スギタ カツオ Sugita Katsuo 大上 順一 オオウエ ジュンイチ Oue Junichi 下山 一郎 シモヤマ イチロウ Shimoyama Ichiro
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.287-289, 2007-02

認知神経学の観点から,外国語として日本語を学習するイタリア人が,ひらがな・ローマ字を見てから発語するまでの読字反応時間を解析した。外国語の学習効果を客観的に評価していくためにこの検査は有用であると考えられる。We performed a test of "Hiragana" and "Romaji" reading-reaction time to Italian university students who learn Japanese. This test is simple and regarded as a useful method to evaluate their acquisition of foreign language objectively.
著者
勝浦 範子 福岡 欣治 カツウラ ノリコ フクオカ ヨシハル Noriko Katsuura Yoshiharu Fukuoka
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.9, pp.65-72, 2009-03-31

本研究は市街地における子どものレクリエーション施設が子育て支援センターとしてどのような機能を果たすかについて調べることを目的とし、2003年の2月、3月に「浜松こども館」の来館者ならびに館まで2km以内にある幼稚園・保育園に通園する園児をもつ近隣在住者を対象に質問紙調査を実施した。いずれの調査対象者も末子が8歳以下であることを条件とした。調査対象者は以下の尺度により、分類、分析された。第一は館利用に関するもの、例えば利用頻度、目的、所要時間などである。第二は調査対象者及びその末子の日常生活に関するもの、例えば児童公園、ショッピングセンター、図書館などの利用頻度などである。第三は調査対象者が子育てに対して受けている物理的、心理的な支援のレベルである。第四は調査対象者の不安のレベルである。近隣在住者で利用の多い群は少ない群(または利用無し群)に比べ、より活動的で社会性があり、子育て支援にも恵まれていた。また、来館者の平均所要時間は30分を超えているが、遠くからの来館者は子育て不安のレベルが比較的高かった。立地の利便性と多機能性が利用に結びついていると考えられる。The purpose of this study was to identify the function of an urban facility for children's recreation as a center for child-rearing support. The study was conducted between February and March, 2003. We analyzed questionnaires given to two groups of parents: the first was visitors of the plaza, and the second was local parents whose children attended nurseries within 2 km of the plaza (of which some visited the plaza, and others did not). Each subject had a youngest child who was eight years old or younger. Subjects were analyzed and classified based on the following criteria. The first concerned the plaza: frequency of visits, purposes of visits, travel time, etc. Another concerned lifestyle of the subjects and their youngest children: frequency of visits to playgrounds, shopping malls, libraries, etc. Third was the level of physical and psycho-logical assistance subjects received for child-rearing. Fourth was the subjects' anxiety levels. We discovered that frequent visitors of the plaza were more active, social, and had more support in child-rearing than infrequent (or non-) visitors. Visitors found it a good location, and expected it to serve various functions. Also, the average visitor traveled over 30 minutes one way, and many parents who traveled long distances showed relatively high anxiety levels.
著者
栗本 鮎美 粟田 主一 大久保 孝義 坪田(宇津木) 恵 浅山 敬 高橋 香子 末永 カツ子 佐藤 洋 今井 潤
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.149-157, 2011 (Released:2011-07-15)
参考文献数
30
被引用文献数
195 213

目的:高齢者の社会的孤立をスクリーニングする尺度として国際的に広く使用されているLubben Social Network Scale短縮版(LSNS-6)の日本語版を作成し,信頼性および妥当性の検討を行った.方法:総合健診を受診した地域在住高齢者232名に面接式質問紙調査を行い,日本語版LSNS-6とともに,基本属性,主観的健康感,運動機能,既存のソーシャルサポート質問項目,日本語版Zung自己評価式抑うつ尺度(日本語版SDS),自殺念慮等に関するデータを得た.日本語版LSNS-6の内的一貫性についてはCronbach α係数,繰り返し再現性についてはSpearman相関係数,評価者間信頼性については級内相関係数を用いた.構成概念妥当性の検討には先行研究の結果との比較,併存妥当性の検討には日本語版SDSおよびソーシャルサポート質問項目との関連を検討した.結果:Cronbach α係数は0.82,繰り返し再現性に関する相関係数はr=0.92(P<0.001),評価者間の級内相関係数は0.96(95%信頼区間0.90~0.99)であった.日本語版LSNS-6の平均得点は同居世代数が増えるほど高く(P=0.033),自殺の危険性がある群で低く(P=0.026),主観的健康感不良群で低下する傾向(P=0.081)を認めた.日本語版LSNS-6の得点は日本語版SDSと有意な負の相関を示し(P<0.001),ソーシャルサポートに関する5つの質問項目のうち4項目において,ソーシャルサポート「あり」群で日本語版LSNS-6の平均得点は有意に高かった(P<0.05).結論:日本語版LSNS-6の信頼性と妥当性は良好であった.我が国における高齢者の社会的孤立のスクリーニングに日本語版LSNS-6が有用である可能性が示された.
著者
田中 克己 タナカ カツミ Katsumi Tanaka
雑誌
史苑
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.28-41, 1959-12
著者
落合 克隆 塩見 英久 山本 錠彦 オチアイ カツタカ シオミ ヒデヒサ ヤマモト サダヒコ Ochiai Katsutaka Shiomi Hidehisa Yamamoto Sadahiko
出版者
電気情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.136, pp.39-42, 2001-06-19

マイクロストリップ線路とスロットを用いた進行波アンテナと分布増幅器を融合した進行波アクティブ集積アンテナについて報告する。進行波アクティブ集積アンテナは、高出力で指向性が鋭く、ビームステアリングが容易なアンテナである。まず、進行波アクティブ集積アンテナの構成を示し、その設計について議論する。さらに、2.5GHzで動作する試作品を作成し評価した結果、同様な構成のスロットアンテナアレイと比べ、受信電力が20dB増加した。また、給電周波数を750MHz変化する事で最大40度のステアリング角が得られた。An active integrated antenna array consisting of a distributed amplifier and a slot antenna is demonstrated. In this report, a two element array was fabricated and examined. Two slot apertures were embedded in the ground plane of a microstrip feed line with the distributed amplifiers. An observed antenna pattern and steering angle ware also investigated.
著者
岩城 克洋 イワキ カツヒロ IWAKI Katsuhiro
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.20, pp.85-98, 2010-03

いまだ研究対象として取り扱われるようになってから日が浅いCeramica comune da fuoco は、その膨大な出土量にも関わらず、報告書に記載される情報はごくわずかであり、かつまた形状変化にも乏しいことから、胎土分析による産地同定という手法が主流を占め、編年研究にはあまり関心がはらわれてこなかった。特にイタリア半島中北部は、エトルリア研究が盛んな土地柄もあって、他地域に比べて一段と研究が立ち遅れている。本論では、比較的研究が進展し情報量も多い、中南部ヴェスヴィオ山周辺地域の資料と中北部の内陸テヴェレ川沿岸地域の資料を活用し、そこに独自資料として、筆者本人が分析した、タルクィニア市所在別荘遺跡出土の膨大な土器資料を新たに加え、特に情報不足の著しい4世紀から6世紀頃を重点的に、新たな地域編年を構築するものである。
著者
中野 元太 矢守 克也 Nakano Genta Yamori Katsuya ナカノ ゲンタ ヤモリ カツヤ
出版者
「災害と共生」研究会
雑誌
災害と共生 (ISSN:24332739)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.83-94, 2020-09

一般論文国際防災教育支援において、支援者と被支援者との間の社会的・経済的・文化的・教育環境的相異に配慮すべきとの主張は数多い。この主張は、相異に配慮しさえすれば、支援者が教える知識・技術は被支援者にとって有用であり、国際的防災教育支援という枠組・実践はどのような社会間にも適用可能であるとの前提に立つ。しかし、ルーマンの「リスク/危険」概念を導入すれば、防災教育の多くは自然災害をリスクとみなす〈リスク社会〉に特有の実践(【防災教育@〈リスク社会〉】)であり、自然災害を危険とみなす〈危険社会〉に対する有効性は確かではないこと、よって、無条件な適用が、かえって防災教育の不全を引き起こす可能性を指摘できる。このことをネパールでの防災教育実践事例やインタビューに基づく防災に対する姿勢から考察した。その上で「仕掛学」に理論的アイデアを借りて〈危険社会〉にも通用する【防災教育@〈危険社会〉】を提案するとともに、【防災教育@〈危険社会〉】の倫理的課題についても言及した。