- 著者
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松本 和也
マツモト カツヤ
- 出版者
- 神奈川大学人文学研究所
- 雑誌
- 人文学研究所報 = Bulletin of the Institute for Humanities Resarch (ISSN:02877082)
- 巻号頁・発行日
- no.68, pp.1-20, 2022-09-27
本稿では,明治末年における劇壇の新機運について再検討する。明治時代の演劇史についての先行研究は多々あるが,そのほとんどは,個別の演劇人,作品,興業などについてのものであった。それに対して,本稿では,演劇の近代化―西洋化がしきりに議論されていた,明治末年の劇壇を対象とした言説を検討対象とする。第1章では,明治時代の演劇史と自由劇場に関する先行研究をレビューすることで,本論のねらいを明らかにした。第2章~第4章では,時期を区切りながら明治末年における劇壇の言説を調査―分析した。この時期の言説上では,第一に西洋劇の上演組織,第二に雑誌の創刊,第三に新しい脚本,第四として帝国劇場の開場,そして最後に象徴劇(気分劇―情調劇)の隆盛を軸に,劇壇の新機運が語られていたことを確認した。第5章では,大正時代から振り返って,明治時代の演劇がどのように語られていたかを分析―考察して,結論にかえた。