著者
渡辺 孝太郎 ワタナベ コウタロウ Watanabe Kohtaro
出版者
熊本大学
雑誌
熊本大学政策研究 (ISSN:2185985X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.109-119, 2015-03-31

本稿において科学技術社会論の先行研究を整理したところ、科学技術政策に関する問題は、社会問題の複雑化により科学と政治の領域が交錯し、多くの利害関係者がいる中で、不確実なデータをもとに「今、現在」意思決定を行わなければならないという特徴を有することが示唆された。このような状況を表す概念として、「トランス・サイエンス」や「ポスト・ノーマルサイエンス」といった概念が提唱されている。また、科学と社会の間に生じるギャップは、科学の不確実性や市民・政策立案者の科学に対する過度の期待や信頼、さらには科学者の専門主義などが複雑に絡み合うことで引き起こされることが示唆された。これらの分析を踏まえ、「パブリック・インボルブメントを図りながら政策を形成、実行するために、自治体の技術職はどのような役割を担うべきか」という問いに答えるべく、今後の研究を進める。This paper tried to organize the previous study on science and technology studies. Then it was suggested the feature that to address policy issues related to science and technology we must make a decision "now" under uncertain situation, in which science and politics are crossed each other by complication of social issues, and in which there are many stakeholders. As a concept to represent this situation, concepts such as "Trans-Science" and "Post-Normal Science" have been proposed. In addition, it was suggested that the resulting gap between science and society is caused by complexly intertwined factors including uncertainty of science, excessive expectation and trust to science from citizens and policy makers, professional principle of scientists. Based on these analysis, I advance future research to answer the question "What role should technical staff of local governments play in order to make and carry out the policy while achieving public involvement?"
著者
渡辺 恭彦 ワタナベ ヤスヒコ Watanabe Yasuhiko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The social sciences (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.239-258, 2016-05

論説(Article)本論では、戦後日本の哲学者廣松渉の著作『生態史観と唯物史観』(1986)を扱った。同書は、1957年に梅棹忠夫が発表した「文明の生態史観」を批判的に検討したうえで、廣松渉自身の歴史観を打ち出したものである。生態学の遷移(サクセッション)理論を文明論的な歴史の展開に援用した梅棹の生態史観を、廣松は人間社会と自然環境との相互作用を対象化していないとみている。廣松は、両者を媒介するのは人間の歴史的営為であるという。We are concerned with "The ecological view of the history and the historical materialism" (1986) by Japanese philosopher Hiromatsu Wataru. This writing describes his perspective of history, examining " an ecological vie of the history" (1957) by Umesao Tadao. Umesao applies the ecological succession theory to development of the history. However, Hiromatsu points out that Umesao's theory doesn't explain how the human society and the environment interact each other. Hiromatsu claims that what mediate both of them is historical action of human kinds.
著者
渡部 留美 ワタナベ ルミ Watanabe Rumi
出版者
大阪大学留学生センター
雑誌
多文化社会と留学生交流 (ISSN:13428128)
巻号頁・発行日
no.10, pp.107-114, 2006

本稿では、デンマークにおける留学交流の現状をインタビューや資料をもとに紹介する。前半部分ではヨーロッパの短期交換留学制度の中のデンマークの状況とデンマークの留学生受入れ状況について、後半部分ではデンマークの大学の国際化を支える部署やスタッフについて述べる。
著者
畑中 恒夫 渡部 逸平 渡邊 亮太 渡部 逸平 ワタナベ イッペイ Watanabe Ippei 渡邊 亮太 ワタナベ リョウタ Watanabe Ryota
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.371-376, 2014-03

人々の電化生活が発達するにつれて,人を含め動物たちは様々人工的な電磁波にさらされるようになり,それらの電磁波の生体に及ぼす影響についての研究が盛んに行われている。我々は以前,ネズミ駆除器からの超低周波電磁場曝露により,雄マウスの精子数が減少することを報告している。これらの効果が現れるには,毎日8時間,1月の曝露時間が必要であり,おそらく長期にわたる感覚ストレスが影響するものと思われる。一方,ラット精巣への短時間の超音波照射により加熱作用が生じ,精子数が減少することが報告されている。そこで今回,感覚ストレス説の確認のため,コイルを用いてマウス精巣に直接変動磁場を与え,周波数及び曝露時間を変え,影響を調べた。コイルでの磁場曝露の際,不動化のために麻酔を用いた。50Hzの超低周波正弦波磁場の長時間曝露で,麻酔の副作用による影響に加えて,精子数の減少が見られた。麻酔下でも変動磁場の影響が見られたことから,感覚ストレス以外の作用機序の関与も考えられた。ラジオ波領域の変動磁場への短時間の曝露では500KHz,1MHzでは影響がなかったが,誘導電流が大きい3MHzの磁場で精子の減少が見られ,誘導電流による加熱効果の影響が示唆された。電磁場,変動磁場による精子減少の作用機序解明には,精子形成過程のどの段階で影響を及ぼすのか,時間経過を考慮したさらなる研究が必要である。The effects on an extremely low frequency(ELF)and radio frequency magnetic field on the genital organs ofadult male mice were investigated. The scrota of male were placed on a coil with the diameter of 2 cm and exposed to alternating magnetic fields under a general anesthesia. Long term exposure to an ELF magnetic field(50 Hz sinusoidal field)at 1.5 mT for 5 consecutive weeks reduced sperm count significantly. Sperm reduction from magnetic exposure was not inhibited by general anesthesia. This suggests that magnetic exposure directory exert an effect on genital organs, not via a psychological pathway from magnetoreception. In order to evaluate acute effects of radio frequency magnetic fields, the specimen was exposed to 500 KHz, 1 MHz or 3 MHz magnetic fields at 1.7 mT for 15min in consecutive two days. Only 3 MHz magnetic field effectively reduced sperm count. A high-frequency magnetic field induces large electrical current and generates large heat, so the reduction of sperm count could be responsible to heat effect of induced current. Further studies of heat shock effects on spermatogenesis are required.
著者
若松由佳子/川原瑞代/渡辺久美/島内千恵子/菅沼ひろ子/串間秀子 ワカマツユカコ/カワハラミズヨ/ワタナベクミ/シマウチチエコ/スガヌマヒロコ/クシマヒデコ WAKAMASTUYukako/KAWAHARAMizuyo/WATANABEKumi/SHIMAUCHIChieko/SUGANUMAHiroko/KUSHIMAHideko
雑誌
宮崎県立看護大学研究紀要 = Journal of Miyazaki Prefectural Nursing University
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.92-97, 2000-12

近年の児の栄養方法の推移をみると母乳栄養の割合が上昇してきているが, 半数以上は哺乳びんを用いる育児が行われている。そこで, 今回哺乳びんの消毒方法がどのように行われているかを明らかにすることを目的に調査を行った。すなわち, 乳児を養育している母親108名を対象として, 哺乳びんの消毒方法の実施の実態とそれらに対する認識について調査した。その結果, 生後1ヶ月の時点での哺乳びん使用者は55名で, 哺乳びんの消毒方法は, 「次亜塩素酸ナトリウムでの消毒」が25名, 「煮沸消毒」が22名, 次いで「電子レンジでの消毒」が9名であった。消毒方法を選択するのに影響を受けた情報源では「テレビ・新聞等の広告」と「出産した施設での専門家の指導」が同数の14名, 次いで「家族」が13名でほぼ同数程度と多く, その他には「育児書」や「雑誌」などが情報源になっていた。消毒方法別にみると, 次亜塩素酸ナトリウム消毒実施者は, 「テレビ・新聞などの広告」が多く, 煮沸消毒実施者は, 「出産した施設での指導」が多かった。消毒方法についての認識は, 「清潔なものを使いたい」という人が多い一方で, 「手間がかかる」「いつまで必要か」「このような消毒や洗浄で子どもに安全か疑問」などの疑問も同時にみられた。更に, 哺乳びんの消毒を必要と考える期間についても, 6ヶ月から12ヶ月と答えた人が約60%を占めたが, 6ヶ月以下もみられ一定していなかった。これらの結果から, 哺乳びんの消毒については, 方法の選択や実施法やその時期に戸惑いがみられることがわかった。従って, 乳児の免疫学的及び, 細菌学的特徴も考慮に入れた消毒方法についての検討と情報提供が必要であり, 母親と指導する側の認識についても考慮しながら, 有効な保健指導を行う必要があることが示唆された。
著者
渡辺 予里 ワタナベ ヨリ Yori Watanabe
雑誌
言語科学研究 : 神田外語大学大学院紀要
巻号頁・発行日
vol.13, pp.53-68, 2007-03

サービス業は、いろいろな接客業、例えばスーパーマーケットなどの販売店、レストランなどの飲食産業、病院や電車、バスなど多種多様であるが、その中から、私たちが日ごろよく目にする接客場面の状況やサービスをする側と受ける側の会話を想定し、もし自分がお客だったらその状況と受けたサービスについてどういった評価をするかを質問紙によって調査を行った。そしてその結果について、国ごとや性差、年齢などによってサービスに対する評価に違いがあるかどうかを分析した結果、国によって店員の接客態度に対しての評価の違いや、男女の性差による、接客態度への評価の違いが存在するという結果を得た。
著者
正木 治恵 屋久 裕介 渡邉 賢治 屋久 裕介 ヤヒサ ユウスケ Yahisa Yusuke 渡邉 賢治 ワタナベ ケンジ Watanabe Kenji
出版者
千葉大学大学院看護学研究科
雑誌
千葉大学大学院看護学研究科紀要 (ISSN:21859698)
巻号頁・発行日
no.35, pp.31-36, 2013-03

2012年8月30日~10月7日にスペイン・マドリードで開催された世界規模の学生建築コンペティション「ソーラー・デカスロン・ヨーロッパ2012」 に看護学研究科大学院生2名が派遣された.本大会は生活に必要なエネルギーを全て太陽光でまかなう次世代住宅の建築の評価を競うもので,建物の設計・施工・解体,大会期間中の審査対応,協賛企業の募集等すべてを学生主体で行うものである.学生ソーラー建築の「オリンピック」とも呼ばれるもので,本大会は10年ほど前から開催されていたが日本の出場歴はなく,今回千葉大学が日本代表として大会初出場となった.このプロジェクトの中心は工学研究科であるが,千葉大学の総合大学としての特色を活かし,文学部・教育学部・理学研究科・園芸学研究科なども関わっており,看護学研究科は長期に渡る海外滞在中の健康安全管理を担う目的で参加の運びとなった.本報告では看護学研究科大学院生による看護職としての臨床経験を活かした活動や,大会プロジェクト参加から示唆された学際的・国際的活動の意義について報告する.
著者
渡邉 典子 ワタナベ ノリコ Watanabe Noriko
出版者
同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR)
雑誌
一神教世界 (ISSN:21850380)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.43-59, 2011-03-31

1970 年代の日本の新新宗教ブームを牽引したGLA(God Light Association)総合本部の二代目の教祖高橋佳子は会員に「ミカエル」1 と信じられており、会員にカウンセリング的なふりかえり(「神理」という教えの実践)技法やスピリチュアルなターミナルケア2 を提供している。現代のGLA 会員の活動からは、個人化・グローバル化社会で競争を強いられている人々や、感情労働3 を求められるサーヴィス業の人々に支持されるようなスピリチュアルな「心の技法」が見出せる。この「心の技法」へのニーズにより、刺激反応図式の古典的パラダイムの主体が刺激に反応する受動的な存在であったことに対し、現代の主体とは、自己の行動をコントロールする能動的な存在であることを示し、そこに至る心身管理の自己責任性の重視を考察する。そして、GLA の神観、初代教祖高橋信次や弟子らのチャネリング4、瞑想や座禅などの「心の技法」を題材に、後期資本主義時代の新新宗教の教説の「心理主義化」傾向を分析するKeiko TAKAHASHI, the present leader of God Light Association (GLA), one of the Japanese neo new religious movements from the 1970's, is called as "Mikhail" by members, and she offers terminal care for members, which is a kind of spiritual counseling. We can observe from GLA activities a desire for "the technique of the heart" by the people in the service industry doing emotional labor, and they are forced to compete in individualized and globalized society. By analyzing the technique of the heart, it is argued that the old modern self was just a passive actor who behaves in response to external stimulation, and that today's self should actively control his or her own behavior with the emphasis on self-responsibility. Also, from the view point of GLA's God image, channeling by the founder Shinzi TAKAHASHI and his disciples, and Zen meditation, doctrines of neo new religions in the late capitalism are fairly "psychologized".
著者
押切 剛伸 渡部 昂 オシキリ ヨシノブ ワタナベ タカシ Oshikiri Yoshinobu Watanabe Takashi
出版者
山形県立産業技術短期大学校
雑誌
山形県立産業技術短期大学校紀要 (ISSN:2185470X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.49-54, 2010-09

要旨: 近年,原油価格の高騰や可採年数の問題が懸念されおり,省エネルギーの推進やエネルギーの安定供給をはかるため,持続可能なエネルギー源獲得を模索する動きが盛んに行われている.その中でも太陽光発電,風力発電,バイオマスエネルギーは実際に運用例も多く,新しいエネルギー源として期待されている.しかし,それらの試みに対する有効性の検証は進んでいないのが現状である.そこで山形県で消費される年間エネルギーをこれらの新エネルギーで置き換えた場合の有効性について検証を行った.具体的には太陽光及び風力発電装置の必要設置面積並びに木材燃焼の場合の必要樹木量を算出した. キーワード:新エネルギー, バイオマスエネルギー, 太陽光発電, 風力発電