著者
藤堂 恵美子 樋口 由美 北川 智美 今岡 真和 上田 哲也 安藤 卓 高尾 耕平 村上 達典 脇田 英樹 池内 俊之
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)の効果はエビデンスが確立されているものの,ADLのみを指標にした研究が多く,活動・参加を含めた生活機能への効果は十分明らかではない。また,先行研究では訪問リハプログラムの違いによる効果は検証されていない。しかしながら,実際は評価に基づき優先順位をつけ複合的に介入している。そこで本研究は,訪問リハプログラムの優先性が生活機能に与える影響を検証することを目的とした。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は,平成26年4月~平成28年3月にA訪問看護ステーションの介護保険による訪問リハを開始し,3ヶ月間追跡可能であった30名(平均年齢82.4±7.5歳,女性24名)とした。全介助の者,本研究の主旨を理解できない者は除外した。調査項目は基本属性に加え,生活機能として身体機能(立ち座り動作テスト),精神機能(GDS5,転倒自己効力感,主観的健康感),ADL(FIM),IADL(老研式活動能力指標),生活空間(LSA)を調査した。訪問リハプログラムは身体機能,活動,環境因子の3つに対して最も優先した介入を,担当理学・作業療法士に記入させて追跡後に集計した。</p><p></p><p>統計解析は,ベースラインの群間比較にはχ2検定またはMann-Whitney U検定を用い,p値が0.1未満の項目を説明変数,介入の優先性を目的変数としたロジスティック回帰分析を行った。ベースラインと3ヶ月後の比較にはχ2検定またはWilcoxonの符号付順位和検定を用いた。有意水準は5%未満とした。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>主疾患名は運動器疾患19名,脳血管疾患6名,その他5名であった。なお,入院歴がある者は15名であった。</p><p></p><p>訪問リハの優先プログラムは,全訪問回数のうち50%以上が活動であった者は19名,環境因子は11名で,身体機能への介入が50%を超えた者はいなかった。そこで,活動優先群と環境優先群の2群で分析した結果,ベースラインでは基本属性や身体機能,活動に差はなく,GDS5得点のみ環境優先群は有意に高かった。探索的に年齢とFIMの移動項目で調整しても,GDS5は環境因子への介入優先に対する独立関連因子であった(調整オッズ比3.34)。ベースラインと3ヶ月後の生活機能の比較では,LSAで両群共に有意な改善がみられ,活動優先群は15.3点から29.3点に,自宅圏外へ外出可能な者が6名から15名に増加,環境優先群は16.5点から28.3点に,自宅圏外へ外出可能な者が5名から9名に増加した。加えて,活動優先群では立ち座り動作で上肢支持が不要な者が有意に増加し,環境優先群では転倒自己効力感が有意に改善した。その他の項目では有意差を認めなかった。</p><p></p><p><b>【結論】</b></p><p></p><p>訪問リハ開始から3ヶ月間では,活動および環境因子への介入の優先性が高かった。介入の優先性によって身体機能や精神機能への効果が異なるが,生活空間は介入の優先性に関わらず拡大することが示唆された。</p>
著者
丸山 伸 大平 健司 佐野 雅彦 谷岡 広樹 松浦 健二 上田 哲史
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-39, no.14, pp.1-6, 2017-09-22

端末教室における環境統一にはネットブート技術が適している.このネットブート技術を利用すると端末の一斉起動や一斉操作でサーバーやネットワークに負荷集中が生じるが,端末側にディスクイメージの複製を持つことで負荷集中を回避できる.しかしながら,各端末にディスクイメージの複製を持つように設計すると,ディスクイメージを更新した際に各端末が持つ複製が同期されるまでは負荷集中が生じがちとなり端末の高速性が失われることが課題となっていた.そこで本研究では,端末の高速化に必要最小限の領域のみを複製することでディスクイメージ更新後における端末側への同期処理を最小化し,ネットブートによる環境統一と端末の高速性を常に両立する手法を提案する.また,徳島大学の端末教室において提案手法の評価をおこない,本提案が有効であることを確認した.
著者
武内 克憲 上田 哲之
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.793-796, 2011

馬蹄腎を伴う腹部大動脈瘤(AAA)手術の際に,異所性腎動脈(ARA)の再建法が問題となるが,われわれは腹部4分枝人工血管を用いたARA再建人工血管置換術を経験したので報告する.症例は48歳,男性.術前腹部CTにて腎動脈下に最大径50 mmのAAAと馬蹄腎,さらに左右腎動脈以外に大動脈瘤から分岐するARAを認めた.手術は腹部正中切開開腹でアプローチし,AAAを切開し動脈瘤前壁と馬蹄腎峡部をあわせて牽引し視野を確保した.4分枝人工血管で中枢を吻合後,まずARAを7 mmの分枝で再建した.末梢側左脚2本をそれぞれ内外腸骨動脈,右脚は総腸骨動脈に分枝を端々吻合した.術後経過は良好で腎機能低下は認めず,術後造影CTではARAは開存していた.馬蹄腎は分節的な血管支配を受けているため,ARAの再建は可及的に行い部分的な梗塞を避ける必要があり,4分枝人工血管を用いたARAの再建は有用と思われた.
著者
神宮字 寛 上田 哲行 五箇 公一 日鷹 一雅 松良 俊明
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.35-41, 2009 (Released:2010-10-15)
参考文献数
20

フィプロニルやイミダクロプリドを成分とする育苗箱施用殺虫剤は,稲の吸汁性害虫を対象とした殺虫剤であり,育苗箱に用いる.本研究では,本薬剤がアキアカネ幼虫の死亡率,羽化数,羽化行動に及ぼす影響を小型ライシメータにより検証した.各ライシメータは,フィプロニル区,イミダクロプリド区および無処理区とし,それぞれ3反復で実験を行った.アキアカネ卵は,それぞれのライシメータに300卵散布した.そして,各ライシメータ中のアキアカネ幼虫の死亡率,羽化数を求めた.アキアカネ幼虫の死亡率が最も大きい値を示したのはフィプロニル区となり,羽化個体が観察されなかった.イミダクロプリド区では,フィプロニル区に比べて死亡率は低い値を示したが,幼虫の平均成長率および成虫の後翅長が無処理区よりも低下した.また,羽化異常を示す個体が無処理区に比べて高い割合で発現した.フィプロニルやイミダクロプリドを成分とする育苗箱施用殺虫剤の使用は,アキアカネ幼虫の大きな減少を招くことが示唆された.
著者
上田 哲也 堤 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波
巻号頁・発行日
vol.98, no.74, pp.7-12, 1998-05-22

イットリウム・鉄・ガーネット薄膜に沿って伝搬する表面静磁波において, ダークソリトンの生成およびその波形の時間発展を理論的および実験的に調べている.実験においては, 背景の明るい負のパルスを入力し, 出力パルス波形の入力電力依存性を調べると同時に, ダークソリトンの対を観測している.また, 有限差分ビーム伝搬法(FD-BPM)を用いて, 非線形シュレディンガー方程式を数値的に解くことにより, パルスの時間発展を調べている.最後に両者の結果を比較し, 検討を行なっている.
著者
上田 哲郎 久野 靖
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. プログラミング (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.40, no.SIG_7(PRO_4), pp.40-50, 1999-08

本稿では, 拡張性と柔軟性において, 従来のサブクラス化による方法に優るコンポーネントベースの差分プログラミングについて述べる.コンポーネントベースの開発において, プログラムの再利用のために拡張機能の差分のみをコーディングしてプログラムに追加しようとした場合, 従来のやり方では, クラス定義に戻ってサブクラス拡張を行わなければならず, クラス階層を熟知した上級のプログラマでなければ困難であった.本稿で提案するコンポーネント差分プログラミングでは, 拡張のための差分のみを持ったコンポーネント(ベクターコンポーネント)を開発し, それをプログラム中に挿入できる.本方式の基盤となるアーキテクチャとして, 筆者らは木構造をベースとした汎用的フレームワークNutsを開発した.Nutsでは, 部品組み立て型プログラミングをベースに複数の部品が組み合わさったものも一つの部品として振舞うようなフラクタルな構造を持つ.ベクターコンポーネントは, Nuts上の他のコンポーネントに対して透明で存在しないかのように振舞い, フレームワーク中のどこにでも挿入できる.挿入されたベクターコンポーネントは, 結合したコンポーネントに成りすまし, 一部の制御を横取りすることにより拡張機能を追加する.This paper proposes a new component architecture which supports differential programming at component composition level. Although the conventional differential Object-Oriented Development techniques are based on subclassing at the source level which required both programming language skills and detailed knowledge of library classes, our approach overperforms the conventional ones in the sense that we can prepare special components: vectors, which can be freely inserted into existing component structures and incrementally modify their target(base)components. This is attained by the following reasons: we use tree-structured generic component architecture: Nuts. In Nuts, a group of components substitutes other components topologically similar. When a vector is inserted at the root of subtree, it is invisible from lower (root-side)components, however freely intercept and modify messages to the subtree in order to extend its behaviors. Vectors are quite effective in adding various functions to GUI-based components. Thus, they are valuable tools to construct functional-rich component-based programs through incremental development.
著者
上田 哲史 川上 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.1450-1456, 1993-10-25
被引用文献数
6

ジョセフソン接合素子を含む回路の回路方程式や,回転方向に弾性復元力の働く振り子の運動方程式などは,状態に関する三角関数の項と線形項の和を含んだ2階の常微分方程式で記述される.このような力学系は,平衡点の数がパラメータの値によって変わり,平衡点の位置に関して周期性をもたなくなるため解析が難しい.本論文では,この力学系の例としてジョセフソン接合素子を含む回路を取り上げ,平衡点の接線分岐による分類および相平面上に生じるヘテロクリニック軌道に着目した解析の結果を述べる.ヘテロクリニック軌道は,その構造不安定性により,相平面上での大域的な分岐を表す.この軌道の生じるパラメータを分岐の値として,パラメータ平面で分岐集合を求めた.その際,分岐曲線によって囲まれる一つのパラメータ領域に,唯一決まるまつわり数を定義した.これは,軌道の相平面での回転の指標として用いることができ,更に分岐集合と組み合わせることによって,安定平衡点の引力圏の分類を可能にした.
著者
齊木 久代 広渡 純子 千葉 武夫 上田 哲世 中川 香子 丸尾 喜久子 上田 哲世 中川 香子 広渡 純子 千葉 武夫 丸尾 喜久子 金山 千広 井頭 均 清原 知二
出版者
聖和大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

保育者が問題と考えている自分自身の"対人的不安"傾向と保育者としての熟達とに関連性がみられた。また、短期大学在学中の「保育者としての自己評価」の変化過程を検討したところ、授業や実習によって自己評価が高まるだけでなく、一時的に低下が見られることもあり、その低下は不安傾向の高い者に、より見られる傾向があった。一方、授業の成績の芳しくない学生には、自分自身を過大評価する傾向がみられた。さらに、歌唱指導やストーリーテリング指導時の顔面眉間部の皮膚温を赤外線サーモグラフィで測定した結果、不安感や自律神経系の反応性と皮膚温の変化とに関連がみられた。
著者
西内 悠祐 上田 哲史 川上 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.37, pp.13-18, 2003-05-01
参考文献数
4
被引用文献数
3

3次元自律系である変形BVP発振器ではダブルスクロールカオスやjack-in-the-box現象と呼ばれる特異な応答が存在する.このjack-in-the-box現象のbasin boundaryを調べたところ,basin boundaryの境界線がぼやけて消失するという現象が見られた.このときのbasin boundaryはriddle basinと呼ばれる状態となっていた.そこで,このbasin boundaryと既存のriddle basinとの性質の違いについて述べる.また,この発振器で起こる分岐現象について詳しく説明する.
著者
宮崎 将之 樋口 野日斗 田中 正剛 上田 哲弘 加藤 正樹 辻 裕二 古藤 和浩 高柳 涼一
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.514-519, 2009 (Released:2009-09-24)
参考文献数
13

症例は49歳男性.1999年よりB型慢性肝炎に対してラミブジン治療が行われていた.2004年に肝炎増悪を伴ったHBV DNAのYVDD変異が出現したため,ラミブジン・アデフォビル併用療法が開始された.2008年7月よりウイルス量が増大し,肝炎の再増悪が出現した.アデフォビル耐性株によるbreakthrouh hepatitisを疑い,エンテカビル・アデフォビル併用療法に変更し,ウイルス量の低下とともに肝炎改善が得られた.HBV DNA塩基配列の解析にてA181V/T変異,N236T変異が確認され,アデフォビル耐性株によるbreakthrouh hepatitisと診断した.ラミブジン耐性ウイルスに対するアデフォビル併用療法の経過中に,アデフォビル耐性ウイルスによるbreakthrouh hepatitisを発症した報告は極めて稀少であり,文献的考察を加え報告する.
著者
堤 誠 上田 哲也 菊井 一彦 Dana Soven Kumar
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.370, pp.57-62, 1999-10-21

YIG薄膜を基板にもつマイクロストリップ線路において表面静磁波,体積後退静磁波および体積前進静磁波の3つのモードが伝搬することに着目し,厚さ100μmのYIG薄膜に幅1mmのストリップを装荷した構造において,これらのモードと光との相互作用を主に実験的に検討した。その結果,3つのモードとも変調率数%で相互作用が現れ,磁気同調性,非線形特性そしてストリップ線路内にほとんどのMSWが閉じ込められる特性などを光によって観測することができた。一方,光のTEMモードとMSWとの結合特性を結合モード理論により取り扱い,結合係数に関する若干の検討を加えた。