著者
上田 哲也
出版者
国際忍者学会
雑誌
忍者研究 (ISSN:24338990)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.3, pp.14-24, 2020 (Released:2021-09-01)
参考文献数
15

本稿は熊本藩の忍びについて、細川家の史料を元に基礎的な研究を行う事を目的としている。熊本藩の忍びは「御忍之衆」と呼ばれており、寛永五年(1628)頃から活動していた事が諸史料から明らかになった。忍びの頭領を務めていたのは吉田助右衛門で、「御忍之衆」の複数の名簿で筆頭に名前が記されている。 忍具の発注に関する文書は吉田助右衛門によって記されたものだが、忍者関係の史料として非常に価値があるものだと考えられる。この文書には当時実際に使われていた忍具の名称が記されており、いくつかの忍具は『万川集海』や『忍秘伝』のものと名称が一致している事が分かった。またこの文書からは、これらの忍具を鍛冶屋が製作していた事も判明している。 「御忍之衆」は「島原の乱」に参加しており、原城への偵察活動や攻撃を実施している。特筆す べきは「御忍之衆」の一員が、天草四郎の最期に関わっていた事である。
著者
上田 哲司
出版者
北大史学会
雑誌
北大史学 (ISSN:04410874)
巻号頁・発行日
no.54, pp.1-21, 2014-12-20
著者
緒方 奈保子 車谷 典男 上田 哲生 西 智
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

高齢者の眼科健診「藤原京EYEスタディ」を行い2868人(男性1513 人、平均年齢76.3±4.9)が受診した。年齢とともに視力が低下していたが、平均矯正視力はlogMAR0.048で、視力低下(logMAR>0.2)は6.6%であった。白内障術後は19.5%。認知機能検査MMSE平均は27.3±2.3、認知機能低下あり(23点以下)は5.7%で、年齢、視力低下、学歴と関連を認めた。加齢黄斑変性(AMD)患者66例における血漿PEDFは10.2±3.14μg/mlとコントロール群8.23±1.88μg/mlより高く(p<0.01)、PEDFがAMDの発症に関与している可能性が示唆された。
著者
上田 哲也
出版者
国際忍者学会
雑誌
忍者研究 (ISSN:24338990)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.5, pp.1-14, 2022 (Released:2023-09-01)

本稿は近世大名家臣団の研究事例として本多家を取り上げ、この本多家が召し抱えた忍びについ て考察を行う事を目的とする。本多家は譜代大名として明治維新まで存続していたが、途中で断絶 しなかった事で多くの史料が残されている。本稿ではこれらの史料を用いて呼称、人員、職掌など に関する検討を行った。 呼称の考察からは、本多家には「忍同心」と「関東忍」と呼ばれる二つの忍びの組が存在してお り、本国と江戸に分かれて活動を行っていた事が判明した。家臣の考察では、最初に召し抱えられ た忍びが徳川家康から本多忠勝に与えられた兵の一人であった事が明らかになった。また、忍びの 役職だけで代々仕え続けられた家臣は少なく、途中で役替えとなった忍びが複数いた事が確認され た。 これらの忍びに与えられた職務には、探索、城の警備、城下町での事件調査、家中の調査などが あり、時代の推移と共に活動内容が変化した様子も明らかになった。
著者
上田 哲行 架谷 成美 西屋 馨 宮川 泰平 嶋田 敬介 福富 宏和 水田 陽斗 酒井 亮輝
出版者
石川県立大学
雑誌
石川県立大学研究紀要 = Bulletin of Ishikawa Prefectural University (ISSN:24347167)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-10, 2019-03

絶滅危惧種イカリモンハンミョウは、日本では九州と本州だけに分布する。本州では能登半島の1カ所の海岸にのみ生息する。能登半島では一時絶滅したと考えられていたが、1994 年に現生息地の海岸で再発見された。2012 年から2018 年に行った成虫調査では、再発見当初1800 頭近い個体数が記録されていた海岸北部で最初の3年間はほとんど発見されない状態が続き、その後、緩やかに増え始め2018 年に急増したことが確認された。海岸南部と中央部では、最初の2年間は発見当初とほぼ同じ個体数が維持されており、2014 年から急速に増えたことが確認された。このように能登半島の個体群は、ここ数年は増加傾向にあるが、2010 年前後の著しい個体数低下がボトルネックとなり、遺伝的多様性が低下していることが示唆されている。
著者
上田 哲司
巻号頁・発行日
2019-03-25

北海道大学. 博士(文学)
著者
草光 紀子 一恩 英二 中野 光議 上田 哲行
出版者
日本雨水資源化システム学会
雑誌
Journal of Rainwater Catchment Systems (ISSN:13438646)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.27-34, 2017 (Released:2019-08-06)
参考文献数
29

Aquatic fauna found in 21 man-made biotopes that were established in agricultural and rural development projects in rural areas in Ishikawa Prefecture, Japan, were surveyed. A total of 117 species were captured or observed, including nine species of amphibians, 14 species of fish, 75 species of aquatic insects, ten species of crustaceans, and nine species of mussels and snails. Mostly aquatic insects made up the 38 species of odonates found. In addition, 24 coleopteran species and ten hemipteran species were discovered in the biotopes. The Red Data Book of Japan lists Rana nigromaculata, Cipangopaludina chinensis laeta, and Oryzias latipes latipes as endangered species, and these species were captured in 18, eight, and six out of 21 biotopes, respectively. In addition, two nonindigenous invasive species, Procambarus clarkii and Rana catesbeiana, were captured in 11 and six biotopes, respectively. The numbers of species varied greatly among biotopes, ranging from four to 59, suggesting that the effect of biotope on biodiversity was not uniform.
著者
佐藤 綾 上田 哲行 堀 道雄
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.21-27, 2005
参考文献数
16
被引用文献数
1

1. 石川県羽咋郡甘田海岸において, 打ち上げ海藻を利用する小型動物相と, それを餌とする高次捕食者であるイカリモンハンミョウ成虫の捕食行動を調査した.海浜性のイカリモンの成虫は, 石川県では6月中旬&acd;8月に見られ, 砂浜の汀線付近で餌探索する.2. 打ち上げ海藻より採集された小型動物には, ハマトビムシ科の幼体, ヒメハマトビムシ, フトツヤケシヒゲブトハネカクシ, ケシガムシ属が多く見られた.3. イカリモンの成虫の捕食行動を, 個体追跡により観察した結果, イカリモンは, ハマトビムシ類の幼体を多く追跡あるいは捕食していた.また, 砂浜に埋めたピットホールトラップからは, 多くのハマトビムシ類の幼体が得られた.4. 本研究より, 打ち上げ海藻(一次資源)-ハマトビムシ類(腐食者)-イカリモン(捕食者)という砂浜海岸における生物間関係の一つが明らかとなった.
著者
上田 哲司
出版者
吉川弘文館
雑誌
日本歴史 (ISSN:03869164)
巻号頁・発行日
no.835, pp.33-49, 2017-12
著者
上田 哲也
出版者
国際忍者学会
雑誌
忍者研究 (ISSN:24338990)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.2, pp.24-34, 2019 (Released:2020-09-01)
参考文献数
18

本稿ではこれまでほとんど知られていなかった『忍之巻』を忍術書と考え、その内容の解読を試みている。他の伝書類と 比較し分析してみると、『忍之巻』に記されている幾つかの武器は柔術に由来している事が分かった。忍者は柔術などの武術を学んでいたと考えられるが、これらの武術が記されている忍術書は非常に少ない。その点から考えると、『忍之巻』は貴重な史料だと言えるのではないだろうか。
著者
吉田 清香 皆巳 幸也 上田 哲行
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.13-17, 2004 (Released:2005-12-16)
参考文献数
16

Marsh water was chemically analyzed in four habitats of Nannophya pygmaea Rambur in Ishikawa Prefecture, Japan. Somewhat acidic water (pH 5.7-6.4) was observed in one marsh, while the others often showed a higher value of pH (6.0-10.4). This result implies that suitable pH range for a habitat of the species is fairly wide including such a higher category, rather than recognized so far. Enrichment of mineral constituents such as Ca2+ compared to rainwater suggested that the marsh water was mainly supplied with ground water.
著者
神宮字 寛 上田 哲行 角田 真奈美 相原 祥子 齋藤 満保
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.219-226, 2010-06-25 (Released:2011-06-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究では,フィプロニル系殺虫剤を播種時と移植時に施用した水田において,育苗箱施用殺虫剤がトンボ科アカネ属におよぼす影響を調査した.さらに薬剤の散布時期の違いが害虫防除効果におよぼす影響について検証した.圃場実験では,移植時処理区,播種時処理区および無処理区をそれぞれ3区画ずつ,合計9区画の実験区を用意した.水田のフィプロニル最高濃度値は,播種時処理区で1.20ppb,移植時処理区で1.45ppbを示した.フィプロニルを散布した区では,無処理区に比べてアキアカネの羽化個体数が大きく減少することが明らかとなった.また,その影響はアキアカネ以外のトンボ類にも及び,移植時処理区では無処理区に比べ,アカネ属とアオイトトンボ科のトンボ成虫が減少した.アキアカネの羽化個体数,アカネ属幼虫および他のトンボ類成虫の出現個体数から,移植時処理に比べると播種時処理では,殺虫剤によるトンボ類の減少がわずかに抑えられた.
著者
上田 哲男 小畠 陽之助
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.91-99, 1985-05-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Biological cell is the smallest system in which energy is transformed and information is processed autonomously. This complex and fascinating system is in the far from equilibrium state, and hence can manifest self-excited oscillations. Here we will describe rhythmic locomotion in amoeboid cells, oscillatory responses to chemical stimuli and rhythmic morphogenesis. Their biological and biophysical implications are discussed.
著者
上田 哲司
出版者
北海道大学大学院文学研究院北方研究教育センター
雑誌
北方人文研究 (ISSN:1882773X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.99-118, 2022-03-25

近代の名望家に関する従来の研究では、彼らを近世の豪農層から連続する存在と理解する傾向が強かった。しかし近年では、近代になって新たに勃興した名望家がいることが確認され、改めて近代的な存在として名望家を把握しなおすことが提起されている。 近代的な存在として名望家の把握を試みた時、北海道は非常に重要なフィールドである。なぜなら、北海道の、特に内陸部においては、明治になって大挙して押し寄せた移民たちによって新村落の形成が相次いで行われたのであり、ここに登場した名望家たちには、近世以来の地縁的な連続性は一切ないからである。しかし、現在、北海道の名望家研究は量的に乏しい。それは、彼らが名望家としてよりも、北海道の開拓者として把握されてきたことが一因と思われる。 以上の研究史的背景を踏まえ、筆者は、北海道における名望家研究の事例を積み上げる必要を痛感した。しかし、そのためには、なによりもまず、名望家に関する史料を発掘しなければならない。そこで筆者は、北海道大学の関係者たちとともに、北広島市エコミュージアムセンターが収蔵する阿部仁太郎関係資料の調査に取り組んできた。仁太郎は、明治時代に豊平村(現在の札幌市豊平区)に入植し、近代的な名望家へと立身した人物である。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大のため、調査の中断が余儀ないものとなった。 そこで今回は、仁太郎の豊平入植以前の動向について、北海道立図書館・国立公文書館などの収蔵資料を用いて明らかにしていこうと思う。本稿においては特に、近代的な名望家となった仁太郎が、貧困層の出身であったことを明らかにする。この成果は、名望家と豪農は必ずしも連続しないことを、間接的に示すであろう。
著者
市野 順子 磯田 和生 上田 哲也 佐藤 玲美
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.1162-1173, 2015-04-15

本稿では,インタラクティブディスプレイの角度(0°・20°・45°・90°)が人々の社会的な行動に与える影響を探る.フィールドスタディでは,約4カ月間にわたり合計900人以上の来場者の量的および質的データを収集した.本研究から以下のことが明らかになった:(1)知的好奇心の高い来場者の注意を誘うには水平に近いディスプレイが効果的である.しかしディスプレイ空間にすでに人がいる状況では垂直が効果的である.(2)タッチジェスチャータイプのインタラクティブ展示を,時間をかけて体験してもらいたい場合は水平あるいは垂直が効果的である.特にルーペ機能を含む場合は垂直が有効である.(3)来場者は0°~45°のディスプレイ空間にいるとパーソナルスペースを意識しやすく,45°に近い方がそのサイズが大きい.コンテンツを介した人と人のコミュニケーションを促したい場合には,垂直のディスプレイが有効である.また,調査結果全体から,45°のディスプレイは,必ずしも0°と90°の中間的な性質を有した「無難」な角度ではないことが示唆された.これらの知見は,ミュージアムのインタラクティブ展示や,その他の公共の空間に設置するディスプレイを設計する際に有用である.
著者
西内 悠祐 上田 哲史 川上 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.186, pp.41-46, 2003-07-08
参考文献数
3
被引用文献数
1

トーラス(準周期解)はリミットサイクル(周期解)のネイマルク・サッカー分岐によって起こり,このネイマルク・サッカー分岐は3次元以上のシステムで存在する.しかし,3次元自律系システムでトーラスを実現することは非常に難しい.我々は変形BVP発振器という3次元自律系発振器でこのトーラスを発見した.本報告では,この発振器でみられたトーラスと分岐現象について説明している.