著者
中村 一明
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山.第2集 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.8-20, 1969
被引用文献数
2

Examples are presented in which arrangement of lateral and post-caldera cones indicates the probable regional stress field in the late Quaternary. Izu-Oshima, Hakone and Fuji are among the larger stratovolcanoes to the southwest of Tokyo, the former two having collapse calderas on their summit. Parasitic and post-caldera cones and craters of the three volcanoes are following a trend of similar direction, some of them being produced by fissure eruptions on their flank. The zones trend in the direction of about N 35° W at Fuji, N 45° W at Hakone and N 30° W at Oshima. Dikes are also found in these zones running mostly parallel to them. The trend of fissures of fissure eruptions on the flanks of Fuji and Oshima is also similar to the zones of recent activity. Because sites of flank eruption are regarded as points where radially formed dikes around the central magma column have penetrated the flank, the above described distribution of craters in these volcanoes would indicate a concentration of radial dikes in a specific direction at the three adjacent volcanoes. Considering that dikes are fossil tension cracks formed perpendicularly to the axis of the minimum principal compressional stress, the concentration of parasitic craters can be explained by the stress field caused by the pressure increase in the magma column superimposed on the preexisting regional field with the maximum principal stress axis in a NW direction. The nearly identical, preexisting stress field in the three adjacent volcanoes suggests that the field is part of a more regional one including the area of the volcanoes. This suggestion is strongly supported by the presence of active, conjugate strike-slip faults in the same general area, i.e. on the Izu-peninsula. The maximum compressonal axis indicated by the faults is again in a direction of about N 30° W and oriented horizontally. The last movement of the fault system was observed in 1930, at the time of the Kita-Izu earthquake, whose magnitude was 7.0.
著者
阿部 雅人 杉崎 光一 中村 一樹 上石 勲
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.1, no.J1, pp.217-220, 2020-11-11 (Released:2020-11-18)
参考文献数
15

積雪状態を評価することは,建物の屋根の雪下ろしや路上などでは除雪など路面状態の管理のために重要である.特に積雪深の評価は目視で行う以外にはレーザーなど高価なセンサを利用する必要がある.近年深層学習などの画像処理技術が向上しており,監視カメラなどの画像を利用して積雪状態を評価する検討が多く行われている.特に,沿線カメラによる路面や路肩の監視画像は,撮影場所が固定されているため位置情報は明確であり,画角の変化も比較的少ない.本研究では,監視カメラを利用した路肩にある積雪の積雪深の評価についてAI手法を適用した.
著者
李 瑾 阿部 雅人 杉崎 光一 中村 一樹 上石 勲
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.1, no.J1, pp.210-216, 2020-11-11 (Released:2020-11-18)
参考文献数
13

近年、低頻度降雪地域では、降雪の際に、道路での車両の大規模滞留が見られる。道路管理者による異常事態の監視や路面状態の判別は、主に目視で行われているため、異常検知の効率がやや低い。本研究は、道路管理者が迅速に異常検知や処理判断をするための支援ツールとして、ドライブレコーダーの画像をもちいて、道路路面を「乾燥」、「湿潤」、「浸水・冠水」、「湿雪」、「圧雪」の 5種類へ目視分類した教師データを作成した。また、自動で路面状態を判別する AIモデルを構築し、昼と夜を合わせた 26199枚の画像で検証した結果、概ね 85%の正答率であった。
著者
中村 一明 笠原 慶一 松田 時彦
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
地震研究所研究速報
巻号頁・発行日
vol.8, pp.73-90, 1964-09

昭和39年6月16日新潟地震調査概報
著者
中村 一雄
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.16-26, 1958-05-30 (Released:2010-06-30)
参考文献数
28

1) オイカワ卵の発育と水温との関係について実験をおこなつた。2) オイカワ卵のふ化は15.3℃と18.9℃の間から28.7℃と31.7℃の間が適温で, その範囲は相当広く, なかんずく18.9-27.4℃が最適温度である。3) オイカワ卵のふ化可能の低温の限界は11.0-15.3℃の間であり, 高温の限界は33.5℃前後である。4) オイカワ卵のふ化適温範囲内において水温 (θ) とふ化日数 (T) との関係はTeaθ=Kの公式に適合し, これよりaloge=0.5103, a=0.1175, K=1,705, Q10=3.24の値を得た。5) オイカワ卵のふ化日数と水温との関係は次のごとくである。 平均水温 (℃) 11.0 15.3 18.9 21.4 23.1 25.8 27.4 28.7 31.7 33.3平均ふ化日数 - 8.56 5.52 4.10 3.40 2.19 2.16 1.89 1.73 1.576) オイカワ卵のふ化日数と水温の相乗積はふ化適温範囲内においては水温の上昇するにしたがい減少する傾向がある。7) 千曲川におけるオイカワの産卵期の水温とオイカワのふ化適温とは一致する。8) オイカワのふ化稚魚の浮上水温は31.8-20.1℃までは適温範囲内にあつたが, 20℃以下は明らかになし得なかつた。 また33.6℃は適温外であつた。9) オイカワのふ化稚魚の浮上日数と水温との関係は適温範囲内においてはTeaθ=Kなる公式が適用できてaloge=0.032, a=0.0742, K=1.472, Q10=2.12の値を得た。10) オイカワのふ化稚魚の浮上日数と水温との関係は概略次のごとし。 平均水温 (℃) 20.1 22.0 25.9 27.5 28.8 31.8 33.6 平均浮上日数 6.8 6.3 4.6 4.1 3.4 2.8 2.411) オイカワのふ化稚魚の浮上日数と水温の相乗積は水温の上昇するにしたがい減少する。12) オイカワのふ化適温範囲はコイ, フナ, ワカサギと同じく広く, しかもメダカとともに最も高水温に適する種類である。13) オイカワは自然水域において16.7℃の低温まで繁殖する可能性があると考えられる。
著者
鬼塚 俊明 中村 一太 平野 昭吾 平野 羊嗣
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.73-78, 2019 (Released:2019-12-28)
参考文献数
5

幻聴が起こるメカニズムは単純なものではないが,症状と関連のある脳構造・脳機能研究を行うことは重要と思われる。本稿では我々が行った研究で,幻聴の重症度と関連のあった脳部位・脳機能研究での結果を紹介する。脳構造研究では,外側側頭葉の亜区域を手書き法にて測定し,体積を測定した。幻聴のある患者群で左の上側頭回は著明に小さく,左中側頭回,左下側頭回でも有意に小さいという結果が得られた。すなわち,幻聴のある患者群は幻覚のない患者群に比べ,左半球優位(特に上側頭回)に体積減少があることが示唆された。 声に対するP50mの研究では,左半球の抑制度と幻聴のスコアに有意な正の相関を認めた(ρ=0.44,p=0.04)。つまり,人の声に対するフィルタリング機構の障害が強い統合失調症者ほど,幻聴の程度が重度であるということが示唆された。さらに,聴覚定常状態反応の研究では,80 Hzのクリックに対する左半球のASSRパワー値と幻聴の重症度に有意な負の相関を認めた(ρ=‐0.50,p=0.04)。つまり,左半球の80 Hz‐ASSRの障害が強い統合失調症者ほど幻聴の程度が重度であるということが示唆された。 今後,脳構造・脳生理学的研究は統合失調症の病態解明のアプローチとして一層重要になっていくと思われる。
著者
中村 一晴
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.73-89, 2009-03-01

本稿は、中世から神仏分離に至るまで仏教的神号として通用していた大明神号が何時頃誕生し、どのような過程で仏教と結びついてきたのかを、同時代の仏教から見た神祇信仰を追いながら考察したものである。第一章では、十世紀には大明神号が存在していたことを、『住吉神社神代記』以下の史料から明らかにすると共に、『門葉記』所引史料や東寺観智院旧蔵本『三宝絵』に見える大明神号が何時頃成立したのかについて考察する。第二章では、『御堂関白記』の中で他の神とは違う地位を与えられていた大明神とはいかなる神であったのかという点について考察し、十一世紀の神にはすでに仏菩薩の化身とする信仰が存在していたが、仏菩薩のように直接衆生を救済するのではなく、護法の役割が期待されていたことを明らかにする。第三章では、十二世紀に成立した史料を扱い、『悲華経』を典拠として釈迦が末法中に大明神として現ずるという説が『注好選』に見えており、そこでは神が仏菩薩の垂跡として認められながらも、仏菩薩と同じ救済の機能は認められておらず、結局は神を信仰することが否定されているということを述べた。その上で、同じく十二世紀前半に成立した『今昔物語集』でも神は積極的に認められていないが、その一方で神の「本地」である具体的な仏菩薩が設定されるのがこの時代であって、神が仏菩薩と同様に結縁し、往生を願う対象となっていくことを明らかにした。
著者
中村 一基
出版者
岩手大学
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:09172874)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.175-184, 1993

研究ノート(1)では,日本人の言語感覚について,言語と沈黙という対峠関係を突き抜けるように,沈黙の言語があり,またその向こうに,失語という言語主体から遊離した言語の問題あることを,沈黙の意味性の把握を中心に考案した。その結果,日本人の言語感覚には,言語に対する二律背反的な感覚があり,その根底に言霊信仰がいまも生き続けていることを論じた。本稿では,「忌み言葉と差別語」をとりあげ,言語のタブー化という事態の背景に,日本人の「穢れ」の感覚と言霊の観念が色濃く影をおとしていることを考察した。
著者
中村 一基
出版者
岩手大学
雑誌
岩大語文 (ISSN:09191127)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-9, 2006

日本において、《遺骨》はどのような思想史的な意味の中に置かれたのか。そのことを考える視点として、釈迦の遺骨(=仏舎利)に焦点を当てる。このことを考えることは、仏教をめぐる《聖遺物信仰》を考えることでもある。仏像が《偶像崇拝》を象徴するように、仏舎利は仏像以前からの《聖遺物信仰》の象徴であった。その意味で仏舎利信仰は仏教のもっとも根源的な信仰の姿を伝えている」(内藤榮「「仏舎利と宝珠」展概説」、奈良国立博物館編『特別展「仏舎利と宝珠-釈迦を慕う心」』、二〇〇一年一七二頁。本稿の基本的な構成・趣旨は、この概説に沿っている。)仏舎利を納める仏塔とともにアジアへ広がった。遺骨の聖性は釈迦に限定された特殊なものだったのか。《遺骨》は舎利信仰と接触することで、聖性への契機を掴んだのでないか。山折哲雄氏は仏教と結びついた舎利崇拝は、上層階級に受け入れられ、漸次一般に浸透していったが、「あくまでも「仏」という特定のカリスマの「舎利」にたいする崇拝」であり「例外的な遺骨崇拝」である(「死と民俗-遺骨崇拝の源流-」『死の民俗学』岩波書店、一九九〇年、四八頁)という前提に立ちながらも、五来重氏の元興寺極楽坊の納骨器研究に着日'、「わが国における仏舎利崇拝と納骨信仰とが共通の文化的土壌から生み出された同血の信仰形態であるということに、とくに注意喚起しておきたい」(同、六〇頁)と述べておられる。筆者も仏舎利崇拝と我が国における遺骨崇拝に基づく納骨の習俗とが、接点をもっているのではないかと考える。本稿は、そのことを明らかにするために、印度・中央アジア・中国・朝鮮・日本と釈迦の遺骨が《仏舎利》という崇拝の対象として辿った道筋を、日本の仏舎利信仰を中心に歴史的に俯瞰しながら、日本の《遺骨崇拝》形成にどのような思想的接触を持っていったかを探りたいと思う。ただ、「日本の舎利信仰は舎利は釈迦の遺骨である」という常識を一度払拭しないと理解できないほど、複雑に入り組んでいる」(内藤榮、前掲概説、同頁)のも事実である。
著者
中村 一明
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 = Bulletin of the Earthquake Research Institute, University of Tokyo (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.711-722, 1984-01-14

富山トラフ以東の日本海東縁の大陸斜面と陸上の瑞穂摺曲帯よりなる日本海東縁変動帯は北米・ユーラシア両プレート間の1~2Ma前以降の収束(力学)境界域であるという考えが説明される.日本海盆東縁と富山トラフ内に点在する凹地を連ねた地帯は沈み込みを示唆する構造を伴うので新生の海溝である可能性がある.
著者
中村 一樹 森 文香 森田 紘圭 紀伊 雅敦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_683-I_692, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
21

近年,道路整備の方針は歩行者中心の多機能な空間整備へと転換が求められているが,従来の歩行空間整備は個別の機能に注目しており,多機能性を包括的に評価する手法が確立されていない.そこで本研究では,歩行空間の機能別のデザインが包括的な知覚的評価に与える影響を特定することを目的とする.まず,歩行空間整備のガイドラインをレビューして,多様なデザイン要素を機能別に整理した.そして,全国の整備事例のデザイン要素の水準を指標化し,道路タイプごとにデザイン要素の特徴を類型化した.最後に,各機能のデザインの知覚的評価のアンケート調査を行い,その意識構造について共分散構造分析を行った.この結果,歩行者は歩行空間デザインの機能に階層的なニーズを持ち,これを考慮した機能間のデザインの組合せが重要であることが示された.
著者
篠塚 和正 和久田 浩一 鳥取部 直子 中村 一基
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.143, no.6, pp.283-288, 2014 (Released:2014-06-10)
参考文献数
50

ATPは様々な細胞から遊離されるが,ATPとその代謝産物のアデノシン(ADO)をアゴニストとする受容体もほとんどの細胞の細胞膜上に存在している.したがって,遊離された ATPやADOは,自身または隣接した細胞の受容体に作用し,異種細胞間の共通した細胞外シグナル分子として相互作用(クロストーク)に寄与している可能性がある.血管交感神経終末部にADO(A1)受容体が存在し,交感神経伝達を抑制的に調節していることはよく知られているが,筆者らはα1受容体刺激により血管内皮細胞から ATP やADO が遊離されること,これがノルアドレナリン(NA)の遊離を抑制することを見出し,逆行性のNA遊離調節因子として機能している可能性を報告した.また,培養内皮細胞の ATP(P2Y)受容体を刺激することにより,内皮細胞内のカルシウムイオンレベルが増加するとともに細胞の形状が変化し,細胞間隙が増大して内皮細胞層の物質透過性が増加することを見出し,ATPが生理学的・病態生理学的な透過性調節因子として機能している可能性を報告した.一方,ヒト線維芽肉腫由来細胞(HT-1080)からATPが遊離されることを見出し,これが血管内皮細胞のP2Y受容体を刺激して細胞内カルシウムイオンレベルを増加させることを明らかにするとともに,このような内皮細胞の反応ががん転移機序の一部に寄与する可能性を報告した.さらに,HT-1080のADO(A3)受容体刺激により,cyclin D1発現量の低下を介した抗がん作用が現れることを見出し,内皮細胞がA3受容体を細胞拮抗に利用している可能性を示唆した.このように,内皮細胞を中心としたATPによるクロストークは多様であり,組織の生理学的・病態生理学的機能変化を総合的に理解する上で,クロストークの役割の解明は重要であると考えられる.