著者
安部 真教 中村 清哉 比嘉 達也 大久保 潤一 垣花 学
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
pp.14-0035, (Released:2015-09-25)
参考文献数
11

今回,有痛性糖尿病性神経障害の下肢痛に対してプレガバリンの漸増中に低血糖の頻度が増加し,インスリン投与量の調節に難渋した症例を経験した.症例は50歳,女性.有痛性糖尿病性神経障害で両下肢痛としびれがあった.プレガバリン50 mg/日の眠前内服を開始し,75 mg/日に増量後に眠気・ふらつきが出現したため,内服量を50 mg/日と75 mg/日の交互に変更した.鎮痛効果は高かったが,低血糖の頻度が増加したため内科へ入院となった.入院期間27日中の低血糖は11回,そのうち朝に9回発生した.インスリン投与量は,持効型が入院期間中に22単位から18単位に,超速効型が毎食後7単位から5単位に減量された.糖尿病性神経障害の治療は,高血糖を予防し,厳重に血糖管理を行うことが重要である.痛みの治療経過中に低血糖の頻度が増加し,血糖管理に難渋した.インスリン過量,インスリン感受性の改善が低血糖の原因として考えられた.
著者
藤波 直人 古賀 妙子 森嶋 彌重 早田 勇 中村 清一 菅原 努 ZAKERI Farideh
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第49回大会
巻号頁・発行日
pp.115, 2006 (Released:2007-03-13)

低線量放射線の健康影響調査の一環として、ラムサール高自然放射線地域住民の外部被ばく線量調査を行った。2005年に2回、高自然放射線地域(Talesh Mahalleh)の住民15名と対照地域(Katalom)の住民10名に電子式個人線量計を1日間携帯してもらい、その間の積算線量を調べた。また、NaI(Tl)サーベイメータを用いて屋内外の線量率を測定し、居住係数を用いて積算線量を推定し、実測値との比較・検討を行った。さらに、同じ住民にOSLバッジを約1箇月間携帯してもらい、その間の積算線量を調べた。 2回行った電子式個人線量計から得られた線量には良好な相関が認められ、これらの実測値と屋内外の線量率からの推定値の間にも良い相関が認められた。したがって、電子式線量計によって得られた1日間の積算線量は妥当であると考えられる。 しかし、OSL線量計バッジによる1箇月間の測定から得られた線量には、電子式個人線量計から得られた線量や、屋内外の線量率から推定した線量とは大きく異なる値が認められた。これは、線量計を長期間常に身に付けるのは非常に煩わしく、着替え・脱衣等の際に外され、部屋の片隅に置かれたままになったことが原因と考えられる。Ramsarの高自然放射線地域では、自然放射性核種濃度の高い建材が住居のどの部分に使用されているかで、屋内の線量率は不規則に大きく変化するため、線量計が置かれてしまった場所によって、結果が大きく変動することになる。 したがって、屋内外の線量率の測定と行動パターンの聴き取り調査による推定値で確認を行えば、感度の良い電子式線量計による1日間程度の測定を季節毎に複数回実施する方が、長期間の測定を行うよりも信頼できる個人線量が得られる可能性がある。
著者
横山 由衣 玉那覇 亜紀子 島袋 雄樹 中村 清哉 又吉 達
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.H2-178_1-H2-178_1, 2019

<p>【症例紹介】複合性局所疼痛症候群(以下、CRPS)に関する治療は様々な報告がされているが、有効な治療方法は確立されていない。今回、外傷後に生じたCRPSにより慢性的な上肢痛と日常生活に支障をきたす症例を経験した。本症例は更衣動作を1人でできるようになりたいという目標があった。疼痛は自発痛だけでなく運動イメージ時にも出現した為、機能的側面だけでなく認知的側面に着目し、段階的な課題設定を行い、理学療法を展開した結果、疼痛軽減、疼痛頻度の軽減がみられた。本症例について考察を交え報告する。</p><p>30歳代、女性、Ⅹ-1ヶ月交通事故で受傷し、事故直後は右上下肢に疼痛・痺れが出現し、上肢の自動運動が困難であった。徐々に下肢症状は改善するも上肢の激痛は持続し、X年にCRPSと診断された。他院でリハビリテーションを行っていたが疼痛増強のためX+2年一時リハビリテーション中断された。X+3年に当院ペインクリニック外来を受診し、外来リハビリテーションで理学療法を開始した。現在まで、腕神経叢ブロック注射後に理学療法を1~2週間に1回実施している。</p><p>【評価とリーズニング】X+3年、視診では皮膚・爪に萎縮性変化及び皮膚色変化、浮腫・皮膚乾燥の症状を認めた。疼痛は右頸部から肩甲骨周囲にかけて灼けるような痛み、上肢にかけて電気が走るような痛みがあった。頸部・上肢・手指の運動イメージだけでも疼痛・不随意運動があった。NRS3~10/10点と変動的であった。Short-Form McGill Pain Questionnaire-2(以下、SF-MPQ-2)87/220点で特に間欠的で32点、神経的で29点であった。Neuropathic pain symptom inventory(以下、NPSI)では44/100点となり、誘発痛10/10点、異常感覚・知覚障害7/10点であった。患側上肢の自動運動は不可であった。SF-8™スタンダード版により30/42点であった。これらの評価よりADL・IADLでは介助を要す状態であり、目標である更衣動作では患側上肢の袖通しが一番の課題となった。</p><p>【介入内容および結果】X+3年、機能的側面アプローチとしてROMex実施した。手指を中心に患側上肢を他動的に動かし、運動方向をイメージしてもらいながら健側上肢で同様の動きを模倣・注視するよう促した。患側上肢のイメージのみでも疼痛増悪、不随意運動が出現した為、認知的側面へのアプローチも必要と考えられた。X+3年5ヶ月から運動イメージ時の疼痛改善を目的にメンタルローテーションを実施した。段階付けとして文字や図形から開始し、手の写真を用いた。解答時間の短縮、正答率に合わせて徐々に角度を増やし、手指・手関節から肘関節、肩関節を含めた複合的な画像へと難易度を設定した。これを健側から患側へと難易度の設定を行った。次に上肢帯の複合的な動作や頸部の各運動方向を多角的に撮影した動画を用いて3人称の運動イメージの強化を図った。徐々に運動イメージ時の疼痛が自制内となった為、次の段階として自己身体(1人称)においても同様のイメージが出来るよう促した。上肢帯の運動イメージでは疼痛が消失したが頚部のイメージは疼痛増強を認め、介入継続が困難であった。X+4年の生活状況は患側上肢の自動運動はみられないものの、コンタクトレンズを入れる、靴下を履くことが可能となっていた。X+5年1ヶ月からmirror therapyを開始した。観察から他動運動・触刺激(体性感覚)、自動運動と難易度を設定し実施した。患側上肢のイメージ、疼痛軽減が図れた為、現在は目標である更衣動作を意識し、触刺激(袖通しの感覚と探索課題)を中心に理学療法を行なっている。認知的側面に対し、段階的な理学療法を施行することで疼痛軽減、疼痛頻度の軽減に繋がったと考える。高取<sup>1)</sup>らは、身体図式の再構築が良好な運動イメージ形成に貢献し、安静時VAS値の低下を示したと述べている。本症例においても良好な運動イメージ形成により疼痛軽減に繋がったことが示唆された。X+6年の生活状況は更衣動作における変化点は少ないが友人との外出頻度が増えるなど生活範囲が拡大している。</p><p>【結論】CRPSによる慢性疼痛に対して認知的側面に着目し、段階的な課題設定を行い、理学療法を施行した。これらが疼痛軽減、疼痛頻度の減少に繋がったと考える。CRPSに対する理学療法は確立されたものがなく、様々な疼痛発生機序を念頭に置きながら過去の事例報告を踏まえ効果検証を積み重ねていくことが重要であると考える。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本研究は、当院倫理委員会にて承認を得た。患者にはヘルシンキ宣言に基づいて文書と口頭にて目的、方法、個人情報保護、不利益等について説明し同意を得て実施した。</p><p>文献<sup>1)</sup>高取克彦、他:脳卒中後CRPS type1に対する運動イメージプログラム(MIP)の試み―1事例研究デザインによる予備的研究―</p>
著者
中村 清
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
VIRUS (ISSN:18843425)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.198-203, 1954-09-25 (Released:2010-03-16)
参考文献数
20

It is the well established fact that after the recovery from the typical course of the Tsutsugamushi disease the patients acquire the solid immunity against it which was proved to last at least for a decade or thereover. However, in regard to the aspect of the immunity development in the case in which the disease was suppressed with antibiotics as soon as the specific symptoms became manifest, there remains much to be made clear.The author, in order to make this aspect clear, made some trials on human beings. Namely the patients of general paralysis, which had to receive the fever treatment, were infected with the inoculation of the virus of the Tsutsugamushi disease, Pescadores strain, of certain titer of mouse LD 50, and received the drug therapy with antibiotics to recovery at the various stadium of the disease. The investigation of the immunity development just mentioned was performed upon them. A part of the results obtained is presented preliminary in this paper as the first report. Namely it can be described summarily as follows.1. The experimental minimal infectious dosis (M. I. D) of the virus of the Tsutsugamushi disease to human beings is of approximate value to mouse LD 50 titer of it.2. Below the M. I. D., the virus cannot elicit the immunity development at all in the human body, althogh it had certainly invaded into it.3. The specific symptoms of the disease become just manifest when the invaded virus multiplied somewhere in the body to such an extent to elicit the rickettsiemia of approximately 10-2 LD 50.4. The patient is far more sensitive to the drug therapy with antibiotics at the height of the disease or still later than at the beginning of it.5. The specific reaction of the site of the skin, where the virus had certainly been inoculated, can sometimes be failed, though the inoculated person contracted the disease typically.6. A certain correlation can be observed between the length of duration of the disease and the degree of rise of OXK agglutinin titer.
著者
高橋 大樹 伊藤 秀昭 澤 繁美 中村 清彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.658, pp.25-30, 2006-03-16
参考文献数
7

機械学習の一つである強化学習は条件付けのモデルとして提案された計算モデルである。中脳のドーパミン細胞活動が強化学習における時間差分予測誤差を表現しているという報告がされている。また、近年、確率的に報酬が与えられる場合、不確実さを表すドーパミン細胞活動が示された。本研究の目的はこの不確実さの活動を計算モデルを用いて再現する事である。大脳基底核の計算モデルとして強化学習を仮定し、正の時間差分予測誤差より負の時間差分予測誤差を重視して学習を行う事で不確実さを表す活動を再現する事ができることを示す。また、このモデルが人間の行動特性であるプロスペクト理論の一部をも再現できる事を示す。

1 0 0 0 OA 小中村翁日記

著者
小中村清矩 自筆
出版者
小中村清矩
巻号頁・発行日
vol.明治26年, 1895
著者
小中村清矩 自筆
出版者
小中村清矩
巻号頁・発行日
vol.[8], 1894
著者
佐藤 浩昭 中村 清香
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.281-291, 2018-05-05 (Released:2018-06-07)
参考文献数
14
被引用文献数
4

MALDI-TOF-MSは高分子材料の化学構造解析に有力な手法であるが,ポリエチレンオキシド(PEO)系界面活性剤などのイオン化効率が高い成分が共存していると目的成分のピークが観測されにくくなるという課題があった.そこで水に難溶のトリヒドロキシアセトフェノンをマトリックスに用いて試料/マトリックス混合結晶を調製し,その上に水/メタノール混合液を滴下して速やかに吸引することにより,PEO系成分を選択的に除去できる簡便な前処理法を開発した.この方法を洗髪剤の成分分析に応用し,妨害成分であるPEO系アニオン性界面活性剤(ラウレス硫酸ナトリウム)を除去して,配合成分のピークが観測できるようになった.得られたマススペクトルをKendrick mass defect(KMD)プロットに変換して成分分布を二次元展開したところ,様々なPEO系非イオン性界面活性剤の組成分布やPEO-水添ヒマシ油の共重合組成分布を明らかにすることができた.また,紫外線硬化塗料に含まれるPEO系界面活性剤を除去して,ウレタンアクリル系成分の化学構造情報を得ることができた.本法は,工業製品の配合情報を簡便かつ詳細に得ることができるスクリーニング手法として有効であると思われる.
著者
松岡 桓準 平 徳久 中村 清香 勝山 雄志 吉岡 正人
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.200-207, 2014-09-20 (Released:2016-09-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1

アスコルビン酸は生体にとって不可欠な成分であり,化粧品分野においても抗酸化作用をはじめとする様々な生理機能を求めて多くの製剤に配合されている。しかし,アスコルビン酸は非常に不安定な物質で,しばしば着色・着臭をはじめ乳化系の破壊や製剤の粘度低下の原因となる。今回われわれは,アスコルビン酸とグリセリンを結合させた2種類のグリセリル化アスコルビン酸を開発した。これらはB16細胞を用いたメラニン生成抑制試験において高いメラニン生成抑制効果を示した。また,in vivoの連用試験ではグリセリン由来の保湿効果を示し,肌表面の紋理を整え,乾燥による目尻の小じわを目立たなくした。さらに,水溶液や粘性製剤において高い安定性を示すことも確認された。これらの結果よりグリセリル化アスコルビン酸は既存の誘導体と同様の生理活性を有するだけでなく,化粧品市場に求められる付加的機能を併せ持った保湿型アスコルビン酸誘導体であることが確認された。
著者
小中村清矩
出版者
巻号頁・発行日
vol.[2],
著者
安部 真教 中村 清哉 比嘉 達也 大久保 潤一 垣花 学
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.533-536, 2015 (Released:2015-11-07)
参考文献数
11

今回,有痛性糖尿病性神経障害の下肢痛に対してプレガバリンの漸増中に低血糖の頻度が増加し,インスリン投与量の調節に難渋した症例を経験した.症例は50歳,女性.有痛性糖尿病性神経障害で両下肢痛としびれがあった.プレガバリン50 mg/日の眠前内服を開始し,75 mg/日に増量後に眠気・ふらつきが出現したため,内服量を50 mg/日と75 mg/日の交互に変更した.鎮痛効果は高かったが,低血糖の頻度が増加したため内科へ入院となった.入院期間27日中の低血糖は11回,そのうち朝に9回発生した.インスリン投与量は,持効型が入院期間中に22単位から18単位に,超速効型が毎食後7単位から5単位に減量された.糖尿病性神経障害の治療は,高血糖を予防し,厳重に血糖管理を行うことが重要である.痛みの治療経過中に低血糖の頻度が増加し,血糖管理に難渋した.インスリン過量,インスリン感受性の改善が低血糖の原因として考えられた.
著者
小中村清矩 自筆
出版者
小中村清矩
巻号頁・発行日
1894
著者
中村 清 宇津井 雄三 前田 忠男
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.540-546, 1967

The authors had given, in their previous paper, the optimum conditions for the decomposition of <I>N</I>-methyl compounds into methyl iodide in hydroiodic acid in the microdetermination of <I>N</I>-methyl group with volumetric finish.<BR>In this paper, more sophisticated methods with gravimetric finishes using solid absorbents were investigated in place of the volumetric finish.<BR>Measurement of the weight increase of the heated silver granules caused by the absorbed iodine, which had been given after the combustion of methyl iodide, was prefered to give satisfactory results in a routine analysis, while that of the molecular sieve 13-X resulted by the absorbed methyl iodide required a further investigation concerning significantly high(+) error with certain compounds.
著者
中村 清 宇津井 雄三 二之宮 靖子
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.86, no.5, pp.404-409, 1966-04-25

Examination were made on gas chromatographic detection of approximately sixty kinds of nitrofuran derivatives. With the exception of a few compounds, majority of these derivatives were found to be detectable without decomposition.
著者
森慧 西沢和夫 高野博史 中村清実
雑誌
画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2011)論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.599-604, 2011-07-20

接触型の指紋認証には,指表面の状態等により認証精度が低下するという問題があるため,非接触型指紋認証の開発が行われている.しかしながら,非接触型指紋認証では,指紋画像の隆線と谷線間のコントラストが小さく特徴量が抽出しにくい問題や,入力された指紋画像に指の位置ずれ,傾き,回転が生じることで認識率が低下する問題がある.本研究では,LOG フィルタを用いて指紋画像のコントラストの問題に対応する,局所特徴量を用いた非接触型指紋認証法を提案する.本手法では,局所特徴量として,Histograms of Oriented Gradients(HOG)特徴量および局所輝度特徴量を用いる.また,指の回転が与える影響について調査を行い,指の回転変化への許容性を明らかにした.
著者
土門 晃二 中村 清
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、インターネット上での違法ファイル共有の実態について調査を行い、経済学的な視点から制度的および理論的な分析を行った。調査を行った地域は主にアジア地域(中国、韓国、台湾、ベトナム)であり、アンケートとインタビューによって発展途上国と先進国での違いを明確に出来た。特に、ベトナムを中心的に調査を行った。中国以上に違法コピーが多い国で、経済の発展レベルも調査国の中で一番低い。ミュージシャンや作曲家、マネージャー、放送関係者、大学生に数度にわたりインタビューを行い、途上国では違法コピーによる利害関係が先進国と大きく異なり、多くのミュージシャンが違法コピーによるプロモーション効果(ライブ・ステージのための)に依存していることが明らかになった。また、インターネットを利用する取引費用(回線速度やプロバイダー費用)が大きく、違法CDの利便性が上回っていることも判明した。また、理論的な分析として、違法コピーが存在する場合の価格戦略、コピー・コントロールを利用した価格戦略、および放送における権利問題などを行った。コピー・コントロールに関しては、価格差別を行うことによって、生産者、需要者ともに利便性が増すことを証明した。これらの成果は、海外の主要な専門雑誌と書籍、国内外のセミナー、コンファレンスなどで発表を行っており、充実した研究が実施されたものと自負している。また、調査に関連した新聞記事がベトナムで掲載され、学術的な領域を超えて、社会一般の関心を集めることにも成功した。