著者
関 雅樹 田中 宏昌 堤 要二 山下 和敏 中野 聡 西村 昭彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.686, pp.79-89, 2001-09-20
参考文献数
12
被引用文献数
1

本論文では, 東海道新幹線のような基幹鉄道橋りょうの洪水時における安全性確保にあたり運転を規制する方法と規制値等を定めるための新しい手法を提案する. 一般的に, 洪水時の運転規制は, 水位と橋脚幅から推定される洗掘深さから算出される危険水位等を観測して実施されている. しかし, 橋脚の安定には基礎耐力が重要である. 洗掘により基礎耐力が低下すると橋脚の固有振動数が低下することに着目し, 橋脚の洗掘深さと固有振動数の関係を数値解析により把握し, 衝撃振動試験による実測固有振動数から橋脚の安定性を評価する手法を提案した. 評価手法も含めた洪水時の安全管理システムは, 新幹線富士川橋りょうにおいて実効性と信頼性を確認したが, 道路橋においても適用可能である.
著者
若林 上総 中野 聡 加藤 哲文
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.145-156, 2016-03-25 (Released:2017-06-22)
参考文献数
15

研究の目的 定時制課程の高等学校において、生徒の課題遂行を高めることを目的とした行動コンサルテーションを実施し、介入厳密性(treatment integrity)を保つのに必要となる支援の検討を行った。研究計画 2学級を対象としてA-B-C-CD-CDEデザインで実施した。場面 定時制高等学校の数学Iの授業に介入した。参加者 コンサルタントとして特別支援教育コーディネーター、コンサルティとして教職経験4年目の数学Iの教科担当、クライエントとして教科担当が指導する2つの学級に在籍する生徒35名が参加した。介入 教科担当の介入厳密性を高めるために、2度の打ち合わせ、遂行する教授行動の毎朝の確認、パフォーマンス・フィードバック、台本の提示を行った。行動の指標 授業ごとの生徒の課題遂行率および教師の教授行動の遂行率を測定した。結果 介入とともに発達障害の生徒を含む各学級の生徒の期間ごとの課題遂行率が上昇の傾向を示した。それに応じて教師の介入厳密性も高まった。結論 コーディネーターの働きかけが教師の教授行動に与えた影響が示唆された。考察 コンサルテーションで生じた教師の教授行動の変容の要因、生徒の課題遂行率の上昇との関連を議論した。研究の限界として厳密な場面の統制ができなかった。
著者
三好 茂樹 河野 純大 白澤 麻弓 磯田 恭子 蓮池 通子 小林 正幸 小笠原 恵美子 梅原 みどり 金澤 貴之 中野 聡子 伊福部 達
出版者
The Society of Life Support Engineering
雑誌
ライフサポート = / the Society of Life Support Technology [編] (ISSN:13419455)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.146-151, 2010-12-30
参考文献数
7
被引用文献数
1 4

Deaf or hard-of-hearing people need support services such as real-time captioning. It is fairly common for captionists to be unable to perform captioning services. In order to address this problem, we proposed a Mobile-type Remote-captioning System. The main characteristic of our system is to use two functions of one mobile phone (e.g. the iPhone 3G/3GS, Apple Computer, Inc.) at the same time. The two functions are to display the captions input by the captionists (data communications) and to call the captionists to transmit the speaker's speech to the captionists (telephone call). The purpose of our research was to make clear the differences with the existing system, and to discover the advantages and faults of our system. In this study, we investigated these issues using a questionnaire for captionists who had used our system. As a result, we found that our system is suitable for a situation in which the speaker and the deaf or hard-of-hearing person are communicating while walking together (e.g. excursions, plant tours), whether indoors or outdoors. In addition, it reduces the stress that can be caused to deaf or hard-of-hearing children by having adults (captionists) other than teachers in the classroom.
著者
片山 裕 白石 隆 清水 展 中野 聡 リヴェラ テマリオ アビナーレス パトリシオ
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

2007年4月から2010年3月の3年間に及ぶ海外学術調査であり、フィリピンにおいてマルコス政権の独裁体制に参加したテクノクラートへの聴き取り調査と、当時の資料を発掘・データベース化を行った。インタビューは、合計16名を対象に、延べ36回にわたって実施された。インタビューは映像・音声・文書の形で、デジタル化された発掘資料(シックスト・ロハス文書、アーマンド・ファベリア文書)とともにフィリピン大学付属図書館で保管され、しかるべき時期に一般に公開される。
著者
上原 景子 HOOGENBOOM RAY 金澤 貴之 大杉 豊 中野 聡子
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

音声認識技術を活用した聴覚障害学生支援では,聴覚障害者の英語の読みの特性に即した英語字幕呈示が望まれる。聴覚障害者の英語の単語認知や読みは聴者と異なり,語彙情報アクセスでは音韻表象に依存せず,意味表象が重要な役割を果す。音声認識英語字幕の呈示では,日本語と異なり,1行当たりの単語数が少ない頻繁な改行は適切でなく,ピリオドのみでの改行かピリオド・カンマでの改行を,英語力や字幕の内容・難易度を考慮して行うのが望ましいと考えられる。
著者
上原 景子 金澤 貴之 フーゲンブーム レイモンド 中野 聡子 山田 敏幸
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究の主な目的は、聴覚障害児の英語学習促進を支援する手立てとして、英語字幕の呈示方法と授業で使われる英語の視覚化の方法を開発することである。障害者差別解消法の施行を背景とした聴覚障害児支援のあり方と英語教育改革実施を目指す英語教育の変化を視野に、英文を読む際の眼球運動測定の実験や聴覚障害児に聞き取りやすい口頭英語のあり方の実験、小中高の英語の授業の実態把握、聴覚障害をもつ大学生や英語上級者への英語学習経験についての調査を行った。それらの結果に基づいて、「コミュニケーション能力の育成」を目指す新しい英語の授業における聴覚障害児の支援についての提案を行う。
著者
永原 陽子 鈴木 茂 舩田クラーセン さやか 清水 正義 平野 千果子 中野 聡 浜 忠雄
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、「植民地責任」という従来の歴史学になかった概念を試論的に提示し、脱植民地化研究におけるその可能性を探った。「植民地責任」論は、かつて植民地支配を受けた地域の人々から近年になって出されている、植民地支配にかかわって生じた大規模暴力に対する謝罪や補償への要求等の動きを、歴史学の問題として受け止めたものである。そこでは、植民地体制下、あるいは植民地解放戦争などの中でおこった大量虐殺等の大規模暴力が、「戦争責任」論において深化・発展させられてきた「人道に対する罪」として扱われている。そのような趣旨の訴訟等を比較検討した結果、植民地支配の歴史をめぐって、主体に解消されない、「個人」や「民族」主体、その他様々なアクターが形勢してきた新たな歴史認識を見て取ることができた。植民地主義の歴史にかんするこうした新たな歴史認識は、植民地支配の直接の前史としての奴隷貿易・奴隷制にも及ぶものである。こうした歴史認識・歴史意識の変化は、政治的独立とは別の意味での「脱植民地化」現象ととらえることができる。このことから、本研究では、「植民地責任」論を「脱植民地化」研究を主体論的にとらえるための方法と位置づけた。植民地体制下の大規模暴力の少なくない部分は、「人道に対する罪」に代表される、「戦争責任」論の論理によってとらえることが可能である。しかし、そのような法的議論が対象とすることのできない歴史的現象、また「罪」の指標には該当しない、日常化した植民地体制の問題も、植民地支配を経験した人々の生にとってはきわめて重要なことであり、本研究は、「平時」と「戦時」の連続性の中において大規模暴力を理解し、それを通じて、脱植民地化を16世紀以降の長い世界史の中でとらえ直すための方法として「植民地責任」論を提示し、その有効性を確認した。