著者
佐々木 隆生
出版者
北海道大学公共政策大学院
雑誌
年報 公共政策学 (ISSN:18819818)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.81-114, 2011-03-31

Japanese articulation of higher education with high school education has depended upon entrance examinations of each university. It is very particular compared with other industrialized countries. As younger population has been decreasing since 1992, selective powers of universities to applicants have declined. Japanese system of the articulation has faced a turning point, and must introduce a new test to evaluate level of general education in high school.
著者
大島 令子 佐々木 隆士 秦 信輔 島野 高志
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.830-834, 2009-08-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
9

【目的】肛門周囲膿瘍(以下本症)に対する十全大補湯投与の効果につき,後方視的に検討した.【方法】2001年11月より2005年12月の間に外来を受診した本症患児に,切開・排膿による局所処置を主とする従来の治療に加えて十全大補湯を投与した(投与群,n=61).これらの症例における治療期間,治癒までの外来受診回数,再発率,手術移行件数について,それ以前の期間(1998年1月から2001年10月)に従来の治療のみを行って治療した症例(非投与群,n=44)とで比較した.【結果】両群間で男女比,初診時月齢に有意差を認めなかった.治療期間は非投与群:投与群=1.4±1.6:2.1±2.2か月と有意に非投与群で短かった(p<0.05).治癒までの外来受診回数(6.76±5.06回:6.51±3.68回),再発率(7/44例(15.9%):7/61例(11.5%))には有意差を認めなかった.一方保存的治療に抵抗し手術を行った件数は,非投与群で9/44例認めたのに対し,投与群では0例であった(p<0.01).また,2か月以上の長期に治療を要した症例(非投与群17例,投与群35例)に限って月平均の外来受診回数をみると,4.4±2.0:2.7±0.8回で有意に投与群が少なかった.【結語】肛門周囲膿瘍に対し,十全大補湯投与による明らかな治療期間の短縮,外来受診回数の減少,再発率の低下は認められなかったが,慢性化症例に関しては,外来受診回数が減少し,手術に至る症例がなくなるなどの効果が期待されることが示唆された.
著者
佐々木 隆治
出版者
一橋大学
雑誌
一橋社会科学 (ISSN:18814956)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.129-152, 2009-08

マルクスの物象化概念については、「人間と人間の社会的関係が物象と物象の社会的関係として表れる」という定義が定着している。だが、この定義が一面的にとらえられ、物象化がたんなる認識論的「錯視」として理解される場合も少なくない。本来、物象化概念は「錯視」という次元に収斂できるものではない。物象化概念においては、生産物が物象として「主体」となり、逆に生産者が「客体」となるという事態が実践において存立することが含意されているはずだからである。「錯視」はこの実践的関係の結果として生じるにすぎない。本論文は、このような物象化論の核心を、価値形態論における「商品語」の比喩をつうじて明らかにするものである。価値形態論においては形態ばかりに目が奪われがちであるが、同時にその形態においてどのような実践的関係が存立しているかが問われなければならない。このことを明らかにすることによってこそ、商品自身が自分だけに通じる言葉で語るという、「商品語」の比喩も明らかになる。労働生産物を商品として交換しあう社会においては、それぞれの具体的な私的労働は物象の関係をつうじて人間的労働として確証され、そういうものとして実際に編成される。もちろん、この事態がその意識に物象をつうじてしか現象しえない人間たちは、この「商品世界」固有の論理を「知らない」。しかし、にもかかわらずこのメカニズムの中でそれを支える実践を日々「行う」のである。このような意味で、商品語の比喩は、人間の行為をつうじて無意識的に人間の実践を規制する必然的メカニズムが成立するという実践的な転倒を表現するものに他ならない。いわゆる「取り違え」や「錯視」はこの実践的な転倒の基礎のうえに起こるのであって、その逆ではない。それゆえ、『資本論』の物象化論を総体として把握しようとするならば、商品語の比喩で述べられた論理を決して見落としてはならないのである。
著者
小寺 淳 佐々木 隆史 大森 謙司
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.126, no.2, pp.121-127, 2005 (Released:2005-10-01)
参考文献数
42
被引用文献数
7 6

環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(cyclic nucleotide phosphodiestease,以下PDEと略す)は,細胞内セカンドメッセンジャーである環状ヌクレオチド(cAMPおよびcGMP)を分解し,そのシグナル伝達を調節している.哺乳類ではPDEは11種類のファミリーを形成しており,その阻害薬は様々な疾病の治療に使用されている.カフェインやテオフィリンなどは100年以上も前に発見された非選択的なPDE阻害薬であり,現在でも医薬品として用いられている.この約20年間にPDEの体系的解析が進み,PDE5阻害薬やPDE3阻害薬などPDEファミリー選択的な阻害薬が開発された.これらの阻害薬はそれぞれ男性性機能障害や急性心不全などの治療薬として使用されている.またPDE4阻害薬は慢性閉塞性肺疾患や喘息の治療薬として開発され,海外では現在新薬承認申請中である.一方,遺伝子工学的アプローチにより見出されたPDE(PDE7~11)は,特異的な組織局在あるいは発現レベルが比較的低いといった理由から発見が遅れた.しかし,ユニークな組織局在のゆえに魅力的な創薬ターゲットになる可能性が期待され,各製薬会社や大学においてノックアウトマウスの解析や選択的阻害薬の研究が進められている.
著者
沖 良篤 酒田 威志 内山 直樹 佐々木 隆 三友 俊輝
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.68, no.672, pp.2269-2276, 2002-08-25
被引用文献数
1

In high-Reynolds number flow problems, very fine and stretched grids are generally required to resolve accurately thin boundary layers developed along the body surface and so the application of the tetrahedral unstructured grids has several difficulties in computational efficiency and solution accuracy. One promising approach is to use a hybrid unstructured grid technique for the boundary layers; prism, pyramid, tent and tetrahedron. In this paper, the hybrid unstructured grid technique is incorporated into a CFD-based design system, CASPER. To validate the present CFD codes, we carried out the Reynolds-Averaged Navier-Stokes simulations of a military aircraft configuration such as an F-16A in both subsonic and supersonic regions. On wing surface pressure coefficient distributions, longitudinal, lateral and directional forces and moments, the present computed results are quantitatively compared to the wind-tunnel testing data, the Euler computed and the multi-block structured N-S computed results.
著者
田代 怜 末政 直晃 佐々木 隆光 永尾 浩一 伊藤 和也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00184, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
27

新たな液状化対策工法として,改良費用が安価かつ狭隘地においても施工可能な工法の開発が求められている.本研究では産業副産物を母材とする安価な微粒子を用いた微粒子注入工法の実用化を目的とし,高炉スラグ微粉末を用いた非セメント系微粒子注入材の開発を試みた.まず,ジオポリマーやドロマイトの固化原理に着目し,複数の微粒子を用いた供試体を作製し,一軸圧縮試験を行うことで強度特性から適した配合を模索した.最適な配合において水粉体比等の注入条件を変えた一次元注入実験を実施することで浸透性や改良効果を把握した.結果,半水石膏・高炉スラグ微粉末・酸化マグネシウムを用いた配合において1年以内では強度低下は起こらず,液状化対策に必要な改良強度を持つこと,水粉体比や注入流量によって改良効果が異なることを確認した.
著者
イスラム エムディ・サイフル 佐々木 隆 ナハル・チョービ カニズ・カムルン
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.327-335, 2011-12-25
参考文献数
15

バングラデシュのブロイラー生産の大部分は,小規模農家により担われているが,その形態は独立小規模生産と契約生産に大別され,後者はインテグレータの性格により企業型とNGO型とに分けられる.しかし周辺諸国とは異なりバングラデシュでは契約生産の成長はみられていない.その原因は,当初導入されたインテグレータの戦略つまり信用取引型の契約生産が農民行動と整合しなかったことによる.契約生産では双方が契約を遵守することが前提となるが,生体取引が中心の場合は特に市場価格と契約価格の乖離が契約違反を引き起こす引き金となりやすい.このため,周辺諸国では契約遵守システムの設計に力がそそがれてきたが,バングラデシュでは,インテグレータが採った契約生産システムが農民の契約違反を引き起こし,結果的に信用取引型契約生産の解体につながった.その後,インテグレータは契約違反を起こしにくい現金取引型の契約生産に変えたが,参加農民にとっての利益は小さく契約生産は停滞したままである.しかし今後増大する鶏肉需要を満たすためにも契約生産の拡大は期待されている.インテグレータには,信用取引型契約システムに戻り参加農家を増やすことが求められている.