著者
黄川田 翔 吉田 直人 佐野 千絵
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.100, no.2, pp.74-81, 2016-02-01 (Released:2016-06-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

Illuminance and exposure time are controlled to avoid rapid deterioration of museum objects. However, it is possible that the effect of harmful ultra-violet rapiation and visible light on objects is evaluated incorrectly by integrated illuminance. In this report, an evaluation method for light exposure levels for museum objects is discussed. Exposure tests of textiles with different light sources were conducted, and the progress of deterioration of the textiles was evaluated with two different light exposure level indexes : integrated illuminance and effective radiant exposure. The results show that effective radiant exposure can be used to evaluate light exposure levels causing damage to textiles more accurately. Furthermore, this paper proposes a new method that corrects illuminance and integrated illuminance. The new method easily improves the precision of evaluating light exposure levels with conventional integrated illuminance.
著者
佐野 千絵 工藤 昌弘 中濱 正利 佐野 勇介 下村 景太 佐野 芳一 楢松 雅裕 橋本 視法
出版者
社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
埼玉理学療法 (ISSN:09199241)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.47-51, 2005 (Released:2005-07-29)
参考文献数
15

当院では膝前十字靭帯断裂に対しての再建術として,平成12年6月よりDouble-Looped Semitendinosus and Gracilis Graft(以下DLSTG)移植術を採用している。リハは術前より介入し,術後翌日より全荷重許可,膝装具不要,14日以内の独歩獲得を基本方針とするプロトコールを作成した。プロトコールを実施し,術後4ヶ月以降膝の安定性および全可動域の獲得,大腿部筋力の患健比(健側の80%以上)の回復,競技に必要な能力の獲得が確認され次第主治医が許可し,早期スポーツ復帰が可能となった。
著者
渡邊 明義 津田 徹英 早川 泰弘 三浦 定俊 淺湫 毅 中村 康 佐野 千絵 斎藤 英俊
出版者
独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

彩色文化財の技法と材料について、日本とドイツの美術史研究者、伝統技術者、自然科学者が共同して研究調査を行った。研究期間中は互いの研究者が双方の国を毎年一回ずつ訪問し、あらかじめ選定しておいた現地で詳細な調査を行い、シンポジウムを開催し討議を行うなどして研究をすすめた。研究対象は、ドイツ側では主に南ドイツ(バイエルン地方)の中世彩色木造彫刻を取り上げたが、日本側では彫刻に限らず、絵画、工芸、建造物など広く関心を持って調査を行った。また彩色文化財そのものだけでなく、彩色に用いる顔料の製造工場や、金箔工房など、また各地の修復工房や作業現場でも調査研究を行い、彩色材料やその技法、修復技術への応用などについても相互の理解を深めるようにした。顔料分析については、ドイツにおいてはサンプリングによる試料の分析を積極的に行ったが、わが国の文化財については試料採取が困難なために、現場で試料を採取しないでそのまま顔料分析できるポータブル蛍光X線装置を開発した。この手法は対象作品表面からの測定になるため、彩色層に顔料を混合して用いているのか複数の顔料層か分析結果からだけでは判別できないが、実体顕微鏡を用いた観察と組み合わせることによって、確度の高い情報を得ることができた。本研究を通して、報告書に示すように多くの研究成果をあげることができた。一例としては、源氏物語絵巻物の顔料分析を初めて行い、白色顔料に従来想定されていた鉛を含む白色顔料(おそらく鉛白)だけでなく、カルシウムを含むもの(おそらく胡粉)、軽元素しか含まないもの(おそらく白土)、それにこれまで知られていなかった水銀を含む顔料の4種類を用いていることや、日本の彫刻彩色に緑色顔料として岩緑青以外に、砒素と銅を含むものや軽元素だけの顔料を用いていることを、初めて明らかにしたなどをあげることができる。
著者
小島 浩之 上田 修一 佐野 千絵 安形 麻理 矢野 正隆 吉田 成 内田 麻里奈 森脇 優紀 冨善 一敏 設楽 舞 野中 治 木部 徹 島田 要
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、記録媒体として紙に次ぐ歴史を有するにもかかわらず、これまで学術的な観点から調査・研究がなされてこなかったマイクロフィルムについて、図書館等への訪問実態調査(33機関)、および図書館と文書館への質問紙調査(大学図書館:1,378、都道府県立図書館:58、国立国会図書館:1、公文書館:75、大学文書館:88、専門図書館:380)を基軸とし、生産・出版・保存・活用・管理等の諸側面から総合的に分析した。
著者
三浦 定俊 早川 泰弘 木川 りか 佐野 千絵 宮越 哲雄
出版者
独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

我が国の科学技術黎明期資料が、江戸時代から明治時代のはじめにかけて当時どのような材料と技術を用いて造られたかについて、これまでほとんどなされていなかった科学的観点からの実証的な調査研究を行った点が、本研究の特色である。幸いにも東京文化財研究所には、国立科学博物館に寄託されたトヨタコレクションが保管されていたので、コレクションをよそへ移動せずにその実証的な研究が可能となった。本研究では、資料のX線撮影にX線デジタル画像装置を利用した。この装置はダイナミックレンジが広く、通常の写真フィルムでは撮影が困難な、材質や厚みの著しく異なる資料の撮影に最適であった。また現像の手間が掛からないデジタル処理なので、点数が1,300点にも上るトヨタコレクションであっても効率的に研究し、本書に示すような成果を上げることができた。また今回の特定領域研究には大勢の研究者が関わっていたので、調査成果を速やかに整理して、デジタル画像をコピーして配布するなど、X線デジタル撮影の特長を生かして、本研究は「江戸のモノづくり」の特定領域研究全体に貢献することができた。この他、武雄市図書館・歴史資料館の所蔵する、二十人代武雄領主鍋島茂義(皆春齋、1800〜62)が収集した顔料の調査を行った。資料館の所有する茂義のコレクションの中には、当時の包みのままの絵の具が多数残されている。他に類例のない大変貴重なもので、資料館の協力を得て、それらの絵の具を整理・分類して分析し、当時どんな名称の下にどんな顔料が使用されていたか明らかにすることができた。
著者
高妻 洋成 降幡 順子 脇谷 草一郎 福永 香 佐野 千絵 吉田 直人 犬塚 将英 小川 雄一 大谷 知行 林 伸一郎 水野 麻弥
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

ミリ波およびテラヘルツ(THz)波を用いた文化財の非破壊非接触診断技術の開発研究をおこなった。THz波については種々の材料のTHz分光スペクトルを取得し、材料分析のための基礎データを作成した。彩色文化財に対してTHz波イメージングおよびミリ波イメージングを応用するための基礎実験をおこなうとともに、木製彩色文化財および漆喰壁画に対してイメージングを実施した。ミリ波およびTHz波は文化財の表層にある程度侵入して、その内部構造を可視化することが可能である。さらにTHzイメージングでは、パルス波を用いることで、時間領域分光法により断面構造や任意の深さにおける平面的なイメージングも可能である。障壁画などの彩色層下にあってある程度の厚みをもつ下地漆喰などの状態や表具や額装などの絵画の構造について、従来、得ることのできなかった情報を非破壊で知ることが可能となった。
著者
安形 麻理 小島 浩之 上田 修一 佐野 千絵 矢野 正隆
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.129-147, 2014-12-31

本稿の目的は,4年生大学図書館,大学院大学図書館,国立国会図書館,都道府県立図書館に悉皆質問紙調査を行うことにより,日本の図書館におけるマイクロ資料の保存の現状を把握することである。902件(回収率62.8%)の有効回答と予備調査4件の合計906件を分析した結果,回答館の52.3%にあたる474館がマイクロ資料を所蔵していた。マイクロ資料を所蔵している回答館のうち,47.5%がマイクロ資料を長期保存の媒体と位置付け,30.0%が1年に1回程度以上の頻度で受け入れを続けていること,11.4%の図書館で所蔵数が把握できていないこと,44.3%の図書館で代表的な劣化であるビネガーシンドロームが発生しているが,24時間の空調管理は31.6%,湿度設定は22.7%のみで可能であることなどが明らかになった。ビネガーシンドロームは加水分解により発生,進行するため,湿度の管理が非常に重要となるが,根本的な対策である環境改善が進んでいない現状が確認された。
著者
増田 勝彦 佐野 千絵 川野邊 渉
出版者
東京国立文化財研究所
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

紙の風邪引き現象は、水に対する挙動が斑点状に不均一になることである。その斑点部では、親水性が特異的に高くなっており、膠と明礬の混合液であるド-サ塗布を繰り返してもなかなか、水滲性を克服できない。風邪引き箇所は、通常光下では不可視であり、ド-サ塗布後乾燥して水を塗布した時に初めて、斑点状に水滲箇所が観察出来る状態となる。生物的な要因:風邪引き箇所と健全部の化学分析により比較したところ、アミノ酸の一部に有為な差が認められた試料と認められなかった試料が混在している。繊維表面の物理的変化:X線マイクロアナライザーにより塗布した硫酸銅の挙動は、風邪引き箇所に集中している。試料の示す分析結果が、同一でないので、単一な理由で風邪引き現象が生起されるのではないことが、予想される。風邪引き現象の発現率調査は、文化財修復工房、日本画家の協力を得て行っているが、必ずしも湿度環境だけが原因とは考えられない状況である。
著者
三浦 定俊 石崎 武志 肥塚 隆保 川野邊 渉 佐野 千絵
出版者
独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

はじめに高松塚古墳、キトラ古墳におけるこれまでの環境測定データを整理してまとめた。特に高松塚古墳については、発掘後、約30年間の温度データを下に、石室内の温度が80年代以降の外気温上昇の影響を受けて上がってきたことを明らかにした。また高松塚古墳の墳丘部の土質や水分分布を調査し、墳丘部の土の間隙の約半分は空気で占められる不飽和状態になっていることがわかった。あわせて墳丘土の水分特性を調べたところ、これと平衡となる相対湿度は100%となることがわかり、これまでの石室内での相対湿度の測定結果が裏付けられた。古墳石室内の生物的環境については、高松塚古墳・キトラ古墳の壁面を覆っているゲル状の汚れはカビ、バクテリア、酵母からなるいわゆるバイオフィルムであることを明らかにした。また石室内外から試料を採取し、菌類や酵母、バクテリアについて遺伝子配列解析による分子レベルの系統解析を行った。その結果、両古墳で類似のものもあるが、特にバクテリアについては優占種が異なっていることがわかった。古墳保存施設をどのように管理すべきか検討するために、キトラ古墳の施設を例に施設管理の手法とその効果についての検証を進めた。その結果、施設内大気中浮遊菌の量の推移と種類の相同性から、室内大気の動きを把握する手法を確立した。