著者
野村 康弘 倉本 宣
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究論文集 (ISSN:13459597)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.73-78, 2005-11-03 (Released:2010-06-04)
参考文献数
17
被引用文献数
3 4

本研究では多摩川に生息するカワラバッタについての分布状況と生息地間の移動に関して調べた. 分布調査の結果, 生息地が39ヶ所確認され, 本種は多摩川において連続的に生息していることが確認された. 標識再捕獲調査の結果, 標識数4641匹のうち85匹が生息地間を移動していたことが確認された. また, 総個体数と砂礫質河原面積には正の相関, 移出率と砂礫質河原面積には負の相関があった. 本種の通常起こりやすい移動距離を300mとしたbuffer-1と最大値の810mのbuffer-2を各生息地に発生させたところ, 本種の地域個体群が多摩川の河口から52.6~53.2km付近で大きく分断化されていることが推測された. 本種の保全のためには分断化されている地域個体群のネットワークをつなげることが重要と考えられた.
著者
三島 らすな GARDINER Tim 倉本 宣
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.196-199, 2019-05-31 (Released:2019-12-27)
参考文献数
15
被引用文献数
3

ウラギクは塩性湿地に生育するキク科の植物で,東京都においては絶滅危惧IB 類に指定されている。本研究では,東京都立葛西臨海公園の護岸を対象に,ウラギクの分布規定要因を明らかにすることを目的とした。護岸の測量調査と植生調査の結果,当護岸には満潮時に塩分の含まれた水に浸ることがあるエリアと,普段水に浸ることがないエリアが存在し,ウラギクはどちらにも生育していた。ウラギク個体が存在する箇所には基質の堆積が見られ,基質の堆積は本種の生育に必要な条件となっている可能性が考えられた。護岸において基質の堆積を考慮するという観点は,我が国において,水域と陸域の間の移行帯特有の植生を保全及び再生する上で重要なものだと考える。
著者
園田 陽一 倉本 宣
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.41-49, 2008 (Released:2008-09-10)
参考文献数
34
被引用文献数
13 9

本研究では,森林の孤立化が非飛翔性哺乳類の種組成に与える影響について明らかにすることを目的とした.調査対象地を,森林の孤立化の程度により,3つの孤立傾度(山地林,連続林,孤立林)に分類し,各孤立傾度あたり3ヶ所の調査地を選定した.2005年と2006年の4∼10月にかけて獣道に自動撮影カメラを設置し,非飛翔性哺乳類の種組成および存在量を分析した.各調査地における種の出現の有無をnMDSおよびクラスター分析により分析したところ,生息地利用タイプは(1)山地林に高い頻度で出現する山地性種,(2)山地林および連続林に出現する丘陵地性種,(3)山地林,連続林,孤立林のいずれにも出現する広域性種,(4)山地林および連続林に局所的に出現する局所性種の4タイプに分類された.また,孤立傾度が高まるにつれて種の豊富さは減少した.そのため,山地林や連続林は種の供給源として機能し,孤立林はジェネラリストの重要な生息地として機能する.生態的ネットワーク計画において,山地林や連続林はコアエリアとして作用し,孤立林はジェネラリスト的な哺乳類の拠点地区として作用すると考えられる.
著者
高田 陽 倉本 宣
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.1915, (Released:2021-04-20)
参考文献数
30

市民科学プロジェクトの関係者の中で、プロジェクトの主催者の利益については明瞭であるが、ボランティアとして参加する市民の利益は多様で分かりにくい。このため、市民の参加動機(期待する利益)を調査することで市民にとっての利益を明らかにし、十分な利益を市民に与えることができるようなプロジェクトの設計を行う必要がある。本研究では東京都鳥類繁殖分布調査島嶼部において島外から伊豆諸島での鳥類ラインセンサス調査に参加した市民を対象に、遠隔地で専門家が市民に帯同する市民科学プロジェクトに対する参加動機の特徴を明らかにすることを目的とした。対象とした市民科学プロジェクトでは、伊豆諸島外に在住する一般市民からの参加者と東京都鳥類繁殖分布調査島嶼部の主催者が調査地に同行し、最長で 4日間共同生活を送りながら調査が実施された。本研究では市民参加者に対する参加動機のアンケート調査、とそれを補完する聞き取り調査を行った。最も多い参加動機はツーリズムに関する「島の自然の魅力」と社会貢献に関する「調査目的への共感」であり、市民が自主的に自然科学を行う「学び」と「調査の楽しさ」や「科学への貢献」が続いた。「友人づくり」や「家族・友人による紹介」などの一般的な人間関係に関する項目は動機として重要でなかった。既往研究と比較し、「調査目的への共感」が高い傾向は一致したが、本調査結果の特徴として「島の自然への関心」と「学び」に関する関心が高い傾向があった。聞き取り調査から「島の自然への関心」が選ばれた理由として、観光的な動機の他に、生物多様性保全上の意義をあげる意見も見られた。「学び」については、聞き取り調査から市民参加者は調査方法の学習に対する関心が高いことが推測された。それぞれ遠隔地という要素と専門家の帯同という要因が影響していると推察された。この結果をもとに生物多様性保全に関わる市民科学プロジェクトの効果的な企画が可能になると考えられる。
著者
伊奈 博彦 倉本 宣
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.627-630, 2003-03-31
被引用文献数
9 4

We investigated ten environment factors of habitat conditions of Lefua echigonia (Endangered Species) in small irrigation streams of Yato during an irrigation period and a non-irrigation period in 2002. Study area was three Yatos in Zushi-onoji Historical Environmental Conservation Area, Tokyo. Then the relationship between the existence of this species and the environmental factors at each period was analyzed. As the result, it was indicated that during the irrigation term, affective factors to the habitat of this species were physical environmental factors, substrate type and the presence of paddy fields on sides of stream. During the non-irrigation term, chemical environmental factors, substrate type and water velocity affected the habitat. Therefore, it was suggested that conservation measures should be different at each period.
著者
宮久保 知和子 上野 達也 倉本 宣
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.553-556, 2001-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
31

絶滅が懸念されているカンエンガヤツリには, 突如大きな個体群を形成する現象が見られる。その現象を本種の種子発芽特性の点から解明するため, 実験室内において10の温度条件と4つの光条件を組み合わせ, 計40の条件区を設定して発芽実験を行った。その結果, 発芽には変温効果が認められ, 発芽に最適な温度条件下においては緑陰感受性は確認されなかった。本種に見られる現象は, 埋土種子集団の形成ののちの撹乱という環境の変化と, 変温効果による種子の裸地検出機構によるものであった。そのため, 本種の保全には埋土種子集団を含む浚渫土等が有効な材料となると考えられる。
著者
上小牧 駿 倉本 宣
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.215-218, 2021-08-31 (Released:2021-12-29)
参考文献数
15

国外移入種アレチケツメイの発芽特性を明らかにするため,発芽実験を行った。また,アレチケツメイの侵入地である安倍川において,同所的に生育が確認された同属の在来種カワラケツメイについても同様の実験を行った。その結果,アレチケツメイはカワラケツメイと比べて,物理的休眠の打破が起こりにくいこと,乾熱への感受性が低いこと,発芽最適温度が高いことが示唆された。アレチケツメイは永続的な埋土種子集団を形成し,相対的に発芽時期が遅い可能性がある。これらのことから,アレチケツメイは一度侵入すると根絶は困難であり,侵入初期やまだ侵入していない河川においては十分な対応が求められる。
著者
赤尾 智宏 倉本 宣
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.218-221, 2022-08-31 (Released:2022-11-22)
参考文献数
25

雑木林の林床の花に着目し,伐採や下草刈りが,開花期間,開花量,訪花昆虫の組成に与える影響を検討した。調査は管理が継続されている狭山丘陵の皆伐更新地で実施した。全期間を通じて70種以上の草本が開花し,各季節を特徴づける種には草原性植物に加えて外来植物や先駆植物も含まれた。後者が優占して調査区画全体の開花量が減少した可能性のある時期もみられた。昆虫としてはハナバチ類やハナアブ類に加えて,それ以外の分類群も多くの植物種に訪花した。開花期間と訪花適性の関係が昆虫の分類群により大きく異なるため,開花植物の時間軸での種多様性も訪花昆虫にとって重要であろう。定期的な植生管理も視野に入れる必要がある。
著者
野村 康弘 倉本 宣
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第51回日本生態学会大会 釧路大会
巻号頁・発行日
pp.528, 2004 (Released:2004-07-30)

カワラバッタEusphingonotus japonicus (Saussure)は、砂礫質河原という植生がまばらな河原に特異的に生息する昆虫である。近年各地で減少が著しく、東京都では絶滅の危機が増大している種と選定されており、一刻も早い対策が求められている。本種は主に被植度の少ない砂礫質河原に好んで生息することが先行研究により報告されているが、それ以外の保全に関する情報は今のところ報告されていない。そこで、多摩川における本種の分布域、個体群の規模、産卵地選好性を明らかにし、保全に関する基礎的知見を得ることを目的とし、研究を行った。 多摩川の砂礫質河原を踏査した分布調査により、河口から47-57kmの範囲で個体群を確認した。また、標識再捕獲法による個体数推定では一つの個体群の平均が371±174(95%信頼区間)個体で、調査を行った場所の全体(6箇所)としては2,296±978個体と推定された。砂礫質河原面積と個体数で回帰分析を行ったところ、正の相関関係(r2=0.85)が認められた。本種の個体数には砂礫質河原面積が影響していることが示唆された。産卵地選好性の研究では飼育箱に本種を20匹放し、6つの異なる環境を設定して行った。環境条件は砂礫構成を1.透かし礫層、2.礫間にマトリックスがあるパターン、3.表層細粒土層があるパターンとし、下層の粒度分布を粗砂、細砂の2つを設定した。卵鞘は合計で23個産卵され、全体で最も多く産卵された環境は、透かし礫層で粗砂の環境であり、全体の43.5%を占めた。さらに、砂礫構成だけでみてみると透かし礫層が最も多く69.6%を占め、下層粒度だけでは粗砂のほうが多く69.6%を占めた。このことから、地面と礫または礫と礫の間に多くの空間が構成され、植生がほとんどない下層の礫径が大きい環境を好むことが推察された。
著者
谷尾 崇 倉本 宣
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.59-63, 2019-08-31 (Released:2019-09-12)
参考文献数
21

In order to investigate the time of initiation of post-diapause development, we reared diapausing larvae of introduced Hestina assimilis assimilis and native H. persimilis japonica, with a photoperiod of 14L-10D under four regimes of constant temperatures (15.0℃, 17.5℃, 20.0℃ and 22.5℃) and one regime of increasing temperature (10.0℃- 28.0℃). On the lowest temperature regime, the larvae of H. a. assimilis awoke slightly earlier than those of H. p. japonica. On the increasing temperature regime, the larvae of H. a. assimilis awoke from 12℃ and showed many individual differences, while those of H. p. japonica awoke from 14℃ with limited individual differences. The larvae of H. a. assimilis probably secure and dominate food resources more quickly and have a higher adaptability to spring climates. Hestina a. assimilis may have spread its distribution range in Japan due to the above factors.
著者
倉本 宣 永井 敬子
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.455-460, 2002-03-30
参考文献数
18
被引用文献数
6 9

桜ヶ丘公園雑木林ボランティアの活動10周年にあたって, ボランティアの自己評価のために, 活動内容と組織形態に対する意識をアンケートによって検討した。活動内容については個人としての評価と活動全体としての評価を比較した。組織形態については理念としての評価と機能としての評価を比較した。活動内容については植生管理と調査は個人としての評価よりも活動としての評価の方が高かった。この結果は, 雑木林ボランティアの現状と対応していた。組織形態については, ボランティアは対等であることの評価が高かった。ボランティアが自分で考えることは機能としての評価が低かった。集団による作業では自分で考えることがむずかしい場合もあると考えられる。
著者
野村 康弘 倉本 宣
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.445, 2005 (Released:2005-03-17)

カワラバッタEusphingonotus japonicus (Saussure)は砂礫質河原という植生がまばらな河原に特異的に生息する昆虫である。近年各地で減少が著しく、東京都では絶滅の危機が増大している種と選定されており、一刻も早い対策が求められている。本種は主に被植度の少ない砂礫質河原に好んで生息することが先行研究により報告されているが、それ以外の保全に関する情報は今のところ報告されていない。そこで、多摩川における本種のメタ個体群を把握し、保全に関する基礎的知見を得ることを目的とし、研究を行った。調査対象地は多摩川の河口から51-59kmの範囲にある14の生息地で行った。調査方法は成虫が出現した時期から、個体に識別番号と個体群の情報をマーキングし、個体コード、性別、捕獲した地点をそれぞれ記録した。調査は2004年7月-10月にかけて行った。総捕獲数は6271匹で、再捕獲数は1630匹だった。その中で生息地間を移動した個体は85匹であった。各個体群の面積と移出率(移出個体数/再捕獲数)を対数モデルで検討したところ、強い負の相関が認められた(R=0.675、p<0.01)。また、出水後の調査により、多摩川における本種の生息地のほとんどが水に浸かるということが明らかになった。以上のことから小さい生息地が多数あることにより、本種の移動、生息地間ネットワーク化を促進し、出水による絶滅回避の確率を高くすると思われる。大きい生息地が少数存在している場合には、大規模な出水により個体群は大きなダメージを受ける可能性が高いことから、本種の保全戦略としては小さな生息地が多数存在するように管理することが重要であると考えられる。
著者
倉本 宣 辻永 和容 斉藤 陽子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.385-390, 2000-05-20
被引用文献数
3 2

多摩川河川敷においてカワラサイコの局所個体群が103箇所, ヒロハノカワラサイコの局所個体群が3箇所発見された。両種の分布は細粒堆積物が薄く, 群落高の低い立地に限られていた。芝の堤防法面においては, カワラサイコは生育していたが, ヒロハノカワラサイコは見られなかった。発芽実験の結果, カワラサイコはシャクチリソバの菜の庇蔭による発芽抑制効果および変温による発芽促進効果を持たないのに対し, ヒロハノカワラサイコは両効果を持っていた。カワラサイコは植被の下でも発芽するのに対し, ヒロハノカワラサイコは植被の下では発芽しないと推測される。この発芽特性の違いが, 芝の堤防法面における分布に影響を与えている可能性がある。
著者
倉本 宣 本田 裕紀郎 八木 正徳
出版者
明治大学
雑誌
明治大学農学部研究報告 (ISSN:04656083)
巻号頁・発行日
vol.123, pp.27-32, 2000-07-30
被引用文献数
12 9

We reviewed the habitats of plants which grow on shingle river beds, based on available literature. They consist of endemics on shingle river beds and plants which grow in dry areas or grasslands. In the floodplain of the Tama River, endemics on the shingle river bed, Aster kantoensis and Ixelis tamagawaensis have been decreasing rapidly. A conservation plan for endemics should be developed and put into practice soon.
著者
阿部 智明 中野 裕司 倉本 宣
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.344-347, 2004 (Released:2005-11-22)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

日本産のコマツナギと中国産のコマツナギをアロザイム分析して対立遺伝子の構成を比較した。対立遺伝子の構成は日本の4つの産地では類似していたが,中国産の種子は大きく相違していた。自生種の使用が求められる地域において中国産コマツナギを用いることには慎重になるべきである。
著者
倉本 宣 古賀 陽子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.340-343, 2004 (Released:2005-11-22)
参考文献数
10
被引用文献数
2 3 2

減少し続けていた多摩川のカワラノギクに新しい局地個体群が発見されたので,保全の観点からどのように対応すべきか検討した。局地個体群の発達と衰退の過程および生育地という生態学的評価からは重要な局地個体群であると考えられた。しかしながら,発見された個体群が自生か植栽起源によるものかの判断はむずかしく,保全の対象とすべきか否かは更なる検討が必要である。
著者
阿部 智明 中野 裕司 倉本 宣
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.344-347, 2004-08-31
被引用文献数
4 2

日本産のコマツナギと中国産のコマツナギをアロザイム分析して対立遺伝子の構成を比較した。対立遺伝子の構成は日本の4つの産地では類似していたが,中国産の種子は大きく相違していた。自生種の使用が求められる地域において中国産コマツナギを用いることには慎重になるべきである。
著者
倉本 宣 芦澤 和也 岡田 久子 知花 武佳
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

河川生態系において出水によるかく乱とそこからの再生は生態系の動的な維持に重要な役割を持っている。多摩川では2007年に大規模な出水が発生したので,出水による生育地の変化と河川敷に生育している植物の生育のかかわりを検討した。調査の対象とした植物は,上流域で岩場に生育するユキヤナギ,中流域の礫河原に生育するカワラノギク,下流域に生育し,かく乱による裸地に依存して生育するウラギク,中流域の水域に生育し,出水によって流下するカワシオグサであり,それぞれ特徴的であった。