著者
内田 一成
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.124-136, 2005-04-30 (Released:2017-06-28)

本論文の目的は、1知的障害者入所施設に導入した、職員のニーズ関連行動の増加とニーズ解決技能の習熟ならびにそれらの組織的結果を強化する6つの行動パッケージからなる、組織的援助システムについての臨床実験の成績を報告し、今後の入所施設サービスについての方法論的枠組みと応用行動分析の役割について議論することである。3ヵ年にわたる研究結果は、この組織的援助システムが施設の専門的援助機能を有意に高め、知的障害や発達障害を有する入所者の適応行動と不適応行動に劇的な改善をもたらすことを示していた。本知見は、この新たなシステムが施設サービスにおいて知的障害や発達障害をもつ人々に最適なQOLを提供するうえで本質的な役割を演じるとともに、地域社会に根ざしたサービスや他の対人援助場面でも適用可能であることを示唆している。
著者
小垣 匡史 伊佐 常紀 村田 峻輔 坪井 大和 奥村 真帆 松田 直佳 河原田 里果 内田 一彰 中塚 清将 堀邉 佳奈 小野 玲
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.5-12, 2020-03-31 (Released:2020-04-10)
参考文献数
28

目的:本研究の目的は,9~12歳の児童において日常的な外遊びと遂行機能の各項目(作業記憶, 認知柔軟性,抑制機能)の関連を性別で層別して調査することとした。方法:神戸市内の公立小学校2校に通う小学4年生から6年生314名を対象とした。作業記憶はDigit Span Test(DST),認知柔軟性はTrail Making Test(TMT),抑制機能はStroop testを用いて測定した。外遊びは自記式質問紙を用いてその頻度を測定し,週3日以上外遊びを行う児童を外遊び高頻度群,週3日未満外遊びを行う児童を外遊び低頻度群とした。児童期における外遊びの特性は性別で異なるため,解析は性別で層別して実施した。統計解析は,目的変数を遂行機能の各項目,説明変数を外遊びの頻度とし,学年で調整した回帰分析を実施後,交絡因子を学年,body mass index(BMI),身体活動量とした強制投入法による重回帰分析を実施した。結果:男児は女児と比べて身体活動量および外遊びの頻度が有意に高かった。男児において外遊びの頻度と遂行機能に有意な関連は認められなかったが,女児において外遊びの頻度と認知柔軟性にのみ有意な関連が認められた[偏回帰係数(B)=−8.90, 95%信頼区間:−16.97,−0.82]。交絡因子の調整後も女児において外遊びの頻度と認知柔軟性は有意な関連を示 した[B=−10.76(−19.42,−2.10]。結論:児童期後期において,女児の外遊びの頻度が認知柔軟性と有意に関連することを初めて示した。本研究は,特に外遊びが少ない女児において,遂行機能の一部と関連が示された外遊びが重要であることを示唆した。
著者
内田 一郎
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稲田法学 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.333-357, 1965-03
著者
廣瀬 哲夫 内田 一徳 田中 勉 ファン ティハンチャン 石渡 洋子
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.251, pp.515-527,a1, 2007

浸透破壊は, 地下水位の高い地点における土木構造物の性能設計において重要な課題の一つである. ここでは, 二次元複列矢板内地盤の浸透破壊実験について, PIV (Particle Image Velocimetry) 解析を行い, 水頭差の増加に伴う地盤構成砂粒子の移動現象に関する考察から次の結論を得た:(1) PIV解析を用いることによって, 砂粒子の移動の領域や様子を把握することができる.(2) 水頭差が変形開始時水頭差<I>H<SUB>y</SUB></I>を超えると, 複列矢板内の矢板壁近傍の砂粒子の上方向への移動, 及び, 矢板壁から少し離れた部分の複列矢板中央へ向かう斜め上方への移動が認められる.(3) 水頭差が変形開始時水頭差<I>H<SUB>y</SUB></I>を超えた直後の, 砂粒子の移動の範囲は, おおよそ, 深さ<I>D</I> (矢板の根入れ深さ) 及び幅<I>D</I>/2の範囲である.(4) PIV解析による地盤構成砂粒子の塊としての移動開始時水頭差<I>H<SUB>PIV</SUB></I>, 流量急増時水頭差<I>H<SUB>d</SUB></I>, 及び, 変形開始時水頭差Hyはほぼ等しい.
著者
真下 節 浜中 俊明 内田 一郎 西村 信哉 吉矢 生人
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究の目的はキセノンの麻酔作用が非特異的それとも特異的かということを明らかにすることである。1)X線回折法を用いた紫膜に対する吸入麻酔薬の結合部位の同定:揮発性麻酔薬を作用させた紫膜と作用させない紫膜の双方のX線回折結果から得られた位相、強度比から差フーリエ図を作成し、さらにモデル計算による結合位置の精密化を行った。その結果、麻酔薬分子はバクテリオロドプシン3量体内のタンパク質/脂質境界付近に結合していることが明らかになった。さらに、膜厚方向のX線散乱強度の変化から、麻酔薬分子は膜表面に存在することがわかった。さらに、耐圧測定セルにキセノンおよび亜酸化窒素を1,2,3,4,5気圧の各濃度で封入した紫膜試料においてX線回折を試みている。2)GABA_A受容体およびNMDA受容体に対するキセノンと亜酸化窒素の作用:抑制系受容体の再構成GABA_A受容体(α1β2とα1β2γ2s)のイオンチャンネル機能に対するキセノンの作用を亜酸化窒素や揮発性麻酔薬と比較検討した。その結果、GABA_A受容体のClカレントに対してキセノンが亜酸化窒素とともに賦活作用を示さないことを明らかにした。そこで、キセノンや亜酸化窒素は他の受容体に特異的に作用するのではないかと仮定し、興奮性受容体であるNMDA受容体に対する作用を検討した。再構成NMDA受容体(ζ_1ε_1)のイオンチャンネル機能に対するキセノンの作用を亜酸化窒素や揮発性麻酔薬と比較検討した。2電極固定法を用いてNMDAにより誘発されるNMDA受容体Ca^<2+>/Na^+電流に対する各麻酔薬の効果を測定した。イソフルランとセボフルランは0.5MACさらに1.0MACにおいてNMDA受容体Ca^<2+>/Na^+電流に影響しなかった。一方、臨床濃度のキセノンと亜酸化窒素はNMDA受容体Ca^<2+>/Na^+電流を濃度依存的および可逆的に抑制した。これらの結果は、揮発性麻酔薬はGABA_A受容体系に対して、キセノンと亜酸化窒素はNMDA受容体に特異的に作用することを示唆している。本研究により、キセノンは不活性ガスであるにもかかわらず作用特異性を有するという結論が得られた。
著者
内田 一徳 野田 武昭 松永 利明 東谷 俊一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-09-05

次式で書き表わされるような離散型畳込み演算からなる連立方程式についていかに解くかが、本研究の目的である。g_n*x_n=b_n+y_n (n=0,1,2,…,N-1)(1) ここで、g_nは既知、また未知パルス列x_n,y_nと既知パルス列b_nには、次の性質がある。x_n∈p,y_n∈p^^-,b_n∈p P={f_n|f_n=0 for n∈S^^-}, P^^-={f^^-_n|f^^-_n=0 for n∈S} (2)
著者
内田 一秀 後藤 千枝 務川 重之 光永 貴之 鈴木 芳人
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.157-164, 2009-11-25 (Released:2009-12-16)
参考文献数
27
被引用文献数
1

The relationship between larval instar and head-capsule width in Helicoverpa armigera (Hübner) was examined in laboratory-reared and field-collected insects from Ibaraki and Yamanashi in eastern Japan. Each of the first three and each of the last three instars could reliably be distinguished using head-capsule width for both strains fed on an artificial diet. In the laboratory, 91.8% of larvae from Ibaraki had five instars, and 8.2% had six or seven instars, while 36.1% of the larvae from Yamanashi had five instars, and the rest had six instars. Pupation occurred when the larval head-capsule width reached about 2.6 mm, and the development time for each instar was independent of the total number of instars. Consequently, head-capsules were typically larger at each instar for larvae with fewer instars. The distribution of head-capsule widths in larvae obtained from sunflowers in Ibaraki showed peaks corresponding to the first, penultimate, and ultimate instars of laboratory-reared larvae. However, the widths supposedly representing the second and third instars were smaller than those found in the laboratory, suggesting that H. armigera larvae molt more times in the field than in the laboratory and require a longer time to complete development on sunflowers. These results may enable improvement of H. armigera forecasting and insecticide bioassay tests.
著者
内田 一成
出版者
東京成徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

2方向分析モデルは、理論的には3項強化随伴性モデルを基盤にしているが、個人の行動分析-行動変容プログラムと環境分析-環境変容プログラムを同時的に用意するという点に、その独自性を求めることができる。すなわち、「個人の行動が変容すれば、その個人を取り巻く周囲の環境の変容確立も増大し、また、個人を取り巻く周囲の環境が変容すれば、個人の行動の変容確立も増大する」という両方向的な効果が期待されることから、対応困難な発達障害の強度行動傷害についての包括的な分析枠組みになり得ると考えられる。この検証のため、平成9年度から平成11年度にかけては以下の点について検討した。1.環境分析-環境変容プログラムの検討発達障害者を取り巻く施設環境の随伴性を分析し、その随伴性に対応した環境変容プログラムとして、「正の強化の適正配置」に則った4領域28項目から成るセルフ・モニターリング法を1年間にわたって組織的に導入した。その結果、本法は組織的に施設職員の処遇行動の質を有意に高めるとともに、入所者の行動に広範かつ有意な改善をもたらすことが示された。2.行動分析-行動変容プログラムの検討指導困難な強度行動障害(例:自傷行動、他傷行動、破壊行動)をもつ発達障害者12名の行動分析を行い、その随伴性に対応した個別プログラムを作成し、順次その適用ならびに追跡を行った。3.効果の測定環境変容プログラムと行動変容プログラムそれぞれの効果測定の他に、それぞれが強度行動障害に及ぼす効果も測定した。その結果、両プログラムによって12名の強度行動障害が激減し、特に12名中9名においては強度行動障害得点がゼロ・ゼロ近似水準にまで激減することが示された。このように2方向分析モデルの劇的な有効性が立証された。
著者
百田 義治 伊藤 健市 岩波 文孝 内田 一秀 佐藤 健司 関口 定一 中川 誠士 橋場 俊展 堀 龍二 宮崎 信二 森川 章
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

わが国においても人事・労務管理の成果主義的な再編が顕著である。この変化は1980年以降アメリカにおける人事制度変革(人的資源管理への転換)の影響を受けたものである。本研究は現代アメリカの人事制度改革の意義を歴史的・実証的に検証している。すなわち、80年代以前のアメリカ大企業の人事制度と労使関係システムが人的資源管理に与えた影響を、20年代ウェルフェア・キャピタリズム(非組合型労使関係)、ニューディール期におけるその変容、それに制約された第2次大戦後の労使関係下の人事制度の課題を実証的に検証したものである。
著者
内田 一郎 鬼塚 克忠 平田 登基男
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, 1977-03-15

マサ土地帯は山くずれ, 盛土ノリ面の侵食, 崩壊などが数多く発生し, 宅地造成や切土, 盛土斜面の形成工事において人身事故につながる危険性が大きく防災上からこの方面に関する研究の必要が高まっている。本文は, マサ土による盛土斜面の破壊機構を明らかにする目的でマサ土の物理的特性と共に, 圧縮沈下特性, 圧縮強度特性, セン断特性(間ゲキ圧・ダイレイタンシー・強度定数c, φ)を調べる基礎的実験と関連させて, 盛土斜面の模型実験から上部載荷, 繰返し荷重, 水の浸水による盛土斜面の崩壊機構について検討している。その結果, マサ土においても, 締固め密度が小さく含水比が大きくなると荷重による沈下量, 間ゲキ圧が増大し, 強度, 強度定数c, φダイレイタンシー指数が減少することを示し, さらに, ノリ肩近傍に載荷した場合の支持力算定式については, スベリ線の発生順序を考慮に入れるべきことを指摘し, マイヤーホッフの提案した支持力式の適用限界について論述している。
著者
大城 望史 八幡 浩 春田 直樹 丹治 英裕 篠崎 勝則 内田 一徳 杉野 圭三 丸林 誠二 浅原 利正 土肥 雪彦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.32, no.10, pp.2350-2354, 1999-10-01
参考文献数
16
被引用文献数
7

症例は56歳の男性, 嚥下困難を主訴に前医を受診し, 食道癌と診断され当科に入院した. 入院時白血球数は19,400/mm^3と高値であったが, ほかに炎症所見は認めなかった. 1998年6月9日に食道亜全摘術を施行, 病理組織学的診断はいわゆる癌肉腫であり, mp, n(-), Pl_0, M_0, stage Iであった. 術後白血球数はすみやかに低下し, 血中G-CSF値は術前109pg/mlと高値であったが, 術後は21pg/ml, 11pg/mlと低下し, 抗G-CSF抗体を用いた免疫染色でも陽性であり, G-CSF産生腫瘍と診断した. G-CSF産生食道癌肉腫は本邦2例目と極めてまれである. G-CSF産生腫瘍は予後不良であるが, 自験例は8か月経過した現在も再発の兆候を認めていない.
著者
内田 一徳 松永 利明 金 基釆 韓 卿求
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.210-216, 1996-07-25
被引用文献数
36

地下街等の分岐折れ曲がりをもつトンネル内の電波伝搬問題をFVTD法を適用して解析した. FVTD法は任意の小さい多面体セルに対して,マクスウェルの方程式を体積積分することによって離散化される差分方程式である. この方法によれば, 微小セル内の媒質定数は一定とするが, その値を各セルごとに変化できるので,不均質媒質を含む任意形状の境界値問題を比較的容易に扱うことができる. また均質媒質では, このFVTD法はFDTD法とデカルト座標系において等価である. FVTD法の応用例として, トンネル構造が解析的な手法では取扱いが難しい場合について数値計算を行った. また, FVTD法の有効性を立証するためマイクロ波シミュレーションによる実験を行い, 計算値と実験値がよく一致することがわかった.