著者
上原 健太郎
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.47-66, 2014-11-28 (Released:2016-11-15)
参考文献数
28
被引用文献数
1 3

若者の「学校から職業へ」の移行過程をネットワークという視点から論じてきた研究は,ネットワークが若者を支える一方で,そのネットワークの閉鎖性・限定性が若者を職業達成から遠ざけることを強調してきた.こうした機能主義的な説明からは,限られた条件内で若者がいかにしてネットワークを活用し,その創造を図るのかという課題が導出される。 本稿は,ノンエリート青年という視角から,若者を主体的な存在として位置づけることで上記の課題に取り組んだ。具体的には,沖縄で居酒屋を経営する若者集団の経営実践を記述した。明らかになったことは,(1)地縁・血縁ネットワークを活用して居酒屋をオープンし,(2)そのネットワークはオープン後も活用され,(3)また,イベントの開催などを通じて職縁・客縁ネットワークを創造する側面であった。(4)そして,地縁・血縁・職縁・客縁ネットワークは,かれらの日々の働きかけによって維持されていた。 以上,若者を主体的な存在として位置づけることで浮かび上がってきたのは,ネットワークを資源化・重層化させながら,職業達成に向けて合理的に取り組む若者たちの姿である。本稿の意義は,従来の研究が看過してきたそれらの側面を実証的に示し,機能主義的説明の問題点を指摘した点にある。
著者
松原 健太郎 山田 爽太 横山 瑞季
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.143, no.3, pp.NL3_7-NL3_11, 2023-03-01 (Released:2023-03-01)
参考文献数
6

山岳地帯などの遠隔地において,ドローンに無線LANのアクセスポイントを設け,遭難者の携帯電話と通信し,それをもとに捜索するシステムの構築。本研究では自律飛行型ドローンに小型コンピュータを搭載し,遭難者のスマートフォン等通信機器と無線LANによる通信を行うことによって捜索する。
著者
上原 健太郎
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.47-66, 2014
被引用文献数
3

<p> 若者の「学校から職業へ」の移行過程をネットワークという視点から論じてきた研究は,ネットワークが若者を支える一方で,そのネットワークの閉鎖性・限定性が若者を職業達成から遠ざけることを強調してきた.こうした機能主義的な説明からは,限られた条件内で若者がいかにしてネットワークを活用し,その創造を図るのかという課題が導出される。<BR> 本稿は,ノンエリート青年という視角から,若者を主体的な存在として位置づけることで上記の課題に取り組んだ。具体的には,沖縄で居酒屋を経営する若者集団の経営実践を記述した。明らかになったことは,(1)地縁・血縁ネットワークを活用して居酒屋をオープンし,(2)そのネットワークはオープン後も活用され,(3)また,イベントの開催などを通じて職縁・客縁ネットワークを創造する側面であった。(4)そして,地縁・血縁・職縁・客縁ネットワークは,かれらの日々の働きかけによって維持されていた。<BR> 以上,若者を主体的な存在として位置づけることで浮かび上がってきたのは,ネットワークを資源化・重層化させながら,職業達成に向けて合理的に取り組む若者たちの姿である。本稿の意義は,従来の研究が看過してきたそれらの側面を実証的に示し,機能主義的説明の問題点を指摘した点にある。</p>
著者
木庭 顕 両角 吉晃 松原 健太郎 原田 央 桑原 朝子 森田 果 金子 敬明 加毛 明 滝澤 紗矢子 岩原 紳作 神作 裕之 太田 匡彦 齋藤 哲志 川村 力
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近代のヨーロッパ・アメリカのみならずギリシャ・ローマ、イスラム、中国、日本の専門家が借財・土地担保・金融等々の社会史的分析をもちより、同時にこれらを(同じく歴史的に多様な)法的な枠組との間の緊張関係にもたらした。そしてそれらをめぐって比較の観点から激しい討論を行った。その結果、現代の信用問題を見る眼と信用問題の歴史を見る眼が共有する或る視座の限界が明らかになった。これは新しい視座の構築方向を示唆する。
著者
水上 博喜 吉澤 康男 笹屋 昌示 根本 洋 佐々木 純 葛目 正央 成原 健太郎 真田 裕
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.669-672, 2006-07-31 (Released:2010-09-24)
参考文献数
10
被引用文献数
4

症例は74歳, 男性. 腹痛の増悪を主訴に当院を受診し, 右上腹部の圧痛, 軽度の反跳痛を認めたが, 血液検査ならびに画像検査上明らかな異常所見はみられず, 急性腹症の診断で経過観察入院となった. 入院後, 腹痛の増強, 腹部膨満が出現し, 2日後の血液検査所見より膵炎による腹膜炎が疑われた. 腹部造影CT所見では, 膵臓には異常がなく, 右上腹部に腹水の貯留が出現していた. 診断目的に腹水穿刺を行い, 胆汁様腹水が採取されたため, 胆汁性腹膜炎と診断して緊急手術が行われた. 開腹所見では, 胆嚢体部肝床部側に穿孔を認めたが結石はなく, 術中胆管造影造影検査でも, 総胆管結石や走行異常はみられず, 胆嚢摘出術と腹腔ドレナージを行った. 病理組織学的検査では, 胆嚢は穿孔部を除き, 粘膜構造は正常であり, 穿孔部周囲の血管に血栓などの病変は存在せず, 特発性胆嚢穿孔と診断された. 腹水の細菌培養検査も陰性であった.
著者
木庭 顕 桑原 朝子 松原 健太郎 中林 真幸 山本 隆司 加毛 明 金子 敬明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

昨年度に予告したとおり本年度は公共団体の問題に活動を集中した。その集大成は3月にKinch HoekstraとLuca Ioriを迎えて行われた「ホッブズとトゥーキュディデス」に関する研究会であり、事実上の締めくくりとなるに相応しい濃厚な二日間であった。つまり古典古代と近代をまたぎ、また国際間の衝突もテーマであったから国家間の問題、近代国家共存体制外の地域の問題、をも視野に入れた。ホッブズはまさに枢要な交点である。そのポイントで、公共団体立ち上げの条件を探った。ゲスト二人の報告は或る雑誌に翻訳して発表の予定である。また、研究代表者自身、この研究会に至る中で同時並行して一本の論文をまとめ、『国家学会雑誌』に発表した。後者は、このプロジェクトが深くかかわってきた法人理論がホッブズにとって有した意義をも論ずるものである。また、ともに、自生的な団体と深く関係するメカニズムである互酬性を、そのメカニズムの極限的なフェイズをホッブズがいかに利用しつつ克服するか、を追跡した。こうした考えをホッブズはトゥーキュディデス読解を通じて獲得した。彼が同じく翻訳したホメーロスを含め、ギリシャの社会人類学的洞察をバネにしたことになる。こうした見通しは、本研究会が遂行してきた広い比較史的視野を有して初めて持つことが可能になる。その意味では、今回の成果は、公共団体をターゲットとしてきた本年度の活動のみならず、全期間の活動の凝縮点である。付言すれば、教育目的ながら野心的な内容を含む拙著『現代日本公法の基礎を問う』も同一の軌道を回る惑星である。
著者
松原 健太郎
出版者
Japan Legal History Association
雑誌
法制史研究 (ISSN:04412508)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.57, pp.189-212,en12, 2007 (Released:2013-04-01)

Legal historians concerned with traditional Chinese society have been interested in the "lineage" or "descent group" for a number of reasons. To name but two, one is the understanding of how property rights were organised through descent, and the other is to work out how social organisation through these groups was related to the rule of the imperial state bureaucracy. The seminal works of Maurice Freedman that came out in the late 1950s formulated an influential picture that integrated answers to both lines of inquiry. Based on the idea of the "lineage village", where agnatic and territorial groupings coincided, Freedman's formulation singled out the lineage, brought together and asymmetrically segmented through the distribution of property rights, as a dominant social organisation in southeastern China. However, his arguments have been criticised both in terms of their descriptive accuracy and by way of theoretical challenges against his structural-functionalist assumptions. This paper looks into how new lines of inquiry concerning lineages / descent groups were opened in conjunction with these criticisms, and reviews the current state of scholarship. Moreover, this paper combines this with the fruits of research into the Chinese lineage that come from Japanese and Chinese scholarship, both of which have been inspired by Freedman on one hand but have gone through unique processes of development on the other. Through such an exercise, this paper tries to show new directions of inquiry into the significance of the Chinese lineage, that engage with some fundamental issues of incorporation, local social organisation and property rights.
著者
小出 貴宏 熊谷 直紀 佐藤 健輔 田村 宏司 河原 健太郎 播磨 賢司 福島 忠徳 橋本 英一 杉木 光輝 竹ヶ原 春貴
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
スペース・エンジニアリング・コンファレンス講演論文集 2003.11 (ISSN:24243191)
巻号頁・発行日
pp.15-20, 2003-01-23 (Released:2017-06-19)

Pulsed Plasma Thrusters (PPT) using Teflon as solid propellant has characteristics of simplicity, lightweight, and high durability in recent years. Therefore, PPT propulsion system has the advantages for the small, micro-and nano-satellite attitude control. Tokyo Metropolitan Institute of Technology (TMIT) has started R & D on PPT system with the collaboration of NASDA. This paper describes its present status of the R & D. In the BBM phase, we tested that hood angle and electrode material was changed. In this result, we have researched optimum performance of TMIT-PPT. Now we have shifted from BBM-phase to EM-phase.
著者
村松 成司 藤原 健太郎 伊藤 幹 藤原 健太郎 フジワラ ケンタロウ Fujiwara Kentaro 伊藤 幹 イトウ モトキ Ito Motoki 藤田 幸雄 フジタ ユキオ Fujita Yukio 服部 祐兒 ハットリ ユウジ Hattori Yuji
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.351-358, 2010-03

特徴的なトレーニングゆえに活性酸素・フリーラジカルによる酸化ストレスに強くさらされていると考えられる長距離ランナーの生体酸化ストレス及び呼吸機能・代謝に及ぼす活性水素水の影響について検討した。活性水素水摂取は安静時好中球分画及び絶対数の増加を抑えることから,トレーニングに伴う血中好中球の活性化を抑制または活性化した血中好中球を速やかに正常化する可能性が示された。安静時の血清過酸化脂質の変化より,活性水素水摂取がトレーニング由来の生体酸化ストレス障害を抑え,生体機能の維持に寄与する可能性が示された。酸素摂取量・呼吸商・心拍数の変化から,循環器系及び代謝が向上した可能性が示された。安静時の測定結果より活性水素摂取が生体の抗酸化に寄与する可能性を示す結果が示され,また,運動時の代謝及び呼吸循環機能を向上させ,パフォーマンス向上をもたらす可能性が推察された。This experiment was undertaken to investigate the effect of active hydrogen water ingestion on oxidative stress and respiratory function of university long-distance runners, presumably exposed to active oxygen and freeradical materials induced by their particular training. Seven healthy university students trained for 20 days with 2 liters of active hydrogen water (AHW) per day. We compared blood samples and respiratory function at pre and post experiment. The results obtained suggest the possibility that ingesting AHW may inhibit the activation of neutrophilic leukocytes that occur with exercise training. Further, it is suggested that ingesting AHW appears to normalize an activated blood neutrophilic leukocyte response, because the increases in the ratio and quantity of neutrophilic leukocytes at rest was reduced. The changes in serum lipid peroxide seemed to suggest the possibility that AHW could decrease oxidative stress resulting from exercise and contribute to the maintenance of homeostatic physiological function. Oxygen uptake, respiratory quotient and heart rate results seemed to suggest that respiratory and circulatory functions were improved by ingesting AHW. Results suggest the possibility that AHW ingestion contributed to antioxidant effects during training. Furthermore, AHW ingestion may improve exercise performance through its effects on respiratory, circulatory and metabolic systems.
著者
刑部 義美 高橋 愛樹 成原 健太郎 兼坂 茂 葛目 正央 佐々木 純 金子 有子
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.642-648, 2000-10-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
17

二酸化窒素吸入による中毒は防火作業, 溶接業, メッキ業などに従事する人に発症しやすいが, 本邦では余り知られていない.今回, 我々はメッキ業を営む64歳の男で硝酸と硫酸の混合液にニッケルメッキを賦したアルミ棒を挿入し, メッキ抽出作業中に二酸化窒素を吸入し, その後, 激しい呼吸困難と胸部圧迫感が出現, 近医にて急性肺水腫と診断され集中治療目的で本院救命センターに搬送後, 二酸化窒素による急性呼吸窮迫症候群 (acute respiratory distress syndrome・ARDS) と診断した症例を経験した.治療は人工呼吸管理を中心に最高気道内圧 (peak inspiratory pressure・PIP) , 肺胞の虚脱や無気肺の改善を目的として人工肺サーフアクタント, 更に各種ケミカルメデイエーター遊出阻止の目的でメチルプレドニゾロンの使用にて, 14日目には一般病棟に転出できた.本疾患は治療に比し予防が重要で, 作業所の改善や防護体制の整備, 更に疾患の存在を一般に認識させることが大切であると思われた.