著者
桑原 斉 池谷 和
出版者
一般社団法人 日本児童青年精神医学会
雑誌
児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.148-158, 2018-04-01 (Released:2019-08-21)
参考文献数
37

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder: ASD)の社会的な認知度が向上し概念が整理されたのは,最近30年ほどのことである。この間に,社会の側ではメディアで報道される犯罪・触法行為についてASDとの関連が取りざたされることが増えているように思われる。また,医療の側ではASDによる犯罪・触法行為についてケースレポートによる報告が蓄積されている。これらの逸話的な報道・報告は,犯罪・触法行為とASDの親和性を強調するが,犯罪・触法行為とASDの関連についての科学的な事実は多くない。本稿では,犯罪・触法行為とASDの関係について,現在までの知見を概説し,若干の考察を加える。
著者
高見 充 藺牟田 直彦 原 斉 安部 裕子 小黒 亮輔 島岡 泉 中澤 健一郎 宮下 孟士
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.132-134, 2005-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
10
被引用文献数
2 4 3

43歳,女性.四肢脱力で入院,低カリウム(K)血症性ミオパチーと診断された. 2年にわたり1日4~5Lの大量のコーラを摂取しており,これに含まれるカフェインが低K血症の原因と考えられた.カフェインを多く含む飲料(紅茶,ウーロン茶など)の過剰摂取による低K血症は今までも報告されている.コーラ負荷試験の結果,血清K値は低下し尿中K値の低下がみられたことからカフェインが細胞内にKをシフトさせるためと考えられた.
著者
本郷 美奈子 大島 郁葉 清水 栄司 桑原 斉 大渓 俊幸
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

成人の高機能自閉スペクトラム症(High-functioning Autism spectrum disorder:HF-ASD)者 は「自分は異端である」などのスティグマを持ちやすく,そのため定型発達者の社会に過剰適応する「社会的カモフラージュ行動」を取りやすいが,その行動はメンタルヘルスに負の影響をもたらすことが指摘されている.本研究では,成人のHF-ASD者の社会的カモフラージュ行動の要因について解明する.その知見をもとに,成人のHF-ASD者に対する新たな対処方略の構築を目的とした認知行動療法を開発・施行し,その効果を検証する.
著者
和久田 智靖 横倉 正倫 間賀田 泰寛 尾内 康臣 桑原 斉 山末 英典
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

統合失調症は、20歳代に発病する主要な精神疾患である。症状には陽性症状(幻覚妄想)、陰性症状(感情の平板化など)、認知機能障害(記憶力障害など)があり、陰性症状と認知機能障害に対する治療法は未だ確立されていない。喫煙(ニコチン)が統合失調症の陰性症状や認知機能障害を改善させるという報告を手掛かりに、本研究では、PETを用いて統合失調症者のニコチン受容体と活性化ミクログリア結合能を測定することで、新たな創薬標的を創出することを目指す。
著者
栃木 衛 桑原 斉 垣内 千尋 佐々木 司 池淵 恵美 赤羽 晃寿
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

統合失調症、双極性障害、パニック障害などを含む精神疾患、および自閉症、トゥレット障害などを含む発達障害などの精神科領域の疾患について、多発家系、孤発例家系や一卵性双生児不一致例についてDNAサンプルの蓄積を図った。また、これらのサンプルについて、次世代シークエンサーを利用したエクソーム解析や、マイクロアレイを利用した解析を行うことにより、統合失調症およびトゥレット障害の有力な候補遺伝子の同定に至った。
著者
小林 真貴子 石井 裕泰 藤原 斉郁 笠間 清伸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00246, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
16

セメント改良地盤の品質は地盤の不均質性や固化材の混合性などの影響を受けるため,適切な品質管理が求められる.一軸圧縮試験による現行の品質管理が,サンプリングされた供試体による標本調査に基づく強度把握であるのに対し,一軸圧縮試験では把握できない弱部の有無や連続的な強度分布を確認できる方法として針貫入試験がある.本研究では,針貫入抵抗値から一軸圧縮強さを推定する式に論理性を加えて,針貫入試験による強度推定精度の向上を目指している.本論文では,まず机上型装置での多点測定に基づく新たな推定の考え方を提案し,次にその検証のために,供試体作製法や強度の範囲が異なる種々のセメント改良土を対象に測定を行った.最後にその結果を用いて,具体的な推定式を提示し,提案推定方法の妥当性や推定精度の向上を確認した.
著者
亀野 陽亮 横倉 正倫 尾内 康臣 桑原 斉 山末 英典 和久田 智靖
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

うつ病患者数は年々増加し、その対策は喫緊の課題である。近年、神経炎症仮説とグルタミン神経仮説に基づく新薬の治験結果が報告されたが、いずれも効果は非常に限定的であった。そこで、活性化ミクログリアとセロトニントランスポーターのダブルトレーサーPET、1H MEGA-PRESS MRS、炎症性サイトカインとトリプトファン代謝物のメタボローム解析によるマルチモダル解析を行い、神経炎症とセロトニン/グルタミン神経系と抑うつ症状の相関性を検討する。そして、うつ病病態における活性化ミクログリアとセロトニン/グルタミン神経系の相互作用の役割を明確にし、新たな治療シーズの創出を目指す。
著者
鈴木 光 吉田 倬郎 三原 斉
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.77, no.675, pp.1163-1168, 2012-05-30 (Released:2012-07-02)
参考文献数
21

The result of the survey of the research material becomes it the plasterer in the future.The content of the plasterer construction of the Meiji era period is considered.It makes comparative study of the Meiji era period and the plasterer finish of the present age.The plasterer term of the Meiji era period is converted.
著者
尾野 喜孝 岩元 久雄 高原 斉
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.453-459, 1983-07-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
26
被引用文献数
5 1

鶏の大腿二頭筋(M.biceps femoris)においてAndrogenが筋線維型の構成割合および筋線維の直径にいかなる影響を及ぼすかを組織化学的に検討した.供試鶏はNew Hampshire種雄を用い,対照区,去勢区および去勢鶏にtestosterone propionate(TP)を投与したTP処理区の3区に区分した.大腿二頭筋筋線維は,myosin ATPase, succinic dehydrogenase,およびNADH tetrazoliumreductaseの酵素活性に基づきII-R型とII-W型とに区別された.II-R型はfast-twitch-oxidative-glycolytic fibersでありII-W型はfast-twitch-glycolytic fibersである.雄鶏では20週齢以後の性成熟期にII-R筋線維の構成割合が著しく増加し,逆にII-W型筋線維の構成割合は減少した.去勢鶏の筋線維型の構成割合は雄鶏でみられたような変化は示さなかったが,TPを投与することによって雄鶏のそれへと回復した.去勢の結果,筋線維の直径は特にII-R型でその増大が著しく抑制されるが,TP投与によりこれは回復の傾向を示した.以上の結果から,Androgenは雄鶏の大腿二頭筋でII-W型筋線維の一部の筋線維の酸化的酵素活性を特異的に高め,II-R型へと変換し,同時にII-R型筋線維の直径を増大させることによって,同筋肉を持続性を伴った力強い運動に適合させるものと考えられる.
著者
中村 潤 菅原 斉 石井 彰 塚原 理恵子 出光 俊郎 眞山 英徳 渡辺 珠美 野首 光弘
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.2053-2056, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

症例は53歳,女性.入院5カ月前から掌蹠膿疱症に対しミノサイクリン(MINO)とビオチンの投与開始.1カ月前に発熱と筋痛を自覚.階段昇降が困難となり,両側下腿に隆起性紅斑が出現し入院.両薬剤を中止後,発熱,筋痛,紅斑は速やかに消失.紅斑の皮膚生検病理は壊死性血管炎の所見.ビオチン再開後も発熱と筋痛の再燃なく,MINO誘発性結節性多発動脈炎(MIPN)と診断.MIPNの報告は24例に過ぎないが,MINO内服中の新たな発熱,筋痛,紅斑などの血管炎様症状出現時には,薬剤性血管炎,特にMIPNも考慮すべきである.
著者
尾野 喜孝 岩元 久雄 高原 斉 岡本 正夫
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.39-46, 1979-12
被引用文献数
1

Effect of castration on the live weight and the growth rates of skeletal muscle, abdominal fat, intermuscular fat, skin, bone and viscera were investigated in this study. Capons and cocks of New Hampshire (NH), Barred Plymouth Rock (BPR) and capons of BPR treated with testosterone propionate (TP) from 26 to 31 weeks of age were used. Live weights and the various weights of each organ and tissue were compared between the experimental groups at 20, 30 and 31 weeks of age. The results obtained were as follows: 1) Live weights of capons were the same as those of cocks in NH and BPR breeds during experimental periods. The weights of TP treated capons were increased gradually after the administration of TP and became 250 g heavier than those of BPR cocks and the capons at 31 weeks of age. 2) Castration had no effects on the growth of skeletal muscle until 20 weeks of age, but showed a marked effect on it after 20 weeks of age. Skeletal muscle weights of capons were apparently smaller than those of cocks at 30-31 weeks of age in NH and BPR breeds. TP administration recovered completely the decrease of these weights after castration, and became equal to those of cocks at 31 weeks of age. 3) Castration had also a marked effect on the growth of abdominal and intermuscular fat after 20 weeks of age in NH and BPR breeds. TP administration decreased the weights of abdominal and intermuscular fat in BPR capons, but these weights were heavier than those of the cocks at 31 weeks of age. 4) Castration exerted some effects on the growth of skin. These weights were increased following the castration in NH and BPR breeds, and became obviously to be heavier than those of cocks at 30-31 weeks of age (21-22 weeks after castration). 5) No effects were found on the growth rates of viscera and bone following the castration and the TP treatment. In conclusion, castration has a remarkable effect on the muscle production and the fat deposition. It decreases the skeletal muscle weight and increases the fat deposition. It is supposed that TP administration on the capon stimulates the growth of skeletal muscle.本実験では去勢が生体重,骨格筋,腹脂肪,筋間脂肪,皮膚,骨および内臓の成長に及ぼす効果について研究した.供試鶏としてはNew Hampshire(NH)種とBarred Plymouth Rock(BPR)種の去勢鶏と雄鶏,それにBPRの去勢鶏にtestosterone propionate(TP)を26~31週齢時まで投与したTP処理鶏を用いた.それぞれ計量した生体重,器官および組織について,去勢鶏と雄鶏間では20,30,31週齢時に,去勢鶏とTP処理鶏間では31週齢時に比較検討を行つた。その大要は次のとおりであつた.1.去勢鶏の生体重の成長は両品種とも雄罵と同じであつた.BPRのTP処理鶏のTP処理後の生体重の成長速度は次第に大きくなり,31週齢時におけるその生体重は,去勢鶏および雄鶏よりも250g重くなつた.2.去勢は20週齢時までは骨格筋の成長に何ら影響を及ぼさなかつたがそれ以後は著しい影響を及ぼし始め,30~31週齢時になると,去勢鶏の骨格筋重量は両品種とも雄鶏のそれに対し劣つていた.BPRのTP処理鶏の骨格筋重量は,TP投与により去勢のために劣つていた分を完全に回復し,31週齢時になると雄鶏のそれと等しくなつた.3.去勢はまた20週齢以後両品種の腹脂肪,筋間脂肪の成長にも著しい影響を及ぼし,去勢鶏の腹脂肪,筋間脂肪重量の増大をもたらした.そしてBPR去勢鶏へのTPの投与は腹脂肪,筋間脂肪重量のかなりの減少を引き起こした.しかし,31週齢時における雄鶏のそれらと等しくさせるにはいたらなかつた.4.去勢は両品種の皮膚の成長にも影響を及ぼし,去勢鶏の皮膚重量は30~31週齢時には雄鶏のそれよりも大きくなつた.5.内臓と骨の成長には,去勢の影響は見られなかつた.以上のことから,雄鶏の去勢は著しい産肉量の減少と脂肪量の増大という2つの効果をもたらした.そして,去勢鶏へのTPの投与は骨格筋の成長を刺激するものである.