著者
古谷 伸之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.114-117, 2021-02-01

■2004年の新医師臨床研修制度前後の動向 2004年に新医師臨床研修制度が開始されるまでは,臨床研修の多くは出身大学で行われており,その後も大学医局に所属する形でキャリア形成がなされていた.地域病院の多くは大学からの派遣医師により人材の充足がなされ,地域の中核大学医学部が地方の人材供給源となっていた.確かに,安定した人材資源の配分に寄与する構造ではあった一方で,大学を中心としたいびつな社会構造であったとも考えられた.新医師臨床研修制度では,2年間の臨床研修が義務づけられ,研修先も大学病院から一般病院へと徐々に移行し,現在では大学病院研修よりも一般病院研修の方が多数を占めることとなった(図1). 一方,大都市圏以外の大学では,都市部の大学や病院への人材移動が活発化したこともあり,人材資源が減少傾向となり,かつて大学が担っていた人材資源の再配分が難しくなった.そのために人材不足となる地域が顕著となっている.厚生労働省では,研修医の募集倍率を低くとどめたり,都市部の大学や病院の研修定員を減少させることで,大都市以外への地域への研修医の再配分を実現しようとしており,研修内容の改善と相まって,わずかに大都市圏以外の病院での研修医数は増加傾向にあったが,ここ数年は変化に乏しい(図2).
著者
山下 裕 古後 晴基 西上 智彦 東 登志夫
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.101-106, 2018-10-16 (Released:2018-10-19)
参考文献数
32

【目的】慢性頸部痛患者における破局的思考や運動恐怖感が能力障害に関連する因子かどうか検討した。【方法】3ヶ月以上頸部痛を有する外来患者99名(外傷性35名,非外傷性64名)を対象とした。評価項目は,Neck Disability Index(NDI),安静時・運動時疼痛強度,疼痛持続期間,破局的思考,運動恐怖感とした。Mann-Whitney U 検定を用いて発症起点の有無における評価項目を比較した。また,Stepwise 法による重回帰分析を用いてNDI に関連する項目を検討した。【結果】外傷性頸部痛患者と比較して非外傷性頸部痛患者は年齢,疼痛持続期間において有意に高値を示したが,その他の項目に有意な差は認められなかった。NDI と関連する項目は,破局的思考と安静時・運動時疼痛強度であった。【結論】慢性頸部痛患者においては,外傷性か非外傷性に関わらず破局的思考が能力障害に関連することが明らかとなった。
著者
吉永 慎也 鈴木 桂治 田中 力 佐藤 雄哉 横沢 翔平 古田 仁志 和田 貴広 田中 力 鈴木 桂治 亀山 歩
出版者
国士舘大学体育学部附属体育研究所
雑誌
国士舘大学体育研究所報 = The annual reports of health, physical education and sport science (ISSN:03892247)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.83-89, 2019

プロジェクト研究課題:アスリートの競技能力と生理学的応答の関係における多角的評価プロジェクト研究の概要:本プロジェクトでは、大学生世代のアスリートを対象として、①各競技種目に求められる運動強度を生理学的指標を用いて定量化すること、②運動負荷試験を実施し各競技及び性に応じたトレーニング強度について検討した。本年度は、夏季、冬季の記録系種目における大学生アスリートの最大及び最大下運動能力を定量化し、各種目の至適トレーニング強度を横断的に比較した。本報では、その成果について報告する。
著者
佐古 仁志
出版者
日本生態心理学会
雑誌
生態心理学研究 (ISSN:13490443)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.48-51, 2016-09-01 (Released:2021-01-27)
参考文献数
11

本発表の目的は,インゴルドの「徒歩旅行」と「輸送」という移動の区別を引き受けたうえで,諸々の移動研究を参照することで,それらの移動に伴う知,つまりは<移動知>がどのように身体化されるのかを考察することにある.まず「徒歩旅行」と「輸送」の区別を明確にし,それからそのような区別と接続可能な身体性認知科学についての検討を行なう.そのうえで,「モビリティ」に関する研究を参照することで,さまざまな移動に伴う実践および知識,すなわち<移動知>がどのように身体化されているのかについて考察する.また,このような<移動知>の身体化の考察からは,移動形式のもたらす「自己」への影響が明らかになると思われる.「徒歩旅行」という形式の移動研究は,地図に依存することなく,むしろ物語(境界・俯瞰的ではない地図)の創出を通じて影響を与える点で,そして「輸送」という形式の移動研究は,「モビリティ」研究を媒介にし,社会性をもたらす点で,「自己」の形成に重要な役目を果たすということが提示されることになるだろう.
著者
森川 高行 永松 良崇 三古 展弘
出版者
一般財団法人 運輸総合研究所
雑誌
運輸政策研究 (ISSN:13443348)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.20-29, 2004
被引用文献数
3

<p>需要予測における誤差要因を解明するため,愛知県小牧市の名鉄小牧駅と桃花台ニュータウンを結ぶ桃花台線ピーチライナーを取り上げ検証した.計画者が4段階推計法を用いて行った需要予測値約31,000人/日は実績値約2,100人/日の約15倍の過大予測であった(比較年:1991年).分析の結果,ニュータウン入居者数の予測誤差による「発生」段階で約1.7倍,分担率曲線の時間移転性や競合路線の未考慮による「分担」段階で約7倍の誤差が確認された.計画者と同じデータを用いて構築した非集計モデルでは,競合路線と予測時点の社会経済属性の前提が適切であれば,予測が実績に大きく近づくことが示された.</p>
著者
古田 良一
出版者
水利科学研究所
巻号頁・発行日
no.44, pp.41-46, 1965 (Released:2016-07-05)
著者
古沢 源久 橘 正樹 林 裕二
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.229-235, 1982-05-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
5
被引用文献数
11 10

アントラセン,カルバゾール,ペリレン,ナフタセン,ジベンゾフラン,アセナフテン,フルオレン,ナフタレン,フェナントレン,ピレン,フルオランテン,クリセン及びビフェニルの13種類の蛍光性多環芳香族化合物のシンクロ蛍光法による定量法について検討した.この結果,3nmから7nmの狭い波長間隔で測定しても比較的強いシンクロ蛍光強度を示し,シンクロ蛍光法の特性を生かした分析を実施しうる物質は,アントラセン,カルバゾール,ペリレン,ナフタセン,ジベンゾフラン,アセナフテン及びフルオレンであった.これらの物質を定量する際の最適波長間隔,分析精度,共存物質が比較的多量に含まれている場合の影響,同時定量の可能性など,定量に必要な諸条件について検討した.これらの結果をフェナントレン中の不純物の分析に応用したところ,少量のカルバゾールとアントラセンを容易に同時定量しうることが認められた.