著者
朝岡 正雄
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.31-35, 2005 (Released:2007-02-23)
参考文献数
22
被引用文献数
4 2

動きの正確な模倣は人間に固有の能力であり,他の動物には見られない.この能力が発揮される生理学的メカニズムは今日でも十分に解明されているとは言い難い状況にある.確かに,現代の科学技術を用いれば,空間内に展開される人体の運動の軌跡を正確にトレースしてそれを機械で再現することは可能であろう.しかし,スポーツにおける技能伝承の場では,他者の動きを学習者自身の身体で再現することが求められる.本論では,人間に固有の「動きの模倣」の方法を「なぞり」という視点から解説し,この延長線上に動きのイメージトレーニングが成立していることが示される.これによって,スポーツにおける想像力の役割とその重要性が明らかになれば幸いである.
著者
余野 聡子 西上 智彦 壬生 彰 田中 克宜 萬福 允博 篠原 良和 田辺 曉人 三木 健司 行岡 正雄
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-162_2, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに、目的】中枢性感作(Central Sensitization:CS)とは中枢神経系の過度な興奮によって,疼痛,疲労,集中困難及び睡眠障害などの症状を引き起こす神経生理学的徴候である。CSを評価する指標として,末梢器官に対して侵害刺激を連続して加えたときに見られる痛みの時間的加重(Temporal summation: TS)が用いられている。また,CSが関与する包括的な疾患概念として中枢性感作症候群(Central Sensitivity Syndrome: CSS)が提唱されており,CSおよびCSSを評価する質問票としてCentral Sensitization Inventory (CSI)が用いられている。CSが病態(疼痛)に関与していると考えられている疾患の代表格である線維筋痛症(Fibromyalgia:FM)において,健常人と比較してTS,CSIがともに高値であることが報告されている.しかしながら,これまでにTSとCSIのどちらがCSを評価する上で,より精度が高い評価法であるか明らかでない.本研究の目的は,これらの評価指標の精度を比較し,その臨床的有用性について検討することである。 【方法】米国リウマチ学会(2010)の診断基準を満たす線維筋痛症患者26名(FM群, 男性3名,女性23名,平均年齢49.3±10.5歳)および健常人28名(健常群,男性7名,女性21名,平均年齢51.8±13.5歳)を対象とした。疼痛はBrief Pain Inventory (BPI)にて評価し,CSに関する指標としてTSおよびCSIを評価した。TS評価では,利き手側の橈側手根伸筋に対して圧痛閾値(pressure pain threshold: PPT)での圧刺激を10回反復し,1回目と10回目の疼痛強度(Numeric Rating Scale: NRS)の差をTSとした。これらの評価項目について,Mann-WhitneyのU検定を用いて群間比較した。また,PPT, TSおよびCSIについてReceiver operating characteristic (ROC)分析を行い,各指標のArea Under the Curve (AUC)の比較検定を行なった。また,FM群と健常群を判別するカットオフ値を算出した。統計学的有意水準は5%とした。【結果】BPI (pain intensity/pain interference), TSおよびCSIは健常群に比べてFM群で有意に高値であった(p < 0.05)。PPTは健常群に比べてFM群で有意に低値であった(p < 0.05)。ROC曲線のAUCは,TSに比べてCSIで有意に高値であった(TS: 0.66, CSI: 0.99, p < 0.0001)であった。各指標のカットオフ値はPPTが12.1N(感度64%, 特異度89%, 陽性反応的中度84%, 陰性反応的中度73%), TSが3(感度60%, 特異度67%,陽性反応的中度63%,陰性反応的中度84%), CSIが37点(感度96%, 特異度100%,陽性反応的中度100%,陰性反応的中度97%)であった。【結論(考察も含む)】TSおよびCSIの精度を比較した結果,TSよりもCSIの方が精度は高かった。FM患者はCSによって生じる多彩な臨床症状を呈することから,機械刺激への過敏性を評価するTSよりも,包括的かつ症候学的な評価であるCSIの精度がより高くなった可能性がある。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は甲南女子大学倫理委員会の承認を得て実施した。事前に研究目的と方法を十分に説明し,同意が得られた者のみを対象とした。
著者
粕渕 賢志 森友 寿夫 有光 小百合 行岡 正雄 菅本 一臣
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11578, (Released:2019-12-17)
参考文献数
26

【目的】手関節をリバース・ダーツスロー・モーション(以下,RDTM)方向に動かしたときの3 次元動態をCT を用いて解析すること。【方法】対象は健常成人12 名とした。3 次元動態の解析はCT を用いて,橈骨手根関節と手根中央関節の回転角度と運動方向を算出した。統計は外側列,中央列,内側列それぞれの橈骨手根関節と手根中央関節で対応のあるt 検定を用いて比較した。【結果】橈骨手根関節の回転角度は,手根中央関節より有意に大きかった。橈骨手根関節は,手根中央関節より掌背屈方向に大きく運動していた。外側列と中央列の手根中央関節は,橈骨手根関節より橈尺屈方向に大きく運動していた。【結論】手関節RDTM 時は,橈骨手根関節の回転角度は手根中央関節より大きく,特に掌背屈方向の運動のほぼすべてに寄与していた。一方,橈尺屈方向の運動は手根中央関節が大きく寄与していた。
著者
行岡 正雄 小松原 良雄 前田 晃 島岡 康則 志水 正敏 行岡 千佳子 三木 健司
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.17-23, 2007-03-30 (Released:2016-12-30)
参考文献数
17

Purpose and Methods We investigated the relationship of the presence or absence of sleep disorder (awakeness that patients remembered)with blood sedimentation, a depression test (Zung’s self-rating depression scale, SDS), C reactive protein (CRP), and MHAQ in 207 patients with rheumatoid arthritis (RA) (32 males, 175 females), with a mean age of 58.3 years. We employed the values of blood sedimentation and CRP obtained within 1 month1from the date of this survey (mean: 11 days). Results In patients with night awakeness, the blood sedimentation value was higher than that in those without night awakeness (57.1±35.4 vs. 47.5±30.2). The values of CRP (mg/dl) (2.71±3.05 vs. 1.69±2.02), SDS (39.5±8.3vs.34.4±8.4), MHAQ (6.8±6.8 vs. 3.6±4.5), and VAS (4.22±2.55 vs. 3.38±2.32) were significantly higher (p<0.05). In addition, the frequency of night awakeness was classified: once, twice, and 3 times or more. In patients reporting a frequency of 1, the SDS score was significantly higher than that in patients without night awakeness. In those reporting a frequency of 2, the SDS and MHAQ scores were significantly higher, and in those reporting a frequency of 3 or more, the SDS, MHAQ, VAS, and face scale scores were significantly higher. In patients with depression, the MHAQ, VAS, and face scale scores were significantly higher than the values in those without depression. However, there were no significant differences in blood sedimentation or CRP. Among the patients with night awakeness, in those who reported that they had awakened due to night pain, the blood sedimentation, CRP, MHAQ, VAS, and face scale values were higher than the values in those without night pain. In the group with night awakeness, excluding patients with night pain, the CRP level was higher than that in the group without night awakeness, although there was no significant difference. The SDS and MHAQ scores were significantly higher. Discussion The results of this study suggest that sleep disorder is related to RA-related pain, depression, and RA activity. Few studies have reported the relationship between RA and sleep disorder. In the future, this issue should be further investigated.
著者
粕渕 賢志 森友 寿夫 有光 小百合 行岡 正雄 菅本 一臣
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-9, 2020 (Released:2020-02-20)
参考文献数
26

【目的】手関節をリバース・ダーツスロー・モーション(以下,RDTM)方向に動かしたときの3 次元動態をCT を用いて解析すること。【方法】対象は健常成人12 名とした。3 次元動態の解析はCT を用いて,橈骨手根関節と手根中央関節の回転角度と運動方向を算出した。統計は外側列,中央列,内側列それぞれの橈骨手根関節と手根中央関節で対応のあるt 検定を用いて比較した。【結果】橈骨手根関節の回転角度は,手根中央関節より有意に大きかった。橈骨手根関節は,手根中央関節より掌背屈方向に大きく運動していた。外側列と中央列の手根中央関節は,橈骨手根関節より橈尺屈方向に大きく運動していた。【結論】手関節RDTM 時は,橈骨手根関節の回転角度は手根中央関節より大きく,特に掌背屈方向の運動のほぼすべてに寄与していた。一方,橈尺屈方向の運動は手根中央関節が大きく寄与していた。
著者
森川 明 冨岡 正雄 佐浦 隆一 尾谷 寛隆 松岡 雅一 大垣 昌之
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.267-274, 2019 (Released:2019-08-20)
参考文献数
17

【目的】災害時リハビリテーション支援活動を振り返り,今後の課題を考察する。【方法】東日本大震災と平成28 年熊本地震のそれぞれ異なる3 つのフェーズの支援活動に理学療法士として参加した。【結果】避難所内外での環境調整や生活不活発病の予防,日常生活動作指導,仮設住宅での新たなコミュニティ立ち上げの支援,地域リハビリテーション資源への移行など発災後のフェーズにより必要な支援が異なり,今後の課題も異なるものがあった。【結論】災害時リハビリテーションの歴史は浅く,経験者も少ないので人材育成が必要である。組織的な対応は大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会が担うようになったが,大規模災害になればさらなる組織的な活動が求められ,そのための準備が必要である。そして,復興期の地域リハビリテーションへの円滑な移行のために,平時からの地域リハビリテーションの充実とリハビリテーション関連専門職の災害時リハビリテーション支援への関与が大切である。
著者
行岡 正雄 七川 歓次 行岡 千佳子 小松原 良雄 島岡 康則 正富 隆
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.32-36, 2010-03-30 (Released:2016-02-26)
参考文献数
13

目的:関節リウマチ(RA)の尿中カテコールアミンを測定し,自律神経と気圧の変動との関連性を調査した. 対象・方法:入院RA患者9例(男2例,女7例調査時平均年齢67.67±9.87)を対象とし低気圧(990~1000hPa)中間(1001~1010hPa)高気圧(1011~1020hPa)時の尿中アドレナリン(AD),ノルアドレナリン(ND),ドーパミン(DP),バニリルマンデル酸(VMA)を調査した.尿中AD,NAD,DP,VMAの測定方法はHCLP(2―シアノアセトアミド誘導体化)法で行い,午前1時より翌日午前1時までの間に畜尿した尿を24時間尿としてSRL®にて計測した.気圧は気象庁がホームページで公表している調査当日の大阪市の気圧を用いた. 結果:尿中AD,NAD,VMAのいずれもが低気圧に比較して高気圧において尿中濃度が上昇していた.そのうちADで低気圧6.55±5.66μg/l と高気圧10.67±5.88μg/lとの間で統計学的有意差(p=0.0469)を認めた.またNADでは低気圧133.9±83.09μg/lと高気圧198.38±93.67μg/l(p=0.0265)及び中間気圧151.57±80.88μg/lと高気圧198.38±93.67μg/l との間で有意差(p=0.039)を認めた. 結論:RAでは気圧の変動と伴に自律神経が変動している.すなわち,RAでは低気圧では副交感神経優位,高気圧では交感神経優位の状態となっていることが示唆された.
著者
石田 直也 二階堂 泰隆 浦上 英之 黒田 健司 冨岡 正雄 佐浦 隆一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.753-757, 2021 (Released:2021-10-20)
参考文献数
30

〔目的〕異なる速度条件での歩行分析から歩行障害の原因を推測し,前庭リハビリテーションを行った結果を報告する.〔対象と方法〕対象は54歳男性の多系統萎縮症(MSA-C)患者である.異なる速度条件(至適・高速・低速)で歩行分析を行ったところ,低速度条件で歩行変動が増大したため,小脳片葉小節葉の病変による平衡機能障害が歩行障害の原因と判断し,前庭リハビリテーションを9日間実施した.〔結果〕重心動揺検査とFunctional Gait Assessmentの成績が向上し,治療前に観察された低速歩行時の歩行変動が減少した.〔結語〕MSA-C患者に対して歩行変動の速度依存性に着目し,前庭リハビリテーションを行うことで歩行不安定性の改善につながった.
著者
朝岡 正雄 アサオカ マサオ
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.31-35, 2005-02

動きの正確な模倣は人間に固有の能力であり,他の動物には見られない.この能力が発揮される生理学的メカニズムは今日でも十分に解明されているとは言い難い状況にある.確かに,現代の科学技術を用いれば,空間内に展開される人体の運動の軌跡を正確にトレースしてそれを機械で再現することは可能であろう.しかし,スポーツにおける技能伝承の場では,他者の動きを学習者自身の身体で再現することが求められる.本論では,人間に固有の「動きの模倣」の方法を「なぞり」という視点から解説し,この延長線上に動きのイメージトレーニングが成立していることが示される.これによって,スポーツにおける想像力の役割とその重要性が明らかになれば幸いである.
著者
藤田 信子 仙波 恵美子 行岡 正雄 寒 重之 柴田 政彦 高井 範子 堀 竜次 池田 耕二 高橋 紀代
出版者
大阪行岡医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、線維筋痛症患者を対象とした短期集中型運動プログラムが、身体、認知、心理に与える影響を調査するとともに、脳内ネットワークの変化との関連性を検証することにある。平成31年3月までに合計13名の患者の運動療法、評価、計測を終了し、分析を行っている。2018年の第23回日本ペインリハビリテーション学会学術学会では、2演題を報告した。発表では高齢FM患者に対する短期集中型運動プログラムが疼痛、抑うつ、QOLの改善につながり、背外側前頭前野(DLPFC)の血流量の質的、量的な脳活動変化を伴ったこと、理学療法士が患者の不安傾向を踏まえ、運動内容を漸増的に行っていたことや規則正しい生活を守らせたことが運動療法の導入と継続につながったことを報告した。慢性痛改善に対する運動療法の効果(EIH)については、慢性痛患者の広範な脳領域の機能障害の発生機序と運動介入効果の機序を解明していくことが重要である。今年度、慢性痛における脳内ネットワークとEIHの機序について、第40回日本疼痛学会(仙波)、Nep Academy、17th World Congress on Pain(仙波)、第11回痛み研究会(仙波)で講演を行った。また、EIHに関する総説を大阪行岡医療大学紀要(仙波)、ペインクリニック(仙波)、Clinical Neuroscience(仙波)、日本臨床(藤田、仙波)、モダンフィジシャン(仙波)で執筆した。本研究のMRI画像の分析結果については、本研究の研究者間で情報共有のために研修会を開き、「線筋痛症に対する運動療法の効果のrs-fMRIによる検討」(寒)で運動プログラム介入前後の機能的結合について健康成人との比較、また患者の運動プログラム介入前後の比較でみられた頭頂葉や側頭葉の機能的結合の変化などが報告された。
著者
朝岡 正雄
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-18, 2011 (Released:2011-07-08)
参考文献数
69
被引用文献数
1

Modern physical education appeared in Europe at the end of the eighteenth century. In this article, we trace the developmental process of “instruction theory” in European physical education studies and sports science from the end of the eighteenth century to the present in order to consider the relationship between the didactics of physical education and contemporary training science. Focusing on general theories of instruction, we examine the nature of science and make proposals for the restructuring of training science that could be useful in practice. These considerations revealed the following points: 1) In Europe, the theory of instruction in physical education differentiated into Didaktik (didactics), Methodik (methodology), and Bewegungslehre (movement theory) in the 1950s and 1960s. 2) In the end of the 1960s, “Trainingslehre” (theory of training in competitive sport) appeared in Eastern Europe. In the 1970s, the theory of training based on induction from practical experience became a scientific discipline, and was applied as a general theory to various fields such as physical education, recreational sport, and physical activity for health. As a result, the name was changed to “Trainingswissenschaft” (training science). In this way, training science began to incorporate the didactics of physical education. 3) When attempting to restructure training science as an interdisciplinary applied science, we face an insoluble aporia. That is, human movement as a subject of study is so complex that any natural scientific approach needs to be divided infinitely into sub-disciplines, making it more difficult to integrate as an interdisciplinary science. 4) In order to overcome this problem, it is necessary to derive a general theory from practice, rather than from principles of established science. We propose the term coaching science to describe this new theory.
著者
岡 正雄 白旗 総一郎
出版者
長崎大学水産学部
雑誌
長崎大学水産学部研究報告 (ISSN:05471427)
巻号頁・発行日
no.18, pp.30-40, 1965-02
被引用文献数
1

"Koraiebi" Penaeus orientalis KISHINOUYE, from the Yellow Sea was studied especially on the manifestation of maturity of its ovary by the examination of the preparing sections of the ovary. For this purpose, the ovarian eggs were first classified as follows from their morphological characteristics according to the degree in advancement toward ripeness: 1. Early nucleolus stage: The small nucleoli (plasmosomes) lie scattered in the nucleus. 2. Later nucleolus stage: The nucleoli are gathered into one or two bodies of a conspicuously large size. 3. Pre-yolk stage: The nucleoli grow long on the periphery of the nucleus. The ovarian egg is covered with a follicle layer. 4. Primary yolk globule stage: The redivided small nucleoli arrange themselves on the periphery of the nucleus. The cytoplasm is full of yolk globules. 5. Secondary yolk globule stage: The nucleoli are linked in a ring, which then reduces to a sphere. Neutral fat is found in the cytoplasm. 6. Tertiary yolk globule stage: No nucleolus can be found in the nucleus. The nucleus is reduced by the oppression of the yolk globules. 7. Pre-maturation stage: The nucleus disappears, while a water-soluble jelly-like substance appears on the circumference of the cytoplasm. 8. Maturation stage: No sample could be obtained, so the examination is left to a future study. The preparing sections were made of the anterior dorsal part of the ovary -where ovarian eggs developed most rapidly in the whole ovary- which was the part representative of the maturity of the whole ovary. Utilizing those sections, we obtained the average containing ratio of the ovarian eggs at every stage in one oviferous pouch of the ovary. Next, the maturing stages of the ovarian eggs were weighted 1, 2, 3, ……7, respectively and were expressed quantitatively. The weighted average, obtained from the calculation by multiplying these weights by the containing ratios of the respective stages, was represented as the maturity of the ovary. From this expression, the degrees of maturity of the ovary were obtained in order of dates of collection, and the tendency formed by them was extrapolated. The estimated date that the ovary attained to the ripe phase corresponded to the reported actual date of ripeness.1964年,黄海において漁獲されたコウライエビの卵巣切片の標本から卵巣熟度を表現することを試みた. 先づ卵巣卵をその特徴的形態からつぎのように分類した. (1)仁前期:卵径0.1-0.2mm,核内には小仁が散在する. (2)仁後期:卵径0.2-0.3mm,核内には大型仁がみられる. (3)前卵黄期:卵径0.3-0.5mm,仁は核壁にそって伸びる,部厚い卵上覆がみられる. (4)第1次卵黄球期:卵径1.8-2.5mm,小仁が核壁に並び,卵黄小球が細胞質内に充満する. (5)第2次卵黄球期:卵径の変化認められず,仁は環状につながり次第に縮少して球形となる.細胞質内には中性脂肪があらわれる. (6)3次卵黄球期:卵径はかわらない.仁はみられなくなる.核は圧縮され,中性脂肪は細胞質周辺にあつまって塊状となる. (7)前成熟期:卵径の変化は認められない.核は極端に縮少,あるいは消失,細胞質周辺にはゼリー状物質が充塡されている空胞がみられる. 成熟期卵(8)については標本の入手が出来なかった. 卵巣の各部分における成熟の違いをしらべたところ頭胸部に近い背部が一番速く成熟してゆくことがわかった.しかし,他との違いは卵巣卵で一階級程度の違いしかなく,他の部分はほとんど均一であるので平均的にみるといづれの場所を卵巣熟度として代表してもさしつかえないので背部の前の位置を代表的切片製作位置として定めた. 切片の熟度に関しては卵巣卵を分類順に1,2,………7,8,と重みをつけ切片標本内における卵巣内卵嚢あたりの階級別卵巣卵の含有率に対してそれぞれを加重しこれらの総平均を求めて総括的に表わした. この表現法を用いて経時的に卵巣成熟過程を追跡しそれを外挿すると排卵は5月上旬から中旬におこることが推定されたが実際の報告と一致したのでこの表現法は適切であったといえる.
著者
朝岡 正雄
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.64, pp.55-57, 2003-03

平成14年度は、筑波大学の体育全体にとって歴史に残る素晴らしい1年となった。体育専門学群では、男女バレーボール部、サッカー部、女子ハンドボール部、女子陸上部、女子剣道部、大学女子駅伝の全国制覇など、各運動部の国内外での活躍が …