著者
岡村 佳代子 草川 恵子 中田 紋子 若野 暢代 福本 純子 奥田 豊子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 2 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.37-47, 2009-02
被引用文献数
1

近年,青少年の基本的な生活習慣は,夜型生活,朝食欠食など不規則に乱れ,健康に悪影響を及ぼしている。そこで,本研究では,小学生の食生活や生活習慣の実態を知り,食育を推進するための確実な着眼点をみつけるために小学生5・6年生864名を対象とし,質問紙調査を実施し,食育のあり方を検討することを目的とした。 その結果,朝食摂食群(86.9%)は,欠食することがある群(13.1%)に比べて早寝・早起きし,起床・就寝時刻が習慣化している割合が有意に高かった。摂食群は,起床時の空腹感があり,ゲーム・テレビ・ビデオの視聴時間は短い児童の割合が有意に高く,リズムある生活習慣ができていた。また,食事意識は高く,自己効力感があり,心身ともに健康である割合が高値であった。以上の結果から,朝食を欠食する児童に,朝食を摂取するよう指導するためには,まず就寝時刻を習慣化し,早寝,早起きして,生活リズムを定着させることが重要であることが示唆された。Recently, the youth's lifestyle has become irregular, and the disorders of life rhythm and dietary life have been focused upon. In this study, we examined the eating habits, sleeping behavior, dietary consciousness, and health condition in the elementary school children to elucidate parameters for effective health education. This study was conducted based on the results of questionnaire survey taken from 864 students of the fifth and sixth grades. The percentage of children who ate breakfast everyday was 86.9% (eating group). Compared with skipping group, the eating group showed higher rates in going to bed early and getting up early, and the rising/sleeping time was routine. The eating group had better life rhythm in terms of better appetite at the time of rising and shorter time of view games, television, and video than the skipping group. Compared with skipping group, the eating group showed higher scores in dietary consciousness as well as the mental and physical health conditions. To make instructions that would encourage the children of the skipping group to have breakfast, the sleeping time was set first; i.e., early going to bed and early rising, and the importance of this habit was emphasized so that the life rhythm may be fixed.
著者
三好 弘子 奥田 豊子 小林 紀崇 奥田 清 小石 秀夫
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.165-170, 1987 (Released:2010-02-22)
参考文献数
33
被引用文献数
3 2

5人の健康な若年成人男子を被験者として, 白米食と玄米食を比較することにより, 米繊維のミネラルの出納, およびみかけの吸収率に対する影響を検討した。体重当たり1.2gのタンパク質を含んだ玄米食, 白米食をそれぞれ2週間与えたが, 食物繊維としては, 玄米食は白米食の約2倍含んでいた。摂取ミネラル量は, 白米食, 玄米食ともミネラル必要量を充足していたが, 玄米のほうが白米よりミネラル含量が多く, とくにK, P, Mgの摂取量が玄米食で多くなった。糞中排泄量は玄米食で白米食に比べて, K, P, Mgが有意に多くなり, 摂取量を反映していた。また, Na, Caにおいても玄米食で糞重量が約2倍と有意に多かったことを反映して糞中排泄量が多くなる傾向がみられた。しかし, これから計算される吸収量においてはK, P, Mgとも有意差は認められなかった。みかけの吸収率ではK, Pで摂取量が多かったにもかかわらず, それ以上に糞中排泄量が大きく, 玄米食で有意に低下した。その結果, 出納をみると, 各ミネラルとも白米食と玄米食の間に有意差は認められなかった。血漿ミネラル濃度ではNa, K, Cl, P, Ca, Mgのいずれの項目にも白米食と玄米食で有意差はみられなかった。
著者
辻本 洋子 奥田 豊子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 2 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.15-26, 2009-09

大阪府内の小学校3年生から6年生の368人を対象に食事を中心とした日常生活に関する質問紙調査を実施し,児童の食を中心とした生活習慣と心身の健康状態や学習態度との関連性を検討した。(1) 朝食の欠食者は全体の1割程度で,朝食を食べた者の半数が「主食」のみであり,主食が飯の場合が最も食事バランスが良かった。健康状態と朝食皿数との関連では,健康状態が良好な者の方が食事バランスがとれていた。(2)食事バランスによる食生活や健康状態を比較したところ,食事バランスが良い群は食事を楽しみにしており,朝食を毎日食べ,共食・食事の手伝頻度が多く,食意識が高く,よくかんで食べており,健康状態が良好であった。(3)共分散構造分析を行った結果,健康度に最も強く影響していたのは,「おいしく食べる」ことであり,就寝時刻や排便などの生活習慣も関与していた。以上の結果から,心身の健康度には,家族そろって,よくかんでおいしく食べることや,快便,快眠などの食生活や生活習慣が大きく影響していること,さらに,健康度が高いことは「授業中眠くない」,「宿題をきちんとする」等の学習面にも影響を及ぼしていることが示唆された。This study examined the relationship between dietary life and health status (health degree) and learning attitude in elementary school children. A questionnaire survey was conducted among 368 elementary school children (from grade 3 to grade 6) living in Osaka prefecture. The half of the children who had breakfast ate only staple foods. Children with better dietary balance had high degree of health and enjoyed meals, ate breakfast every day, chewed their food well, and made a help of a meal better. The components and items were subjected to covariance structure analysis. The hypothesized model fitted well (GFI, AGFI, and RMSEA). The results showed that enjoying meals, chewing food well, defecation every day, and enjoying meals with family altogether directly increased health degree. In addition, the high degree of health had exerted a good influence on their learning attitude. These results suggested that dietary life including enjoying eating were important to the health status and learning attitude in elementary school children.
著者
新宅 賀洋 宮谷 秀一 岡田 真理子 甲田 光雄 奥田 豊子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C2)社会科学・生活科学 02 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.49-59, 2000-08
被引用文献数
2

低エネルギー, 低タンパク質の完全菜食がヒトの健康にどのような影響をおよぼすのかを検討した。対象はある医師の指導のもとで玄米, 野菜, 豆腐を中心とした完全菜食を45日間摂取したボランティア (菜食者) であった。完全菜食摂取前と摂取6週問後に食事調査, 体格, 体組成の測定, 血液検査などを行い, 非菜食者の成績と比較した。完全菜食の栄養学的な特徴は低エネルギー, 低タンパク質ではあるが, ビタミン, ミネラルや食物繊維を多量に摂取していたことである。完全菜食では摂取エネルギーの不足を, 体脂肪を燃焼させて補い, 体脂肪・体重が減少した。完全菜食の摂取脂肪酸組成は非菜食者のものと大きく異なり, 飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸の割合が少なく, リノール酸の割合が高かった。またn-6/n-3比も高くなっていた。しかし, 血漿脂質の脂肪酸組成は非菜食者と差が認あられなかった。血液性状からみて低栄養状態, 貧血症状は認あられなかった。以上の結果より完全菜食は低エネルギー, 低タンパク質の食事で, 摂取脂肪酸組成も大きく異なっているが, 脂肪酸代謝に大きな影響を与えず, 生理学的な面での問題点は認められなかった。
著者
越川 絵里子 奥田 豊子 村井 陽子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 2 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.35-44, 2007-02

小学生の食生活・食行動の実態を把握するために,2005年10月~11月に,大阪府下の小学校5校で,5,6年生の男女883名に対して食事を中心とした日常生活に関する質問紙調査を行い,欠損値がなかった児童711名に対して解析を行った。朝食を楽しんだかという項目に関しては,男女による有意な差は認められなかった。今朝の朝食が「とても楽しかった」と答えたのは全体の8.3%,「楽しかった」と答えたのは36.1%,「あまり楽しくなかった」と答えたのは33.6%,「つまらなかった」と答えたのは21.9%であり,朝食を楽しいと答えた児童とつまらなかったと答えた児童は約半数であった。調理行動,学習態度や意欲に関する項目の多くは,朝食が楽しかった群と楽しくなかった群の間に有意な差が認められた。朝食を楽しんで食べていた児童は調理行動が多く,学習態度が良好で意欲が高いことが推測される。保護者,児童ともに従来より少し早く起きて,朝食を楽しむために,「食事内容の充実」と「楽しい食卓作り」をすることの重要性が示唆された。We investigated the possibility of enjoying breakfast in enhancing the learning attitude and motivation in elementary school children. A questionnaire was given to elementary school children who had today's breakfast (368 boys and 343 girls). About half (44.5%) of the children enjoyed their today's breakfast (enjoyable group) , and the other did not enjoy it (non-enjoyable group). The enjoyable group had more cooking behavior ( 5±7 k 3.1 in 12 items), favorable good learning attitude ( 4.2±1.8 in 8 items) , less negative learning attitude (1.7± 1.4 in 5 items) , and less indeterminate symptoms ( 4.3±3.3 in 15 items) than the non-enjoyable group (cooking behavior: 4.6± 3.0 items, good learning attitude: 3.4±1.8 items, negative learning attitude: 2.l± 1.4 items, and indeterminate symptoms: 4.8 ± 3.3 items). There were significant differences between the two groups in all four factors. These results suggested that enjoying breakfast had positive effects on the learning attitude and motivation in elementary school children.
著者
金 守良 金 秀基 小林 久人 奥田 豊一 中井 敦史 藤井 友実 早雲 孝信 佐々木 素子 狛 雄一朗 朝井 章 西川 浩樹
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.575-582, 2023-11-01 (Released:2023-11-10)
参考文献数
18

症例は60歳代女性.X年2月乳癌の診断のもと,左乳房切除,病理所見は浸潤性小葉癌であった.同年3月に多発リンパ節,骨転移に対して薬物療法を開始したが,8月より肝障害が出現した.薬剤性肝障害を疑い,薬物治療を中止するも肝障害は増悪した.造影CT,EOB-MRIなどの画像診断で肝転移巣は認めなかったが,腫瘍マーカーCA15-3の上昇がみられた.10月に腹部超音波カラードップラー画像・ソナゾイド造影所見から類洞閉塞などによる門脈血流低下が示唆された.経頸静脈的肝生検を施行したところ,類洞内に浸潤性小葉癌転移と肝硬変様の高度線維化を認めた.
著者
岡村 吉隆 奥田 豊子 Yoshitaka Okamura Toyoko Okuda 千里金蘭大学 生活科学部 食物栄養学科 大阪教育大学 教育学部 生活環境講座
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-14,

睡眠時無呼吸症候群は肥満を伴うことはよく知られている。治療の第一選択肢は経鼻的持続気道陽圧療法であるが対症療法である。したがって、長年使用する必要がある。多くの日本の睡眠時無呼吸症候群患者は重症度が同程度にもかかわらず白色人種の睡眠時無呼吸症候群患者ほどの肥満ではない。それは、日本人では肥満に加えて顔面軸角(FX : facial axis)が睡眠時無呼吸症候群に影響されやすいための因子である可能性がある。すなわち、日本人の側頭蓋計測においては白色人種に比べて顔面軸角が狭いことが要因と考えられる。
著者
奥田 豊
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.871, pp.8-10, 2021-10
著者
奥田 豊
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.866, pp.34-36, 2021-05
著者
奥田 豊
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.862, pp.14-16, 2021-01
著者
甲田 勝康 河野 比良夫 中村 晴信 奥田 豊子
出版者
関西医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

「適応能」は生理人類学の中心的概念の一つである。ヒトはその歴史のほとんどを自然環境の中で過ごし、その環境に適応してきた。その結果、様々な生理的多型性が生まれヒトは全世界に分布した。諸民族の問にエネルギー代謝の違いがあることが報告されている。動物性タンパクや脂肪摂取の多いイヌイットは高い代謝水準によって寒さを凌ぎ、食糧事情の悪いアンデス高地の住民は代謝増大をできるだけ抑え断熱型の反応をする。しかし、このような相違が遺伝的要因により決定されるものなのか、もしくは短期的な機能馴化によるものなのかは十分には解明されていない。今回我々は、短期的な絶食および食事制限がエネルギー代謝や他の生理機能にどのような影響をおよぼすかについて検討し、ヒトの環境適応の過程にについて考察した。労働者の健康増進を目的として、軽度肥満者や軽度高脂血症者または健常者に餌や運動指導を行っている企業がある。本研究は、この企業の健康増進活動に参加したものを対象として行われた。対象者を中等度摂取エネルギー制限群および軽度摂取エネルギー制限群の二群に分け、摂取エネルギー以外の健康指導は両群とも同じとした。呼吸商は、エネルギー制限により低下し、エネルギー源が経口の炭水化物から体脂肪に移行していることが示唆された。基礎代謝量も減少し、その程度は中等度制限群において軽度制限群より大きかった。また、この基礎代謝の変化は体重の変化よりも大きかった。このことからエネルギー制限により、基礎代謝は敏速に減少することが確認された。さらに動物を用いた実験系で検証した。その結果、短期の絶食により代謝系を含む生理機能が変化することが観察された。この研究成果は、国内および国際学会で報告し、国内および国際誌上に発表した。以上のごとく、本研究は目的を達成することができた。
著者
奥田 豊
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.856, pp.22-25, 2020-07
著者
奥田 豊
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.853, pp.32-35, 2020-04
著者
奥田 豊
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.849, pp.21-23, 2019-12
著者
奥田 豊子 西村(三好) 弘子 巻田 知恵 片山(須川) 洋子 羽間 鋭雄 清水 毅 山口 雄三
出版者
Japan Society of Physiological Anthropology
雑誌
The Annals of physiological anthropology (ISSN:02878429)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.393-401, 1994-11-01 (Released:2008-02-08)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

To elucidate the mechanisms of adaptation to a low-energy and low-protein vegan diet, we carried out dietary surveys and nitrogen balance studies five times during one year on two women and a man who ate raw brown rice, raw green vegetables, three kinds of raw roots, fruit and salt daily. Individual subjects modified this vegan diet slightly. The mean daily energy intake of the subjects was 18, 14, and 32 kcallkg, of body weight. The loss of body weight was about 10% of the initial level. The daily nitrogen balance was -32, -33, and 1lmg N/kg of body weight. In spite of the negative nitrogen balance, the results of routine clinical tests, initially normal, did not change with the vegan diet. Ten months after the start of the vegan diet, the subjects were given 15N urea orally. The incorporation of 15N into serum proteins suggested that these subjects could utilize urea nitrogen for body protein synthesis. The level of 15N in serum proteins was close to the level in other normal adult men on a low-protein diet with adequate energy for 2 weeks.
著者
三好 弘子 奥田 豊子 尾井 百合子 小石 秀夫
出版者
Center for Academic Publications Japan
雑誌
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (ISSN:03014800)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.581-589, 1986 (Released:2009-04-28)
参考文献数
25
被引用文献数
10 20

The effects of rice fiber on fecal weight, transit time, frequency of defecations, digestibility of nutrients and blood status were investigated in S healthy young men. Each of them consumed a brown rice diet and then a polished rice diet for 2 weeks respectively. Both diets contained 1.2g protein per kg body weight. The brown rice diet contained 2 times as much dietary fiber as the polished rice diet. When they consumed the brown rice diet, it showed an increase of fecal weight and decrease of digestibility of energy, nitrogen and fat. Nitrogen balance was not significantly different and kept zero balance on both diets. Concen-tration of plasma cholesterol was not significantly different. The results suggest that rice fiber produced an increase in fecal weight, which is assumed to be effective in preventing colonic disease in advanced countries and does not affect plasma lipid level.
著者
名村 靖子 奥田 豊子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 2 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.27-42, 2009-09
被引用文献数
1

大阪府内の本研究対象の幼稚園では2007年4月より食育実践を推進した。園児の保護者を対象として,1回目2006年10月,2回目(食育実践後)2008年2月に質問紙調査を実施した。1回目は308人,2回目は339人を解析対象とした。1年間の幼稚園における野菜や果物の栽培・収穫・収穫した野菜を使ったクッキングを加えた食育実践プログラム"野菜を食べよう"の検証を行い,食育効果を評価した。食育実践でクッキングが加えられた年長児は野菜嫌いの割合が56%から1年後には42%へ有意に低下した。園児の「野菜嫌いなし」は「食べ物の好き嫌い」がほとんどなく,「イライラ」も少なく,「いつも楽しんで食事をする」,保護者は「家族揃って食べる工夫をいつもする」割合が有意に高かった。食育目標,"野菜をしっかり食べ,楽しく食べる"ことに繋がっていた。1年間の食育実践は食育プログラムとして,有効性が示唆された。「子どもと一緒に料理する機会の増加」「食生活に関心が高まる」「料理に野菜を意識して使用する」「園での食育を家庭で実践する」「家族揃って食べる工夫をする」を下位尺度とする"保護者の食意識"高群,「食べ物の話をする」「食事の感想をいう」「食事の要望をいう」「食事のあいさつをする」を下位尺度とする"園児の食関心・食の会話"高群はそれぞれの低群に比べて,食育効果指標でもある,園児の「野菜嫌いなし」「食べ物の好き嫌いなし」の割合が有意に高値であり,食育実践効果との強い関連性が示唆された。The purpose of this study was to examine the effects of dietary education by cooking using harvested vegetables for kindergarteners. In addition, we examined the influence that the guardian's dietary consciousness exerts in the effect of dietary education to kindergartners. The subjects of the analysis were 308 guardians the first time in 2006 (before dietary education), and 339 guardians the second time (after 1 year). The ratio of kindergartners who hated vegetables decreased from 56% to 42% after one year of dietary education. The kindergartners who didn't hate vegetables had fewer hated foods, had less irritation, and always enjoyed eating. Also their guardians always made an effort to take meals with whole family together. These data suggested the effectiveness of this education program for one year. The subjects were divided into two groups by the score of the sub scale (opportunities to cook with a child increased, became interested in the meal, consciously used vegetables in cooking, made an effort to take meals with whole family together) of the guardian's dietary consciousness. The ratio of kindergartners who hated vegetables was lower in the high score group for the guardian's dietary consciousness than in the low score group. Also, the ratio of kindergartners who hated vegetables was lower in the high score group for the kindergartener's interest in meals. This study showed that the guardian's dietary consciousness was important to dietary education for the kindergarteners.
著者
奥田 豊子 梶原 苗美 伊達 ちぐさ 杉本 恭子 力丸 徹 藤田 美明 小石 秀夫
出版者
Center for Academic Publications Japan
雑誌
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (ISSN:03014800)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.319-331, 1981 (Released:2009-04-28)
参考文献数
25
被引用文献数
5 7

A nutritional survey was held in August, 1978, at Kalugaluvi (altitude: 1, 500m) near Lufa, which is 60km from Goroka, in the Eastern Highland Province of Papua New Guinea. Anthropometric measurements were carried out on 55 males and 37 females aged from 7 to 64 years. Whereas the physiques of the children looked as good as those of Japanese of a comparable age, the adult men were shorter than Japanese males, but body weight and chest girth were similar. The skinfold thickness was less than that of the Japanese. From the data collected, it was shown that the physique of the Highlanders was more muscular than that of the Japanese. The food intakes and energy balances of 18 healthy men (20-40 years old) were measured over 2 or 3 consecutive days. The average consumption of sweet potatoes, the staple food, was 956±305g per day. The average consumption of taro and yam was 93±124g/day and 36±99g/day, respectively. Various green leaves, sugar canes, corn, bananas and other foods (i.e., rice and tinned fish) purchased from trade stores were sometimes eaten. The mean daily energy intake was 2, 390±540 kcal, which was about the same as the daily energy expenditure. The daily protein intake was 35.2±10.7g. These results are probably exceptionally high, because the survey was unfortunately held during the yearly festival season of the village when the people often ate fatty pork. Nevertheless, it is noteworthy that the growth of children and the physique of adults are normal in spite of the extremely low intake of protein.
著者
村井 陽子 奥田 豊子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:18812368)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.231-238, 2006-12-30
参考文献数
19
被引用文献数
2

&nbsp;&nbsp;小学校4, 5年生を対象に調理実習と授業実践を取り入れた「豆」の指導を展開した。指導前後に実施した質問紙調査, 指導群150名と対照群249名の成績を解析し, 教育効果を明らかにするとともに, 豆等の摂取頻度と児童の健康状況の関連を検討した。<br>&nbsp;&nbsp;(1) 指導群では, 指導後, 豆の嗜好, 豆の摂取意欲が有意に向上し, 対照群と比較すると家庭での豆の摂取頻度に増加傾向がみられた。<br>&nbsp;&nbsp;(2) 調理実習で児童が豆を「おいしい」と感じ, 嗜好が改善すれば, 豆の摂取も多くなることが示唆された。家庭での豆料理の提供が増えると, 豆の摂取は更に増加すると推察された。<br>&nbsp;&nbsp;(3) 調査した家庭での4項目の摂取頻度は,「豆」と「豆製品」,「カップめん」と「コンビニおにぎり」がそれぞれ有意な正の相関を示し, 健康状況に対しては,「豆」「豆製品」が有意な正の相関,「カップめん」「コンビニおにぎり」が有意な負の相関を示す傾向がみられた。<br>&nbsp;&nbsp;(4) 指導群では, コンビニ食品の摂取頻度が有意に減少し, 児童の健康状況の有意な向上が認められた。<br>&nbsp;&nbsp;(5) 摂取頻度における「豆・豆製品優位群」は,「コンビニ食品優位群」に比べて有意に高い健康度を示した。<br>&nbsp;&nbsp;(6) 児童に伝統的な食材やその食べ方を伝えていくことは, 食体験の幅を広げるとともに, 児童の健康状況に良好な影響を与える効果を期待できることが示唆された。
著者
奥田 豊
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.817, pp.28-31, 2017-04