- 著者
-
安形 輝
上田 修一
- 出版者
- 日本図書館情報学会
- 雑誌
- 日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.2, pp.84-96, 2019 (Released:2019-06-28)
- 参考文献数
- 25
印刷本のうち,電子書籍版が提供される割合は,年々,高まっていると考えられる。電子書籍化の進展を測るために,国立国会図書館の蔵書から印刷版の書誌データを得て主要な電子書籍プラットフォームの提供データと照合し電子化率を調査する手法を考案し,調査した。1)近年,電子化率は高くなっている,2)出版点数の多い出版社ほど電子化率は高い,3)各プラットフォームの提供する電子書籍には重なりがある,4)コミックの電子化率は高い,5)学術書の電子化率は高い,6)小説の電子化率は高いという仮説を設定した。 調査の結果,2017 年の電子化率は,36.6%となり,全ての出版物に展開した場合,約3 万点の電子書籍があると推計した。調査結果は,2)と5)以外の仮説を支持するものであった。 次に,国立国会図書館デジタルコレクションの収録件数を1901 年から1980 年まで調査し, 1960 年頃から2000 年頃までの間に電子書籍化の空白期間があることを指摘した。