著者
青木 輝勝 安田 浩
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.109-120, 2011-01-15

近年,インターネット上ではCGM(Consumer Generated Media)コンテンツが急増している.CGMはこれまで困難であったエンドユーザの発信を可能にするという特徴を持つが,もう1つの特徴として,個々のコンテンツ自体の価値に加え,その集合体または融合体としてのコンテンツ群の価値が高いことがあげられる.この集合体・融合体としての価値の高さは「共創効果」によってもたらされたものと広く考えられている.その反面,共創効果に関しては概念論のみが先行し,それを定量的に測定するための方法論や共創効果を高めるために情報通信システム・情報通信サービスが何を行うべきかについてはこれまで十分な議論が行われていない.本稿では,筆者らが開発したDMD2.0と呼ぶシステムを用いて開発したAnimepediaという複数ユーザによるCGMアニメ制作システムを基盤として,ツリー型CGM制作における共創効果の定量化を試みる.まず,共創曲線と呼ぶ概念モデルを仮定し,実験を通じてこの曲線の存在を実証する.続いて,この曲線を用いた共創効果の最適化方法について提案を行う.
著者
富永 英義 MUSMANN H. JUDICE C. KUNT M. CHIARIGLIONE エル 小舘 亮之 児玉 明 安田 浩 小松 尚久 相沢 清晴 田崎 三郎 酒井 善則 安田 靖彦 JOZAWA Hirohisa YABUSAKI Masami MIKI Toshio SAKURAI Yasuhisa FUKUDA Toshio ALGAZI V. SHAFER R. KOMIYA Kazumi ALGAZI V PROF.H. Musm SHAFER R. 羽鳥 光俊 原島 博 辻井 重男 花村 剛
出版者
早稲田大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

前年度の活動の成果として得られた、シンタックス、ツール、アルゴリズム、プロファイルという4つの異なる要素から構成するフレームワークを基本構造とし、今年度は,主に,具体的要素技術の比較および評価,確認実験モデルの作成,動画像ドキュメントアーキテクチャの概念に基づく符号化方式の具体化作業を行なった。まず、具体的要素技術の比較評価テストについて。Functionality、テスト画像クラス、ビットレートによって評価対象を分類し、比較評価テストを行なった。ただし、テストの際、基準となる比較対象(アンカー)として、CIFフォーマットを用いたMPEG1およびCIFあるいはQCIFを用いたH.263を使用した。比較評価の結果、10kbpsを中心とした低ビットレート範囲ではビットレートが高くなるほどアンカーおよびブロックベース手法の結果が良好であること、低ビットレートにおいてはフレームレートの設定がその画質評価結果を大きく左右する要因であること、Content based functionaliesを有する方式はアルゴリズムの種類が増大し要素としての評価が難しい傾向を示すこと、が主に明らかとなった。良好な性能を示す要素技術の候補としては、long term memory, short term memoryを併用する手法、イントラフレームにウェーブレットを適用する手法、グローバル動き補償とローカルアフィン動き補償の組合わせ、ブロック分割手法、matching pursuits手法等が挙げられた。次に、確認実験モデルの作成について。長期に渡る議論の結果、確認実験モデルとしてはビテオオブジェクト平面という概念で表される複数のビテオコンテントを入力情報源として適用可能なモデルが選択された。この確認モデルは、H.263の拡張動きベクトルおよびアドバンスト予測方式を採用すること、2値形状は4分木符号化、多値形状は4分木符号化+VQを使用すること、コンテント境界はpaddingを行って符号化することを主な条件として作成されることとなった。最後に、動画像ドキュメントアーキテクチャの概念に基づく符号化方式の具体化について。メディアの統合的扱いが可能なフォーマットおよび既存データの再利用機能が将来のマルチメディア情報環境において特に重要であるという観点から、文書の編集加工処理を構造的に行なうデータアーキテクチャであるODAの概念をビデオ・ドキュメントアーキテクチャ(VDA)として動画像符号化への適用を試みた。まず、ビデオコンテントをカメラの光軸に垂直な単一の静止平面(背景のみ)と仮定しこれを入力としてカメラパラメータを分離符号化する方式を検討した。続いて、αマップと原画像情報を入力として、VDAの概念に基づいたプロセッサブル符号化方式を検討した(H.263を基本とし、任意形状に対応した直交変換、αマップ符号化、コンテント・時間単位データ多重化を主に加えた構成)。実験の結果、前者の方式は正確なカメラパラメータが計測できる場合約50[dB]の平均SNRで複号化できる能力をもち、検出するパラメータ誤差が蓄積するに従ってこの値が急激に減少する傾向を子示すことが分かった。また、攻守の方式については、カメラ操作およびビデオコンテントの移動・消去・表示優先度・追加等の編集シミュレーションを行ない、意図した動画像の編集加工機能・データ再利用機能がVDAモデルにより効果的に実現されていることを確認した。また、簡単な加工用データ操作記述言語を試作することにより、編集処理の迅速性、内容の可読性が大きく向上されることを示した。今後は、画像合成を行なう際のMapping処理の高速化、ビテオコンテントのデータのバッファリング処理、透明度を考慮したαマップ符号化、ランダムアクセス機能の実現手法・ドキュメントアーキテクチャの概念で扱えるメディア範囲の拡張などが課題として挙げられた。
著者
山田 賢 久留島 浩 岩城 高広 安田 浩 秋葉 淳 趙 景達 佐藤 博信 菅原 憲二 安田 浩
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究においては、北東アジア(具体的には中国・朝鮮、そして日本を対象として想定している)の近代移行期における国民国家の形成について比較研究を行った。それぞれの地域の事例について文献調査を実施したほか、浙江工商大学日本文化研究所、武漢大学日本研究中心の研究者と共同研究会を開催して検討を行った。その結果、北東アジア各地域における国民国家は、それぞれの地域において育まれた近世伝統社会における社会関係を基体として出現したことを明らかにした。
著者
白尾 智明 関野 祐子 安田 浩樹
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

初代培養神経細胞系と遺伝子変異動物を用いて、神経細胞樹状突起スパイン内のアクチン結合タンパクの変化はシナプス機能変化に直接結びつくことを明らかとした。次いで、アクチン結合タンパクのスパイン内集積動態を測定することにより、グルタミン酸作動精神系繊維は、グルタミン酸受容体の二つのサブタイプを使って、両方向性にアクチン結合タンパクのスパイン内集積を制御していることが明らかとなった。
著者
安田 浩志 齋藤 豪 中嶋 正之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.255-261, 2009-02-01

工業製品の評価及び映画を含むエンターテイメント分野において,実際の人間による実現が困難な場面でのシミュレーションを行うため,計算機上で人体機構を再現する手法への需要が高まっている.本論文では特に人体のもつ機構特性の一つである関節可動域に注目し,簡略化された球関節人体モデルにおいて関節可動域のもつ解剖学的特性を再現する手法を提案する.多関節筋による影響から,一部の関節可動域は完全に独立ではなく隣接する関節の状態に大きく影響を受ける.しかし,関節ごとを独立に扱う従来の可動域表現ではこの変化を再現することができない.提案手法では,モーションキャプチャ装置を用いて混合正規分布による確率密度関数として関節可動域を決定する.まず,自己組織化マップにより非均一である計測データからの安定した関節可動域推定を実現し,次に正規分布間の共起関係により,複雑な筋骨格モデルを用いることなく多関節筋による影響の近似を可能にした.
著者
宮崎 誠也 申 金紅 青木 輝勝 安田 浩
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.966-973, 2004-07-01
被引用文献数
8 1

Many attempts have been made to reduce the burden and difficulty of CG (Computer Graphics) in movie production. One of the biggest evolutions is an automatic control approach driven by commands or language, instead of traditional CG production. In this paper, we propose methods and tools for automatic and directorial camera control that are invoked by a text script. This approach is based on the knowledge base of cinematographic rules and movie analysis imformation. We suggest considering directorial differences and optimal constraint satisfaction for adjusting CG camera work. An algorithm is implemented and checked in the DMP (Digital Movie Producer) system that aims at visualizing scripts written in simple natural language.
著者
安田 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2006, no.2, pp."SS-1"-"SS-2", 2006-09-07

2001年にスタートした「e-Japan戦略」が2004年に「u-Japan戦略:ユビキタスジャパン戦略」へと変貌し、コンテンツ創製・流通、コンテンツ・ディストリビューション・ネットワーク(CDN)について、今盛んに議論されている。さらに2006年2月には首相官邸知的財産戦略本部より、コンテンツに関し、ユーザ大国・クリエータ大国・ビジネス大国の3本柱を実現すべきとの戦略が出され、我が国のコンテンツ立国戦略は本格化している。ユビキタスIP環境がコンテンツ創製・流通に与えたインパクト、新ビジネスモデルについて考察し、IP放送の重要性を示すとともに、IP放送における著作権問題の動向について述べる。