- 著者
-
小山 正
- 出版者
- 日本音声言語医学会
- 雑誌
- 音声言語医学 (ISSN:00302813)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.4, pp.237-243, 2023 (Released:2023-09-29)
- 参考文献数
- 20
初期の時間,位置や場所を表示する語の獲得は動作語の獲得との関連が指摘されてきた.そこには,子どもの日常生活における認知や遊びの発達との関連性が考えられるが,その点についての資料は少ない.本研究では,定型発達の子どもの初期の時間,位置や場所を示す語の獲得が進む2〜3歳の時期に注目し,家庭における認知・遊びの発達との関連性を検討した.研究協力者は,保育所に在園する子どもとその保護者で,保護者にマッカーサー乳幼児言語発達質問紙(CDI)と家庭での認知・遊びの発達に関する調査に縦断的に回答してもらった.生後23ヵ月時から36ヵ月時のCDI「語と文法」における動作語,時間,位置や場所を表示する表出語彙得点と家庭での認知・遊びの諸変数との相関分析の結果,時間,位置や場所を表す語の獲得は動作語の獲得や家庭での認知・遊びの発達における「人の行為の表象化」「物での構成遊び」や「空間理解」との関連が示唆された.