著者
稲垣 洋三 坂本 耕二 井上 泰宏 今西 順久 冨田 俊樹 新田 清一 小澤 宏之 藤井 良一 重冨 征爾 渡部 高久 山田 浩之 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.912-916, 2011 (Released:2012-01-28)
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

[背景] 甲状腺乳頭癌 (以下PTC) の頸部リンパ節転移の診断法としては画像検査や穿刺吸引細胞診 (以下FNAC) が一般的であるが, 原発巣が微細でかつ頸部リンパ節転移が単発嚢胞性の場合には診断に苦慮することがある. このような症例には穿刺液中サイログロブリン (以下FNA-Tg) 測定が有用といわれているが, PTC転移以外の嚢胞性病変も含めた検討は少ない. 今回われわれは, PTC転移およびそれ以外の頸部嚢胞性病変のFNA-Tgを測定し, PTC転移に対する補助診断としての有用性を検討した. [対象] 2006年7月~2009年2月に頸部嚢胞性病変またはPTCの嚢胞性頸部リンパ節転移を疑う病変に対し, 手術を施行し病理組織学的診断が確定した17例. [方法] 超音波ガイド下に (一部症例は術後検体より) 穿刺採取した嚢胞内容液のFNA-Tg値を測定し, FNACおよび病理診断との関係について検討した. [結果] FNA-TgはPTC転移例のみ異常高値を示したのに対し, 側頸嚢胞例では測定感度以下, 甲状舌管嚢胞例では血中基準値範囲ないし軽度高値であった. [結論] FNA-Tg高値はPTC転移を示唆する有力な所見で, 特にFNACで偽陰性を示すPTC嚢胞性リンパ節転移と側頸嚢胞との鑑別に有用であった. FNA-Tg測定の追加によりFNAC施行時に新たな侵襲を加えずに術前正診率を向上させられる可能性が示唆された.
著者
五島 史行 堤 知子 新井 基洋 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.113, no.9, pp.742-750, 2010 (Released:2011-05-28)
参考文献数
17
被引用文献数
7 9

めまい患者の身体症状とストレスに着目し調べることを目的とした. めまいの治療のため集団リハビリテーション治療を目的として入院した患者145例を対象とした. 今回作成した問診票を用いて調査した. 質問項目の内容は現在有している身体症状としてめまい, 頭痛, 不眠, 下痢, 便秘, 腹痛, 胸痛, 心臓がドキドキする, 息が切れやすい, 疲れやすいの項目, さらに現在感じているストレスの内容として仕事 (学業), 家庭内の問題, 社会に対して, 金銭面, 自分の健康, 生活環境, 近所づきあいの項目について数値評価尺度 (Numerical Rating Scale: NRS) によって回答するものである. また不安, 抑うつの程度, めまいによる障害度をHADS (hospital anxiety and depression scale), DHI (dizziness handicap inventory) にて評価を行った. 身体症状として疲れやすい, 不眠, 頭痛を多く認めた. これらの症状は抑うつや不安にしばしば認められる症状である. NRSにて数値化しためまいと頭痛症状の間には相関関係が認められた (R=0.48, P<0.0001). 今回の結果, めまい患者はめまい以外にもさまざまな身体愁訴を有していることが明らかになった. めまい患者の治療においてはめまい以外の身体症状に焦点をあて, 適切に症状聴取を行い対応していくことが必要である.
著者
松田 裕子 大塚 理恵子 伊藤 剛 小川 郁夫 佐藤 豊 瀧原 道東 加治 弘 迫田 寛人 竹本 寛 松永 義則 森 昭夫 山岡 義生 井上 潔
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.2287-2292, 1985-11-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
6
被引用文献数
2

胃内視鏡検査施行時に1,129例の胃液を採取してpH値を測定し,内視鏡所見との関係を検討した. 内視鏡的に無所見であった353例におけるpH値の分布は,年齢が高くなるにつれて高pH領域へと偏り,加齢による影響を示したが,性別による差異は認められなかった. 胃潰瘍225例のpH値分布は無所見群のpH値分布と類似していたが,十二指腸潰瘍160例は無所見群や胃潰瘍群よりも低pH値領域に偏った分布を示し,この傾向は高齢者においてなお著明であった. 胃潰瘍および十二指腸潰瘍において,病変が活動期である時は胃液はより低pH値を,病変が瘢痕期である時はより高pH値を示したが,十二指腸潰瘍では瘢痕期においてもなお無所見群よりも明らかに低pH値にとどまった. 本法は被検者に苦痛を与えることなく,多数例に反復施行が可能であり,胃の形態と機能の両面から同時に観察することができ,臨床上有用であると考えられた.
著者
五島 史行 矢部 はる奈 小川 郁
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.102, no.4, pp.315-320, 2009 (Released:2010-12-04)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

Introduction: Treatments for acute peripheral vertigo have not been well investigated. The most suitable drug for controlling acute vertigo should suppress both vertigo and accompanying nausea. The purpose of this study was to evaluate the effect of four different drugs on acute peripheral vertigo: (A) hydroxyzine hydrochloride (25 mg, i.v.); (B) 0.5% metoclopramide (2 ml, i.v.); (C) sodium bicarbonate (40 ml, i.v.); and (D) a cocktail of diphenhydramine hydrochloride (30 mg) and dyprophylline (26 mg) (both i.m.). Methods: Forty-two patients with acute peripheral vertigo (average age: 59.5±18.1 years) with spontaneous nystagmus were assigned to four treatment groups (A-D, above). Patients with central vertigo and vestibular neuritis were excluded. The number of patients in each group was as follows: A, n=11; B, n=11; C, n=11; and D, n=9. Patients were instructed to evaluate their subjective symptoms of nausea and vertigo before and 30 minutes after drug treatment. They rated the severity of their symptoms on a 0-to-10 scale, with 10 representing the most severe symptoms and 0 a lack of symptoms. Results: Group A patients (hydroxyzine hydrochloride; 25 mg, i.v.) reported the highest level of relief from vertigo and nausea after drug treatment, whereas group C (sodium bicarbonate; 40 ml, i.v.) and D (diphenhydramine hydrochloride (30 mg)-dyprophylline (26 mg) cocktail; i.m.) patients reported only the slight relief of these symptoms. Group B patients (0.5% metoclopramide; 2 ml, i.v.) experienced partial symptom relief; their vertigo remained unchanged. Thus, hydroxyzine hydrochloride (A) was the most effective in controlling both nausea and vertigo, whereas sodium bicarbonate (C) and diphenhydramine hydrochloride and dyprophylline (D) only slightly suppressed vertigo and nausea. Metoclopramide (B) only suppressed nausea. Conclusions: Hydroxyzine hydrochloride (A) was the most suitable for treating acute peripheral vertigo. Doctors should be familiar with the contraindications of these drugs. Some of these drugs may potentially be used in combination to control the symptoms of acute vertigo more effectively.
著者
五島 史行 堤 知子 新井 基洋 小川 郁
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.113, no.9, pp.742-750, 2010-09-20
被引用文献数
2 9

めまい患者の身体症状とストレスに着目し調べることを目的とした. めまいの治療のため集団リハビリテーション治療を目的として入院した患者145例を対象とした. 今回作成した問診票を用いて調査した. 質問項目の内容は現在有している身体症状としてめまい, 頭痛, 不眠, 下痢, 便秘, 腹痛, 胸痛, 心臓がドキドキする, 息が切れやすい, 疲れやすいの項目, さらに現在感じているストレスの内容として仕事 (学業), 家庭内の問題, 社会に対して, 金銭面, 自分の健康, 生活環境, 近所づきあいの項目について数値評価尺度 (Numerical Rating Scale: NRS) によって回答するものである. また不安, 抑うつの程度, めまいによる障害度をHADS (hospital anxiety and depression scale), DHI (dizziness handicap inventory) にて評価を行った. 身体症状として疲れやすい, 不眠, 頭痛を多く認めた. これらの症状は抑うつや不安にしばしば認められる症状である. NRSにて数値化しためまいと頭痛症状の間には相関関係が認められた (R=0.48, P<0.0001). 今回の結果, めまい患者はめまい以外にもさまざまな身体愁訴を有していることが明らかになった. めまい患者の治療においてはめまい以外の身体症状に焦点をあて, 適切に症状聴取を行い対応していくことが必要である.
著者
神崎 晶 井上 泰宏 齋藤 秀行 小川 郁
出版者
THE JAPAN OTOLOGICAL SOCIETY
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.205-208, 2012-07-25

目的) 若手医師、医学部生を対象に3次元 (以下3D) 動画による側頭骨臨床解剖、3D側頭骨CTに関する講習を行った。その教育効果を解析する。<BR>方法) 3D教材の効果をみるために、若手医師向け教材と医学生向け教材を作成し以下2つの試みを行った。<BR>1) 若手医師向けには側頭骨臨床解剖教育動画 (経迷路法、経中頭蓋窩法それぞれ2つの手術アプローチに関する動画) を作成した。その動画を専修医を含む経験年数の若い医師に視聴させた後、質問紙に回答してもらった。2) 医学部生には3D-CT画像あるいは2次元 (以下2D) -CT画像を用いた教材で講義を行い、教育効果について解析した。<BR>結果) 3D動画視聴により、新たに理解できた解剖部位は、1年目医師では「顔面神経」であり、4年目医師では「内耳道」であった。耳鼻咽喉科経験年数を経るにしたがって理解度も向上していた。学生では3D教材による講義は2D教材と比較してより短時間で同じ効果を得た。<BR>結論) 3D教材は理解度の向上、教育の効率化に貢献する可能性を見出した。今後も改良を行って医師・医学部生に対して3D画像・動画による教育システムを検討したい。理解度を評価する方法として試験や質問票の確立も重要である。また、本稿ではご遺体に関する最近のガイドラインについても紹介し、今後の臨床解剖教育の問題点についても言及した。
著者
小川郁
雑誌
Otol Jpn
巻号頁・発行日
vol.4, pp.189-195, 1994
被引用文献数
8
著者
志津木 健 小川 郁 井上 泰宏 神崎 仁
雑誌
Audiology Japan (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.242-249, 2000-08-31
被引用文献数
7