著者
齊藤 由衣子 山内 洋一郎
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.1-9, 1996-03-01

教育基本語彙の一つである「友だち」は、「友」と複数を示す接尾語「たち」によってできている。それが、現代では「A君は僕の友だちだ」といった単数を表す用法が用いられる。本来複数を表していた「友だち」は、汎称としての「友」の領域を侵し、単数を表すようになり、複数としての意味が薄れていく。「友だち」は以上のような語史をたどり現代に至る。
著者
山内 洋平
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.23-30, 2021-04-30 (Released:2021-05-12)
参考文献数
22

ウイルスは5–300 nmほどの大きさの粒子状の感染性物質で,遺伝情報(DNAかRNA)をカプシドや脂質二重膜内にカプセル化した構造体を作る.感染された細胞は文字通り乗っ取られウイルス複製工場と化す.ウイルスは自己のみでは増殖することはできず,代謝や移動を宿主側に依存している.そのため細胞の裏表を理解し尽くしており,自由自在に操ることを得意とする.実際,分子生物学の重要な発見はウイルスまたはウイルスと宿主とのせめぎ合いから創出されたものが多い.ノーベル賞を受賞した逆転写酵素やCRISPR/Casなどが良い例である.ウイルスはその均一さと電子密度の高さから光学顕微鏡,電子顕微鏡,クライオ電子顕微鏡,原子間力顕微鏡などで観察するには格好の材料である.我々の研究室はウイルスと細胞との相互作用の仕組みに関心があるため,色々な手法で観察を行ってきたので,それらの研究を中心にウイルスの顕微鏡手法を紹介したい.
著者
高谷 美正 鈴木 修 山内 洋 中里 真久 猪上 華子
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1037-1054, 2011-12-31
被引用文献数
2

2007年4月28日午後,関東地方は雷雨・突風・降雹を伴う大荒れの天気となり,各地で被害が相次いだ.この事例について,ドップラーレーダー,高層気象観測,ウィンドプロファイラー,地上気象観測の各データおよび被害調査等から解析を行った結果以下のことがわかった.(1)被害をもたらした降水システムは,ボウエコー(弓形のエコー)の特徴を備えていた.(2)レーダーのデュアル解析により,このボウエコーの先端部分に鉛直渦度と水平収束の大きい領域が解析された.この領域の形状と振る舞いは先行研究のサイクロニックなメソサイクロンと良く似た特徴を持っていた.この領域は当初中空(地上2〜4km)に浮いていたが,その後その南西端が地上付近に垂れ下がるような形状となった.この時にその足付近で,低層のPPIデータにマイソサイクロンが2つ検出され,これらは鉛直渦度と水平収束の大きい領域とともに東南東に移動した.(3)2つのマイソサイクロンの内,より南側を通過したマイソサイクロンが,東京湾岸地帯の約18kmにわたる直線上の複数の場所に突風被害をもたらした.低層のPPIデータによる見積りでは,被害場所は,渦の風と渦の移動速度が線形の重ね合わせによって強め合う場所で起きており,風速は最大40ms^<-1>ほどに達したと見積もられる.(4)サイクロニックなメソサイクロンの発生機構として,先行研究の数値実験において,「下降域内を下降する空気塊が,ガストフロントをまたぐ傾圧帯において傾圧効果により水平渦を獲得する.その水平渦がガストフロントに沿って存在する上昇流によって上方に傾けられて鉛直渦度を獲得し,更に延伸することにより鉛直渦度が強められる」というものが挙げられている.この発生機構が実際に働いていることを示唆する解析結果が得られた.(5)被害が最初に起きた時刻の約10分前に,仰角の高いドップラーデータで見ると,ボウエコーの先端部分において動径風の収束が強まっていた.これはマイソサイクロンの前兆現象として突風の直前予報に役立つと思われる.
著者
山内 洋一郎
出版者
中央図書出版社
雑誌
国語国文 (ISSN:09107509)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.44-53, 2011-02
著者
山内 洋一 水月 晃 遠藤 雅子 福岡 義之
出版者
Japanese Academy of Budo
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.43-49, 2001

Our aim was to investigate aerobic and anaerobic power, correctly measuring metabolic response during graded maximal exercise testing and short-term high power testing continuously for four years, from 1996 to 1999. The subject, who was twice the male national karate champion, was recruited to participate the experiments. The subject underwent the incremental exercise test every 30 watts/3 min until exhaustion to measure the peak oxygen uptake (VO<sub>2</sub>peak), CO<sub>2</sub> production, (VCO<sub>2</sub>peak) and ventilation (VEpeak) as an index of the aerobic power, and to determine capillary blood lactate concentration ( [La]b) VO<sub>2</sub>peak were 50.6, 45.2, 52.1, and 53.0 ml/kg/min, respectively. Peak [La] b increased 4.40, 6.15, 7.10, and 6.51 mM/L, respectively, and the delayed onset of blood lactate accumulation during incremental exercise was also observed, being due to higher buffering capacity which is associated with glycolytic enzymes in the muscles. Anaerobic power as measured by the total power for 10 sec on a high-power bicycle ergometer also increased from 936 to 1053 watts, which revealed a much higher anaerobic power compared with competitors in other sports. These results suggest that the karate champion in the heavy weight class had relatively average aerobic power and additionally greater anaerobic power, which may be due to glycolytic potential in the skeletal muscles.
著者
山内 洋美
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

1.はじめに<br> アフリカとラテンアメリカは,高校地理の地誌分野で扱うに当たって,生徒の関心も薄く,誤った認識を持ちやすい地域であるように思われる。例えばメンタルマップにおいて,アフリカ大陸にブラジルを,あるいは南米大陸に喜望峰を記入したりする生徒もみられたりする。また白地図での作業において,アフリカ大陸と南米大陸を取り違える生徒もクラスに複数見られる。このように,この2つの地域は混同しやすい地域であることがうかがえる。<br> なぜ,このように混同しやすいのか。まずアフリカ大陸と南米大陸の形および位置する緯度が似ていること,また双方の地域に位置する国名や地名になじみが薄い,いずれも物理的にも心理的にも「遠い」地域であることが考えられる。したがって,この2つの地域を地誌分野で扱う際に,どうしても貧困や格差,紛争等,過剰に現代的な課題を用いて生徒の関心・意欲をかきたてることになりがちであり,その地域の地誌を適切に提示しているとは言いにくい。<br> 以上のような問題意識を踏まえて,2006年に南アフリカ,2008年にケニア・ウガンダ,2014年にパラグアイ・ブラジルを訪れた経験を活かしつつ,アフリカとラテンアメリカの地誌を比較する授業を立案し,実施の際の課題を提示したい。<br><br>2.無視されるアフリカとラテンアメリカの多様性と共通性<br> アフリカとラテンアメリカは,いずれも授業を組み立てるにあたって最も資料が手に入れにくい地域であり,さらに限られた時数で地誌を扱うためなのか,教科書や副教材等に記された情報にも偏りや強引な一般化がみられるため,それが生徒にとってアフリカとラテンアメリカをさらに「遠い」地域にしているように感じられる。<br> 例えば「アフリカの食事風景」と題してトウモロコシ・雑穀等の粥を食べる写真を紹介しておいて,ともに並ぶ食事風景の写真には「インド」「モンゴル」「フランス」と国名を冠しているなど,複数国が含まれる地域と国を同列に扱うような事例がみられる。「アフリカ」は多様だと述べておきながら,ブラック・アフリカの一部のみの情報が「アフリカ」の情報として与えられるのである。また,「ブラジル」を取り上げることで「ラテンアメリカ」を扱ったことになっている教科書もある。これらの例からも,生徒が触れる教科書や副教材から偏りのあるステレオタイプが植えつけられる恐れがあると感じる。<br> 一方で,これらの地域の日常的な暮らしはなかなか浮かび上がってこない。アフリカのスラムに暮らすアフリカ系黒人の中学生が,携帯電話を持ちナイキのシューズを履いてブレイクダンスに興じる姿はおそらくイメージできないであろうし,ラテンアメリカの内陸部で,明らかにヨーロッパ系白人の風貌を持つ人々が,小規模自給的・集約的な農業に汗水たらしている姿も想像できないであろう。それらもアフリカやラテンアメリカのある地域の一つの姿であるにもかかわらず。これまで地域の特性を表そうとするあまり,そのような例に象徴される多様性を無視して授業を行ってこなかったかと反省しきりである。<br> また,ラテンアメリカ原産のさまざまな作物は,今や世界中で栽培され,食料にそして飼料や工業原料として欠かせない存在となっており,特に生活文化において似たような特性を持つ一つの要因となっているように見える。その中でもトウモロコシとキャッサバを取り上げてみると,アマゾンの熱帯雨林原産のキャッサバはアフリカにおいても熱帯地域で食べられており,ラテンアメリカで食べるのと同じようにゆでて,何らかのソースをかけて食べることが多いという意味で共通性を持っている。一方で,中米原産と考えられるトウモロコシは比較的多様な地域に広がっており,粉にして焼いて食べるトルティーヤやタコスなどが有名であるが,パラグアイではソパ・パラグアーニャと呼ばれるケーキ状のものになる。またアフリカに渡れば粥や餅状になるという意味で多様性が生まれる。<br> このような,これまであまり取り上げることのなかったアフリカとラテンアメリカの共通性と多様性を扱うことで,ステレオタイプから脱却する形の地誌を提示すること,そして2つの地域に共通する事象と大きく異なる事象を比較することでそれぞれの地域について「誌」すことを試みたい。<br><br>3.比較地誌の授業を立案するにあたっての課題<br> 授業のキーワードとして考えているのは「気候」とかかわる「作物の伝播」・「移民」であるが,歴史的背景が重要であり,「多様性」と「共通性」についてわかりやすくシンプルな比較を行うことは難しい。どのような比較を行うか,また具体的にどのような課題が生まれたか等については,当日の発表において述べたい。<br>
著者
山内 洋一 生田 殉也 清水 貞宏 中村 政記
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.95, no.5, pp.239-246, 1990 (Released:2007-02-20)
参考文献数
43
被引用文献数
2 1

塩酸dilazepの脳虚血モデルに対する影響を高血圧自然発症ラット(SHR)を用いて検討した.SHRは4時間の両側総頸動脈結紮により,四肢の麻痺,正向反射の消失などの異常神経症状が見られた.血流を再開通させることにより,これらの神経症状はさらに悪化し,死亡する例も認められた.再開通1時間後の脳内水分含量は著明に増加し,Na含量の増加,K含量の低下を伴っていた.さらに,脳内脂質過酸化反応の指標として測定したchemiluminescence値は脳虚血4時間後では増加し,再開通15分後では一過性に急激に増加した.dilazep0.3~3mg/kg/hrは虚血中4時間の静脈内持続注入により,虚血中および再開通後の神経症状および再開通後の死亡に対して,用量依存的な抑制を示した.dilazep3mg/kg/hrは脳浮腫および脳内脂質過酸化反応を抑制した.以上,dilazepは虚血性脳血管障害にもとつく神経症状の改善効果および脳浮腫の抑制効果を示した.これらの作用機序として,脳内脂質過酸化反応の抑制が重要な役割を演じていることが示唆された.
著者
足立 アホロ 小林 隆久 山内 洋 増田 一彦 石元 裕史
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

潜在的に豪雨をもたらす可能性のある積雲を直前に検知するための手法をシミュレーションを用いて開発し、そのアルゴリズムを実際のレーダー観測に用いて検証を行った。その結果、豪雨を伴う積雲では、地上で豪雨が発生する10分ほど前に、上空に降雨強度の高い領域が発生し、また反射因子差(ZDR)の高い領域が気温0度の高度よりもさらに上空にまで達していることがわかった。このような特徴は豪雨を伴わない積雲には見られなかったことから、これらの特徴が潜在的に豪雨をもたらす積雲を識別する指標になり得ることが示唆された。
著者
山内 洋一
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学研究報告 (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.9-12, 2007-03
著者
中田 毅 曹 東輝 謝 啓裕 山内 洋 山内 隆
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.57, no.542, pp.3228-3233, 1991-10-25
被引用文献数
4

This paper deals with a new concept of an optical servo system and an experimental analysis on photostrictive ceramics for use as an optical actuator in the servo system. The optical servo system proposed here may be characterized by the introduction of an opto-hydraulic control valve into the system. The opto-hydraulic control valve can be operated by an optical actuator which is directly dirven by light irradiation. The photostrictive effect in PLZT ceramics, which is produced from the superposition of the photovoltaic effect due to light irradiation and the piezoelectric effect, is evaluated experimentally from the viewpoint of the applicability to a servo actuator. Experimental results show that the PLZT (3/52/48) ceramics produce a strain as large as conventional PZT ceramics, but that they have a very slow dynamic response of about 100 sec. The slow dynamic response is due to the time lag in the photovoltaic effect.