著者
山本 康貴 高山 マミ 野々山 忠芳 近 裕介 北川 孝
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12359, (Released:2023-05-29)
参考文献数
30

【目的】本研究の目的は,慢性閉塞性肺疾患急性増悪(acute exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease:以下,AECOPD)患者における運動療法およびセルフマネジメント教育の身体活動性(physical activity:以下,PA)改善に対する有効性を検討することである。【方法】本研究はシステマティックレビューおよびメタアナリシスであり,2022年3月に5つのデータベースを検索し,AECOPD患者に対し運動療法およびセルフマネジメント教育またはどちらかの介入が単独で行われたランダム化比較試験(randomized controlled trials:以下,RCT)を収集した。コクランが推奨する方法でバイアスリスクやデータの統合,エビデンスの確実性の評価を実施した。【結果】13件のRCTが特定され,メタアナリスの結果,運動療法のみ歩数の有意な改善を認めた。各介入の歩数に対するエビデンスの確実性は「非常に低い」であった。【結論】AECOPD患者を対象とした運動療法はPAの改善をもたらす。セルフマネジメント教育を併用した介入については今後の解明が必要である。
著者
伊藤 寛幸 澤内 大輔 山本 康貴
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.71-75, 2016-06-25 (Released:2016-06-29)
参考文献数
17
被引用文献数
3 5

In this study, we estimate the potential electricity volume and solar photovoltaic power generation profitability using abandoned agricultural land in Hokkaido. We assume the introduction of photovoltaic power generation facilities on all abandoned agricultural land in Hokkaido and perform the cost-benefit analysis of the investment for solar photovoltaic power generation facilities under the feed-in tariff scheme. The results show that the return of investment for solar photovoltaic power generation facilities was higher than the total investment cost.
著者
中谷 朋昭 宮田 歩 澤内 大輔 桟敷 孝浩 山本 康貴
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.100-103, 2010

We examine the tariff equivalent estimates of technical barriers to trade (TBTs) in the case of Japan's phytosanitary measures against fire blight in connection with apple imports. We construct a confidence interval for the tariff equivalent estimates of the TBTs using the Yue, Beghin, and Jensen (2006) model. The results show that the tariff equivalent estimates of TBTs are not statistically different from zero.
著者
澤田 学 山本 康貴 浅野 耕太 松田 友義 丸山 敦史
出版者
帯広畜産大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は,各種の表明選好法を社会的関心の高い食品安全性問題に適用し,分析対象とした安全性・環境対応に係る属性に対する支払意志額(WTP : Willingness to Pay)の計測を通して,わが国消費者の食品安全性に対する選好の構造を実証的に明らかにした.分析対象とした具体的な属性は,(1)原産地や遺伝子組換え原料情報(地場産牛肉,生鮮野菜の原産地表示,遺伝子組換え作物の含有率),(2)牛乳製造に関するHACCP認証,(3)サルモネラ食中毒(サルモネラ・フリー卵),(4)トレーサビリティ(生鮮野菜,牛肉),(5)農業生産における環境負荷情報(家畜ふん尿処理対策,野菜の有機など特別栽培方式)である.分析の結果,HACCPラベル付加牛乳は,通常製品の価格よりも5〜10%高い評価を得ること,地場産牛肉の価値を高める第1の要因は,新鮮さで,次いで,安心,おいしさ,廉価性,安全性の順であること,ミニトマトのトレーサビリティに対するWTPは有機栽培野菜に対する評価額の4割程度であること,牛肉のトレーサビリティに対するWTPは牛肉購入価格の5%前後であること,非遺伝子組換え枝豆に対するWTPは遺伝子組換え作物含有率表示に影響を受けるが,含有率のある程度の減少幅については同一のものとみなされていること,せり実験による食品安全性に対する消費者のWTPは,新たに開発したネットワーク型のせり実験システムにおいて安定的で精度の高い結果が得られること,などが明らかにされた.表明選好分析では,被調査者からアンケート調査や実験によって食品安全性やグリーン購入に対する支払意志額を表明させるため,アンケート質問票の内容や実験環境が分析結果に大きく影響する.本研究では,分析課題にそって体系的に回答者の選好表明を引き出すように綿密・周到に設計されたアンケート質問票およびせり実験方法も公開した.
著者
山本 康貴 桟敷 孝浩 澤内 大輔 増田 清敬 所 説夫 岩本 博幸
出版者
北海道農業経済学会
雑誌
北海道農業経済研究 (ISSN:09189742)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.77-83, 2009-02-27

We analyzed factors that affect Japanese consumers' willingness to pay (WTP) price premiums for locally produced agricultural products (LPAP) and estimated the mean WTP for LPAP using data obtained from a consumer survey conducted at a supermarket with 'shop in shop'. The results showed that consumers are willing to pay a price premium on average just under 10 percent for LPAP.
著者
山本 康貴 増田 清敬 稲永 直人
出版者
北海道大学大学院農学研究院
雑誌
北海道大学農經論叢 (ISSN:03855961)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.19-24, 2008-06-10

This study analyzed the emission trends of greenhouse gases and the measures against global warming in the New Zealand (NZ) agriculture sector. The NZ agriculture sector has the largest impact for greenhouse gas emission in NZ. Especially, methane emissions from enteric fermentation of sheep, dairy cattle, and non-dairy cattle are significant sources. In accordance with the Kyoto Protocol, NZ’s target is to reduce its greenhouse gas emissions to the level they were in 1990.Measures against global warming in the NZ agriculture sector include reduction in breeding numbers (short-term) and the cutting of greenhouse gas emission factors for livestock through research and development (long-term). However, it is believed that the short-term reduction measure will have a large impact on farmers, such as agricultural income reduction, and the long-term reduction measure will take considerable time to reduce the effects of greenhouse gases.
著者
澤内 大輔 小澤 壮介 山本 康貴
出版者
北海道農業経済学会
雑誌
北海道農業経済研究 (ISSN:09189742)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.49-54, 2007-09-28

The purpose of this study is to test the hypothesis that the area of production is a more significant factor influencing rice prices in Japan than the variety and taste of rice. We estimated a hedonic price function relating rice prices and the three factors influencing them. The results support our hypothesis that the area of production has the most significant influence among the three factors.
著者
山本 康貴 馬奈木 俊介 増田 清敬 近藤 功庸 笹木 潤 宋 柱昌 吉田 祐介 赤堀 弘和
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

EUでは、環境に配慮した農業生産を行うなどの一定要件を満たした農業生産者に補助金等を支払うというクロス・コンプライアンス(CC)を適用した農業政策が実施されている。本研究では、CC受給要件を、農業由来の環境負荷などの外部性効果とみなして評価し、CC受給要件の内容設計に資する手法の開発や適用を試みた。農業生産活動由来の環境負荷に及ぼす環境影響を経営段階のミクロレベルや国全体のマクロレベルで定量評価できる手法の開発と適用を行い、CCを適用した新たな農業政策の設計に資する基礎知見を得ることができた。
著者
師 耀軒 桟敷 孝浩 澤内 大輔 中谷 朋昭 山本 康貴
出版者
北海道大学農学部農業経済学教室
雑誌
北海道大学農經論叢 (ISSN:03855961)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.97-104, 2009-03

日本政府は、2002年に、外国人旅行者の訪日を促進する「グローバル観光戦略」を策定し、「2010年に訪日客1,000万人を」との目標を掲げたキャンペーンの実施を表明した。2003年1月には、当時の首相による施政方針演説の中で「わが国の文化・観光の魅力を全世界に紹介し、訪日外国人旅行者の増加とこれを通じた地域の活性化を図る」旨の"観光立国への道"が表明された。観光を主目的として訪日する外国人の増加を促進していく意義は、経済や地域の活性化だけではなく、国際相互理解の促進などの面からも極めて大きい。このため、いくつかの機関は、外国人観光客による日本国内での観光動向についての基礎データを得るために、外国人観光客に対するアンケート調査を実施している。このような基礎データは、政府による観光政策の立案や旅行会社によるマーケティング戦略の構築などに有益な情報を提供している。本論文の課題は、北海道大学在学中の留学生を対象者としたアンケート調査分析を通じ、留学生の日本国内における観光動向を明らかにすることである。
著者
近藤 功庸 笹木 潤 山本 康貴
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.14-22, 2010-06

山本・近藤・笹木は、以下の「稲作生産性停滞仮説」を提示して、「わが国稲作生産性の伸びがゼロとなりつつある」という極めて悲観的な可能性のあることを計量的に検証した。「稲作生産性停滞仮説」:戦後におけるわが国稲作生産性は、(1)技術進歩率が相対的に高くキャッチ・アップ効果が低下する減反以前の第1局面、(2)技術進歩率が低下しキャッチ・アップ効果が上昇する減反以降から近年までの第2局面の順に推移し、(3)その後は技術進歩率、キャッチ・アップ効果ともに停滞し全体として稲作生産性の伸びがゼロとなる第3局面に向かっている可能性がある。本稿では、山本・近藤・笹木の分析枠組みに依拠しつつも、この分析では未解明であった以下3つの論点に限定し、「稲作生産性停滞仮説」の再検証を試みることを課題とする。
著者
中谷 朋昭 宮田 歩 澤内 大輔 桟敷 孝浩 山本 康貴
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.100-103, 2010-06-25
参考文献数
6

WTO設立以後、関税障壁が低くなる一方で、植物検疫措置が新たな貿易障壁として注目されている。植物検疫措置とは、外国からの病害虫侵入および国内蔓延を防ぐ目的を持つ法律や規則、公的手続による措置のことである。植物検疫措置は、輸出国と輸入国でとらえ方が異なる場合も多い。このため、輸出国側は、輸入国側が病害虫の侵入・蔓延を防ぐという点を「口実」にして不当に農産物輸入を制限しているととらえ、輸入国側との間で国際紛争となる場合も多い。リンゴの火傷病に対する日本の植物検疫措置を経済分析した代表的研究として、Yue、Beghin and Jensenは、日本の植物検疫措置がリンゴ輸入を制限する効果(輸入制限効果)を有する点を示した。しかし、WTOの審議結果によって火傷病に対する植物検疫措置が変更された後も、米国から日本へのリンゴの輸出が殆どない状況にある。したがって、リンゴの火傷病に対する日本の植物検疫措置が輸入制限効果を有しているというYue、Beghin and Jensenの結果は、再検討されるべきと考える。