著者
山本 雅之 勝岡 史城 峯岸 直子 本橋 ほづみ 黒河 博文 鈴木 教郎 森口 尚 鈴木 隆史 田口 恵子
出版者
東北大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2007

生体は、環境ストレスに適切に応答して恒常性を維持している。本研究は、酸化ストレス・異物に対するセンサーであるKeap1-Nrf2システムを検証し、ストレス感知の新たな分子機構、疾患との関連を明らかにした。また、低酸素ストレスについては、エリスロポエチン遺伝子の発現制御を通じて、組織ごとに異なる多様な低酸素応答に対する遺伝子発現制御機構について新たな知見を得た。
著者
山本 雅 渡邊 俊樹 吉田 光昭 平井 久丸 本間 好 中地 敬 永渕 昭良 土屋 永寿 田中 信之 立松 正衛 高田 賢蔵 澁谷 均 斉藤 泉 内山 卓 今井 浩三 井上 純一郎 伊藤 彬 正井 久雄 村上 洋太 西村 善文 畠山 昌則 永田 宏次 中畑 龍俊 千田 和広 永井 義之 森本 幾夫 達家 雅明 仙波 憲太郎 菅村 和夫 渋谷 正史 佐々木 卓也 川畑 正博 垣塚 彰 石崎 寛治 秋山 徹 矢守 隆夫 吉田 純 浜田 洋文 成宮 周 中村 祐輔 月田 承一郎 谷口 維紹 竹縄 忠臣 曽根 三郎 伊藤 嘉明 浅野 茂隆
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

近年、がん遺伝子、がん抑制遺伝子の研究が進み、がんを遺伝子ならびにその産物の機能に基づいて理解することが可能になった。それと共に、細胞増殖のためのシグナル伝達機構、細胞周期制御の機構、そして細胞死の分子機構の解明が進んだ。また細胞間相互作用の細胞社会学的研究や細胞表面蛋白質の分子生物学的研究に基づく、がん転移の機構についての知見が集積してきた。一方で、がん関連遺伝子の探索を包含するゲノムプロジェクトの急展開が見られている。また、ウイルス発がんに関してもEBウイルスとヒトがん発症の関連で新しい進展が見られた。このようながんの基礎研究が進んでいる中、遺伝子治療のためのベクター開発や、細胞増殖制御機構に関する知見に基づいた、がんの新しい診断法や治療法の開発が急速に推し進められている。さらには、論理的ながんの予防法を確立するための分子疫学的研究が注目されている。このような、基礎研究の急激な進展、基礎から臨床研究に向けた情報の発信とそれを受けた臨床応用への試みが期待されている状況で、本国際学術研究では、これらの課題についての研究が先進的に進んでいる米国を中心とした北米大陸に、我が国の第一線の研究者を派遣し、研究室訪問や学会発表による、情報交換、情報収集、共同研究を促進させた。一つには、がん遺伝子産物の機能解析とシグナル伝達・転写調節、がん抑制遺伝子産物と細胞周期調節、細胞死、化学発がんの分子機構、ウイルス発がん、細胞接着とがん転移、genetic instability等の基礎研究分野のうち、急速な展開を見せている研究領域で交流をはかった。また一方で、治療診断のためには、遺伝子治療やがん遺伝子・がん抑制遺伝子産物の分子構造に基づく抗がん剤の設計を重点課題としながら、抗がん剤のスクリーニングや放射線治療、免疫療法に関しても研究者を派遣した。さらにがん予防に向けた分子疫学の領域でも交流を図った。そのために、平成6年度は米国・カナダに17名、平成7年度は米国に19名、平成8年度は米国に15名を派遣し、有効に情報交換を行った。その中からは、共同研究へと進んだ交流もあり、成果をあげつつある。本学術研究では、文部省科学研究費がん重点研究の総括班からの助言を得ながら、がん研究の基盤を形成する上述のような広範ながん研究を網羅しつつも、いくつかの重点課題を設定した。その一つは、いわゆるがん生物の領域に相当する基礎生物学に近いもので、がん細胞の増殖や細胞間相互作用等の分子機構の急激な展開を見せる研究課題である。二つ目の課題は、物理化学の分野との共同して進められる課題で、シグナル伝達分子や細胞周期制御因子の作用機構・高次構造に基づいて、論理的に新規抗がん剤を設計する試みである。この課題では、がん治療薬開発を目的とした蛋白質のNMR解析、X線結晶構造解析を推進する構造生物学者が分担者に加わった。三つ目は、極めて注目度の高い遺伝子治療法開発に関する研究課題である。レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクターの開発に関わる基礎側研究者、臨床医師、免疫学者が参画した。我が国のがん研究のレベルは近年飛躍的に向上し、世界をリ-ドする立場になってきていると言えよう。しかしながら、上記研究課題を効率良く遂行するためには、今後もがん研究を旺盛に進めている米国等の研究者と交流を深める必要がある。また、ゲノムプロジェクトや発生工学的手法による、がん関連遺伝子研究の進展によって生じる新しい課題をも的確に把握し研究を進める必要があり、そのためにも本国際学術研究が重要な役割を果たしていくと考えられる。
著者
川村 秀憲 角田 久雄 山本 雅人 高谷 敏彦 大内 東
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.203-211, 2005-04-15
被引用文献数
6

本稿では, 人の呼びかけに反応して様々な動作を行うエンタテインメントバルーンロボットの開発と基礎的な実験について報告する.バルーンロボットにはワイヤレスCCDカメラとワイヤレスマイクが搭載され, 人の拍手を感知して回転動作や上下移動を行う.人の呼びかけに対しては, 確率的状態遷移機械を利用することによって, 不確実な再現性をともなった動作系列の生成を実現した.バルーンは空調などの外乱に容易に影響を受けるので, 連続的に動作可能な状態を維持することは困難であるが, 地面に置かれたランドマークを利用したホバリング制御に基づいて制御することによって長時間安定してインタラクティブな飛行を可能とした.実験を通して, 人とインタラクションをとりながら長時間飛行が可能であることを確認した.
著者
川村 秀憲 山本 雅人 大内 東 車谷 浩一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.1, pp.61-66, 2001-01-10
被引用文献数
10

近年,経済に代表される社会システムの研究でエージェントベースシミュレーションが盛んになりつつある.エージェントベースシミュレーションは,理論・実験に続く第3の研究パラダイムとして着目されており,エージェントのミクロ・マクロな振る舞い,そしてそれらの関係を解明する鍵である創発現象解明へ向けて,研究が行われている.しかし,各研究において様々なモデルが乱立し,統一的な解釈を与えるのが困難であること,モデルの透明性・シミュレーションの再現性等の問題点が指摘されている.そこで本報告では,経済・金融の汎用的シミュレータとモジュール型ツール群の実現へ向けたX-Economyサーバ・クライアントシステムの開発と,それを用いた仮想金融市場のプロトタイプについて報告する.In this paper, we report the prototype architecture of X-Economy System including X-Economy Server and Clients. X-Economy is the project aiming for foundation of standard problem as artificial social and economic systems. By X-Economy system, it will be possible to construct arbitrary system design for investigation of behavior of social and economic systems between micro scale agents and macro scale.
著者
長尾 光悦 川村 秀憲 山本 雅人 大内 東
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.29, pp.7-12, 2004-03-15
被引用文献数
3

本稿では,観光動態情報の獲得を意図したGPSログデータマイニング法を提案する.本研究においては,近年の個人型観光へのシフトに伴い利用が急増しているレンタカーによる観光活動において,GPSにより収集されたログデータから観光動態情報として活用可能な個人行動情報の抽出を行う.現在,GPSはSAの除去が実施され,高精度での位置測位が可能である.しかしながら,GPSの単独測位においては電離層の影響,大気の揺らぎ,マルチパスの影響により誤差が生じる.更には,GPS受信機の状態による記録エラー,遮蔽物による測位不能などを避けられないのが現状である.提案手法は,これらの状況に対してロバストであり,GPSログデータから適切に個人行動情報を抽出することが可能である.また,北海道観光を行った旅行者から収集したGPSログを用い提案手法の有効性の検証を行う.In this paper, we propose a GPS log data mining method for acquisition of tourism information. Recently, the number of tourists which utilize rent-a-car has extremely increased according to shift of tourism type from group tour to personal tour. Therefore, in this research, we perform the extraction of personal behavior information which is effective for tourism information from GPS log data in rent-a-car tour. Currently, the position detection with high accuracy can be performed by using GPS because SA which leads to decrease of accuracy has been removed. However, when GPS is independently used, detection error and impossibility frequently occur under influence of electrolytic dissociation, atmosphere condition, GPS receiver condition and so on. The proposed method is robust against such situations and can extract the accurate personal behavior information from the GPS log data with error. We confirm the effectiveness of proposed method through the experiments using GPS log data collected from tourists in Hokkaido.