著者
木澤 敏毅 加藤 辰輔 重富 浩子 田中 藤樹 飯田 一樹 永井 和重 五十嵐 敬太 山本 雅樹 畠山 直樹 鈴木 信寛 堤 裕幸
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.150-155, 2012 (Released:2012-04-28)
参考文献数
13

約6カ月間にわたり移動性関節痛・骨痛,皮膚紅斑を呈し,血液検査ではCRP,赤沈値の持続的な上昇,軽度の貧血を認めた1女児例を経験した.当初は若年性特発性関節炎,慢性再発性多発骨髄炎を疑ったが,約6カ月後にLDH 573 U/mLと上昇し,また末梢血中に芽球が出現したため骨髄穿刺を行い急性リンパ性白血病と診断した.骨痛,関節痛を主訴とする慢性炎症性疾患には感染性骨髄炎,リウマチ性疾患,血液・悪性腫瘍,骨の自己炎症症候群(とくに慢性再発性多発骨髄炎)などが鑑別に挙げられるが,炎症所見の他には血液検査上の異常所見に乏しく,画像検査によっても一般小児科医にとって,診断の確定が困難な例が存在する.とくに小児白血病においては,画像検査を行い,特異な所見の検討を行った報告は少なく,また非特異的な画像所見を呈することも多く,鑑別に苦慮した.しかし今回の症例を通じて,小児放射線専門医によれば,早期の画像から白血病特有の所見が読み取れるとされ,画像を専門的に読影することが重要と思われた.また,小児の画像検査の蓄積により骨痛,関節痛を伴う急性リンパ性白血病の病態解明や早期診断につながることが期待された.
著者
三橋 允 飯塚 博幸 山本 雅人
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2015年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.755-756, 2015-08-20 (Released:2016-02-20)

ゲーム木探索の中でもランダムなシミュレーションを繰り返すことで近似的な評価値を得るモンテカルロ木探索法と呼ばれる手法が存在する。しかしランダム性故に現実にはまず起こり得ないシミュレーション結果も評価に含まれてしまうことがあるため、数手に渡り正確な読みが必要となる局面は苦手とされている。そこでシミュレーション結果(報酬)をミニマックス的に伝搬することで、末端の情報を活用し評価精度の向上を目指す。
著者
山本 雅司 奥野 未佳 佐々木 崇博 藤本 雷 片岡 葉子 川島 佳代子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.979-988, 2020 (Released:2020-12-14)
参考文献数
17

【背景・目的】IL-4受容体抗体薬デュピルマブは,Th2型炎症疾患のキードライバーであるIL-4,13を介するシグナル伝達路を阻害することで,アレルギー性鼻炎に対する治療効果が期待できる.今回重症アトピー性皮膚炎患者において,デュピルマブのアレルギー性鼻炎に対する治療効果の検討を行った.【方法】デュピルマブによる治療を開始した重症アトピー性皮膚炎患者のうち,通年性アレルギー性鼻炎を合併した21症例に対して前向き観察研究を行った.アレルギー性鼻炎に関して最重症・重症群と軽症・無症状群に分けて検討を行った.【結果】最重症・重症群においては自覚的な鼻症状,アレルギー性鼻炎に関わるQOLの評価,フェイススケール,鼻内所見において,一部項目を除き有意な改善を認めた.軽症・無症状群においては全ての項目で有意な改善を認めなかった.また自覚的所見においては他覚的所見と比較すると低く評価される傾向を認めた.【結語】重症アトピー性皮膚炎患者において,デュピルマブは重症通年性アレルギー性鼻炎に対して治療効果を持つと考えられる.
著者
牧 祥 本間 善之 土屋 英俊 田中 一成 青木 滋 武岡 元 三木 猛生 大島 博 山本 雅文 森本 泰夫 小川 康恭 向井 千秋
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.7-18, 2013-06-28 (Released:2017-09-04)
参考文献数
16

地上の1/6の重力環境(1/6G)の気相中における浮遊粒子状物質(SPM)の挙動を調べるため、パラボリックフライトによる擬似弱重力環境下で模擬月砂粒子(シュミラント)を実際にチャンバー内で拡散させた。エルトリエータのカットオフ値が1/6Gでは√<6>倍に増加することを利用し、気相中の浮遊粒子状物質(SPM)の重力影響を検証した。その結果、気相中の弱重力環境下を浮遊するSPMの沈降速度がストークスの式を使って表せることを明らかにするとともに、浮遊時間が重力の逆数に比例することを示した。SPMの粒径別濃度変化を数値計算した結果、重力が低く、天井が高い屋内ほど粒子が長時間残留することが示唆された。これは月面上でダストが屋内に侵入した場合、その除染作業に多くの時間がかかることを意味している。浮遊時間が粒径により異なるため、ばく露の危険性も粒径で異なっていると考えられる。ばく露の危険性がSPMの浮遊時間の長さにのみ依存すると考えるのであれば、粒径1.0μm以下の微細粒子や10μm以上の大形粒子には、重力差の影響を考慮した対策は必要ない。一方、粒径2.5〜10μmの粒子は、地上では浮遊時間が比較的短いが、月面上ではやや長時間浮遊する。この範囲の大きさのSPMに対しては、安全基準を厳格化などの新たな対策が必要であると考える。
著者
角田 孝彦 山本 雅章 三橋 善比古 野村 和夫
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.81-86, 1981 (Released:2010-06-04)
参考文献数
23
被引用文献数
1

青森県のシソ栽培農民において手指を中心とする皮膚炎を経験し, 患者6例, 対照10例にシソの葉とその抽出液, 使用農薬, 無農薬の葉などのパッチテストを施行した。患者では, 農薬使用のシソの葉で6例中5例陽性, シソの葉のアルコール抽出液は6例全て陰性, 使用農薬では被検5例全て陽性, 無農薬のシソの葉とアオジソの葉は被検5例全例陰性であった。今回の皮膚炎の原因は, 葉に残留した農薬の可能性が最も高いと推定した。
著者
山本 雅貴 平田 邦生 長谷川 和也
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.2-9, 2022-02-28 (Released:2022-03-04)
参考文献数
37

Since the first crystal structure determination of protein by J. C. Kendrew in 1959, protein crystallography has been playing the leading role in the structural biology by various technology developments. Especially the utilization of synchrotron radiation from the 1990s brought innovative progress in this field on the data quality and the phasing method and had expanded the sample targets including membrane proteins and supra-molecular complexes. Here we will describe the outline and the future prospects of the protein crystallography from the role of synchrotron radiation and SPring-8.
著者
渡辺 賢治 辨野 義己 山本 雅浩
出版者
慶應義塾大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

漢方薬の腸内細菌に及ぼす影響について明らかにするとともに、アレルギー発症抑制が腸内細菌の変化を介して可能であるかどうかを検討した。まず漢方薬が腸内細菌叢に対してどのような影響を与えるかを検討した。従来の培養法では細かい腸内細菌の変化を捉えることが不可能であったが、腸内細菌のDNAを制限酵素で切断して塩基長を解析するT-RFLP法を用いて解析した。その結果、漢方薬では処方ごとに腸内細菌をある一定の方向に変化させることが分かった。腸管遺伝子発現と腸内細菌との関連を調べたところ、抗生剤(シプロフロキサシン)投与にて腸内細菌が変化し、ヒートショックプロテインの発現が低下した。このヒートショックプロテインの発現は漢方薬十全大補湯にても変化し、腸内細菌の変化を伴っていた。腸内細菌のない無菌マウスではこの遺伝子発現の変化は観察されず、ヒートショックプロテインの変化には腸内細菌の存在が不可欠であることが示唆された。次に抗生剤投与モデルでアレルギーを発症しやすくなるかどうかについて検討した。まずは免疫寛容の系を確立するために予備実験を行い、卵白アルブミン10mgの単回投与にて免疫寛容の誘導できることが分かった。このモデルを用いて抗生剤(セフジトレンピポキシル、アモキシシリン、カナマイシン)を投与し、免疫寛容が誘導できないかどうかを検討した。カナマイシン投与にて少し卵白アルブミン特異的IgEの上昇が見られたものの、基本的に免疫寛容は抗生剤投与により破綻しなかった。しかしながら経口的免疫寛容を誘導しなかった群において、逆に卵白アルブミン特異的IgEの上昇が抑制されており、抗生剤投与にて何らかの免疫系の破綻を来たしていることが分かった。
著者
楊 学虎 冨永 茂人 平井 孝宜 久保 達也 山本 雅史
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.227-234, 2009-04-15
参考文献数
18

タンカン果実の連年安定生産技術改善のための基礎的知見を得るために、'垂水1号'を供試して、果実発育、着色、果汁成分、砂じょうの発育および呼吸活性の時期別変化を調査した。果実は7〜12月にかけて旺盛に肥大し、それには7〜11月にかけての砂じょう重の増加が大きく寄与していた。12月以降、果実肥大は低下した。じょうのう当たりの砂じょう数は7月には収穫時とほぼ同数であった。砂じょう長は8〜2月まで緩やかに増加した。砂じょうの呼吸活性は7〜11月にかけて急速に減少し、11月以降はほぼ一定であった。果皮の着色は10月から始まったが、果肉の着色より遅れた。糖度(Brix)は10月から増加し、それは主要糖であるスクロースの増加によるものであった。グルコースとフルクトースの含量は低かったが、収穫直前にわずかに増加した。滴定酸含量は8月に最高値を示した後、12月まで急激に減少した。12月以降は1%前後で推移した。滴定酸含量は果汁中で90%以上を占めるクエン酸の変化と一致した。クエン酸以外にリンゴ酸が検出されたが、リンゴ酸含量は終始低かった。
著者
北島 宣 山本 雅史 伊藤 謙 米森 敬三 深尾 葉子 安冨 歩 中崎 鉄也 山崎 安津 清水 徳朗 中野 道治 岳 修平 林 維真 鐘 國芳 中野 道治 長田 俊樹 渡邉 和男 河瀬 真琴 山下 満智子 前山 和範 中村 彰宏
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

ウンシュウミカン、カボス、などの両親が明らかとなり、多くの日本在来カンキツは、キシュウミカン、ユズ、タチバナに起源していることが明らかとなった。キシュウミカンは中国江西省の「南豊蜜橘」に由来することが示された。タチバナは台湾に起源し、沖縄を経て本土に伝播したと考えられ、タチバナの沖縄系統はシークワーサーとの交雑によって生じたことが示唆された。田中長三郎のカンキツ標本を整理してデジタル入力を行い、検索機能も付加してアーカイブ化を行った。田中長三郎の自筆スケッチなどの資料を蒐集・整理してデジタル化を行うとともに、和歌山県橘本神社のカンキツ博物館「常世館」に展示し、広く一般に公開した。
著者
城 潤一郎 三島 史人 武田 真一 山本 雅哉 村垣 善浩 伊関 洋 佐保 典英 窪田 純 佐々木 明 西嶋 茂宏 田畑 泰彦
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.558-568, 2007 (Released:2007-12-13)
参考文献数
5
被引用文献数
7 6

次世代DDS型治療システムとは,従来のDDS治療効果をさらに向上させるために,外部エネルギーをDDS技術と融合させる新しい技術・方法論である.この新治療システムによって,体内の深部にある病気を治療できるであろう.本稿では,磁場とDDSとを組み合わせた,磁気誘導DDSによる次世代治療システムを実現させるために必要となる技術要素を概説するとともに,その治療ポテンシャルについて述べる.
著者
平井 大介 山本 雅洋 木村 剛
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成27年度大会(大阪)学術講演論文集 第3巻 空調システム 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.429-432, 2015 (Released:2017-11-15)

軽装化等により、室温を28℃に設定するクールビズ空調が推奨されてきた。 しかし、従来の空調システムは、除湿量は室内温度制御に伴う成行となっていた。そのため、設定温度を高いクールビズ空調は除湿量が減り、温熱環境を損なっていた。 そこで過冷却による除湿を利用した潜熱顕熱分離空調を開発した。これは室内温度28℃でも相対湿度45%以下の温熱環境を可能とする快適なクールビズ空調システムを実現した。この空調システムと運用実績の紹介を行う。
著者
湯藤 端代 瀬川 真砂子 中保 仁 山本 雅恵 古川 宇一
出版者
北海道教育大学教育学部旭川校特殊教育特別専攻科障害児教育研究室
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
no.20, pp.209-216, 2001

本論は子どもと積極的にかかわりたいと願いながらも,ためらい迷っていたかかわり手が,子どもの感じ方に気づいていくために「遊び」を大切に考える意識を持つことにより,「迫いかけっこ」遊びで子どもとの関係を深めることができたという報告である。またその「追いかけっこ」遊びになるまでのプロセスを追っていくことで,「遊びの技術」について検討した。