著者
山本 景子 南部 俊輔 佐藤 宏介
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.29-37, 2010 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14

キャプチャデバイスの進歩により,長時間のコンテンツ収録が可能になったことから,限られた動作だけを記録するのではなく,動作の一部始終をキャプチャする機会が増えている.それに伴い,コンテンツ検索,すなわち長時間に亘るキャプチャデータの中から,ユーザが必要とするシーンを選び出すための技術が必要とされている.本論文ではこの問題に対して,人が中心となる動作風景を撮影した映像を対象とし,動作時に映像と共に対象者の把持圧の変化を記録し,把持圧情報から求められる動作状態を提示することで,内容検索を支援する手法を提案する.筆者らは把持圧から,把持状態,把持対象,把持して行う動作についての情報が得られると考える.そこで,把持圧計測装置を構築し,動作映像と同時に取得した把持圧を分析することで,対象者の状態を判別する手法を提案し,実験により判別精度の検証を行った.ユーザが動作毎に所望のシーンを効率的に閲覧する支援となるコンテンツ検索支援システムを構築し,提案手法の動作確認を行った.
著者
山本 景子 金谷 一朗 佐藤 宏介
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.102-112, 2008 (Released:2008-10-08)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

本論文は,工業デザイン支援システムのための三次元形状操作インタフェースに関するものである.従来のコンピュータ支援設計(CAD: Computer Aided Design) システムは,操作が複雑かつ非直観的であるため,専門のCAD オペレータを介して形状操作する必要があり,デザイナの造形上の意図を直接表現することが困難という問題がある.本論文では,複合現実感技術によるデザイン支援システムのための新たなユーザインタフェースを提案する.本提案インタフェースは,道具を握るときの手のフォームを埋込型センサにより取り込むことによって,実際に道具を持ち替えるのではなく握りを変えることによって道具を持ち替えるのと同様の効果をもたらすものである.著者らは本提案の試作システムを作成し,評価実験により三次元形状デザインシステムの入力インタフェースとしての有効性を確認した.
著者
稲葉 洋 瀧 剛志 宮崎 慎也 長谷川 純一 肥田 満裕 山本 英弘 北川 薫
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.94-100, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
4
被引用文献数
4 6

本論文では,スポーツ動作分析の支援を目的とした人体センシング情報の可視化提示法とその応用例について述べる.スポーツにおける打撃動作や投球動作の分析では,動作中に得られた筋電位などの運動機能情報を,対応する動作フォーム映像と比較しながら行うことが多い.この作業を支援するため,本方法は,動作中の人物の各要所部位で計測した筋電位値とその変化を,その人物の人体骨格を表す3D モデル上の対応する部位に色の差異として表示し,それを動画アニメーションとして提示する.これにより,利用者は,動作フォームの変化に伴う各筋肉の負荷状態とその時間変化を,視覚的かつ直感的に理解することが可能となる.本方法を,実際にゴルフスゥィング動作とボーリング投球動作に適用し,とくに異なる人物の動作特徴の比較評価が効果的に行えることを示す.
著者
茅 暁陽 長坂 好恭 山本 茂文 今宮 淳美
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.147-159, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
24
被引用文献数
4 2

本論文は,流れ場の可視化手法として近年注目されているLIC(Line Integral Convolution)法を利用し,2 次元画像を自動的に鉛筆画に変換する手法を提案する.LIC 法では,流線上に定義されているローパスフィルタを用いてホワイトノイズを畳み込む処理を行うため,出力画像には明るさにばらつきをもった線状の軌跡が見える.このような軌跡で鉛筆のストロークを近似し,入力画像のトーンにマッチしたホワイトノイズとストロークの方向を表すベクトル場にLIC 法を適用することで鉛筆画を生成する.従来のCG による鉛筆画の表現法は,個々のストロークをポリラインという幾何学的プリミティブを用いて表現するため,複雑なデータ構造が必要な上に,トーンのマッチングやクリッピング処理などにも多くの時間を要していた.それに比べて提案手法は,簡単なフィルタリング処理を施すだけで入力画像にマッチしたトーンをもった鉛筆画を生成することができる.本論文ではさらに,入力画像のテクスチャをより自然に表すためのストローク方向決定法も併せて提案する.
著者
山本 大貴 戸井永 貴宏 陣野 俊彦
出版者
外国語教育メディア学会(LET)
雑誌
外国語教育メディア学会機関誌 (ISSN:21857792)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.107-136, 2022 (Released:2022-08-31)

The present study developed a training program that intended to improve Japanese high school students’ English oral interaction skills, as well as devised methods to evaluate their achievement in the program. The main characteristics of the training are that: 1) the speaking activities can be implemented for a short time, 2) the curriculum was designed referring to previous studies on communication strategy training, 3) the goal was clearly set, and functions of language that can help achieve the goal were chosen from the list in the Course of Study, and 4) the same tasks were repeatedly used. As for the development of the evaluation methods, it was prudently deliberated how to assess the three evaluation points of the Course of Study. As a result of conducting the training at a high school, the participants’ speaking performance significantly improved. In addition, the results of survey research demonstrated that the participants generally enjoyed the training and recognized improvement in their speaking skills. The validity, reliability, and practicality of the evaluation methods were basically high, though further modification is needed.
著者
山本 圭三
出版者
経済社会学会
雑誌
経済社会学会年報 (ISSN:09183116)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.60-71, 2016 (Released:2021-04-01)

This study aims to examine the factors which influence the attitudes to Labor Unions Activity in Japanese workers. Preceding studies about participation to Labor Union can be classified roughly into two: one argues structural factors, and the other discusses factors which affect to workers' attitudes. In the latter, many studies have mainly put importance on dissatisfaction (e.g. about labor environment or treatment). In contrast, this study considers the situation of one's recognition about work and of their daily work. Specifically, it confirms that variables about Cooperativity or about Understanding of Organization’s Objective have effect on attitudes to Labor Unions activity. In those analyses, the possibility of the participation which is not based on instrumental purpose is examined. The salient findings from quantitative analyses can be seen as the following : (1) Understanding about Social Meaning of Labor Union is affected by Recognition of Objectives of Company, and Sense of Pleasure about Group Activity is affected by Sense of Cooperation with others. (2) Not only Understanding about Social Meaning of Labor Union but also Sense of Pleasure about Group Activity have positive effects on attitudes to Labor Union. Especially, the latter relation is stronger than the former relation. (3) About above-referenced relations --i.e. (1) and (2) --, there are hardly differences which are due to gender or generations. Based on these result, I insist that it is also necessary for Cooperativity--which has seldom been considered very much until now -- to be discussed in the study of Labor Union.
著者
山本 忠行
出版者
創価大学別科日本語研修課程
雑誌
創価大学別科紀要 (ISSN:09164561)
巻号頁・発行日
no.19, pp.1-28, 2008

「限定」の意味を表す「だけ」は、英語のonlyと同じような「少量」を表す機能があると誤解する学習者がいるだけでなく、日本語教師の中にもそのように思い込んでいる人がいる。各種教材の比較の中から、これが『日本語の基礎』から広まったものである可能性が高いということが明らかになった。また、時間の少量表現指導には特に注意すべき点が多いことも指摘した。
著者
山本 晴奈
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.86-104, 2017-03-01 (Released:2022-03-02)
参考文献数
47
被引用文献数
2

鉢植えの緑は都市の路地空間の緑化に貢献するが,規模が小さくその分布を広域的にとらえることは難しい.本稿では,名古屋市那古野地区において敷地外に置かれた「あふれ出し」の鉢植えの分布を調査し,道路幅員との関係,および住民による鉢植えの管理や住民間の交流との関係を明らかにした.その結果,(1)幅員4m以下の路地では敷地の内と外のいずれかに設置場所が二極化するのに対し,幅員4~8mではその両方に並置するケースが増加し,幅員10m以上では地先への設置が多く見られた.(2)街路へのあふれ出しには交通に用いられない空間(デッドスペース)を利用していた.(3)設置者は,周辺住民との交流や各自の生活習慣に合わせて鉢植えの可動性を活かした柔軟な管理を行っていた.以上から,特に広幅員街路では,狭幅員の路地と同等かそれ以上の規模のあふれ出しが見られると同時に,多様な住民間の交流を通じて管理されていることが明らかとなった.