著者
山本 忠行 YAMAMOTO Tadayuki
出版者
創価大学通信教育部学会
雑誌
通信教育部論集 (ISSN:13442511)
巻号頁・発行日
no.25, pp.71-91, 2022-08-07

「教科書で教える」ことは日本語教育の基本姿勢とされるにもかかわらず、定義が曖昧で、人によってその捉え方が異なる。一般教科、英語、国語などと比較しながら、「教科書で教える」ことの意義を再確認した上で、問題のある日本語教師が「教科書を教える」ことしかできないことを明らかにした。さらに初級と中上級で具体的にどのように「教科書で教える」のかを例示し、「教科書で教える」ことこそ、教育実習で身につけさせるべき技能であることを論じた。
著者
石川 一 海野 圭介 川崎 剛志 広嶋 進 深井 紀夫 山本 秀樹 小川 剛生
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
調査研究報告 = Reserch and stady report (ISSN:02890410)
巻号頁・発行日
no.29, pp.215-226, 2009-03-31

はじめに正宗敦夫の生涯と学問蔵書の概要と特色目録と現状これまでの調査と目録の編纂について注附記凡例
著者
平澤 紀子 藤原 義博 山本 淳一 佐囲東 彰 織田 智志
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.108-119, 2004-06-30 (Released:2017-06-28)
被引用文献数
1

近年の応用行動分析学では、発達障害児者の行動問題を解決するために、積極的行動支援(PositiveBehavioral Support)に代表されるように、行動問題を減らすだけでなく、QOLの向上を積極的に目指していこうという動きがある。そのために、日常場面においては、行動分析学を提供する人と対象者に直接支援を行う人々との協働を前提としているが、その成果は関与する個人や環境の対応能力に委ねられているという指摘にとどまっている。そこで、本論文では、教育・福祉現場において積極的行動支援に基づく実践が行動問題の減少だけでなく、適応行動の増加を実現し、それを継続し拡大するためには何が必要かを明らかにすることにした。そのために、積極的行動支援の2つの基準とともに、実践上の課題を提示している2つの事例を検討し、そのことを通して、どのように積極的行動支援を進めることが有効か、また、その際の課題は何かについて考察した。
著者
玉腰 和典 山本 奈緒子
出版者
富山大学人間発達科学部附属人間発達科学研究実践総合センター
雑誌
教育実践研究 : 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 (ISSN:18815227)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.51-68, 2022-01-11

本研究は、これまで体育科教育において実践的な研究があまりみられなかったヨガ教材に着目し、高校体育の実践事例の分析を通して、学校体育におけるヨガ教材の授業づくりの課題を解明することを目的とする。研究方法は、実践資料の分析、担当教師への半構造化インタビュー、感想文の内容分析とした。結果、次のような課題を解明することができた。①ヨガについての基本的特徴を、技能面だけではなく、歴史、種類、効果といった多様な観点で解明する。②ヨガの典型教材となる教材やその指導内容と方法を解明する。③プログラムの創作発表をする学習では、ヨガの特性に応じた創作発表のポイントと、その系統的指導の展開を解明する。④プログラムの創作発表をする学習では、実用性だけではなく、身体への気づきや身体との対話に着目させる指導方法や評価方法を解明する。⑤体力や音楽・照度・湿度・声質・羞恥心・同調動作の感じ方など、ヨガの特性に応じて顕在化する、多様な個人差を想定した学習指導の工夫について解明する。⑥ヨガの科学的・文化的内容の発展的な学習方法を解明する。⑦教師がヨガを教材化する見通しがもてるよう、多様な授業展開や評価基準を解明する。
著者
山本 洋平 小倉 咲 ゴーマン マイケル 下條 恵子 舌津 智之 高野 泰志 松永 京子 貞廣 真紀
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、西部文学・西部表象を移動・環境・女性の観点から捉え直すことを試みる。これまでの研究の多くが東部作家による西部表象の問題を扱ってきたのに対し、本研究は、西部へと流入してきた作家、あるいは、西部間を移動する作家が西部をどのように描いているのかという問いを主軸に置く。この問いを考える上で、トランスリージョナリズムという本研究独自の概念(ヒト・モノの移動が地域に及ぼす文化的諸相)を提唱する。さらに、主として男性作家に担われてきた西部文学にあって女性はどのように描かれているのか、女性作家は西部をどのように描いているのか、移動の文化と女性との関係はいかなるものか、といった問いを追究する。
著者
山本 卓
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Language and Literature (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-31, 2011-09-01

ダダイズム、そしてシュルレアリスムの詩人として出発したルイ・アラゴンはいわゆる「アラゴン事件」の後にシュルレアリスムの陣営を追われ、長い曲折を経てレアリスムの小説家として生まれ変わる。その後、長らく「現実世界」の連作や『レ・コミュニスト』の作家として社会主義レアリスムの立場に立つ人間だと見なされてきた。そのアラゴンが晩年になって発表した『死刑執行』(1965)や『ブランシュまたは忘却』(1967)は批評家たちや読者たちから一種の驚きをもって迎えられた。そこには明らかにシュルレアリスム的な手法への「先祖返り」が認められたからだ。この時期に書かれた自伝的なエッセイ『私は書くことを決して覚えようとしなかった、または冒頭の一句』(1969)はアラゴンにおける言葉の誕生の秘密を明らかにしようという優れて生成論的なテクストであり、アラゴンの後期小説を読み解く上でも数多くの示唆を与えてくれる作品なのだ。
著者
山本 修平 倉島 健 松林 達史 戸田 浩之
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.1472-1479, 2019-06-26

ドライブレコーダで記録された交通事故やそれに近い危険な運転状況に関する映像やセンサデータは,ドライバーの安全運転教育や法人車両の運行管理サービスに利用される有益な情報である.このようなドライブレコーダのデータは,車に急な挙動の変化があったことがトリガーとなり記録されるが,段差を乗り越えた際の衝撃等で危険運転ではないデータも数多く記録され混在している.また危険運転を含むとしても,多様なデータが存在するため,内容に応じて類型化されることが望ましい.本論文では,ドライブレコーダデータに対して,危険運転の発生対象ラベルの自動推定のタスクに取り組む.著者らはこれまでも同様のタスクに取り組んできたが,本論文では特に,異なる環境で記録されるデータに対しても頑健な推定を実現するため,前方映像に対して物体検出技術を適用して得られる物体検出結果に着目する.深層学習に基づく既存手法によって物体検出結果を特徴ベクトルに変換するにあたり,本論文では 2 つの拡張点を提案する.1 つ目は物体検出結果から得られる境界領域をもとに,物体の重要度を考慮できる特徴量を算出する.2 つ目はその特徴量に基づいて重要物体を優先的に選出し,危険度の高い物体の取りこぼしの可能性を低くする.実際のドライブレコーダデータを用いた評価実験の結果,2 つの拡張点を用いた提案手法が,既存手法に比べて高い推定性能を示すことを明らかにした.
著者
山本信吉著
出版者
吉川弘文館
巻号頁・発行日
2013
著者
山本 勝則 守村 洋 河村 奈美子
出版者
札幌市立大学
雑誌
札幌市立大学研究論文集 = SCU Journal of Design & Nursing (ISSN:18819427)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.53-59, 2013-03-31

本論文の目的は,精神看護学におけるシミュレーション教育の動向を概観し,シミュレーション教育に関する我々の取り組みを報告し,今後の教育方法の開発計画を提示することである.国内ではシミュレーション教育あるいはOSCE(Objective Structured Clinical Examination)を用いて精神看護学教育を体系的に行っている報告はほとんど見当たらず,国外でも取り組み始めたばかりである.文部科学省と厚生労働省は,看護教育における実践能力の育成・向上を主要課題の一つとしている.この課題に取り組む方策の一つとして,OSCEなどのシミュレーションを取り入れた看護教育が活発に行われている.しかし,精神看護学教育においては,シミュレータの開発が困難であることや看護技術が状況依存的であり評価が困難なことなどにより,導入が遅れている.そのような状況の中で,米国等では模擬患者(SP)を導入したシミュレーションや,シミュレータを用いた教育などの新たな展開がみられるようになった.「リアリティの高い学習への移行」を目指して精神看護教育を行っていた我々は,OSCE,SP(Simulated/Standardized Patient)参加型シミュレーション演習と,順次シミュレーション教育を導入してきた.精神看護学におけるシミュレーション教育への学生の評価は概ねポジティブである.基本的なコミュニケーション技術が獲得されていることも確認できた.今後,特に重要なこととして,①シナリオの開発,②教育全体の洗練(効率化とさらなる工夫の導入),③対外的発信がある.また,この教育方法が学生に自信を与える影響も評価する必要がある.
著者
河原 豊 栗原 夏実 大野 岳輝 渡部 邦彦 田中 俊一 山本 真揮 脇坂 博之
出版者
一般社団法人 繊維学会
雑誌
Journal of Fiber Science and Technology (ISSN:21897654)
巻号頁・発行日
vol.78, no.7, pp.114-120, 2022 (Released:2022-07-22)
参考文献数
17

The waste chicken feathers were treated with the enzymes (dissociating disulfide bonds) produced by thermophilic Meiothermus ruber H328, and then the treated feathers were milled and subjected to the hot-press compression molding. It was found that the recrystallization of the feather keratin was interfered with to some extent due to the lack of S-S bonds. On the other hand, the slight reinforcement of the feather resin with the wood fibers was effective to enhance the tensile behavior and the thermal stability of the feather resin.
著者
飛田 勇輝 山本 剛 工藤 俊明 湯本 貴文
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.140-146, 2022-05-16 (Released:2022-05-20)
参考文献数
12

令和 2 年12月,小林化工株式会社が製造販売する経口抗真菌薬イトラコナゾール錠50mgに睡眠薬原料が混入し,多数の健康被害が発生した.本件を皮切りに,多数の医薬品製造業者において医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律からの違反が発覚.我が国における医薬品の品質に対する信頼を大きく損なうこととなった.厚生労働省は,このような状況を踏まえ,多角的な観点から再発防止策を講じている.
著者
友野 貴之 山本 敦 古山 宣洋 三嶋 博之
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.386-399, 2020-09-01 (Released:2020-09-15)
参考文献数
79

This paper reviews the research on how one passes through an aperture between non-human objects or between humans. In particular, we discuss what it has so far elucidated and what should be investigated in the future. The previous studies have focused on aperture passability between non-human physical objects and revealed the relationship between how people actually pass through an aperture and how they perceive themselves in relation to environmental characteristics by looking at how people judge passability of an aperture (often formalized as π-number). Most researchers have attended to the factors associated with an actor passing an aperture and/or non-human objects constituting an aperture, but few have examined how one passes an aperture comprised of humans. This may be because it is difficult to experimentally control underlying factors such as conversations and/or physical/social interactions between humans, symmetry of an aperture due to different shapes of the human body, anisotropic shape of personal space, eye gaze, and/or eye contact. Despite these difficulties, we consider it important to study how people pass an aperture between humans, because, first and foremost, that is what we do in everyday life, and, secondly, the outcome will illuminate how people consider socio-cultural factors, personal space,opportunities of actions (i.e., affordances) by ourselves and others. Possible solutions to the difficulties may include use of virtual reality technologies, computer simulation to control the experimental settings to guarantee reproducibility. There are the pros and cons with these methods to discuss, because, depending on how they are employed, they may possibly spoil the very social and interactive (improvisational) nature of the phenomenon under discussion.