著者
石田 栄美 石塚 英弘 根岸 正光 山本 毅雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 情報学基礎研究会報告
巻号頁・発行日
vol.97, no.86, pp.109-116, 1997-09-11
参考文献数
12

先に発表した, 大きな分野を対象とする大量の自然語テキストデータの検索・分類のための単語リスト作成方法を詳しく検討した. 情報処理学・農芸化学・土木学などの学会予稿抄録の一部を単語リスト作成用データとし, 他を検索・分類用データとした. 単語リストの選択基準に含まれる二つのパラメタを変えて検討したが, 単語リストの大きさや内容は大きく変わるものの, 互いに離れている上記3分野間では, 分野推定の結果は安定していることがわかった. さらに, 分野に重なりのある電子情報通信学を加えて影響を調べた. また, これらの単語リストを応用して文献の分野関連度, 文献集合の分野関連度などを求める方法を示した.
著者
足立 俊明 山岸 正和 前田 定廣 江尻 典雄
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ケーラー多様体の部分多様体の性質を調べるために、概接触構造から誘導される自然な閉2形式を考え、その定数倍である佐々木磁場の下での荷電粒子の等速運動について考察した。佐々木磁場は一様な力が働く磁場ではないため、軌道が古典的なフレネ・セレーの公式に関して単純である2次の曲線になっているかという観点に着目した。複素空間形といわれる対称性の高いケーラー多様体内の測地球面をはじめとするA型実超曲面上にはこのような軌道が存在し、しかもこのような軌道の量により複素空間形内の部分多様体族の中でA型実超曲面は特徴付けられることがわかった。更に、閉じた2次の曲線になる軌道の長さが数直線上にどのように分布するかを明らかにした。一方、ケーラー多様体の離散モデルの提案にも取り組み、辺が2色に彩色されたグラフがその候補であることを、グラフ上の閉じた道と磁場の下での閉軌道とを対応させ、両者の長さの分布状況に類似点があることを裏付け証拠として示した。
著者
孫 媛 根岸 正光 宮澤 彰 大山 敬三 西澤 正己
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

産官学の研究連携に関して,企業が先導役を果たすNational Systems of Innovation(NSI)モデルに代わり,Triple Helix(三重螺旋)モデルが国際的に注目されるようになっている。本研究は,産官学問の連携活動を反映すると考えられる産官学の共著論文データに注目し,その分析を通してTriple Helix的連携の浸透の実態を実証的に明らかにすることを目的とする。まず,日本の学会誌論文を対象とした「引用文献索引データベース」(CJP)を用いて,名寄せ,所属機関の同定およびセクター分類方法の検討等を行った上で,日本の研究ネットワークの実態分析を試みた。とくに,産学連携関係からみた各大学の特徴・類似度,大学に対する企業の研究依存度,産学連携が盛んな上位大学および企業の個別性を重点的に分析した。和文論文の共著分析として初めての研究であり,今後の研究可能性を示す役割も果たしたと考える。つぎに,米国の引用索引データベース(NCRJ)を用いて,国際・国内雑誌への投稿論文に基づく比較・分析を行った。その結果,企業と大学の協力関係は対等とはいえず,大学側から見たときの企業の役割の重要さは,企業側から大学を見るときのそれに及ばないことが判明した。1995年前後を境として大学が企業との共同研究から離れる様相も明らかになった。また,企業の基礎研究離れ,企業にとっての国内学会誌の役割の大きさ,産学連携の取り組みにおける大きな分野差・地域差,産学連携が特定の地域に集中する趨勢が近年一層強まっていることなども明らかになった。これらの成果は国際・国内学会で発表したほか,国際・国内学術雑誌にも投稿し,内外の研究者との意見交換・情報発信を積極的に行った。わが国の科学技術政策を論じるために,本研究のような統計的分析,計量的評価を地道に展開する必要があると考え,これまでの成果を踏まえて,今後さらにさまざまな観点からの研究を継続する予定である。
著者
根岸 正光
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.412-418, 1994-08-01
被引用文献数
1

学術情報センタ-のデータベース・サービスNACSIS-IRについて,その歴史,現況および今後の展開を述べる。1987年のサービス開始以降,センターでは,わが国独自の学術情報データベースの編成を進めてNACSIS-IRの充実を図り,また検索システムの改善,アクセス経路の多様化等に努めてきた。また,民間の研究者への公開,JICSTとのゲートウェイ開設,海外利用の制度化など,利用者の拡大を図ってきた。今後は,インターネットのような高速の通信環境への的確な対応が重要な課題であろう。
著者
根岸 正光 山田 尚勇
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術情報センター紀要 (ISSN:09135022)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.27-39, 1992-12-25

わが国の学術論文では、外国論文に比べて、一般に共著者の数が多いといわれることがある。この背景には、わが国における研究活動のあり方、さらには、わが国の文化的社会的風土があるはずである。本稿は、文献データベースによる共著者数の統計的調査のための予備調査の結果報告と、多数連名の論文を生む、わが国の研究環境に関する試論よりなる。予備調査における日米比較では、わが国の論文のほうが著者数が多いという結果がえられたが、研究分野別間での差異が予想されるので、今後の本格調査設計上の要件をまとめる。後半では、共著論文の性格と創造性、学術雑誌の編集方針に関して、欧米とわが国の相違を、事例を通じて比較検討し、今後、情報メディアの発達が共同研究の実施を一層容易にする反面、成果の発表においては個別化・個性化をもたらす可能性を考える。
著者
稲垣 忠 嶺岸 正勝 佐藤 靖泰
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.109-112, 2008
被引用文献数
2

児童が自分の考えを説明する場面において,電子黒板はどのような影響を与えるのだろうか.本研究では,小学校高学年算数科「分数の掛け算と割り算」単元の授業実践において,電子黒板を利用した説明場面を対象に,質問紙調査,ビデオ記録,児童・教師へのインタビュー調査を実施した.その結果,電子黒板を用いることで書きながら説明する行動が観察され,聞き手は口頭での説明と比べ,より話者の考えを理解し,自分の考えと比較しやすいこと,また,手立てとして,画面上に配布資料と同じものを提示することが,書きこみや説明のしやすさをもたらすことが明らかになった.
著者
根岸 正光
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.158-169, 2009-05-16
被引用文献数
1

筆者は年来トムソン・ロイター社(通称ISI)製の論文引用統計データベースに基づき,大学・機関別の論文数・引用数関連の統計指標の研究開発を行っている.2004年の国立大学法人化以降,各般の大学間競争助長政策のもと,公私立大学を含めた大学間「格差」が拡がっているのではないかとの指摘が,昨今なされるようになっている.上記データベースにおける論文数統計からみた国立大学上位8大学とその他国立大との間での,2006年までの格差拡大の傾向については,すでに読売新聞記事「地方大,揺らぐ研究基盤」の一部として公表したところである[1].そこで本稿では,データを2007年までに更新した上で,論文数のみならず引用数関連指標も加味し,またハーフィンダール係数(HHI)を算出して,「格差」の年次的推移をさらに詳しく検証し,今後の動向についての示唆を得るものとする.
著者
根岸 正光 西澤 正己 孫 媛 山下 泰弘
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.575-592, 2000 (Released:2001-04-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

米国ISI製作の引用統計データベース“National Citation Report (NCR) for Japan”を用いて,わが国の大学,大学共同利用機関における論文数とこれらに対する引用数の状況を調査・分析した。1981年から1997年6月までの日本の著者による論文は853,323件,うち大学関係者によるものは58,472件であった。国立大学は論文数,引用数とも70%以上のシェアを持ち,論文当たりの引用数でも比較的高い値を実現している。このほか,個別の大学・機関別の統計,高引用度の論文の統計等を示して,分析を加え,こうしたビブリオメトリックス的調査研究の課題と重要性を論じる。