著者
岸本 真治 立石 順久 奥 怜子 橋口 直貴 中西 加寿也
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.207-211, 2022-12-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
10

心筋炎など呼吸不全以外のCOVID-19に伴う病態についてはいまだ不明な点が多い。今回, 呼吸不全を伴わない重症心筋炎症例を経験したので報告する。症例は新型コロナウイルスワクチン未接種の47歳, 女性。倦怠感を主訴に来院した。SARS-CoV-2関連検査が陽性で, 血液検査や心臓超音波, 心電図, 冠動脈造影検査の結果からCOVID-19関連心筋炎と臨床的に診断した。来院時ショック状態でVA-ECMOでの補助を要したが, 次第に心機能は回復し離脱できた。なお経過中, 呼吸状態は安定していた。COVID-19には呼吸不全を伴わない心筋炎のみの症例も存在することに留意し, ショックを呈する症例では, 心筋障害を評価する目的で心筋トロポニンを測定することがCOVID-19早期発見のために有用と考えられる。またCOVID-19関連心筋炎は急速に劇症化し得ることから, 早い段階から集学的治療が可能な医療機関での治療が望ましい。
著者
岸本 真弓 金子 弥生
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.237-250, 2005 (Released:2006-12-27)
参考文献数
18
被引用文献数
6
著者
岸本 真弓 金子 弥生
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 = Mammalian Science (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.237-250, 2005-12-30
参考文献数
18
被引用文献数
5
著者
市村 一雄 川端 善彦 岸本 真幸 後藤 理恵 山田 邦夫
出版者
農業技術研究機構花き研究所
雑誌
花き研究所研究報告 (ISSN:13472917)
巻号頁・発行日
no.2, pp.9-20, 2002-09

バラ切り花の開花と花持ちの品種間差を25品種を用いて調べた。開花速度には品種間差が認められ,完全に開花しない品種も存在した。花持ちにも著しい品種間差が認められ,最も長い品種はカリブラの14.5日であり,最も短い品種はブライダルピンクの3.8日だった。国内で生産されている主要10品種(カリブラ,コンフィティ,ジェルファルレイ、ソニア,ティネケ,デリーラ,ノブレス,パレオ90,ブライダルピンク,ローテローゼ)を用いて,花持ちに関与する要因について解析した。花持ち日数と花弁の厚さあるいは蒸散速度との間に有意な相関関係は認められなかった。糖の不足と導管閉塞が花持ちが短い原因になってるか調べるために,切り花を20g・liter-1スクロース,200mg・liter-1,8-ヒドロキシキノリン硫酸塩(HQS)および両者を組み合わせた連続処理を行った。スクロース単独,HQS単独および両者を組み合わせた処理はそれぞれ,2,2 および4品種の花持ちを有意に延長した。一方,花持ち日数が8日以上の品種とローテローゼでは,花持ちを延長することができなかった。これらの結果は,いくつかの品種において,花持ちの短い原因が導管閉塞または糖の不足,あるいはその両者に因っていることを示唆している。
著者
濱崎 伸一郎 岸本 真弓 坂田 宏志
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 = Mammalian Science (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.65-71, 2007-06-30
被引用文献数
8

ニホンジカの管理に必要な密度指標として, 区画法と糞塊密度法, および目撃効率の整合性を調べ, モニタリング指標としての妥当性を検証した. これらの調査は, 福井県, 滋賀県, 京都府, 兵庫県, 徳島県などのニホンジカ特定鳥獣管理計画策定前調査および策定後のモニタリングで採用されている. 区画法による面積あたりのカウント数と糞塊密度, および糞塊密度と目撃効率には有意な正の相関があった. これまでのところ, 十分な調査努力をしている地域では, 両指標の年推移も非常によく一致しており, いずれも密度変化の動向を適切に反映していると考えられた. 目撃効率の活用においては, 狩猟者から寄せられる報告数 (出猟人日数) の確保や, 積雪が目撃数におよぼす影響などを明らかにすることが課題である. また, 糞塊密度調査では, 平均気温の差による糞塊消失率の変化などが結果を左右することが懸念される. 精度の高い確実な調査法がない現状では, 複数の指標から密度変化の動向を評価することが重要である. <br>
著者
小松 武志 坪田 敏男 岸本 真弓 濱崎 伸一郎 千葉 敏郎
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:09168818)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.j65-j71, 1994
被引用文献数
9 16

ニホンツキノワグマ(<I>Selenarctos thibetanus japonicus</I>)の捕殺個体27頭から採取した精巣と,捕獲個体13頭の精巣から採取したバイオプシー材料を用いて,性成熟年齢と,未成熟および成熟個体における精子形成の開始および至開始にかかわる幹細胞について検討した.<BR>精巣の大きさ,重量および精細管直径の各値は2~3歳において急激に上昇し,また精巣の組織学的観察により成熟と判断された個体は,1歳で0%,2歳で50%,3歳以上で100%であった.よって生理的な性成熟(春機発動)年齢は,2~3歳であると推定された.<BR>未成熟個体の精細管中には,セルトリ細胞と巨大円形細胞のみが観察された.この後者の細胞は他種の動物で報告されているGonocyteと形態学的に一致した.よってこの細胞は未成熟期から精子形成を開始するための幹細胞であると推察された.<BR>一方成熟個体の精細管中には,Gonocyteと類似する巨大細胞が観察され, Gonocyte-like cellと名付けられた.この細胞は非繁殖期の精細管中に急激に増加した.このような性質は他種の動物で報告されている未分化型A型精祖細胞の性質と類似した.よってこの細胞は未分化型A型精祖細胞であり,成熟期の非繁殖期から精子形成を再開するための幹細胞であると推察された.
著者
岸本 真弓
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.31-37, 2002-03
被引用文献数
6

生態系を構成する野生動物に対しての畏敬の念を持つことがフィールドでの野生動物捕獲の心構えの基本である。野生動物の捕獲はそれによってもたらされるマイナス影響につりあうだけの結果が得られる場合にのみ認められるものであり,明確な目的のないまま行われてはならない。先人達の経験を生かし,対象動物の生理・生態のみならず地域生態系の特性をも踏まえ,研究計画を立てなくてはならない。方法を選択する場合には,個体の安全,作業員の安全,周辺環境への最低限の影響を念頭におき,目的を達成するために最小の危険性で最大の効果が得られるよう手段と時期と場所を選ぶことが重要である。捕獲作業における責任の所在と役割分担を明確にし,作業工程のシミュレーションをし,最低限必要な道具や薬品,人手の準備だけでなく予測されるトラブルに対応できる準備をして捕獲に臨むべきである。
著者
濱崎 伸一郎 岸本 真弓 坂田 宏志
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.65-71, 2007 (Released:2007-08-21)
参考文献数
11
被引用文献数
10

ニホンジカの管理に必要な密度指標として, 区画法と糞塊密度法, および目撃効率の整合性を調べ, モニタリング指標としての妥当性を検証した. これらの調査は, 福井県, 滋賀県, 京都府, 兵庫県, 徳島県などのニホンジカ特定鳥獣管理計画策定前調査および策定後のモニタリングで採用されている. 区画法による面積あたりのカウント数と糞塊密度, および糞塊密度と目撃効率には有意な正の相関があった. これまでのところ, 十分な調査努力をしている地域では, 両指標の年推移も非常によく一致しており, いずれも密度変化の動向を適切に反映していると考えられた. 目撃効率の活用においては, 狩猟者から寄せられる報告数 (出猟人日数) の確保や, 積雪が目撃数におよぼす影響などを明らかにすることが課題である. また, 糞塊密度調査では, 平均気温の差による糞塊消失率の変化などが結果を左右することが懸念される. 精度の高い確実な調査法がない現状では, 複数の指標から密度変化の動向を評価することが重要である.
著者
住友 克彦 山形 敦子 島 浩二 岸本 真幸 久松 完
出版者
農業技術研究機構花き研究所
雑誌
花き研究所研究報告 (ISSN:13472917)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-11, 2009-12

遠赤色光(FR)を効率的に照射することが可能な蛍光灯を用い,数種花きにおいて明期終了時の短時間FR照射処理(EOD-FR)を行い,開花反応および伸長成長を調査した。EOD-FR処理に対する開花および伸長成長における反応は,植物種によって様々であった。EOD-FR処理によって,キクでは3品種において伸長成長が促進されたが,'神馬'では変わらず,反応には品種間差が見られた。ヒマワリ2品種,キンギョソウ2品種,ストック'ピンクアイアン',ブプレウルム'グリーンゴールド'およびカーネーション'バーバラ'では,伸長成長および開花が促進された。ガーベラ'オーランド',カラー'クリスタルブラッシュ',コスモス'ミヨシのベルサイユ'およびバラ'ボヌール'において,本実験のEOD-FR処理条件では,伸長成長および開花における影響は見られなかった。ケイトウ'デリーパール'では,EOD-FR処理によって茎伸長が促進されたものの,開花は遅延した。また,アスター'セレネピンク'では,茎伸長は影響を受けず,開花が遅延した。キク'デックモナ'および'セイエルザ',ヒマワリ2品種およびケイトウ'デリーパール'では,栽培時期によってEOD-FR処理による伸長成長または開花の促進効果が変動した。以上のことから,営利栽培においてEOD-FR処理を実際に利用するためには,EOD-FR処理の方法および効果について,品目ごとに詳細に検討する必要があるものの,花き営利栽培の場面でのEOD-FR処理の利用の可能性が示された。
著者
市村 一雄 川端 善彦 岸本 真幸 後藤 理恵 山田 邦夫
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.292-298, 2003-07-15
被引用文献数
10 37

道管閉塞と糖質の不足がどの程度バラ切り花の花持ちが短い要因となっているか検討するため,'ソニア'切り花を200mg・liter^<-1>8-ヒドロキシキノリン硫酸塩(HQS),20g・liter^<-1>'スクロースおよびHQSとスクロースを組合わせた溶液で処理した.切り花は23℃,相対湿度70%,12時間日長,光強度10μmol・m^<-2>・s^<-1>の条件下で保持した.どの薬剤も花持ちを延長させたか,スクロース単独処理の方がHQS処理よりも花待ち延長効果が高かった.スクロース処理はHQS処理よりも花弁の展開を促進し,切り花の新鮮重の低下とブルーイングの発生を抑制した.茎の水通導性は,スクロース処理により収穫後2日目以降急激に低下した.それに対して,HQSおよびスクロースとHQSを組み合わせた処理では収穫直後とほぼ同じ値で推移した.茎の細菌数はどの区においても次第に増加した.スクロース単独処理は細菌数の増加を促進したが,HQSおよびスクロースとHQSを組み合わせた処理は細菌数の増加を抑制した.花弁中のグルコース,フルクトースおよびスクロース濃度はスクロースおよびスクロースとHQSを組み合わせた処理により,HQS処理よりもはるかに高く維持された.以上の結果より,本実験条件下においては可溶性糖質の供給不足のほうが道管閉塞よりもバラ'ソニア'切り花の品質を低下させる重大な原因であることが示唆された.