- 著者
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金子 仁美
川上 大輔
嵯峨山 茂樹
- 雑誌
- 研究報告音楽情報科学(MUS)
- 巻号頁・発行日
- vol.2010-MUS-85, no.7, pp.1-8, 2010-05-20
我々は,楽曲の和声解析の記述仕様 (“KS notation”) を策定し,機能和声解析を行ってデータを作成し,その統計解析を行った.和声推定は自動採譜や楽曲検索など多数の目的に有用で,その和声進行の確率モデルの作成と統計学習のために有用である.また,音楽学的な見地からは,和声学の規則や傾向などが計量的に検証でき,時代や作曲者や楽曲スタイルを和声学的に解明する基礎となろう.機能和声記述のために,和音,転回,借用和音,省略,変位,転調,付加音などの記述を可能とし,さらに楽譜なしで演奏が可能なように音価も表現した.また,人間とコンピュータ双方の可読性の両立させコンパクトに表現できるようにした.データ作成には,RWC 音楽データベース所収のクラシック曲 50 曲について,人手により機能和声解析してデータを作成した.そのデータを統計解析し,音楽的な知見から説明を試み,機能和声モデルが従来のモデルより工学的和声モデルとして優位であることを示す.