著者
後藤 富朗 大野 永貴 平野 智 桜井 優
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.1647-1654, 2010-11-01 (Released:2011-02-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1

In accordance with the recent improvement in the quality of image displays, digital image compression artifacts are more visible than ever. Moreover, a lot of studies have been done to remove the artifacts such as blocky noise and mosquito noise. Among them, the total variation (TV) regularization approach proposed by Alter is considered to be one of the most successful. In this approach, the TV is regularized under constrained conditions, making it possible to efficiently remove the artifacts included by quantizing DCT coefficients.In this paper, unlike Alter's approach, an image is decomposed into a structure component and a texture component using the ROF TV regularization, and blocky noise and mosquito noise are moved in the texture component. Then, by filtering it using the deblocking edge filter, blocky noise can be removed. Furthermore, by controlling the selective filters using edge information obtained from the structure component, mosquito noise can be removed. Also, the reconstructed image is obtained to compose a filtered texture component and a structure component. An advantage the proposed method has over Alter's approach is it removes the artifacts without removing small texture signals. The experimental results show that the proposed method produces fine images subjectively and objectively. Also, the proposed method can be applied for not only JPEG-compressed images but also DCT-based compressed images such as MPEG and H.264.
著者
榎屋 剛 平野 智也 野澤 巧 尹 鉉喆 藤戸 靖則 柏木 悠 船渡 和男
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第70回(2019) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.185_2, 2019 (Released:2019-12-20)

【目的】異なる投球速度に対するタイミング調節の鍵となる野球打撃動作の局面を検討すること。【方法】屋外の野球場において、5名の大学生選手が1名の投手から投球されたボールを打撃した。この際の球種はストレート(球速:約110~135km/h)であり、投手はランダムに緩急をつけた投球を行った。投手と打者の動作は、同期した2台の高速度カメラ(300fps)を用いて撮影し、投手のリリースの時刻に対する打者の各動作(前足のつま先離地、つま先接地、踵着地、インパクト)の時刻を算出した。【結果および考察】投球速度と打者の前足つま先離地およびつま先接地時刻には有意な相関関係が示されなかった。一方、投球速度の増加に伴い、打者の前足踵着地時刻が短くなった。また、投球速度と打者の前足つま先接地から踵着地の局面間の時間に有意な負の相関関係が示された。従って、打者の前足つま先接地から踵接地の局面間の時間は、異なる投球速度に対する打者のタイミング調節にとって重要であることが示唆された。
著者
平野 智紀 安斎 勇樹 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
2020

<p>本研究では,美術教育において広がりを持っている対話型鑑賞ワークショップについて,これを鑑賞者の知識構築の過程として捉え,ナビゲイター(ファシリテーター)による情報提供がどのように知識構築に寄与するのかについて検討した.鑑賞会への参与観察およびファシリテーションを担当した14名の学生ナビゲイターへのインタビューから,鑑賞における情報提供は「考えるための情報」と「確認のための情報」に分類された.プロトコル分析から,「考えるための情報」は,作品の表現内容と組み合わせて知識構築を促すために提供され,「確認のための情報」は議論の押さえとして,それぞれ提供タイミングが図られていることが明らかになった.</p>
著者
平野 智章 寺嶋 智巳 中村 智博 境 優 青木 文聡 名波 明菜
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.24-39, 2009-01-05 (Released:2009-01-29)
参考文献数
44
被引用文献数
10 9

森林植生の樹種と流域の水流発生機構との関連性を明らかにするために,針葉樹林流域(1.29 ha)と広葉樹林流域(1.28 ha)において水文観測を行った.ヒノキ林プロットでは地表流の流出応答が大きく,個々の降雨ピークに応答して地表流の流出ピークが現れたが,広葉樹林プロットでは地表流の流出応答は非常に小さかった.各プロットともに土壌の最終浸透能(6.4と26.8 mm / 5min)よりも低いと考えられる降雨強度(4.0 mm / 5 min 未満)において地表流が発生したことから,その流出形態はヒノキ林プロットでは根系流(ヒノキ人工林の根系層を流れる選択的な表層流)であり,広葉樹林プロットでは落葉層をわずかに流れるリターフローであると推察された.総降水量100 mm以上の降雨イベント(P ≧ 100 mm)では,各流域の流出応答および‘Non-reacted water’の寄与量が顕著に大きくなり,大規模台風イベント(P:117.4 mm)では流出ピークの40~50 %は‘Non-reacted water’によって構成されていた.また,降雨イベントの規模によって各流域の‘Non-reacted water’の主要な構成成分は異なる可能性があり,大規模台風イベント時の針葉樹林流域では浅い側方流と根系流,広葉樹林流域では主に浅い側方流が‘Non-reacted water’として短期流出および流出ピークに大きく寄与していると推察された.
著者
平野 智紀 三宅 正樹
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.365-376, 2015-03-20 (Released:2017-06-12)

本研究は,対話型鑑賞で観察される鑑賞者の成長という現象と,それがどのようにして促されるのかを,ヴィゴツキー以降の学習理論,具体的には正統的周辺参加理論(レイヴとウェンガー)と認知的徒弟制の理論(コリンズ)に基づいて明らかにした。鑑賞場面で生起する参加者の全発話をテキスト化し,先行研究をもとに学習支援に関する発話カテゴリを設定して定性的に分析した結果,対話型鑑賞場面ではファシリテーターの学習支援が徐々に鑑賞者に移譲され,さらに鑑賞者同士でお互いに学習支援を"わかちもつ"ことで鑑賞者が成長する現象が確かめられた。さらに対話型鑑賞場面では個人の美的能力の発達よりも"場"としての共同的な発達が促されている様子も明らかになった。
著者
渡辺 将史 長島 史弥 作田 泰隆 後藤 富朗 平野 智 桜井 優
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.15, pp.1-4, 2013-03-07

従来の超解像技術の中でもTotal Variation (TV)正則化手法は,エッジを保持しつつ劣化を防ぐ,最も効果的な手法である.しかし,計算コストが大きいことが問題とされている.本論文ではショックフィルタを組み合わせることによって同等以上の画質を維持しつつ,処理時間の削減を試みる.
著者
作田 泰隆 川本 祐大 渡辺 将史 後藤 富朗 平野 智 桜井 優
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.3, pp.686-694, 2013-03-01

本論文では,Total Variation(TV)正則化を用いた高画質・高速な超解像拡大手法を提案する.TV正則化を応用した超解像手法はリンギングを発生させず,エッジの鮮鋭化を効果的に実現する手法であり,事例学習法を組み合わせることで細かい模様(テクスチャ)の再構成も実現する有望な手法である.しかし,TV正則化を応用した拡大手法は反復非線形演算により計算時間が増大し,画質を維持した大幅な高速化が困難とされており,動画像などへの応用が難しいという問題がある.そこで本論文では,TV正則化を応用した拡大手法に効果的なエッジ鮮鋭化フィルタであるShock Filterを用いた新方式を提案し,従来の各手法と比較して大幅な計算時間の削減,または画質の改善に成功した結果を報告する.
著者
後藤隆志 武藤康平 山本英雄 平野智大 見神広紀 木村啓二 笠原博徳
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.12, pp.1-7, 2013-12-09

本論文では,スマートフォンやタブレット等で広く用いられる Android において,従来マルチコアプロセッサ上での並列化が困難で,その高速化が望まれていた 2D 描画ライブラリ Skia を,OSCAR 自動並列化コンパイラにより,プロファイラ情報に基づいた自動並列化を行う手法を開発したのでその方法を説明する.OSCAR コンパイラは Parallelizable C により記述された逐次プログラムから様々な粒度で並列化解析を行い,自動的に並列化 C ソースを出力する.しかし,Skia は Android 内のライブラリであり,利用する描画命令ルーチンにより制御フローが大きく変化するため,最適な並列化解析を行うことが困難である.そこで,本論文では Skia のような制御フローがコンパイル時に特定できないプログラムに対し,Oprofile を用いて取得したプロファイル結果を OSCAR コンパイラにフィードバックすることで,並列化対象を特定の領域に絞り,高い性能向上が得られる手法を提案する.なお,並列化対象領域が Parallelizable C コードでない場合でも,解析結果により実行コストが大きい部分から Parallelizable C に変更し,チューニングを施すことで並列化が可能となる.本手法を,描画ベンチマークとして広く使われている 0xbench を NVIDIA Tegra3 チップ (ARM Cortex-A9 4 コア) を搭載した Nexus7 上で評価を行った.並列化 Skia の実行においては,並列化部分の速度向上を正確に評価するため, Android を core0 に割り当て,残り 3 コアを Skia が利用できる形とした.評価の結果として,DrawRect で従来の 1.91 倍である 43.57 [fps],DrawArc で 1.32 倍の 50.98[fps],DrawCircle2 では 1.5 倍の 50.77[fps] といずれも性能向上結果が得られた.
著者
後藤 隆志 武藤 康平 平野 智大 見神 広紀 高橋 宇一郎 井上 栄 木村 啓二 笠原 博徳
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2015-EMB-36, no.34, pp.1-6, 2015-02-27

本稿では,マルチコアを搭載したスマートフォン端末において,コンパイラにより自動並列化及び低消費電力化された複数のアプリケーションを実行する際に,全体の実行時間の短縮あるいは各アプリケーション毎に設定されたデッドラインを守りつつ電力削減を達成するダイナミックスケジューリング方式について提案する.本スケジューリング手法では,コンパイル時に指定した各アプリケーションの並列実行時の利用コア数に応じた実行時間や消費電力,及びデッドラインを用いて,3種類の方式に基づくスケジューリングを行う.ARM 4 コアの端末上で動画コーデックアプリケーションを対象に評価を行い,FIFO 方式と比べ速度向上率で 18.5%,電力削減率で -28.8%の結果が得られた.
著者
平野 智之
出版者
大阪府立松原高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

同じ仲間どうしの教え合いという意味のビア・エデュケーションをテーマに、私の所属する府立高校において10年以上にわたって展開されてきた「るるくめいと」というエイズ・ピア・エデュケーショングループの実践について調査研究を行ってきた。まず、現役高校生のグループの1年間の活動のすべてにわたって付添い、公演活動の映像の記録、活動前後のミーティング、学習会の音声記録の収集を行った。また、活動を終えた卒業生のインタビュー調査を行い、それらのデータを原稿に起こして、分析を行った。そこでは、ピア・エデュケーションへの参加により、自分たちが伝えるために学び、対話するという主体的な学習によって、例えば、いじめや性に対する違和感などこれまでの被抑圧感から解放され、新たな自分の生き方や考え方の枠組みを獲得する過程が見られた。私は、その過程を坂本(2005)らの先行研究をもとに、<語る-聴く>場での学習主体の変容過程ととらえ、当事者性の獲得という視角から分析を行った。そこで見られた知見は、<語る-聴く>場が、「語る(伝える)」という実践が継続されて自己変容を伴うことである。このモデルが示しているのは、「聴いた」ことを「語る」実践に反映させてからまた「聴く」ことの連環の重要さである,「るるくめいとに入ったことによって、知識をいろいろ得たっていうのもあると思うけど、性的なことに限らず、他の明らかにおかしい差別的な言葉とかに違うと(言える)」という卒業生は、日常的な堤面での性や差別をめぐる言動を批判的に見ていこうとしている。「語り」、語るために「聴き」という連環は自己省察と新たな百説での実践を導いている。このように調査した高校生や卒業生の言葉から、関係性や相互作用で変容し続ける「主体」の可能性を見ることができたと考える。「語る(伝える)」ために「聴く」という関係性の実践がいわば生成的に継続されている学習活動の意義を発見できた。こうした学習活動を坂本(2005)が提唱した<語る-聴く>の相互作用モデルを拡張した学習の「関係性モデル」であるという仮説に到達できた。これが本奨励研究の顕著な研究成果である。
著者
平野 智洋
出版者
The Society for Near Eastern Studies in Japan
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.58-75, 2001

The highest court titles, despot (δεσποτης), <i>sevastokrator</i> (σεβαστοκρατωρ), and <i>Kaisar</i> (καισαρ), had very important roles in the Late Byzantune Empire. The holders of these titles, normally members of the imperial family, had considerable influences not only on the political scene, but also on the provincal administration as they were the highest position of its apparatus. On the administrative role of the title holders, many scholars have explained that it had the same character as the Western appanage, and that the administration did not depend on his their titles, but simply on that they were a member of the imperial family; their administration was basically private, since it had no foundation in the Byzantine theory of government. I make my examination, therefore, in comparison with that Byzantine administrative apparatus and office of the governor considering its continuity.<br>There are many cases which one and the same person had both the office of governor (κεψαλη) and the court title. In such cases, the administrator more often signed himself, or was mentioned by others, as the latter rather than the former in documentary sources. This custom indicates that that person tried to raise his authority by using the court title which indicated his higher social status. It was probably an omission of formality as well because there was no need to refer oneself as the lower class of the <i>kephali</i>. And the absence of that reference after the second half of the fourteenth century indicates that this formal omission became more prevalent.<br>Substantially, there is no difference in the administratorship before and after 1349, when the Emperor Ioannis VI Kandakouzinos (1347-54) appointed his relatives as the administrator of imperial territory. The administration of the despots was definitely different from that of the co-Emperor Matthaios Kandakouzinos (1353-57), whose authority involved real autonomy. Though their authority was rapidly enlarged, it was not established as private (except for the case of Thessaloniki in the first half of fifteenth century) or autonomous. They lacked their own diplomacy and the rights to inheritance. Especially in the Morea, from Manouil Kandakouzinos (1349-80), the first, to Dimitrios Palaiologos (1449-60), the last, all the <i>despotai</i> were apparently the imperial governers rather than the private landlords. Although the tendency of feudalization continuously developed in the imperial territory, these administrators did not originate from that tendency.
著者
仮屋崎 拓 後藤 富朗 平野 智 桜井 優
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.33, pp.9-12, 2009-08-03

ワンセグ放送では,伝送帯域が狭いため画像を高圧縮する必要があり,動画像圧縮規格であるH.264を用いて符号化されている.そのため,復号後の画像にはブロックひずみが混入してしまう.H.264ではブロックひずみを低減するためにデブロッキングフィルタが採用されている.しかし,このデブロッキングフィルタは画像の鮮鋭感を損なわせるという問題がある.そこで,本研究ではウェーブレット変換を用いたブロックひずみ低減手法を提案し,画像の鮮鋭感を損なうことなく,より効率的にブロックひずみを低減する.
著者
岩浪 哲馬 後藤 富朗 平野 智 桜井 優
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.5-8, 2012-02-09

画像のコントラスト補正は,過度な強調により画質が劣化する,あるいは局所的なコントラストが未改善となるといった問題があり,画像の適応的なコントラスト改善は難しい.また,適応的なコントラスト補正を行った場合には,処理時間が増大する問題がある.そこで本稿では,画像をサブブロックに分割し処理を行う適応的なコントラスト補正法を提案する.提案手法は,ブロック分割による処理時間の削減およびDRSHEを局所領域に応用することで局所的なコントラストの向上を実現でき,Retinex手法と同程度のコントラスト強調度を保ちつつ大幅な処理時間の削減に成功した.