著者
杉原 太郎
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会誌 (ISSN:13447254)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.115-120, 2012

4回にわたる本シリーズでは、初学者のためのリサーチデザインの導入と位置づけ、工学系研究と社会科学系研究の考え方の違い、定量調査と定性的調査と実験の各々の特徴について解説する。自ら実装したシステムの評価をしたいと考えたり、開発されたシステムを現場に持ち込み人々の営みがどのように変容するかを調査したいと企図したりする場合の、最も基礎となる部分についての原稿である。本稿はその第1回目として、調査と実験の基本的な考え方およびプロセスについて概観する。筆者は、工学系出身でありながら、社会科学の研究に関わることになった経験を有する。その経験を生かし、特に工学系研究者が陥りやすい落とし穴について概説することに重点を置く。内容は、HI2011 およびHI2012 の講習会で説明したものをベースにした。
著者
高田 和磨 杉原 太郎 五福 明夫
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
pp.TJSKE-D-17-00028, (Released:2017-07-20)
参考文献数
14

This study analyzes the factors for detecting agents to implement a human-like agent in werewolf games, which are new themes in game studies of artificial intelligence. A comparative experiment was conducted to reveal the influences regarding the degree of disclosure of the agent existence; seven players and an agent participated in four games. Communication logs were collected from the game logs. Impressions for each player was reported in questionnaires with five-point scales and detection of the agent were reported in a free writing. Although the most players, who did not know that an agent played the games, did not be aware of the true character of the agent, the most players who knew the existence could detect the agent. The statements of detected agents differed from them of other players. This study concludes that the technical requirement for agents is to adapt to statements of other players.
著者
杉原 太郎
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会誌 (ISSN:13447254)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.195-202, 2012

本シリーズは、HI 研究の評価において、最も基礎となる考え方についての稿である。前稿では、初学者のためのリサーチデザインの導入として、実験・定量的調査・定性的調査(質的調査とも言う)の考え方、基本的なプロセスを解説した。本稿は4回シリーズの第2回目として、定量的・定性的調査の特性、そのプロセス、各々で得られるデータの特性について説明する。前回述べたのは総括的なプロセスの説明であったが、今回は各調査と実験の特性を踏まえて、対比的に説明する。また、定量的調査あるいは実験と、定性的調査のいずれを選択するのが妥当かを考える上で重要となる、調査・実験を用いた研究の構成要件およびスタイルについても述べる。
著者
高田 和磨 杉原 太郎 五福 明夫
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

本研究では,人狼ゲームにおける人間らしいエージェントの実現のために,人間とエージェントによるゲームプレイを分析する.ゲームの要と予想される人狼の騙りと他者への同調に注目し,騙りの有無,同調の有無に基づいた2種類の人狼エージェントを用いて人間と人狼ゲームを行う.そして,自然なコミュニケーションの評価指標としてゲームの勝敗や人狼の看破情報等をもとに人間らしいエージェントの要素を分析する.
著者
松原 貴史 五福 明夫 杉原 太郎
出版者
日本プラント・ヒューマンファクター学会
雑誌
ヒューマンファクターズ (ISSN:13494910)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.45-62, 2016 (Released:2016-04-25)
参考文献数
18

In recent years, the number of younger operators increases in the Japanese industrial plants because of the alternation of generations. The operation manual becomes more important for the safe and stable operations. We analyzed the reported trouble cases happened in the petroleum and nuclear industries due to the problems of operation manuals. The analyses revealed that most of the trouble cases were caused by insufficient information in the part of remarks in operation manuals. This study investigates experimentally the influence of insufficient information in the part of remarks in operation manuals on the performance of novice plant operators using a semi-scale boiler type power generation plant. Two types of operation manuals are prepared for the experiment. The first one is the set of original operation manuals. That is, this type includes all information described in the original operation manuals. The other type of operation manuals has some missing information in the part. The experimental results show that the usage of the operation manuals describing all information has much effect to decrease the operation risk and the rate of omitting operation actions although the operation time to complete the task becomes longer. The sufficient description of the information has little effect on the understanding of operations.
著者
三宅 貫太郎 福森 聡 杉原 太郎 五福 明夫 佐藤 健治
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.148-151, 2015-01-05 (Released:2015-01-06)
参考文献数
7
被引用文献数
1

This article discusses the potential of Captology, a concept of the persuasive technologies, for long-term rehabilitation. Continuous rehabilitations to patients with chronic regional pain syndrome are an essential way to ameliorate the pain. Although the effects on a patient diminish when suspending the rehabilitation, he/she often feels resigned to keep it. Interference factors against the rehabilitation consist of difficulties to recognize the effects from the rehabilitation, interminable and repetitive rehabilitation, and complicated processes involving data collection for providing quality amelioration. Captology is one of promising concepts to solve these problems. We developed a set of functions with four principles from Captology, that is, Praise, Reduction, Tunneling and Self-Monitoring, into the system named VR/MVF for the sake of maintaining patient's motivation. One of the significant functions was developed to apply the principle of Praise. The system displays messages of praising/scolding to notice appropriate/inappropriate behaviors to him/her. The principles of Reduction and Tunneling were applied to reduce the burden of the system use. Tracking medical records by the principle of Self-Monitoring was employed to indicate the effects of rehabilitation to the patient.
著者
杉原 太郎
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会誌 (ISSN:13447254)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.31-42, 2013

本シリーズは、HI研究の評価において、最も基礎となる考え方についての稿である。初回は、初学者のためのリサーチデザインの導入として、実験・定量的調査・定性的調査(質的調査とも言う)の考え方、基本的なプロセスを、第2回目は定量的・定性的調査の特性、そのプロセス、各々で得られるデータの特性を、第3回は定量的調査および心理学的実験を概観した。本稿は、4回シリーズの最終回として、定性的調査の思想的基盤を説明した後に、調査的面接法と観察法を取り上げる。 HI研究では、人とのインタラクションを志向した技術開発を目指すため、人を対象にした評価を行うことが求められる。しかし、新しい技術をユーザがどのように用いるのかが、開発時にはっきりしない場合も珍しくない。特殊な状況下や、実際の現場の中での技術適用範囲を模索することもある。障害者を対象とした研究では、テイラーメイド的な技術開発になる場合もある。多様な形態の情報機器と人とのインタラクションが研究の主対象であることは、両者の関係性がダイナミックに変化する問題を扱うことを意味する。このように様々な事情で、HI分野の研究は数値でユーザあるいは技術の特性を表現する事が難しい、あるいは数値表現が不適切な場合に採用される方法が、定性的な手法である。本稿では、この手法について概説する。
著者
三浦 元喜 杉原 太郎 國藤 進
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.279-287, 2010
参考文献数
15
被引用文献数
1

本稿では,一般教室における無線デジタルペンを利用した授業システムを,日常的な運用を可能とするために行った2つの改良について述べる.まず我々が構築してきた超音波方式ペンとPDAによるシステムの操作と準備作業を軽減するため,近年利用されているアノト方式によるデジタルペンを利用可能とし,両システムを比較した.その結果,後者のシステムによる簡便性および誤差の減少が,理解度の低い生徒の積極的参加を阻害せず,またシステムが筆記をチェックすることに対する,理解度の高い生徒の緊張感を緩和することを確認した.次にアノト方式デジタルペンを用いた授業実践時に,ペンIDと受講者,およびその座席の対応関係を管理する際の教師負担を軽減する「筆席マップ方式」を提案し,システムに導入した.小学校における実践を通じて,筆席マップ方式の可用性と有効性を確認した.
著者
杉原 太郎 森本 一成 河村 知典 島田 雅之 黒川 隆夫
出版者
日本感性工学会
雑誌
感性工学研究論文集 (ISSN:13461958)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.127-134, 2005-05-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
23
被引用文献数
1 7 3

We aim to select several pairs of kansei words for use in a kansei-based music retrieval system. In order to evaluate kansei for music, we collected 530 kansei words from music magazines and a related work. Forty pairs of kansei words were selected out of them according to the results of 2 questionnaires. Using the those pairs, we conducted an evaluation test in which 76 subjects listened to 12 pieces of instrumental music through stereo speakers, and they rated the degree of their impression on each piece based on the 7-level semantic differential method. Factor analysis revealed that the psychological space of impressions was composed of 8 factors: There were uplift, mosso and so on. Next, we conducted simulation of retrieving. It was shown that many subjects often used 8 pair of kansei words for system input. Finally, we selected 19 pairs of kansei words, which were important to build a kansei-based music retrieval system
著者
藤波 努 杉原 太郎
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

認知症対応型介護施設において入居者の行動をデータ化し、解析する手法を見出した。研究により転倒事故の前兆や老衰の兆しなどが検知できる可能性を示した。これらの成果は高齢者の生活の質を高めることに役立てられる。一方、調査を通じて介護施設の多様性が明らかとなった。得られた結果がどの程度汎用性を有するのかは今後その他の施設でデータを集めて検証する必要がある。介護者の行動推定については、得られたデータから次の行動を推定するより、よりよい介護の仕方を探索することの方が重要であり、また介護者からの期待も高いことがわかった。仮説検証より発見を促す仕組みが求められている。これらの知見は次の研究に生かしていく。
著者
杉原 太郎 藤波 努 高塚 亮三
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.54-65, 2010
被引用文献数
1 7

本稿では,認知症高齢者をどのようにしてカメラシステムで支えるかという切り口で行った3軒のグループホームに対するアクションリサーチ,その中でもシステム開発および導入にまつわる問題ついて述べる.調査はインタビューにより行い,情報は介護者から収集した.調査結果から,カメラシステムは介護者の肉体的・精神的負担感を低減させ,提供する介護作業の最適化に寄与したことが明らかとなった.さらに,認知症を原因とする問題に対処するためには周囲の環境から支えることが重要であること,システムの開発・導入に当たっては,周囲の人々が抱く抵抗感に配慮する必要があること,「家」のメタファを損なうことの無いようなシステム作り・導入が求められることを示した.
著者
杉原 太郎
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会誌 (ISSN:13447254)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.279-288, 2012

本シリーズは、HI 研究の評価において、最も基礎となる考え方についての稿である。初回は、初学者のためのリサーチデザインの導入として、実験・定量的調査・定性的調査(質的調査とも言う)の考え方、基本的なプロセスを、第2回目は定量的・定性的調査の特性、そのプロセス、各々で得られるデータの特性について説明した。本稿は、4回シリーズの第3回として、定量的調査、その中でも多用される事が多い心理学的実験と質問紙法について述べる。
著者
三浦 元喜 杉原 太郎 三村 修 國藤 進
出版者
日本創造学会, 北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
第六回知識創造支援システムシンポジウム報告書
巻号頁・発行日
pp.45-52, 2009-03-30

Usually practitioner of KJ method utilizes paper labels and four-colored ball-point pens to externalize their thoughts and ideas during the process. The similar approach and method are taken in group KJ lessons. However the conventional way restricts effective capturing and sharing of outcomes due to the large paper size. Considering merits of the conventional paper-and-pen approach and the demand for quick sharing of outcomes after the session, we have designed and implemented a system to digitize the group KJ session not only the outcomes but also detailed creative work processes. We employ digital pens to capture position and orientation of labels as well as the contents written on the labels during the session. We confirmed the efficiency of our system from several KJ sessions.