著者
マティアス キリアン 森 勇
雑誌
比較法雑誌 (ISSN:00104116)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.329-340, 2016-12-30

ここに掲載するのは,Soldan Institutが行った,若手弁護士の副業に関する実態調査に基づいた都市伝説の検証である。 ドイツでは「弁護士(ないしは有資格者)が,タクシーの運転手をしている。」この話を訳者が聞いたのは,実に30年以上も前,ドイツの弁護士数が5万人から6万人の時代である。弁護士数が16万人を超えている現在では,さぞや弁護士のタクシードライバーが増大していると想像する人々も多いであろう。しかし,すでにベルリンの弁護士会がその所管地域で行った調査でも,タクシードライバーの中に弁護士などいなかったことが報告されていた。ここで訳出した論考は,実態調査をふまえ,加えて論理則からしても,それがほぼデマであることを暴露してくれている。弁護士のタクシードライバーなど論理的にありえないとする実態調査の分析評価は,実に説得力に富む。 ちなみに,ドイツでタクシードライバーの話がまことしやかにささやかれるようになったのは,弁護士の数がそれまでの増加率を大きく超えはじめた頃である。「弁護士はあまっている。食べられなくなっている。」とささやかれている現在の日本とよく似ていることは,指摘するまでもあるまい。ドイツはデマとおぼしき話が何十年もが蔓延しているにもかかわらず弁護士数を増やし,強固な法治国家への道を歩んでいる。果たして日本はどうか。興味深いというのは皮肉に過ぎようか。
著者
山根 裕司 山本 泰雄 菅 靖司 当麻 靖子 鈴木 由紀子 川越 寿織 澤口 悠紀 高橋 聡子 手倉森 勇夫 山村 俊昭 谷 雅彦 中野 和彦
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
日本理学療法学術大会 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.C0010-C0010, 2005

【目的】北海道サッカー協会では、優秀選手の発掘と育成、全道の選手・指導者の交流、選手・指導者のレベルアップ、トレーニングセンター制度の充実・発展を目的に、サッカー北海道選抜U-18合宿を行っている。我々は2001年から合宿に帯同し、メディカルサポートを行っている。今後の合宿におけるサポートの充実のため、4年間の活動内容について発生部位、疾患、処置内容の分析を行った。<BR><BR>【方法】対象は2001~04年に行われたサッカー北海道選抜U-18合宿。参加登録者は4年間で延べ900名(15~18才)であった。毎年7月上旬に4日間にわたって行われた。内容はトレーニング及び1日1~2回の試合を行った。メディカルスタッフは医師2名、理学療法士2名、看護師4名である。合宿初日に医師、理学療法士が講義を行い、傷害予防の啓蒙活動を行った。スタッフは練習中ピッチサイドに待機し、発生した傷害に対して診断や治療、希望者に対するコンディショニング指導を行った。<BR><BR>【結果】4年間で延べ293名(33%)の選手に367件の傷害が発生し、784回の治療を行った。部位は足関節・足部35%、膝関節22%、大腿11%、下腿7%、股関節5%と下肢が8割を占めた。内訳は外傷65%、障害29%、その他6%であった。外傷では打撲38%、捻挫38%、筋腱損傷10%であった。障害では、筋腱炎が57%と最も多く、次いで腰痛13%であった。処置はRICE処置が37%、テーピング24%、ストレッチ指導16%、投薬11%であった。救急車搬送3例(下顎骨骨折1例、熱中症2例)で、1ヶ月以上試合出場不可能な重症例は4例(下顎骨骨折、撓骨遠位端骨折、肘関節脱臼、前十字靭帯損傷各1例)発生した。4日間の期間中、処置件数は3日目が42%と最も多く、2日目30%、1日目と4日目が各14%であった。また各年度別の傷害発生件数は、2001年は外傷51件、傷害24件、2002年は外傷59件、傷害28件、2003年は外傷79件、傷害35件、2004年は外傷47件、傷害22件であった。<BR><BR>【考察】4年間の合宿において、重症例は少なく、傷害悪化例はなかった。これは現場で受傷直後から治療が出来たこと、一日数回の診察と治療を行えたこと、的確な練習復帰の指示が行えたこと、合宿初日に行った傷害予防の講義による啓蒙活動などの効果であると思われた。実際、初期症状のうちに治療に訪れる選手が多く、選手のコンディショニングの意識は高いと感じた。傷害の重症度によっては理学療法士によるテーピングやストレッチ指導などの処置を行ってプレーを続行させた。しかし傷害を悪化させた選手はいなかった。どこまでの時間や負荷の練習が出来るかの傷害レベルについて指導者とうまく連携できたことと、ピッチサイドにてプレーを観察できたことが要因であると考える。
著者
宮森 勇作 川村 秀憲
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:2188885X)
巻号頁・発行日
vol.2016-ICS-184, no.5, pp.1-2, 2016-07-29

人物姿勢推定の研究では,多層の畳み込みニューラルネットワークを用いることで最高水準の姿勢推定を実現している.畳み込みニューラルネットワークの学習には,ラベル付けされた膨大な数のデータセットが必要である.しかし,現実世界で膨大な数のシチュエーションの人物画像を用意するのは難しい.より多くのシチュエーションの人物画像と姿勢情報を同時に自動生成する仕組みを作り,生成されたデータセットを教師データとして機械学習を行うことでより正確な人物姿勢推定が可能であると考えられる.本研究では,学習に十分な数のデータセットを用意するために,3DCG を用いて人物画像と姿勢情報を自動生成した.生成したデータセットを教師データとして深層学習を行った.また,現実の人物画像に則した姿勢推定モデルとなるか否かを検証する前段階として 3DCG の人物姿勢の推定を行い,精度検証を行った.
著者
森 勇人 高橋 弘 加来 伸夫 西村 宏之
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.132, no.12, pp.182-189, 2016-12-01 (Released:2016-12-15)
参考文献数
14

It is difficult to reuse the construction sludge directly because the water content of it is extremely high. Therefore, it has been disposed as industrial waste in the final disposal site. In order to reduce the construction cost and environmental load, the effective reuse of construction sludge has been an important problem. In order to increase the recycling rate of construction sludge and to solve the above mentioned problem, the authors have already developed a new recycling method for construction sludge by using paper debris and cement. As this method can improve the high water content sludge into high quality ground materials on sites, this method has already been utilized in over 400 construction sites in Japan.On the other hand, the biodegradation of fibrous materials is not made clear as yet. It is considered qualitatively that fibrous materials used in this method is hard to be biodegraded by soil microbes, because fibrous materials still remains in the soil which was improved by this method 10 years ago. However, the degradation by soil microbes is not confirmed quantitatively.Therefore, the biodegradability of fibrous materials was investigated experimentally through a culture test and a soil buried test. As a result, it was found that paper fragments were degraded in the solution of pH7.0, but were not degraded in the solution of pH9.5. Furthermore, it was confirmed through soil buried test that paper fragments buried in the normal mud were degraded significantly, but those buried in Fiber-Cement-Stabilized soils were not degraded and fibrous materials remained. Therefore, it was concluded that the fibrous materials in Fiber-Cement-Stabilized soil are not degraded by soil microbes when pH of Fiber-Cement-Stabilized soil is over 9.5, and they remains in the modified soils for a long time.
著者
山内 和人 山村 和也 佐野 泰久 稲垣 耕司 三村 秀和 森 勇藏
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

本年度(平成18年4月〜平成18年7月)の研究実績1 走査型蛍光X線顕微鏡システムの構築これまで開発を進めてきた、ナノ集光システムの後段に、既存のXYステージと蛍光X線ディテクターを装着させ、走査型の蛍光X線顕微鏡システムを構築した。XYステージには、0.01μm分解能のステージを用いた。蛍光X線ディテクターからの波形分布を、各ポイントで取得可能なシステムとし、複数の元素マップを取得することを可能とした。SPring-8のBL29XULにおいて、テストパターンによるシステムの動作確認と、細胞内の元素分布の観察を行った。テストパターンはFIB (Focused Ion Beam)により作製した。顕微鏡システムの空間分解能のテストを行った結果、30nmの分解能でテストバターンに書かれていた文字を画像化することができた。細胞観察では、細胞内の核やミトコンドリアの観察において、同時に複数の元素分布を可視化することに成功した。2 ブロジェクション顕微鏡システムの予備検討ブロジェクション型顕微鏡システムとしては、将来的な発展性を考慮すると、近年注目をあびているX線回折顕微鏡の導入が不可欠であり、検討を開始した。本手法は、X線の透過強度分布から、集光点近傍のサンプル内の電子分布を求めるものであり、原理的にナノメートルの空間分解能を持つ顕微鏡手法として有力である。今年度は、位相回復法と呼ばれる数学的手法に基づくブログラムを開発した。そして、ミラー集光光学系においても、透過強度分布からサンブルの電子構造を求めることが可能であることがわかった。
著者
安田 喜憲 笠谷 和比古 平尾 良光 宇野 隆夫 竹村 恵二 福澤 仁之 林田 明 斉藤 めぐみ 山田 和芳 外山 秀一 松下 孝幸 藤木 利之 那須 浩郎 森 勇一 篠塚 良司 五反田 克也 赤山 容造 野嶋 洋子 宮塚 翔 LI Xun VOEUM Vuthy PHOEURN Chuch
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

年縞の解析による高精度の気候変動の復元によって、モンスーンアジアの稲作漁撈文明の興亡が、気候変動からいかなる影響を受けたかを解明した。とりわけメコン文明の一つであるカンボジアのクメール文明の興亡については、プンスナイ遺跡の発掘調査を実施し、水の祭壇をはじめ、数々の新事実の発見を行った。稲作漁撈文明は水の文明でありアンコールワットの文明崩壊にも、気候変動が大きな役割を果たしていたことを明らかにした。
著者
釜森 勇樹 川村 新 飯國 洋二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.57, pp.35-38, 2009-05-21

本論文では,ゼロ位相信号解析による広帯域雑音の除去について検討する.ゼロ位相信号とは,全周波数成分の位相をゼロに変換した信号であり,観測信号の振幅スペクトルの逆フーリエ変換として定義される.ゼロ位相信号へ変換することにより,振幅スペクトルの周波数軸方向の周期性を解析し利用することが可能となる.筆者らは,ゼロ位相信号解析の応用例として,白色雑音およびインパルス雑音に対する雑音除去法を提案してきた.本論文では,ゼロ位相信号解析によって,より一般的な広帯域雑音の除去が可能になることを示す.
著者
生田 祐介 村松 常司 森 勇示 金子 修己 金子 恵一 大河内 信之
出版者
愛知教育大学保健体育講座
雑誌
愛知教育大学保健体育講座研究紀要 (ISSN:13468359)
巻号頁・発行日
no.28, pp.27-36, 2003

愛知県三河地区の高等学校に在籍する1年生の保健体育授業「柔道」を受講した男子39名を対象として,生徒によるアンケート調査や感想文の分析をすること,柔道のイメージの変化を明らかにするとともに,その要因をつきとめるための柔道授業における授業分析を行った,今回の研究を通して以下のことが明らかになった。(1)生徒の学習活動時間分析から本単元には柔道の知識・技能に関する内容が多く含まれていることがわかった。効果別にみた教師発言からは肯定的発言が矯正的発言より多く,良い雰囲気で授業が行われていると言える。内容別にみた教師発言は学習活動時間と対応する結果が得られた。② 授業前アンケート調査から生徒は柔道授業に「体力の向上」を期待している。柔道授業後では「痛い」というイメージは低くなり,「おもしろさがある」「体力の向上に役立つ」は高くなった。本単元を受けたことで柔道は体力・精神面ともによい影響を与えると感じるようになった。授業後の調査ですべての生徒が「授業が楽しかった」と答え,授業を高く評価しており,特に教師に対する満足は高い。生徒の授業理解「試合のおもしろさがわかった」が最も高かった。 以上のことから,柔道の経験者と未経験者の混在する高等学校の柔道授業の中で,どのように授業が進められるとそれまでの経験に関係なく授業を楽しめるようになるかが示唆された。柔道授業を対象とした分析方法として,今回は一単元を対象として分析を試みたが,対象を増やすなど知見を増やしていくことなどの課題がある。本研究が今後の学校体育における柔道授業の発展のための手がかりの一つとなることを期待したい。
著者
井出 敞 森 勇蔵 紺田 功 井川 直哉 八木 秀次
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.887-892, 1991-05-05
被引用文献数
1 1

A new approach to prepare diamond-like carbon film was made by highly accelerating ultra-fine carbon black particles between plane-parallel electrodes held at DC high voltage in 10^<-4> Torr, and by making the energetic particles deposit onto the surfaces of electrodes used as substrate. It became clear that amorphous hard carbon films grow only on cathode surface without heat generation and the growth rate depends on the rate of kinetic-energy flux given by the particles striking unit cathode area. The average growth rate of about 10 nm/min was obtained using a 180 mm dia. cathode with relatively low power supply. As for the properties of film prepared, the Vickers hardness value larger than 1 500 kgf/mm^2 and the semiconductive hopping conduction were observed, which are quite different from carbon black used. These suggest that the graphitic starting material may be transformed into considerably disordered carbon structure due to severe solid-to-solid impact, and a diamond-like carbon film of graphite rich may be formed.