著者
吉田 信也 松崎 太郎 大下 美奈 坂下 茉以 堀 健太郎 森 和浩 細 正博
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0775, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに】関節可動域制限の原因の一つとして神経系の可動性や柔軟性の低下が関与していることが考えられており,我々は先行研究においてラット膝関節拘縮モデルにおける坐骨神経周膜の肥厚および坐骨神経束と神経周膜の密着(神経周囲腔の消失)を報告し,これが神経の滑走を妨げている可能性を示した。また膝関節不動化期間中に拘縮予防目的に関節可動域運動(以下,ROM-ex)を行った結果,神経周膜と神経束の間に神経周囲腔が観察され,神経の滑走が神経周膜と神経束との間で生じている可能性を報告した。そこで今回,ラット膝関節拘縮モデルに拘縮治療目的でROM-exを施行し,それが坐骨神経周囲組織に与える影響について病理組織学的に検討することを目的に実験を行った。【方法】対象には9週齢のWistar系雄ラット28匹を用い,それを無作為にコントロール群(n=7),拘縮群(n=14),実験群(n=7)の3群に分けた。拘縮群および実験群は麻酔後,右膝関節をキルシュナー鋼線と長ねじを使用した創外固定を用いて膝関節屈曲120°にて不動化した。この際,股関節,足関節に影響が及ばないように留意し,ラットはケージ内を自由に移動でき,水,餌は自由に摂取可能とした。コントロール群は自由飼育とした。実験群は不動化処置の2週間後より腹腔内にペントバルビタールナトリウム溶液(40mg/kg)を注射して深麻酔下で膝関節に対しROM-exを2週間行い,ROM-ex時以外の期間は不動化を維持した。ROM-exはラットの体幹を固定した状態で行い,まず膝関節屈曲位を5秒間保持し,次にバネばかりを使用して右後肢を坐骨神経に伸張ストレスが加わるように体幹より120°腹頭側方向へ約1Nで牽引し5秒間保持する運動を3分間繰り返した。ROM-exは1日1回,週6回,2週間施行した。拘縮群の半数(n=7)は不動化2週間後にジエチルエーテルにて安楽死させ,可及的速やかに右後肢を股関節より離断し標本を採取した。実験期間終了後,同様に残りのラットを安楽死させ,右後肢を標本として採取した。採取した右後肢は10%中性緩衝ホルマリン溶液にて組織固定を行い,次いで脱灰液を用いて脱灰を4℃にて72時間行った。その後,大腿骨の中間部にて大腿骨に垂直に切断し大腿部断面標本を採取した。5%硫酸ナトリウム溶液で72時間の中和後,パラフィン包埋して組織標本を作製した。作製したパラフィンブロックをミクロトームにて約3μmにて薄切した。薄切した組織切片はスライドガラスに貼付し,乾燥後にヘマトキシリン・エオジン染色を行い封入した。観察部位は大腿中央部の坐骨神経周囲組織とし,光学顕微鏡下に病理組織学的に観察した。【倫理的配慮】本実験は所属機関の動物実験委員会の承認を受けて行われたものである。【結果】コントロール群は全例で坐骨神経束は神経周膜と遊離しており,神経周囲腔が観察された。実験群においては7例中6例で神経周囲腔を認めた。一方,拘縮群では全例で坐骨神経内の各神経束は神経周膜と密着しており,神経周囲腔の消失が観察された。また拘縮群および実験群では神経周膜の線維性肥厚が全例で観察された。【考察】今回,ラット膝関節拘縮に対してROM-exを行った結果,坐骨神経の神経束と神経周膜の間に神経周囲腔が観察された。これは神経の滑走が神経周膜と神経束との間で生じている可能性を示唆するものであると考えられる。また,一度拘縮を生じた膝関節にROM-exを行うことで,坐骨神経の神経周囲腔に関しては可逆的な組織学的変化が生じ,コントロール群に類似した組織像が観察されたと考えられる。一方で,神経周膜の線維性肥厚は拘縮群と同様に実験群全例で観察されており,ROM-exは神経周膜には影響を及ぼさないものと思われた。【理学療法学研究としての意義】臨床場面において使用頻度の高い治療手段であると思われるROM-exが坐骨神経周囲組織に与える影響について病理組織学的に観察・検討することにより,神経滑走性に対するROM-exの治療効果やその運動方法などの妥当性に対して示唆を与えうると考えられる。
著者
森 和也 陳 玳〓 西谷 弘信
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.57, no.544, pp.2987-2991, 1991-12-25 (Released:2008-02-21)
参考文献数
8

The authers have developed a method for satisfying resultant boundary conditions on each divided boundary by discrete point forces. This method stands high accuracy and short calculating time at the same time. However, to obtain highly accurate solutions, it is necessary to put the point forces at the optimum locations. In this paper, the optimum location of point forces were obtained through several problems in 2D or 3D. The optimum location, that is, the optimum ratio of devided boundary length to distance between point force and boundary is 0.5∼0.7 in the case of notch problems and is 1.5 in the case of crack problems.
著者
松岡 康信 足立 光一朗 李 英根 浮田 茂也 小森 和弘 井戸 立身
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学術講演大会講演論文集 第26回エレクトロニクス実装学術講演大会
巻号頁・発行日
pp.277-279, 2012 (Released:2014-07-17)

次世代サーバ・ルータ装置内向けに、光電子融合デバイスおよびポリマー光配線回路基板を用いた高速(≧25 Gbps/ch)チップ間光インタコネクションを検討している。本稿では、チップ間光インタコネクションのコンセプト、およびポリマー光導波路ボードプロトタイプの試作・評価結果について報告する。
著者
森 和紀
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.116, no.1, pp.52-61, 2007-02-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

Changes in the components of hydroclimatological characteristics including precipitation, evapotranspiration, and runoff over the last 100 years were investigated in the Kiso, Nagara, Ibi, and Kumozu River Basins as a case study. Annual precipitation in the study basin has tended to decrease since the first half of the 1970s. On the other hand, the smooth trend curve indicates that annual evapotranspiration has increased over the long term, especially since the 1980s. Smoothed secular changes in the difference between annual values of precipitation and potential evapotranspiration are analogous to those of annual precipitation. The average annual runoff ratio for each year has also shown a tendency to decrease during the last few decades. It is pointed out that the notable characteristics of current frequency-magnitude distributions in anrange in each year. Under conditions of extreme meteorological events that increased air temperature in the summer of 1994, river water quality showed a remarkable change compared to its average value in a normal year. The most striking feature due to high temperature was a very low value for the concentration of dissolved oxygen, especially in July and August. The facts identified in the present study provide a meaningful perspective of the possible consequences of global warming for hydrological processes, and are also useful basic data for evaluating the effects of future climate change on the aquatic environment.
著者
森 和憲 南 貴之 東田 洋次 村上 純一 小野 安季良 長岡 史郎 高吉 清文
出版者
詫間電波工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

平成17年度、18年度の開発と実践により完成されたビデオ教材、練習問題を一つのパッケージとして、教材化し、DVDおよびインターネットを通じて配布した。作成された教材は以下の通りである。(1):情報通信工学、電子工学、電子制御工学、情報工学、数学、物理学に関するビデオ教材それぞれ5タイトル、計30タイトル(2):各ビデオに登場する新出・重要英単語の学習教材、内容に関する質問、および重要文法項目・英語表現を理解する教材(3):(1)および(2)を通常の授業で指導できるようにしたパワーポイントのスライドセット(4):(1)および(2)をインターネット上で学習できるようにしたウェブサイトの公開当研究の研究成果は全国高等専門学校英語教育学会等の学会で発表され、査読つき論文は『高専教育』第31号に採用された。さらに、勤務校と提携しているDONYANG TECHNICAL COLLEGEの取り計らいにより、韓国最大の電子機器の国際見本市の一つであるKorean Electronic Show 2007で研究成果の一部を展示・発表することが出来、おおむね好評を得た。
著者
杉森 和加奈 中川 和彦 福原 哲治 赤本 伸太郎 小西 祐輔
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.1005-1008, 2022 (Released:2022-12-31)
参考文献数
12

症例は91歳,女性.3週間前より右乳房の疼痛・腫脹が出現し,近医を受診.抗菌薬投与にて改善が見られないため,当院を紹介受診となった.右乳房の腫脹と乳輪部発赤を認め,明らかな腫瘤は触知しなかった.マンモグラフィは右乳房の濃度上昇と皮膚肥厚を認め,乳房超音波では皮膚の肥厚と脂肪織の浮腫を認め,乳腺組織は不明瞭であった.炎症性乳癌の鑑別のために針生検を施行したが,悪性所見は認めなかった.心不全を疑う所見がなかったため,利尿剤を使用せず五苓散を開始した.緩徐ではあるが浮腫の改善を認め,投与後12カ月で左右差が見られなくなった.乳房浮腫に対し五苓散を使用し有効であった症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
著者
川瀬 良美 森 和代 吉崎 晶子 和田 充弘 松本 清一
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.119-133, 2004-07-31 (Released:2017-01-26)
被引用文献数
3

本研究の目的は,成熟期の女性のPMSの実態について即時的な記録から明らかにしようとするものである.成熟期の25歳以上45歳以下の141名の388月経周期について月経前期と月経期に記録された身体症状,精神症状そして社会的症状の合計51症状について検討した.月経前症状の頻度,平均値,最大値からみた主症状は,精神症状のイライラする,怒りやすい,身体症状の乳房の張りの3症状といえた.また特定の人に強く経験されている症状も認められた.対象者の諸属性のうち,年齢グループ別,出産経験有無別,就労形態別で検討したところ,それぞれの属性で有意に高い平均値を示す症状群が認められた.月経前期から月経期への推移について検討したところ,月経前期から月経へ減少または消失するというPMSの特徴を統計的に有意に示す症状は15症状であった.それら症状の相互関連をクラスター分析によって検討した結果,イライラ,怒りやすい,そして食欲増加という選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)に反応するような脳レベルの問題と考えられる症状のクラスターAと,乳房の張り,ニキビができやすいなど卵巣ホルモンが直接発症に関与している症状のクラスターBが見いだされた.また,クラスター分析と属性別の結果から出産経験の有無による相違が認められ,出産経験が症状と特異的に関連していることが示唆された.また,月経前期から月経期へ統計的に有意な増加を示す症状は12症状で,クラスター分析の結果,下腹痛など子宮レベルの問題を背景とした症状と精神症状と社会的症状で構成されたクラスターCが見いだされ,成熟期女性にも周経期症候群(PEMS)の概念で説明できる月経前症状が認められた.以上の結果から,本邦における成熟期女性の月経前症状は,脳レベルの問題,卵巣レベルの問題,子宮レベルの問題を背景として,PMSとPEMSという特徴的な臨床像による2つの概念で説明できる.
著者
森 和美 西村 八千代 津崎 美枝子 守本 いづみ
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.492-497, 1986-06-30 (Released:2010-03-18)
参考文献数
5
著者
森 和也
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.411-436, 2007-09-30 (Released:2017-07-14)

従来は消極的な評価ばかりを与えられている、排仏論に対抗して生み出された護法論という言説の積極的な意味づけを考えた場合、それは仏教の自己認識、すなわち自画像であると考えられる。その中から読み取れる仏教の日本における自らの存在証明として、近世、近代の仏教者たちに多く見られるのは、天皇との関係性の強調であった。この天皇との関係性は天皇の崇仏の歴史および日本という国土との結びつきにおいて確認されている。明治政府が意図した天皇中心の国民統合に近代の仏教が奉仕することになったのはそのためであったが、仏教、神道、キリスト教は相互に習合するのではなく、天皇に各々が個々に結びつくことで近代の宗教体制を構築したのである。