著者
高城 健 岡田 義清 白壁 和彦 古橋 廣崇 榎本 真悟 谷知 正章 丸田 紘史 安武 優一 栗原 千枝 戸田 裕之 東山 正明 渡辺 知佳子 髙本 俊介 冨田 謙吾 清水 邦夫 永尾 重昭 三浦 総一郎 穂苅 量太
出版者
消化器心身医学研究会
雑誌
消化器心身医学 (ISSN:13408844)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.2-5, 2016 (Released:2016-09-01)
参考文献数
29

近年,心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder: PTSD)と過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)の関連性が指摘されており,一方で精神疾患と腸内細菌との関連性が指摘されている。また,IBSでは腸管粘膜における脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor: BDNF)の発現が増加するとの報告もある。今回我々は,本学で開発されたPTSD動物モデルを用い,腸内細菌叢や腸管粘膜におけるBDNF発現の変化について検討した。シャトル箱を用いてラットに逃避不能の電撃を負荷すると,後の行動観察でラットはPTSD,学習性無力(learned helplessness: LH),indeterminateのいずれかの行動パターンを呈することが判明した。行動パターンによって腸内細菌叢の構成が異なり,PTSD群ではBacteroidetes,LH群ではProteobacteriaの割合が増加する傾向がみられた。またLH群では,近位結腸のBDNF発現が増加する傾向がみられた。これらの変化がmicrobiota-gut-brain axisに関連し,行動変化や消化管機能に影響を与えている可能性がある。
著者
坪井 謙 八坂 剛一 田村 洋行 榎本 真也 中山 祐介 藤原 俊文 百村 伸一
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.524-528, 2011-08-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
8

病院前救護においてAutoPulse®️の使用が蘇生に奏効し,神経学的予後が良好であった心肺停止(cardiopulmonary arrest,以下CPA)患者の1例を経験した。症例は40歳,男性。自宅内で卒倒し呼名に反応しないため救急要請された。bystanderによる心肺蘇生はなかった。覚知6分後に患者と接触したが,心電図モニター上心静止であった。覚知9分後より心肺蘇生を開始し,AutoPulse®️を装着・作動開始した。覚知17分後当院搬入時心静止であったが,その後心室細動となり計4回の除細動にて心拍再開した。左冠動脈回旋枝に閉塞を認め,冠動脈ステント留置術を施行した。術後低体温療法を施行し,第39病日に自立生活可能となり退院した。CPAの病院前救護においてAutoPulse®️の有用性が示唆された。
著者
榎本 真俊 櫨山 寛章 奥田 剛 山口 英
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_58-3_69, 2015

インターネットの規模拡張性の検証やインターネット上の大規模攻撃を模擬する環境として,大規模なサーバクラスタ型テストベッド上に仮想計算機を用いて擬似的なインターネット環境を構築する,インターネットエミュレーションの研究が行われている.インターネットエミュレーションのうち,EBGPルータを用いAS(Autonomous System)網を構築し,ASレベルでのBGPのパス特性やAS間での連携が必要なインターネット技術またはソフトウェアの挙動の観察を目的としたエミュレーション手法を本稿ではASエミュレーションと呼ぶ.ASエミュレーションにおいて,サーバクラスタの限られた物理計算機上でAS数を最大化するために,仮想計算機技術が用いられる.この際,限られた物理計算機から個々の仮想計算機が必要とする量の資源を適切に割り当て,仮想計算機の多重度を上げる必要がある.メモリ資源に着目すると,EBGPで構成されたAS網で個々のBGPルータが必要とするメモリの最適解を求めることは,その計算量の複雑さから,現実的に困難であり,日々拡張していくインターネットの特性をサーバクラスタ上に模擬するためのメモリ量推定手法として向いていない.そこで,本論文ではソースコードレベルでの静的解析と小規模な実験における動態解析の結果を元に曲線回帰よってモデル化することで使用メモリ量の推定を行う手法を提案する.提案手法の妥当性は大規模サーバクラスタであるStarBEDにて,Quagga bgpdを用いたASエミュレーションに対し,Quagga bgpdのソースコードの静的解析と,仮想マシン100台まで動的解析を元にモデル化を行い,最大1500台の仮想マシンによるASエミュレーション環境の構築を通して,その適合性の検証を行った.その結果,提案手法は従来手法より計算量,規模追従性の点で優れていることが明らかとなった.
著者
李 崇至 谷内 昇一郎 松井 美樹 多賀 陽子 郷間 環 榎本 真宏 今出 礼 西野 昌光
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.205-213, 2020-06-20 (Released:2020-06-19)
参考文献数
23

【目的】小児領域におけるアナフィラキシーおよび二相性反応に関しての報告は少なく,詳細は不明である.当院で経験した症例を検討し,二相性反応の実態を明らかにする.【方法】2015年-2018年に当院外来からアナフィラキシーの診断で入院となった201症例を対象とした.患者背景,原因,症状,治療および二相性反応も含めた臨床経過について診療録を用いて後方視的に検討した.【結果】対象は201例.原因は食物158例,薬物2例,動物1例,不明39例であった.初期治療でアドレナリン筋注を行った例は132例(66%)であった.二相性反応は9例(4.5%)であった.二相性反応のリスク因子として月齢(p=0.028)とアドレナリン筋注(p=0.028)に多変量解析で統計学的有意差を認め,オッズ比(95%信頼区間)は1.01(1.0-1.3)と0.19(0.044-0.026)であった.【結論】小児アナフィラキシーにおける二相性反応の頻度を明らかにした.初期治療としてのアドレナリン筋注の重要性を改めて認識させられた.
著者
榎本 正雄 榎本 真 中島 彬
出版者
JAPAN SOCIETY OF PHOTOGRAMMETRY AND REMOTE SENSING
雑誌
写真測量 (ISSN:05494451)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.21-26, 1972-04-25 (Released:2010-03-19)

In the designated district to the Matsumoto Sabo Construction Work Office, Ministry of Construction, there are many mountain streams having been troubled by the rucky mudflow damages.To investigate the cause of the rocky mudflow, many experiments together with the actual prevention works for the rocky mudflow have been done by the members belonged to this office.This report introduces briefly the general view of the organization and methods on the rucky mudflow investigation in our office.
著者
佐藤 久美 榎本 真希子 内山 武史
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.102, no.4, pp.414-417, 2004-12-17

第101回日本保険医学会定時総会が,平成16年10月14日,15日の両日にわたり,東京都千代田区有楽町のよみうりホールで開催された。第一日目は,ニッセイ基礎研究所研究理事の明田裕氏による特別講演「生活リスクの変化と生命保険事業の将来」が行われ,続いて住友生命・横山哲氏が座長をつとめたパネルディスカッション「高齢者の生命危険因子および危険選択」が行われた。第2日目は小林三世治氏による会長講演「医的査定から見た生命保険」およびGen Re医長のFajah S. Peshi氏による特別講演「The pitfalls in the interpretation of diagnostic data」が行われ,さらに総会議事,表彰式,宿題報告,一般演題,教育講演,さらにはワークショップなども開催された。
著者
永田 次雄 永田 貴久 浜畑 美智子 佐藤 堅 村上 氏廣 榎本 真 田村 穣
出版者
日本毒性学会
雑誌
The Journal of Toxicological Sciences (ISSN:03881350)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.51-83, 1983-01-25
被引用文献数
1 1

ヒスタミンH_2-受容体拮抗剤ranitidineをビーグルに経口投与し, 急性毒性, 5週間亜急性毒性, 26週間慢性毒性および回復試験を行った。I. 急性毒性 1000, 1500, 2500, 3000 または 3500 mg/kgを雌雄各1頭に1回経口投与により, 投与直後より嘔吐, 振戦, 歩行失調を認めた。最高用量においては死亡例を認めなかったが3000 mg/kg群の雄1頭が死亡した。なお, 嘔吐が著しかったので3500 mg/kg以上の投与量での検討は行わなかった。II. 5週間亜急性毒性 1) 40, 80, 160 または 320 mg/kgを1日1回5週間経口投与において死亡例は認められず, 40 mg/kg群では異常は認められなかった。2) 80 mg/kg群では流涎以外に異常は認められず, 160 mg/kg以上の群においては流涎, 嘔吐および軟便などの症状を認め, 雄に軟便にともなう下部消化管の微細出血に関連して赤血球数, ヘマトクリットおよびヘモグロビンの有意な減少を認めた。3) 320 mg/kg群では体重の減少がみられたが有意差はなかった。また, 摂餌量の減少, 散発的な軽度のタール便を認めた。雄の赤血球数, 血清総蛋白の減少ならびに血小板数および網赤血球率の増加を認めた。4) 病理組織学的な検査において80 mg/kg群の雌1頭に大腸粘膜の一部に萎縮およびびらん形成を認め, 320 mg/kg群の雄1頭に大腸粘膜にびらん形成を認めたのみで他に特記すべき異常を認めなかった。5) 最大無作用量は40 mg/kgと推定され, これはヒト1日臨床用量の約7-8倍に相当する。III. 26週間慢性毒性 1) 40, 80または160 mg/kgを1日1回26週間経口投与を行い, 80および160 mg/kg群では試験終了後30日間休薬による回復試験を行った。この試験において死亡例は認められず, 40 mg/kg群では異常を認めなかった。2) 80 mg/kg以上の群では流涎, 嘔吐, 軟便など亜急性毒性試験に認められたのと同様な症状がみられた。3) 160 mg/kgでは摂餌量の減少, 体重増加抑制, 便潜血反応陽性を示し, これに関連した赤血球数の減少, さらに雄ではヘマトクリット値およびヘモグロビン値の減少を認めたが, 他に特記すべき変化は認めなかった。4) 病理組織学的所見においては, 特記すべき異常は認めなかった。5) 電子顕微鏡学的所見においては, 160および320 mg/kg投与群の輝板に軽度な変化がみられたのみで, 他に特記すべき変化はなかった。6) 慢性毒性試験にみられた上記の所見は, 休薬後は認めなかった。7)最大無作用量は40 mg/kgと推定され, これはヒト1日臨床用量の約7-8倍に相当する。(試験実施期間 昭和55年1月〜昭和56年8月)