著者
池澤 優 近藤 光博 藤原 聖子 島薗 進 市川 裕 矢野 秀武 川瀬 貴也 高橋 原 塩尻 和子 大久保 教宏 鈴木 健郎 鶴岡 賀雄 久保田 浩 林 淳 伊達 聖伸 奥山 倫明 江川 純一 星野 靖二 住家 正芳 井上 まどか 冨澤 かな
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、欧米において成立した近代的宗教概念とそれに基づく宗教研究が、世界各地、特に非欧米社会においてそのまま受容されたのか、それとも各地域独自の宗教伝統に基づく宗教概念と宗教研究が存在しているのかをサーヴェイし、従来宗教学の名で呼ばれてきた普遍的視座とは異なる形態の知が可能であるかどうかを考察した。対象国・地域は日本、中国、韓国、インド、東南アジア、中東イスラーム圏、イスラエル、北米、中南米、ヨーロッパである。
著者
藤原 聖子 奥山 史亮 江川 純一 久保田 浩 木村 敏明 宮嶋 俊一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、(a)1990年代までの宗教現象学の成果とその突然の消滅の原因、さらに(b)日本を含む各国で宗教現象学がどのように受容されたかを解明することを全体の目的とする。初年度である28年度は、国内の宗教現象学世代に対して聞き取り調査を行うとともに、関連文献を収集、整理した。また、海外の研究者と現地で行う調査計画を具体的に詰めることができた。聞き取りを行うことができたのは、華園聰麿氏(東北大学)、澤井義次氏(東北大学・天理大学)、土屋博氏(北海道大学)、小田淑子氏(京都大学・東京大学・シカゴ大学)、金井新二氏(東京大学)、永見勇氏(シカゴ大学・立教大学)、棚次正和氏(京都大学・筑波大学)、長谷正當氏(京都大学)、氣多雅子氏(京都大学)に対してである。宗教現象学の国内での受容の状況、自身の宗教現象学観が聞き取りの内容の中心となった。また、2017年に刊行100年を迎える『聖なるもの』の著者、ルドルフ・オットー(宗教現象学者の草分けとされる)の研究が国内でどう受容されたかについても聞くことができた。後者の情報は、日本でのオットー受容に関する英文論文を執筆する際に用いた。聞き取り調査と同時に、どのようなデータベースが役立つかについて検討を重ねた上で、博士課程の院生の協力を得て、国内の関連文献のデータベースを作成し、必要なものを収集した。海外に関しては、宗教現象学者の詳細な一覧を作成した。海外については、ヨーロッパ宗教学会のヘルシンキ大会に合わせて、フィンランド宗教学者による宗教現象学の受容について、Veikko Anttonen氏とTeuvo Laitila氏から聞き取りを行った。さらに、スウェーデン宗教学会会長のDavid Thurfjell氏と現地調査方法、論文集の刊行について計画を進めた。
著者
江川 純一
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:2896400)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.63-76, 2002-03-31

本稿は,フランスの宗教学者ロベール・エルツ(1881-1915)の三本目(そして最後)の論文「聖ベス-アルプスの祭祀-(Saint Besse -etude d'un culte alpestre)」を扱っている。エルツについては,ボルネオ島ダヤク族の死をめぐる習俗(具体的には二次埋葬)・観念に時間的構造をみようとした1907年の「死の集合表象の研究」,ニュージーランドのマオリ族の事例を扱い,右手と左手の価値の差を右利きという生理学的要因ではなく,善と悪,生と死,男と女,南と北,聖と俗,浄と不浄といった社会的な価値の両極を象徴するものとして捉えようとした1909年の「右手の優越」が知られている。彼の師・先輩にあたるM・モースはエルツの研究について,「人間性の間の部分(cote sombre de l'humanite)」を対象としたものと言い表していた。「死」(「死の集合表象」),「タブー」(「右手の優越」),「罪」(博士論文)といった具合に,エルツは宗教に注目する事によって,人間性の裏側に光を当てようとしたのである。「聖ベス」論文でも伝承における「妬み」,祭祀における人々の「対立・葛藤」が取り上げられている。しかし,彼が生前残した最後の論文であるこの「聖ベス」は,フィールドワークによる資料採集を行い,事象から離れることなく理論のレヴェルにまで達している点で前二論文とは異なっている。昨年(2000年),雑誌『宗教研究』において,「「民間信仰」研究の百年」という特集が組まれたが,「聖ベス論文」は「民衆」レヴェルの宗教研究として,88年前の論考でありながら現在でも十分参考になり得る。むしろ「民衆」レヴェルの宗教への取り組み方,その概念そのものの再考が要請されている現在だからこそ,この論文を見直す意味があるのではないだろうか。以下では,祭祀とそれにまつわる伝承,歴史について彼がいかなるアプローチを施したかを,同時代のフランスのフォルクロリスト達,フランス社会学派のモースなどと比較しつつ考察し,その位置付けを行なう。
著者
伊達 聖伸 渡辺 優 見原 礼子 木村 護郎クリストフ 渡邊 千秋 小川 浩之 西脇 靖洋 加藤 久子 安達 智史 立田 由紀恵 佐藤 香寿実 江川 純一 増田 一夫 小川 公代 井上 まどか 土屋 和代 鶴見 太郎 浜田 華練 佐藤 清子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、加速する時代のなかで西洋社会の「世俗」が新局面に入ったという認識の地平に立ち、多様な地理的文脈を考慮しながら、「世俗的なもの」と「宗教的なもの」の再編の諸相を比較研究するものである。ヨーロッパ大陸とアメリカ大陸の政教体制を規定している歴史的文脈の違いを構造的に踏まえ、いわゆる地理的「欧米」地域における世俗と宗教の関係を正面から扱いつつ、周辺や外部からの視点も重視し、「西洋」のあり方を改めて問う。
著者
江川 純一
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:02896400)
巻号頁・発行日
no.30, pp.179-194, 2012

2010~2012年度文部科学省科学研究費補助金基盤研究 (B) 「宗教概念ならびに宗教研究の普遍性と地域性の相関・相克に関する総合的研究」 (研究代表者 : 池澤優) 課題番号 : 22320016 報告書
著者
江川 純一
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:02896400)
巻号頁・発行日
no.19, pp.63-76, 2001

本稿は,フランスの宗教学者ロベール・エルツ(1881-1915)の三本目(そして最後)の論文「聖ベス-アルプスの祭祀-(Saint Besse -etude d'un culte alpestre)」を扱っている。エルツについては,ボルネオ島ダヤク族の死をめぐる習俗(具体的には二次埋葬)・観念に時間的構造をみようとした1907年の「死の集合表象の研究」,ニュージーランドのマオリ族の事例を扱い,右手と左手の価値の差を右利きという生理学的要因ではなく,善と悪,生と死,男と女,南と北,聖と俗,浄と不浄といった社会的な価値の両極を象徴するものとして捉えようとした1909年の「右手の優越」が知られている。彼の師・先輩にあたるM・モースはエルツの研究について,「人間性の間の部分(cote sombre de l'humanite)」を対象としたものと言い表していた。「死」(「死の集合表象」),「タブー」(「右手の優越」),「罪」(博士論文)といった具合に,エルツは宗教に注目する事によって,人間性の裏側に光を当てようとしたのである。「聖ベス」論文でも伝承における「妬み」,祭祀における人々の「対立・葛藤」が取り上げられている。しかし,彼が生前残した最後の論文であるこの「聖ベス」は,フィールドワークによる資料採集を行い,事象から離れることなく理論のレヴェルにまで達している点で前二論文とは異なっている。昨年(2000年),雑誌『宗教研究』において,「「民間信仰」研究の百年」という特集が組まれたが,「聖ベス論文」は「民衆」レヴェルの宗教研究として,88年前の論考でありながら現在でも十分参考になり得る。むしろ「民衆」レヴェルの宗教への取り組み方,その概念そのものの再考が要請されている現在だからこそ,この論文を見直す意味があるのではないだろうか。以下では,祭祀とそれにまつわる伝承,歴史について彼がいかなるアプローチを施したかを,同時代のフランスのフォルクロリスト達,フランス社会学派のモースなどと比較しつつ考察し,その位置付けを行なう。
著者
江川 純一
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:02896400)
巻号頁・発行日
vol.30, no.特別号, pp.179-194, 2013-03

2010~2012年度文部科学省科学研究費補助金基盤研究 (B) 「宗教概念ならびに宗教研究の普遍性と地域性の相関・相克に関する総合的研究」 (研究代表者 : 池澤優) 課題番号 : 22320016 報告書